MAGIC STORY

ゲートウォッチの誓い

EPISODE 11

友達向けのデベロップ

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友達向けのデベロップ

Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru

2016年1月15日


 双頭巨人戦は私の大好きなフォーマットの1つです。競技レベルの双頭巨人戦がが発表され、特にプロツアーでそれが行われたときに多くの人々が目を丸くしたことを知っていますが、私はこのフォーマットがとても楽しいことをすでに知っていました。しかしそれは私だけではありません――双頭巨人戦はプレリリースやフライデー・ナイト・マジックでもとても人気のあるフォーマットです。個人的に、これの素晴らしいところは、大きく異なるレベルの人々が一緒にプレイすることを可能にすることだと思っています。親子、夫婦、友達――マジックに慣れていない人ともプレイできる一方、誰もが素晴らしい時間を過ごすことができるという側面もある、素晴らしいものです。これはまた大きく異なったプレイをされるフォーマットの存在を可能にし、あるフォーマットでの多くの「事柄」は通常双頭巨人戦において大きく異なる働きをします。なので、普通のリミテッドでは全く強くないかもしれない多くのカードが、双頭巨人戦では適正な強さのカードになります。

 私の大好きなフォーマットの1つである双頭巨人戦キューブ・ドラフトは、私が定期的にマジック・プレイヤーの親友の1人であるマット・クランストイバー/Matt Kransteuber(そのキューブの持ち主)とプレイしているしているフォーマットです。単純に4人でこのキューブをするときには、パックの中身を全部表にします。最初のチームが1枚ピックし、次のチームが2枚ピックして、また最初のチームが2枚ピックを繰り返して、各チームはピックしたカードを使ってデッキを作ります。私はこのフォーマットでのピックの変化と(ライフの総量が違いますから)、デッキを2つ作るための戦略の大きな違いが大好きです。それらの多くは各プレイヤーが異なるパーツをプレイする必要がある強力な2枚コンボや、片方の頭をゲームの外に追いやって2対1にする方法です。これはキューブ・ドラフトのための独自の方式として使いたいものではありませんが、私は間違いなく年間20回以上やっています。

過去の双頭巨人の失敗

 双頭巨人戦は素晴らしさと同じぐらいフォーマットとしての課題を抱えています。1マッチ1ゲーム制はマリガン・ルールと同じぐらいかなりの振れ幅があります。マジックのカードの多くはチームメイトとプレイして上手く機能するようにできておらず、テキストに「あなたのコントロールする」と書いてあるのでチームメイトのカードに呪文を唱えることができずにイライラすることがあります。また我々は双頭巨人戦にスタンダードやリミテッドのような厳密なテストを行ったり焦点を当てた行動を取っていません。これにより、賛美のようなかなり平坦に感じるメカニズムや《精神刻み》のようなカードが1チームに複数枚あるとゲームが決まってしまうことがあります。

 統率者戦の人気が上がるにつれて我々が通常のマジックのセットで始めた事柄の1つは、プレイヤーの数に基づいた規模のカードを増やしたことです。大昔の『レジェンド』の《吸魂》は多人数戦のオールスターで、その事実に基づいて我々は年月をかけて《吸心》のようなカードを作ってきました。『ミラディンの傷跡』の感染、『ギルド門侵犯』の強請、『テーロス』の《アスフォデルの灰色商人》の間には、明らかに我々が双頭巨人戦プレイヤー向けに楽しいようにしていない場所が多くありました。双頭巨人プレイヤーは確実に統率者戦プレイヤーよりも目立たず声も小さいにもかかわらず、我々は双頭巨人戦でこれらの物事がいかに楽しくないかという意見を聞き続け、それらの物事を引き下げるよう取り組みました。プレイヤーの人数に基づいて規模が拡大するスイッチが入るカードを用いるのはとても簡単ですが、我々は今、リミテッドの多人数戦に影響を与える方法についてもっと深く考えています。

豊かな双頭巨人戦の空間

 『時のらせん』は競技レベルのゲームに双頭巨人戦を使った最初のセットでした。私は『時のらせん』を双頭巨人戦で楽しんだのは、このセットの複雑さとメカニズムがこのフォーマットでいかに上手く機能するかということでした。にもかかわらず、技術的にはこのブロックには約60ものメカニズムがあったので、上手く機能したものを数個見つけるのは困難でした。特に、ストームは劇的なターンを生み出すために待機と組み合わせたときに素晴らしい動きをしました。これは常にバランスが取れているようなものではなありませんが、しかし感染や強請のこのフォーマットでの動きを甘く見て負けることよりはずっと楽しいものでした。


双頭スリヴァー》 アート:Dany Orizio

 これは双頭巨人戦特有の問題ではありません。私は確かに、我々が『統率者』で作った初期のカードの多くを見て少しすくみ上がりました。我々は意識を正しい場所に向けておらず、「多少強いが多人数戦だととても楽しい」よりも「多人数戦だととても強い」に大きく偏っているという間違いを犯しました。これは大きな影響を与えましたが、我々が常に満足のいくものではありませんでした。集団として、デベロッパーがたくさんスタンダードやモダンをプレイしていることから、スタンダードやモダンをより楽しくする決定をすることに優れていると私は思います。デベロップとデザインのチーム拡大に伴い、我々はカードのパワー・レベルに優れた感覚を持っていて、多人数戦をより楽しくすることに関して優れた目を持っている人を加えるようになりました。

『ゲートウォッチの誓い』での双頭巨人戦

 双頭巨人戦で物事をより楽しくすると私が信じている基本的な事柄は、ワンツーパンチが可能で、規模が拡大するだけでなくチームメイトのカードとお互いに機能することが可能なことです。私が一番いいと感じているものは、双頭巨人戦でダメージが全ての対戦相手に与えられるために、規模が異なるだけでなく、状況によってより強力なものを唱える時です。通常のゲームよりも攻撃やブロックが多く行われる双頭巨人戦では、コンバット・トリックのようなものはとても輝きます。それを受けて、デザインが『ゲートウォッチの誓い』にアイデアを出すときに双頭巨人戦で強くなる要素を盛り込んで、多人数戦による規模が大きくなる効果だけに頼らない、楽しい方法で行うことが重要だと我々は考えました。

 それを行った最初の効果が支援でした。このメカニズムは1対1のゲームだと少し味気なくなりがちです――自分のクリーチャーの一部にカウンターを置くだけです――が、双頭巨人戦ではとても戦略的な深みを持っていて、特にインスタントは簡単に大きな効果を挙げることができます。数字の大きな支援カードは、十分な数のクリーチャーがいないことがよくありますが、これは多人数戦では和らぐ問題です。

 怒濤はそれを中心にしてデッキを組めば通常の構築フォーマットやリミテッドでも強くなり得ます。しかしこのメカニズムが真価を発揮するのは双頭巨人戦であり、より簡単かつ確実に効果を得られます。怒濤を中心にした戦略が多く存在し、特にチームメイトがインスタントを使わなければならないときは怒濤のボーナスを得るために後で使いたがるでしょう。またこれはチームメイトが怒濤をトップデッキしたときに何かを用意することができるので、お互いのためになります。また、怒濤がコストを軽くする性質によって、プレイヤーは基本的に《骨の鋸》や他の軽い呪文を怒濤のために温存します。これは双頭巨人戦ではとても簡単にマナ・カーブにそってプレイできます。

 実際のメカニズムだけでなく、そのカードが双頭巨人戦で使って楽しくなるようにする考えがあり、それは我々がセットで行うものとは少し違う傾向にあります。このフォーマットの焦点によって、我々は実際にプレイテストをデベロップの中で行い、その結果を受けてカードに変更を行いました。一部のカードは最終的に双頭巨人戦で強すぎるか楽しくないと感じられて対戦相手1人を対象にするよう変更されました。《予言》のバリエーションは通常自分だけしかカードが引けませんが、《比較分析》はどのプレイヤーも対象に取れます――なのでチームメイトの手札を増やすことができます。《重力に逆らうもの》、《深水潜み》、《草原の滑空獣》はどれも、どちらのプレイヤーのクリーチャーにも回避能力を付けられます。

 もしあなたがもうすでに双頭巨人戦を楽しんでいるなら、私は『ゲートウォッチの誓い』があなたにこのフォーマットでのより良い体験をもたらしてくれることを願っています。もしあなたがいつもは双頭巨人戦をプレイしていないなら、試してみてはいかがでしょうか。

 今週はここまでです。来週はMファイル『ゲートウォッチの誓い』のパート1をお送りします。

 それではまた来週お会いしましょう。

サムより (@samstod)

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