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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ディミーア・タワー(スタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ディミーア・タワー(スタンダード)

by 岩SHOW

 おおおおおおおおい!スタンダードやい!ネタをくれよネタを!

 『霊気紛争』参入後、スタンダードのメタゲームは......まず、「黒緑巻きつき蛇」がクリーチャーサイズにものを言わせて台頭。続いて「コピーキャット」が新たなるコンボデッキとして前哨戦TOP8を支配。それに強い「マルドゥ機体」が本番・プロツアーを制圧。以後、この3強が入り乱れ...その周囲を「ティムール・マーベル」「ティムール・タワー」が固める。

 「マルドゥ機体」は《歩行バリスタ》を採用したメインと、プレインズウォーカー・コントロールにシフトするサイドボードを得てどんな相手とも渡り合えるデッキとして盤石な地位を確立。「コピーキャット」はコンボに頼らない、アドバンテージを稼ぎながら殴るデッキとしてこちらも揺るがぬポジションに。一方「黒緑」は3強の残り2つに分がよろしくないものの、「ティムール・タワー」などを圧倒するパワーでメタゲームにしがみつく......こんなところか。

 世界各地、電脳世界のトーナメント結果を眺めれば、コピーキャットコピーキャット機体機体機体コピーキャット黒緑機体コピキャ機体コピキャタワー機体タワーコピキャ......こんな感じで、思わず冒頭のように声を荒げてしまう。こっちは毎日デッキを取り上げるのがお仕事だって!スタンダード、ネタを提供してくれよぉ!と、弱音を吐きたくなったが......まだまだ己のリサーチ不足なだけではないか?とネットの海をもうひと泳ぎ......

 見つけた! フランスの小さいPPTQだけども、珍しいデッキ名が! 思わずクリックしてみて、こういうのを待ってたんだよとホッコリ。

Julien Beynier - 「ディミーア・タワー」
プロツアー『破滅の刻』予備予選 Aix en Provence(フランス) トップ8 / スタンダード (2017年3月26日)[MO] [ARENA]
7 《
4 《
4 《窪み渓谷
4 《詰まった河口
4 《霊気拠点
2 《荒廃した湿原

-土地(25)-

2 《豪華の王、ゴンティ
2 《害悪の機械巨人
4 《奔流の機械巨人

-クリーチャー(8)-
3 《致命的な一押し
4 《予期
3 《闇の掌握
4 《不許可
2 《殺害
2 《破滅の道
4 《電招の塔
4 《天才の片鱗
1 《秘密の解明者、ジェイス

-呪文(27)-
1 《払拭
4 《精神背信
3 《否認
2 《手酷い失敗
1 《闇の掌握
2 《失われた遺産
2 《最後の望み、リリアナ

-サイドボード(15)-
mtgtop8.com より引用)

 青黒コントロールに《電招の塔》を4枚放り込んで、恒久除去兼フィニッシャーとした「ディミーア・タワー」だ!

 《電招の塔》といえば、先に取り上げた「ティムール・タワー」およびその先祖である「青赤コントロール」の軸として、このスタンダードでは存在感を示している1枚だ。インスタントとソーサリーにオマケでエネルギーを付随させ、それを消費して3点ダメージを与えるアーティファクトなのだが......それがスタンダードで用いられ始めたのと同時に、ずっと青と赤の2色を抑えたデッキで活躍してきていたので、青黒2色でこれを用いているデッキはとても斬新に映る。稲妻を想起させるカードであり、実際《蓄霊稲妻》とも相性良しと赤いイメージが強くなっていたが......固定観念ってのはダメだなと再確認。

 デッキ自体は、見てイメージできる通りの青黒コントロール。伝統的なスタイルだ。打ち消しと除去で相手の攻勢を凌いで、ドロー呪文......というか《天才の片鱗》で手札補充。これを繰り返し、対戦相手が疲弊しきったところでフィニッシャーからドンドンドンッ(このコラム、擬音が多いって最近気付きました)。この過程を《電招の塔》を設置して行おうということだ。

 赤ではなく黒にシフトしたことで、除去のバリエーション・確実性はマシマシに。4種10枚、これに《電招の塔》を絡めて、殲滅戦の構え。ここで注意したいのは、取り揃えているとはいえ除去呪文は10枚しかなく、《燻蒸》のように1対多交換が取れるタイプのカードはないということ。即ち、無駄遣い厳禁。いつまでもインスタントを構えながら動いているとジリ貧になりかねないので、先手3ターン目など早いターンにさっさと割り切って《電招の塔》を設置してしまうのがベターだろう。複数枚並べることができれば、自動防衛システムを備えた砦の完成だ。

 黒を取り入れたことの恩恵はクリーチャー面にもある。フィニッシャーが黒ならではのパワフルなものに!

 《豪華の王、ゴンティ》は接死で地上を食い止めつつ、対戦相手のデッキから1枚カードを拝借。《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を奪って勝ちにいったり、《霊気池の驚異》を奪ってこっちがガチャを楽しんだり。とにかくアドバンテージに繋がるカードなので、上手く使って気持ちよくなっていこう。

 《害悪の機械巨人》はクリーチャーを除去してライフまで回復させくれる上に、威迫持ちのアタッカーとなる。止めにくいこのギアハルクと《破滅の道》でプレインズウォーカーに対処していくべし。除去でアドバンテージが稼げない分は、これら強力クリーチャーで補填しよう。言わずと知れたハイパーパワーカード《奔流の機械巨人》も当然4枚搭載。ギアハルク&タワーで、殴り出したら一瞬でライフを詰めていけることだろう。

 割と3色以上で組み得環境である現スタンダードにて、青黒2色というのもシブくて良いね。もちろん、むっちゃ強いデッキ!というわけではない。3強にとってかわるほどのデッキではないだろう。しかしながら、それでも工夫して戦うプレイヤーが世界のどこかにいてくれたことが嬉しいね。環境のデッキに飽きてきたけどフライデー・ナイト・マジックには出たい、という人は参考にしてみてはどうだろう。

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