MAGIC STORY

ストリクスヘイヴンの秘密

EPISODE 10

サイドストーリー さらなる数学

Alison Lührs
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2026年4月7日

 

 ジモーン・ウォーラは、自分の人生は今頃始まっているはずだったのに、と悩んでいた。

 卒業を想像していたころは、それが簡単なものだと思っていた。何しろ、自分は何もかも完璧にこなしてきたのだから。クラスでの成績はトップ、大学も救い、卒業論文の研究はかの火想者ニヴ=ミゼットと共に行なった。だけど今は、冷蔵庫の前で身を屈めて麺に添える野菜の残り物を探している。

 奥にケールの束があった。ケールは麺に合うはずよね? 今夜はそういうことにしよう。束を手に取って、黄ばんだ部分は手際よく抜き取り、冷蔵庫の奥からさらに卵ひとつと生姜の切れ端を拾い漁る。

 ストリクスヘイヴンではまっとうな食事が取れていた。ヤギ肉のカレーやラム肉のパイ、クロワッサンのサクサクの層、それに飲み干すのにちょうどいい量のシードルを思い出す。論文の研究中に、いったいどれだけの完璧な食事を味わうことなく貪っていたのだろうか? 使い古しのコーヒーカップに麺とブイヨンスープを注ぎ、白胡椒と何か色々と混ざっている赤唐辛子のフレークをたっぷり振りかけ、中央に卵を割り入れる。どう? バランスの取れた、温かくて、ごく普通の夕食ね。ジモーンは大丈夫よ。

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アート:Carly Milligan

 彼女は冷えた両手にさもしい食事を抱え、仕切りで区切られた自分の寝室へと歩いて行く。ラヴニカの集合貸住居は家賃が高いことで有名だ。千の奇跡を起こしても、自分専用の広い部屋を借りるに足るジノ通貨は手に入らないだろう。今夜は同居人がいないのがせめてもの救いだ。それでも扉は閉める――もはや習慣なのだ。

 掛け布団の上でカーテンがそよ風に揺れる――ダスクモーンを経てから、気温を問わず常に窓は開けたままにしている。それでも手袋と毛糸のセーター二着があれば、十分に温かさと安心を得られるから。

 ベッドのそばには手紙が山になっている。

 手紙の山をじっと見つめて、積まれた中から四つの手紙を数える。罪悪感で胃がむかむかして、顔をしかめる。喜ぶべきで、誇りに思うべき。もし両親がこんなに手紙を積んでいることを知ったらどう思うだろうか?

 その考えはすぐに消し去った。代わりに、山積みの手紙の脇に選り分けてあるもっとくだけた手紙の一つにざっと目を通しつつ、二着目のセーターを着こんだ。

我が友人ジモーンへ

吉報と感謝を送る。手紙をありがとう。私はいつも通り元気だが、ストリクスヘイヴンで会った後の貴女の様子がやや不安げに見えたのが気がかりだ。私たちはダスクモーンを生き延びた、そうであろう? 貴女は邪悪をまっすぐ見据え、その心に勇気を見いだしたのだ。その強さは両手で掴む価値のないものだろうか? 気病みなどというものは陰気で不快、私の心に抱くものとしては不自然で望ましくないものだ。ジモーン殿、私を心配させないでくれたまえ。

冒険に出るのはどうだろうか? また貴女と冒険を共にする機会が持てるのであれば、私は喜んで赴くつもりだ! ラヴニカとカルドハイムを繋ぐ次元があるのだが、フィオーラ次元のゴラ・デル・ザッフィロについて何か知っているだろうか? その深淵には眩いばかりの光景が広がり、その果てには財宝が眠っているという! 冒険に出れば、私たちは再び喜びを見いだせることだろう! いかがだろうか?

 ジモーンはその手紙を懐に押し込んだ。その誘いには乗れない。タイヴァーさんのような面白い人とちょっと冒険に出かけるのは楽しそうに思えるけれど、どうしても無理だ……この作業は極めて重要だから。

 同居人が戻っていないことを確かめて、ジモーンは寝室にかけていた魔法を解いた。

 広範な幻影の地図がこの狭い空間を覆いつくす。か細く青い線が織り合わさって絡み合い、層を作ってたわみ、多元宇宙の三次元的な理論モデルを作り出している。自分のベッドの上にはダスクモーンが広がり、本棚の上にはカルドハイムの世界樹が伸びて、床板から天井にまで各次元を表す無数の光が点在している。思わず身震いをして、ベッドの脇に積み上げられた研修員募集の書類の上に麺入りのマグカップを置いた。

 もう二週間はこの建物から出ていない。隅にはびこるダスクモーンを見てみるといい――また別のあの扉には出くわさないと断言できる? 小麦粉をまぶしたように散らばる領界路の分布を見てみるといい――あの最悪な場所へと繋がる領界路を見逃したらどうなるだろうか? 研修員募集の書類の山を見てみるといい――もし期待に応えられなかったら? もし自分の構想ではなく、他人の壮大な構想を手伝うことになったら? もし、もし、もしもという不安が自分の戸口に障壁を築き、絨毯に潜む蛾のように、それ自身が強力な逆説魔法となって自分を守り続ける力ある言葉になるのなら。ジモーンは大丈夫よ。

 この輝くモデルは、線の一本一本に至るまで何時間にもわたる検証と試行錯誤を重ねた成果だ。ニヴ=ミゼットに依頼された同様の地図を元に作ったものではあるが……これは予知魔法に根差した呪文を用いたもので、彼のものより優れた出来栄えだ(と彼女は無邪気に誇らしげな笑みを浮かべながら思った)。アルゴリズムによる遠隔視野という概念は突飛なものとは言えないけれど、世界樹についてのタイヴァーさんの説明を基として大規模な呪文モデルを構築することになるなんてね? 今回ばかりは、あの馬鹿げた人の馬鹿げた話が役に立った。善き王子様に乾杯。地図モデルが自らを書き換え、多元宇宙が巡り変化する様子をじっと見つめる。地図はダスクモーンの蔓延がおしなべて限定的であることを証明したが、ヴァルガヴォスの性質を考えると決して安心はできない。地図を細かく調べて、あの館の触手が他の小さな光点を突く様子を目にする。

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アート:Liiga Smilshkalne

 けれど別のものが目に留まった。アルケヴィオスの真上。

 影がひとつ。

 目を細めてよく見る。それは雲のように渦巻いていて、ともすれば目の錯覚にも思える。集中して呪文式を少し緩めると、ぼんやりとその影の広がりが見えてきた。あれは何? ベッドによじ登って近づいてみるが、影には形がない。ただ歪みの痕跡があるだけだ。

 「何なの?」ジモーンは苛立ちを隠さず、思わず声を上げた。

 きしむ音を立ててベッドから降りる。この異常の修正を試みるために魔法を調整し、呪文の節点が両手の間で光を放つ。

 影? 馬鹿、そんなわけない。呪文の不具合だろうか? 多元宇宙の新たな現象? 一体全体何だっていうの? ジモーンは苛立ちながら呪文をいじくりまわし、この影の原因を見つけることが今や自己の存在意義そのものになっていることを悟った。

 今いる寝室の向こう側にある部屋の扉が開き、怒鳴り声が飛んできた。「クソ寒い窓を閉めなよね、ジモーン!」

 ジモーンは同居人を無視して手袋をはめた。

 彼女はこの魔法の地図を、疫病に対してするように、ダスクモーンの蔓延を追跡するために使っていた。しかしこの影はダスクモーンが引き起こしているのだろうか? 元の次元との接点なしに影を生成している? だとすれば、ダスクモーンがある次元から別の次元へと広がるという現象にどういう意味があるのか……あるいはこれがダスクモーンによるものではないとしたら……一体何なのだろうか?

 寝室の扉が開いた。

 ジモーンは地図モデルを再び隠蔽した。

 同居人のアバサが、毛糸のコートを着込んだまま扉の前に立っていた。彼女は眉を顰め、その鼻先はほんのり赤く染まっていた。その茶色の髪は流行のツインループに結ばれ、目元には粋に2つのドットが添えられていた。ジモーンはアバサが羨ましかった。ブリキ通りの高級店で美容術師の仕事を見つけるのは容易なことではない。

 「手紙が来てるわよ」

 ジモーンは手紙を受け取った。そこに記された印が目に留まる――ニヴ=ミゼットからのものだ。

 「おめでとさん、これで家賃を払えるじゃない」とアバサは言う。「ほら、そのクソ窓を閉めてよね」

 彼女は立ち去った。ジモーンは手紙を開封した。

ジモーン・ウォーラ様へ

領界路計画は研修員募集についての貴殿のご返答をお待ちしております。貴殿はルミア・ヴォイの指導の下、次元間近似離断方式の試験に携わることとなります。24時間以内にご回答ください。火想者ニヴ=ミゼットとギルドマスター・ザレックが貴殿をこの計画に推薦しております。我々の期待にお応えください。

敬具

執事マーレー

 ジモーンの不安は急激に高まった。

 24時間以内に、他の誰かの仕事を引き受けると返答しなければならない。あと24時間しかないのは、返事を先延ばしにしすぎたからだ。外の冷たい空気は自分があの館から逃れて安全な場所にいるという慰めになるが、この手紙は自分がいつまでも一人でいられるわけではないことを思い出させる。ジモーンは安全なのに、ジモーンの立場は不安定だ。眩暈を感じ、不安に駆られる。部屋を覆っていた隠蔽魔法を解き放った。私の地図、驚異的な出来栄えの地図。

 そして地図上に浮かび上がる影。

 私には……できない。今は研修員にはなれない。まだ答えが見つかっていないのだから。でももし……両方こなせるとしたら?

 その発想に彼女は肩を張り、目を大きく見開いた。もし両方できるなら? 多元宇宙を救う研究をしながら、生活費を払うための定職に就く。その考えはストリクスヘイヴンで読んだシャンダラーについての文書の記憶に引っかかった。リクーという名の魔道士がいて、彼は自分自身を複製して二つの分野を同時に学んだという。ジモーンの頭脳は素早く動き、様々な選択肢に思いを巡らせ、自分にもそれに類する呪文を可能とする技術があることに気づいた。うっそでしょ、もしかしたら本当に可能かもしれない。ベッドから飛び降りて、本棚に向かって二歩進み、手当たり次第に本を取り出していく。これはどの系統の魔法になるだろう、クアンドリクス大学での自分の研究と何か重なる箇所はあるか……明らかに、重なる分野だ。複製はプレスティジアル理論に適合するかもしれない。幻、分身、目の錯覚。具体的には、蜃気楼の顕現、つまり実体化した幻影だ。自分がふたり欲しいのだ。それを実現する魔法はとんでもないものになるが、そもそもプレスティジアル理論がとんでもないものなのだ。これまでに読破してきた本の中では、それに必要な水準の感応魔法と幻覚魔法を行使できる魔道士はほんの一握りしかおらず、その全員が将軍的な立場にあった。

 読み慣れた本の背表紙に指を滑らせ、キアン学部長から借りたプレスティジアル本にたどり着いた。前に……色々なことが起こる前に借りた本だ。本はまだ真新しく、ページには折り目も印もない。ジモーンは満足げだ――望むのは、自分ではやりたくないことを担当してくれる分身を手に入れ、自分自身は多元宇宙モデルに隠された謎の解明に集中することだけ。

 どうすれば両方の目的をまとめて達成できるか考えを組み立てながら、本を読み続ける。

 一つ目の方法、ひとりの人物を創造するという案には息がつまりそうだった。食事も水も休憩も取らず、長い時間をかけて呪文を唱え続け、仕舞いには悪夢のような取引が必要になる。呪文の代償を考えて身もだえした。いや、これは複雑に過ぎるし、完全な個人を求めているわけではない。そこまでの代償を支払う価値もないだろう。

 二つ目の方法は可能性を感じる。分割法。自分の人格の一部を切り取って、それを物理的な形へと具現化することで分裂する。実現可能ではあるが、危険性もあるか……それらを再び統合するにはどれほど高度な能力が必要になるだろうか? 自分本体はどれほど独立した存在として残るだろうか?

 三つ目の方法が一番しっくりくる。複製だ。自分とは相反するものとして作られる、表層的な分身。自分にできないことをやってくれるが、総じて完全な人間とは言えない存在。これこそリクーの手法だったに違いない!

 ジモーンは作った麺の存在を思い出し、冷たいスープと冷え切った卵を飲み干してから、三枚目のセーターを着こんで仕事に取り掛かった。

 リクーの呪文を何時間も試し、今が何時なのかもわからなくなった頃、彼女は諦めかけていた。

 最初の切り口が最も難しいようだ。何度も何度も、呪文に記されている比喩――自分をオレンジに見立てて一切れぶんを切り取り、それを紙に押し付けてからその跡に命を吹き込んで生み出す――を思い浮かべながら試みる。果物の比喩なんて、簡単なもののはずなのに! なぜこんなに難しいんだろう? ジモーンは苛立って唸り声を上げ、窓をさらに大きく開いて上着を脱ぎ捨てた。

 細い黄色の線が地平線の輪郭を浮かび上がらせる。朝だ。

 ジモーンは顔をしかめた。ニヴ=ミゼットは申し出の返事を待っているだろう。そう思った瞬間、期待という感情が恐怖とぶつかり合う。突然、思考にひっかかりができて、それをひっつかむ――これだ!

 二つの感情、つまり自分の中の二つの側面、多元宇宙地図の答えを求める部分と期待を裏切ることを嫌う部分を捕まえて引っ張る。

 ジモーンは自分がとんでもない大馬鹿だと即座に悟った。もちろん果物の比喩のほうが実際に難しかった。だがこれは複製法、要するに単純な自分のコピーを作り出す手法、ではない。これはつまり、考えうる中でも最も愚かな方法で自分の内のひとつの側面を具体化しすぎて、この愚かな気質が本能的にその厄介な分身を作ってしまったということになる。複製がリクーの手法、問題のない方法だ。これは二つ目の選択肢、分割だ。

 人生で最も激しい頭痛に襲われ、彼女は床に倒れ込んだ。呻きながら、瞼の裏に青い閃光を見る。呪文によって二つに裂かれつつある中で、自身の何かが体から抜け出して物質化し、形を伴うのを感じる。手術のようでもあり、嘔吐のようでもあり、息を吐きだすと同時に床板に大きな何かがぶつかる音が聞こえた。

 ジモーンは目を開いた。白い服を着た自分の分身は、朝霧のような青い魔法の靄に包まれ、驚いて瞬きをしていた。

 二人は見つめ合う。互いをじっと観察した。

 「あなたは私のどの部分なの?」とジモーン本人が尋ねる。

 「もうこれ以上手紙を無視しない部分よ」

 「なんて呼べばいいかな?」

 もうひとりのジモーンは朝日を見上げ、ベッドからニヴ=ミゼットの依頼状を掴んでひらひらと踊らせる。「研修員かな?」

 本人は微笑み、多元宇宙のモデルに映る奇妙な影を見上げた。「分割統治法ね」


 ダスクモーンでの出来事の後、ジモーンはストリクスヘイヴンに戻った。

 ニコとタイヴァーに付き添われていたにも関わらず、不安な気持ちを抑えられなかった。無防備だと感じていた。

 ストリクスヘイヴンは高くそびえ立ち、三人は目的地に向かって歩いていた(その間ニコとタイヴァーはメイジタワーの競技場へと首を伸ばして見上げていた)。ネヴ学部長はトーラスの講堂で一行の到着を待っていた。

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アート:Constantin Marin

 しかしそこへと近づくにつれ、ジモーンはますます落ち着かなくなってきた。あらゆる扉の枠に蛾がいないか探り続け、廊下に不審な動きがないかを確認して……

 「我が友ジモーン」上から声が聞こえる。「案ずることはない」

 彼女が顔を上げると、励ますような笑顔のタイヴァーが見下ろしていた。不安が表情に出ていたに違いない。

 「よし、来たか」講堂の奥からかすれた声が聞こえてきた。ネヴ学部長が歩み寄ってくる。顎筋のひれが挨拶代わりに広がり、職服が灰色の床をかすめた。「私の執務室まで来たまえ、何を見たのか話してもらおう」

 ジモーンは手のひらが汗ばんでいることに気づく。ここ、ストリクスヘイヴンに戻ってきたから? こんなふうに教授と再会できたから? いや、何か別の原因だ。幽霊か。まるであの館が一緒に歩いているよう。

 ネヴ教授の執務室は、どちらかと言えば本を修復する工房といった様相だ。部屋の隅にはまだ荷物箱がいくつか置かれている。三年も経過しているのに執務室の引っ越しが終わっていないかのようだ。半分に破れた本、山積みの留め金、蓋を開いたままの糊の瓶、そして本棚には本だけではなく修復の進捗状況を示す伝票もぎっしり詰め込まれていた。

 「かけたまえ」と彼は言い、三人の生存者は言われるままに座った。

 ネヴはダスクモーンについて尋ねた。一行が何を見て、何を感じたか、館の法則はどういったものなのか、そしてその法則に合わせて物理法則はどう捻じ曲げられているのかを。

 ジモーンは、ニコが語るナシについての物語を、館を身にまとった時の事を芝居がかった口調で語るタイヴァーの話を聞きながら待機していた。そして自分が話す番になると、学術的な会話特有の慣れ親しんだ雰囲気へと入り込んだ。

 「これは大変憂慮すべきことだ」教授は飲み物の氷をかき混ぜながらそう結論付けた。「ウォーラ嬢、啓発に感謝する」

 「何か対策はありますか?」

 「イゼット団の顧問からも既に連絡は受けている。火想者殿は現時点においては調査の継続を推奨しないとのことだ。団の予測モデルでは、これ以上の拡大は――つまり他次元への侵入はないという判断らしい」

 ジモーンは耳鳴りがするような感覚に陥った。「ですが私たちはあれを目撃しました。他にも目撃報告はあります」

 ニコはいったん椅子に深く身を預けてから、立ち上がって遠慮することなくネヴ学部長に迫った。「恐れ入りますが、ネヴさん、その判断は私たちにとってまったく理解のできないものです」

 食ってかかられたマーフォークは顔をしかめた。「もちろん分かっている! 私も再考を要請したが、火想者殿は領界路網に集中し続けたいらしい」そう言った彼の表情には動揺が浮かんでおり、学部長としての三年間だけでは信頼を築くのに不十分だったという認識がほのかにうかがえる。

 「あの臆病者め!」タイヴァーが怒鳴った。ジモーンへまっすぐ指を突きつけ、彼女は椅子に釘付けになる。「ドラゴンの王たる者がこれほど危険な話を無視するなどとは!」

 「申し訳ない、王子。しかしこれが私たちの仕事の現実なのだ。時に、ある分野が他の分野ほどの緊急性を持たないこともある。これが研究の現実ということだ」ネヴはまるで、まだ館の中に閉じ込められている者などいないかのように、ジモーンの調査報告が綿密に収集されて真実に基づいて語られたものではないかのように、ただそう答えた。ジモーンの呼吸は早まり、空気が重苦しく感じられる。胸が痛む。早く家に帰りたい。安全になりたい。二度とニヴ=ミゼットの目を見たくない。狼狽のあまり、隣の王子が冷たい手を額に当ててくれていたことにも気づかなかった。


 ジモーンの複製開始から二週間は目覚ましいものがあった。

 彼女は地図モデルを安定させ、そこに広がるあの影をはっきりと映し出し、同居人を避け、シャワーを浴びた。夕食どきから一時間は過ぎた今、何か月かぶりに卵料理でも麺類でもない食事を調理できた。太陽が沈んで数時間後、凍えるほどに寒い寝室へと戻って六度目の呪文調整に取り掛かろうとしたころ、分身がようやく帰宅してきた。

 戻ってきた研修ジモーンは外套を羽織ったままで、目の下にはクマがあるが、微笑みの表情を浮かべていた。

 「ただいま、私」と疲れたような声で彼女は言う。

 「おかえり、私」とジモーンが返す。研修員は鞄を放り投げて暖炉に向かった。彼女は食事をとる必要が無い(ありがたいことだ、初任給が入るまでは食費も一人分しか余裕がないのだから)。研修員は腰を下ろし、革装丁の書類入れを取り出しながらうめき声を漏らす。

 「まだ仕事があるの?」ジモーンは尋ねた。

 研修員は頷いた。「一人で両方は無理だったわね。正しい判断だったわよ」

 そう言って彼女は書類を両脇に広げる。ジモーンは恐る恐る書類を覗き込みながら、一番外側のセーターを身体にしっかりと巻き込む。空気は冷え込んできている。冬が近いのだ。

 ジモーンの瞳がふと研修員に留まる。「試験に加わって、私たちが何をしているのか見たいと思わないの?」

 記憶がよみがえる。心臓が激しく鼓動し、胸が締め付けられ、揺るぎないはずの地面が自分を引きずり込む。ジモーンの一部は、ストリクスヘイヴンで感じた混乱から緊張したままだ。

 「いえ」と即座に答える。「今、突破口が開けそうだから」

 研修員は、かつてジモーンの一部であったがゆえにその気持ちを理解して、敬意をもって食卓の方へ向き直った。

 「ちょっとした問題が」と研修員は小声でつぶやいた。ジモーンはそれが気に食わなかった――彼女は何か言いづらいことを伝えるときに、わざと口をつぐむのだ。さっさと言って欲しい。

 「何?」とジモーンは聞いたが、その声に棘があることに自覚的だった。

 「来月まで給料が入らないって」研修員は小さくうんざりした声で言う。「家賃はどうしようか?」

 ジモーンは……どうしていいか分からなかった。同居人たちは(窓が開けっぱなしだから、こんなの普通じゃない、安全じゃない、誰もこんなことはしないのよジモーン、と申し訳なさそうに非難して)ついに引っ越していった。そのおかげで心の平穏こそ得られたが、経済的には痛手となった。両親に連絡することもできたが、扶養関係という厄介な問題に入り込むことを考えると、実行する価値はなさそうに思えた。ジモーンはもう大人だ。おおよそはそうだと言える。大人なら誰でもそうするように、自力で解決できるはずだ。

 「私たちのコピーをもう一人作ればいい」ジモーンはそう結論付けた。

 「でしょうね」分身体は悩むこともなく言う。「あなたは実験を担当して、私は最初の仕事を続けて、三人目はやりがいがなくとも給料のいい別の仕事に就けばいい。これからはもっと楽になるわね」

 ジモーンは、これで家賃の支払いも大丈夫、とわざわざ触れることはしなかった。だが二人目のジモーンは付け加えた。「それであなたは働かなくても大丈夫ってこと」

 いらいらする――どうしてこの子はそんな言い方をするんだろう?

 うんざりした様子を隠しつつ、居間へと向かう。空気は冷え込んでいて、カーテンはそっと揺れ、背後で暖炉の火が下がった室温と戦っている。目を閉じて、前とは違う、自分の中の別の部分を探る。希望を抱き、優れたものを目指す部分。それは自分の精神の中でおとなしく、しかし渇望と共に佇んでいる。

 ジモーンはその感情を捕え、魔法で胸から引き抜き、喉を通して引きちぎる。前回よりは楽だ。胆汁には慣れたし、胃のむかつきにも驚かされることなく予想の範疇だった。しかし今回は、まるで体から自分の一部が切り離されるかのように心臓が痛む。体の中を魔法が這い上がって抜け出したがり、それが胸骨を通り抜け、自分がせき込むのと同時に床に落ちるのを感じた。

 新しいジモーンが体を起こした。紫色のセーターの襟ぐりから肩が出ており、ぼんやりとした目であたりを見回している。

 「あなた」ジモーンは喘ぎ、唾を吐きながら尋ねる。「仕事が欲しい?」

 床のほうの彼女は、口元をぬぐい、いつの間にか現れた眼鏡を探りだした。一瞬考えこみ、瞬きをしてから、ようやくにやりと笑う。「三職欲しいわね」


 その後の一週間は苛立ってばかりだった。

 二人の分身体は世の中に出て、一人は夢を成し遂げている最中、一人は成功を目指して果敢に取り組んでいる。そしてジモーンは二枚のセーターの中で苛立ちを募らせていた。自分の声はこんなにうるさかっただろうか? 二度とくつろげないのだろうか?

 最悪なのが夕食の時間だった。今や実質的に四つの仕事を掛け持ちしているため、ようやく新鮮な野菜、良質な卵、美味しいパンを購入できるようにはなった。だけど、買い物から帰宅するたびに二人にはいらいらさせられる。研修ジモーンは食事を必要としないにもかかわらず頑なに食卓に着きたがり、躍進ジモーンは(他にどう呼べばいいだろう?)私が食べているものに対してもっといいものを摂取するよう勧めてくる。迷惑で、失礼だ。ジモーンはいよいよ自意識過剰になっていった……友人たちは私が作業の話を止めないことに気づいていたのだろうか? いつも会話を「ねえ聞いて?」から始める癖を嫌がってないだろうか? どうしても考えてしまう。分身体の欠点は自分の欠点だ。そして分身体を外の世界に出した以上、もはや無視はできない。

 「聞いてよ、ニヴ=ミゼットが私の個人的な研究について知りたがっていたの」分かっているといった視線をこちらに向けながら、研修員が言った。「論文が完成したら送るって伝えたわ」

 ジモーンは体がこわばるのを感じた。本能的に突然独占欲が募り、研究内容を教えたりはしない、と否定的になった。ようやく面白くなってきたところなのに。実際興味深いことになってきた――ずっと自宅にいられるおかげで、あの影の広がりを追跡できるようになってきたのだ。何しろ多元宇宙モデルに映る影は、ただの影ではない。そこには物質があり、確立された形態のそれがアルケヴィオスの上方に鏡像のように映し出されている。これは第二のダスクモーンだろうか? 直感では……違うものだ。指紋のように、固有の模様が刻まれている。独特な形だ。それ自らが生み出したものと言う点ではダスクモーンと同じだが、起源は別だ。

 「対価をもらわない限り、私は教えない」ときっぱり言う。

 「そうよ、そうよ」部屋の隅の机から躍進者が声をかけてきた。またか、うっとうしい。なんで仕事をやめないのか――

 「正しいのは共有する事よ」研修員がぶつくさ言う。「聞いて、多次元宇宙の為になる情報を隠匿するのは倫理に反するわ」腹立たしい!

 「もう十分」ジモーンは怒鳴り、フォークを皿の脇に叩きつける。「私は作業をしなきゃならないの、あなたたちは好きにすればいいわ」

 研修員は口をすぼめた。躍進者は「もう好きにしてるから!」と声を張り上げ、机から新しい書類の束を引っ張り出した。

 ジモーンには本物の友人が必要だった。

 彼女は化粧室に駆け込み、自分のことを理解してくれる、気持ちを汲んでくれる脳の部分を探し求める。目の下にクマを作りながら、赤いセーターを着た自分の複製を背後に出現させる。

 友人ジモーンは本物の友人だ。いい交流ができるだろう。私を支えてくれるだろう。


 友人ジモーンは本当に最低。

 いつ会話を終えるべきか分かってないし、批判ばかりで代替案を提示することもないし、いつも笑う癖があるよね? 何を言っても、必ずどこか息が漏れるような笑いが混じるのは何? 腹立たしいし、変だよ。別に面白いことを言ってるわけじゃないのに、常に笑いを堪えているようで――

 友人ジモーンは二度鼻を鳴らし、かすかに笑いを漏らした。「聞いてよ、銀行から帰る途中、多元宇宙でのあの影の広がりを計算する方法を考えてたんだけど」と息を吐く。まさか? 笑う所なの!?「証明が終われば、あのモデルを複製できるはずよ」

 多元宇宙モデルの取り組みは、ジモーンが一番やりたくないことだった。影なんてもうどうでもいい。外套を膝に巻き付け、ベッドに身を預けた。

 多元宇宙の影は今や確固とした存在になった。それはベッドの上を覆い、ジモーンとは正反対の姿を映し出している。とは言うものの、その源は依然としてストリクスヘイヴンを映し出す集合体だ。複製の糸を一本一本丁寧に辿っていく。浴槽の側面に張り付いた細い毛のよう。そしてそれらは、排水溝のすぐ下にある巨大な何かに繋がっていた。

 ジモーン本人は、自分の分身が顔を上げるのを見て、口元に笑みを浮かべた。そして、無視することのできない仮説を立てる。

 「誰かが多元宇宙を複製しているとしたら」


 ジモーン本人は、この発見に興奮するはずだった。この気づきを声高に叫び、扇動的な小論文を書き上げ、大衆を煽り立てて最初の論文を発表するはず、しかしできたのは台所をうろつくことだけだった。

 果たしてそんなことができる者がいるだろうか? 道徳的な意味合いではない。適切な動機さえあれば誰でも大抵のことはやってしまうだろう。そうではなく、誰ならこれを実現できるのか、という話だ。多元宇宙を複製するには六種類もの呪文系統に習熟する必要があり、さらにすべてを習得できるとしても、脳をリゾットのように煮詰めることなくそれを行使するには絶大な能力が必要だ。修行僧、とか? 普通の知性体を超えるもの? 悪魔、それとも天使?

 ジモーンは立ち止まる。何か変だ。

 暖かい。

 コンロに飛びつく――火は消えている。オーブンは? これも違う。居間の暖房も消えている。寝室へ駆け出して、扉を勢いよく開けた。

 窓は閉まっていた。

 彼女は息を切らして半ば泣きながら、ベッドに飛び乗って再び窓を開けようとした。その拍子に拳を擦りむく。貴重で神聖な冷気が吹き込む。外の世界は確かにそこにあり、空は現実となり、隣人宅の夕食の匂いが漂う。そして心臓の鼓動はますます早くなり、捕まる寸前、死の淵に立たされていた。

 息ができない。

 息が、できない。

 友人ジモーンが隣にいて、大丈夫よと声をかけてくれる。だけど友人ジモーンは役立たずのドアノブみたい――

 想像する。タイヴァーの手のひらが額に触れ、氷が体を冷やしてくれる様を。足元の床は硬くてしっかりしている。誰が窓を閉めたの? 分身体はそんなことしないはず。

 「私、寒くて」友人ジモーンが気落ちした様子で言った。「ごめんね。外には出たくないの?」

 「そりゃ出たいわよ!」ジモーンは喘ぐように答えた。「もちろん出たいわ。でも無理。無理なの」

 「どうして?」友人ジモーンは優しく尋ねる。

 「だって私ひとりじゃ足りなかったから」

 扉を叩く音がした。

 ジモーンと友人ジモーンは目を合わせた。友人ジモーンは扉をちらりと見てから目を逸らし、返事をしたくないことをはっきりと示した。こいつ、締め上げてやろうか。

 「生きてる?」

 ダイナの声だ。

 ジモーンはベッドから飛び降り、寝室の扉を思い切り閉めて玄関へと駆け出す。勢いよく扉をあけ放って友に抱きついた。

 ダイナは家主の後について中へと入っていった。「どうしてこんなに寒いの?」

 ジモーンは答えられない。

 友はため息をついた。「様子を見に来たんだけど……」

 ジモーンは返事ができない。自分が取り乱してやつれていることは分かる。

 「ただ作業をしてただけよ」これは半分嘘だ。「研修期間が終わったら、准教授認定に申し込もうと思ってて――」

 「ちょっと待って」ダイナはそう言って身を乗り出した。「何をしてたの?」

 寝室の扉がきしんで開いた。

 友人ジモーンが顔をのぞかせた。体をこわばらせてぎこちない様子でこちらに来る。「ねえ……私、図書館に行こうと思って」半笑いを浮かべながらそう言い、ジモーン本人が恥ずかしさで死にそうになる前に分身は部屋を出ていった。

 ダイナはため息をついた。

 ジモーンは限界だった。「もう我慢できない。あの子いつ黙ればいいか知らないし、話ながら笑うし、自分のことをすごく変わり者で面白いと思ってるけど全然そんなことないし! いつも自分の趣味の事ばっかり話してくる! だけどあの子が近くで手伝ったり助言したりしてくれないと作業に集中すらできなくて――」

 「ふうん。あの子はあなたなのね」

 ダイナはしかめっ面を見せる。ジモーンは黙った。

 恥ずかしさがジモーンを襲う。「私っていつもしゃべってばっかりだった?」

 「そりゃそうよ」

 「どうして我慢できるの?」

 「そんなの、あなたがあなただからじゃない」

 だけど"私一人"じゃ足りない。そんな考えが胸を締め付ける。ジモーンは気づくと長椅子にへたり込んでいた。

 「それにあなたは、単に可能だからって山に登るようなすごい変わり者のひとりじゃない」

 ジモーンは散々たる気持ちになった。

 「松煙のお茶が必要みたいね」ダイナは分かった風に言った。そのまま台所へ行き、コンロをいじり始める。「松の小枝は心の平静にいいってここのドライアドは言ってくれるけど、いつもあの変な教団の勧誘をさり気なく持ち出してくるのよ」そう言いつつ、ダイナは台所から身を乗り出してウインクしてきた。「あなたは変な教団には入ってないわよね! 少なくともそれについては大丈夫ね!」

 「ダイナ、私間違ってたかもしれない」ジモーンは静かに言った。「ずっと一人でいると、自分のことが嫌いになっていくの」

 「そう、私はあなたの事嫌いじゃないけど」

 「私もあなたの事嫌いじゃないよ」

 ダイナは台所から、大したことじゃない、恥ずかしがることはないとばかりに、親しみを込めてわずかに微笑んだ。

 ジモーンはその笑顔に引き寄せられて、友を抱きしめてその肩に顔をうずめた。自分は教訓を得たのだ。「私は何でもできるわけじゃない。しばらくは、ただひとりの私でいるのがいいみたい」


 呪文の解除は楽しいものじゃなかった。

 何かを食べているみたいだ。胸が焼けるように熱い、逆流する胸やけみたいに。再統合はすぐさま行われたが、こんな苦痛が伴うとは。分身体の姿は蒸発し、その痕跡も消えた。残ったのは沈んだ心と、分身体がいなくなって急に気づいた自分の小ささだけだった。

 かつて躍進者が引き受けていた三つの仕事に辞表を提出し、ギルドパクトの事務所には気まずくも休暇を申請する手紙を送り、ダイナが貸住居の片づけを手伝ってくれている中、少し休むことにした。

 疲れ果てた中、麺入りのマグカップを持ち上げながら、友に向けてため息をこぼす。「ヴェス教授がいてくれれば言うのだけど……私、とある発見をしたの」

 ダイナは怪訝な顔をした。ジモーンはむすりとして立ち上がり、寝室へと向かい、地図モデルをこづいて起動する。多元宇宙が輝き、その影が頭上に展開された。

 ダイナは口をあんぐりと開いた。

 「誰かに伝えないと駄目よ」

 「誰に?」

 ダイナは肩をすくめた。「大人に?」

 実際の所この部屋にいる大人とは誰のことを指すのか。二人は沈黙した。

 ダイナは困ったような顔をした。「大丈夫、私たちでも何かはできるはず……その複製を作ったのが誰かはわかる?」

 ジモーンは経験から、複製には痕跡が残ることを知っていた。「わかるけど、それが何者かまではわからないわ」

 「一緒にその根を探してみる?」

 二人は作業に取り掛かった。ジモーンは超常能力の形跡を特定可能とする定理ほぼそのものを編み出し、ダイナは鞄から教科書を取り出して生物学の定理が根を見つけるのに役立つかもしれないと主張した。そして二人は一緒にそのための呪文を唱える。

 「上手くいけばこの根は、私たちの知り合いでかつその術者を知っている誰かを指し示すはず」とダイナは説明する。「私を通して力を送って」

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アート:Carly Milligan

 半信半疑ながらも、ジモーンは言われたとおりにした。

 ジモーンの魔法の青い光が友を包み込み、それを受けてダイナは手を揺らめかせる。

 二人の脳裏に、同時に一つの映像が浮かんだ。

 その者は、分厚いゴーグルを掛けた鮮やかな赤髪の女性だ。ダイナは息を呑んだ。

 「あらま、有名人じゃない」ダイナは映像を指さして言った。「チャンドラ・ナラー。あのレースに出ていた人よね?」

 ジモーンは首を横に振った。そういった競技の事には興味が無かった。

 「まあいいわ、ええと、呪文によるとこの人は、第二の多元宇宙を作りだしたのは誰かってことを知ってる。どこに行けばこの人に会えるかもわかるわよ」

 目的ができた。ジモーンは瞬きをする。寒さを感じる。友がこの部屋にいて、目標は目の前に現れた。そしてこの部屋にいる大人は私たちだけだ。

 彼女は窓際に歩み寄り、窓を閉めた。

 ジモーンは閉じられた窓を見つめた。ヴァルガヴォスはここから侵入してくることはなかった。ジモーンはいつでも大丈夫。もう大人だし、自分のことは自分でできる。

 ジモーンは気まずそうに友人を一瞥し、気後れしながら言った。「向こうに戻ったら……同居人が必要なんだけど」

 ダイナは片眉を上げ、同意するように微笑みながら肩をすくめた。「お客さんが来るのってどれくらい苦手?」にやりと笑う。「具体的には、私のベッドで寝はするけど便座を上げたままにしないでおく類のお客さんは」

 「キリアンが私たちのを男子用にはしないって保証してくれる?」

 「私が見ている限りはね」

 早くも、ジモーンは温かさを感じた。


(Tr. Yuusuke Miwa / TSV Mayuko Wakatsuki)

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