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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:緑白トークン(スタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:緑白トークン(スタンダード)

by 岩SHOW

 王者のデッキというものは、当たり前だが目立つ。大きなトーナメントであればあるほど、その注目度は高まる。そして、それだけ注目されるトーナメントで優勝したということは実際に強いデッキである。ゆえに、世界中のプレイヤーにより同一のデッキが使われるようになる。こうなると......どうなるか。

 そう、対策されるのである。そのデッキに効くサイドボードを用意されるようになるのはもちろん、根本的にそのデッキに有利な構成のデッキが多数持ち込まれることになる。果たしてそこで王者のデッキは終わってしまうのか、あるいはそんなものを跳ね除けるほどのデッキパワーを証明して見せるのか?

Steve Rubin - 「緑白トークン」
プロツアー『イニストラードを覆う影』 優勝 / スタンダード (2016年4月22~24日)[MO] [ARENA]
7 《
7 《平地
4 《梢の眺望
4 《要塞化した村
3 《ウェストヴェイルの修道院

-土地(25)-

4 《スレイベンの検査官
4 《森の代言者
4 《大天使アヴァシン
4 《搭載歩行機械

-クリーチャー(16)-
3 《ニッサの誓い
4 《ドロモカの命令
1 《進化の飛躍
1 《停滞の罠
2 《荒野の確保
4 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン

-呪文(19)-
2 《ラムホルトの平和主義者
1 《優雅な鷺、シガルダ
1 《保護者、リンヴァーラ
3 《石の宣告
2 《翼切り
1 《進化の飛躍
1 《荒野の確保
1 《隔離の場
3 《悲劇的な傲慢

-サイドボード(15)-

 決勝ラウンドに進出した8つのデッキすべてが異なるタイプのデッキとなったプロツアー『イニストラードを覆う影』。このトーナメントを制したのは、「過ぎ去った季節コントロール」でも「ゴーグル・ランプ」でも「黒緑サクリファイス」でもなく、一見すると8つのデッキの中で最も地味な「緑白トークン」だった。

 この2色のビートダウンは、クリーチャー・トークンとそれを強化するプレインズウォーカーという戦略でコントロールをねじ伏せ、《大天使アヴァシン》と《不敬の皇子、オーメンダール》という規格外のパワーカードを用いてビートダウンを叩き潰した。今になってみると優勝も納得、パワフルなカードに満ちたデッキであったなと。

 プロツアーを制したことで世界中の注目が集まった「緑白トークン」は、果たして挑まれる側となっても戦えるデッキなのか? 注目が集まる中......グランプリ・トロント2016で2名、グランプリ・東京2016で2名、グランプリ・ニューヨークシティー2016で3名をTOP8に導いた。もう、このデッキの強さには疑いの持ちようがない。今、スタンダードをするのであればこのデッキの存在を知らないのはあり得ない、とさえ言い切れるレベルだ。

 その強さは、トークンを生み出す2大プレインズウォーカーにあり。《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》のゲートウォッチコンビは3ターン目・4ターン目と続けて登場し、どちらもトークンを生み出しつつそれを強化する能力を持っている。これらが生み出すトークンで自衛はバッチリ、そのため1・2マナ域のクリーチャーを先に展開しておき、プレインズウォーカーが仕事をする前にダメージで倒してしまうということは難しい。最近では《ラムホルトの平和主義者》がメインから採用されるようにもなり、このデッキを相手にした時のプレインズウォーカーへの攻撃は通らないものと考えた方が良いだろう。

 鉄壁の向こう側でゆったりと忠誠値を増やして、それぞれクリーチャーを強化する能力を使用したり、《ウェストヴェイルの修道院》を《不敬の皇子、オーメンダール》へと変身させたりして勝利を目指すのだ。無理やり突破しようとしてきた相手には《大天使アヴァシン》のきつ〜いお仕置きが......。

回転

回転

クリックで変身します

 このプレインズウォーカー打線を成立させているのが《ニッサの誓い》だ。そのサーチ能力は今更語るまでもないが、このデッキで生きてくるのはプレインズウォーカーを好きなマナで唱えられるようになる能力。これのおかげで、《要塞化した村》《平地》《平地》という状況から{1}{G}{G}のニッサを唱えられるし、その逆で《》ばかりの状況でもギデオンを戦線投下可能だ。《ウェストヴェイルの修道院》という無色土地も入っているので、2色デッキとはいえ常に安定して両色のダブルシンボルが用意できるというわけではない。なので、この色マナフィルター的能力は、なかなかに重宝するのである。

 トークンを流し去る《衰滅》《悪性の疫病》、プレインズウォーカーを撤退させる《破滅の道》《苦渋の破棄》《死の宿敵、ソリン》を搭載した「白黒コントロール」のような天敵デッキも登場しつつあり、今後もその勢いを維持するのかは不明だが......グランプリ・東京2016では友人が《死の宿敵、ソリン》を投入したよりコントロール色を強めたものを用いて初日7-1-1の成績を残したりしていたので(残念ながら2日目では沈んでいたが......)、純粋な「緑白トークン」から次の形へと進化する時が来たのかもしれない。対策されてもなお強いデッキであることには違いないので、今の形で戦いながら補いたい部分を見つけて調整していくと良いんじゃないかな。

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