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MAGIC STORY
霊気紛争
新セットをリミテッド面で評価する
新セットをリミテッド面で評価する
Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru
2017年1月6日
こんにちは、そして新しい年にようこそ! 2016年は終わり、2017年は『霊気紛争』の全カードとともにスタートします! 全カードを見るためにはカードイメージギャラリーをご覧ください。
本日の「Latest Developments -デベロップ最先端-」では、我々がリミテッド・フォーマットのデザインをどのように手がけているか、そしてあなたがパックを開ける前にそのリミテッド環境を考えるためにその情報をどのように使えるかについて、少しお話ししようと思います。
基本概念
新しいセットをリミテッド面で評価しようとするとき、まず最初に見るべきものはそのセットのメカニズムです。我々はセットをデザインするとき、可能な限りそれらが新しく感じられるように作ろうとし、そしてそれはメカニズムを最大限に活用するということです。我々はそれらのセットのメカニズムをゲームプレイの新しい角度を作り出すために用い、そして我々はそれらをリミテッドと密接に関係するものにしようとしています。
エネルギーのような一部のメカニズムはすべての色で見られ、そのことはつまりそれらが驚異的に普及し、そのフォーマットを大きく定義することを意味します。古いセットでは、昂揚や上陸、変異にこれが見られました。
これらはそのフォーマットに良い明確な雰囲気を作り出し、大きなものに焦点を当てさせることができたので、我々にとって素晴らしいものでした。『イニストラードを覆う影』リミテッドでは、昂揚のために自分のデッキにどのカード・タイプが入っているか、同じように相手のデッキにどのカード・タイプが入っているかを考える必要がありました。『タルキール覇王譚』では変異の性質によって自然と盤面の2/2の数がとても多くなりました――これはつまり2点のダメージを与える呪文や2/3が通常よりも強くなることを意味しています。
こうした最も普及しているメカニズムを分析することで、そのフォーマットの「大きな」物事が何であるかを見つけ出し、全てのリミテッドのデッキで何を考えなければならないかを把握することができます。
ある時には、2~3色だけで見かけられるメカニズムがあり、その場合はそれらのメカニズムが定義するのはいくつかの色のペアだけであり、リミテッド・フォーマット全体ではありません。そういったメカニズムもあなたのそのフォーマットに対する考え方を変えますが、一部のデッキに限られます。これは2つの陣営の対立があるセットで頻繁に起こり、その対立を強調しそれをゲームの中で表すうえでクリエイティブ的に我々の助けとなります。この我々にとっての有用性は、より多様性のあるリミテッド・フォーマットを作り出し、デッキはお互いがもっと違って見えるようになる機会を得ます。
これらの考え方が『霊気紛争』にどのような影響を与えているかを見てみましょう。エネルギーは『カラデシュ』のように普遍のメカニズムとして各色に残っているので、物事は似たような感じになります。ペアごとに使われる割合は違うとしても、あなたは引き続き全ての色のペアでエネルギーについて考えなければなりません。これは依然としてエネルギーのフォーマットであり、エネルギーのジョニー性、発明家性を強調するデッキをたくさん作ることができます。
『霊気紛争』では、この『カラデシュ』ブロックに『カラデシュ』のエネルギー、機体、製造に加えて即席と紛争の2つのメカニズムが追加されました。『カラデシュ』のエネルギー・メカニズムはすでに大きくゲームを変えたものであり、エネルギーに基づいたデッキを作るのはとても容易でした。これよりももっと複雑ですが、2つの色のエネルギーのカードを全部集めてデッキに全部入れてみてもいいでしょう。
『霊気紛争』を見てみると、その新しいメカニズムによって物事は少し変化しています。なのであなたがそのセットをリミテッド向けに見ているとき、新しいメカニズムがそのセットであなたに何を試させようとしているかが分かることは良いことです。
即席は最もわかりやすいものです。軽いアーティファクトでデッキを埋めつくしてそれらを大きな呪文の支払いのために使います。組細工や《予言のプリズム》、《発明者のゴーグル》のようなカードは突如として『カラデシュ』のパック内でピックする順位が上がります。
同じように、機体は序盤に唱え、それを使って大きなクリーチャーを唱え、そのクリーチャーを乗せることができるようになったので強化されました。『カラデシュ』ではほとんど恩恵がなかったような方法で「オール・イン」のアーティファクト・デッキを組むことができます。
紛争が要求するものは少し違います――あなたのパーマネントが戦場から離れることです。これはつまり、組細工のようなカードを最速で割ってしまうよりも、もしものときのために温存したほうがいいかもしれないということです。クリーチャーを見てみると、これで最もアドバンテージを得られるのは《格納庫の整備士》のような救出効果や、《軽業の妙技》のような明滅効果で繰り返し紛争を誘発させることです。
しかしながら、このメカニズムはコンボをするだけではありません――これはまたアグレッシブなデッキや防御的なデッキに対する考え方も変えます。あなたの2/2が対戦相手の2/2にいるところに攻撃した場合、対戦相手はそれを相打ちにするかどうかのより複雑な問題に直面するようになりました。ダメージを防ぐことは(もちろん)大事ですが、それを通した場合、《夜市の飛空士》を2/2でプレイするか、良いプレイをしないでそのターンを返す可能性があるということです。
また紛争は除去を使いたいタイミングも変更します。通常ギリギリまで引きつけて使うほうがいいのですが、対戦相手に紛争させないためにインスタント除去をソーサリー・タイミングで使うようになるかもしれません。
《致命的な一押し》 アート:Eric Deschamps |
このセットのメカニズムがリミテッドの基本概念に対して何をするか、そして考えるべき新しい物事が何であるかを理解したなら、今度は各色がリミテッドで何をするのか、そしてそれらがどのように組み合わされて10の色のペアを形作っているかを考える時です。
色のペアを定義する
1つのセットでは10の色のペアが行うことよりもはるかに多くのことができますが、色のペアの定義を行うことはリミテッドでの動きを考え出すための最初の取っかかりとしては素晴らしい方法です。これはセットに対する取り組みの「レベル1」のようなものですが、とても効果的なものでもあります。
あなたは確かにどの色のペアでもアグレッシブもしくはコントロールなデッキをプレイできますし、いくつかの個別のカードを軸にしたデッキを組むことができますが、そのペアの最も自然な戦略を取ろうとするなら、デッキを機能させる上で最高の幸運を得られるでしょう。
色のペアの動きを判断するときにどんなセットでも最初に見るべきものは金色のアンコモンです。全てのセットに10枚あるわけではありませんが、10種全てが収録されていないことよりも収録されていることのほうを我々は多くしようとしています。全てが《速接会の技師》ほど明確である必要はありませんが、これらが入っている2色デッキで間違うことは少ないでしょう。あなたが金色のアンコモンの強さを最大限に発揮しようとするなら、そのカードを引くかどうかに関わらず、成功したデッキになる可能性が高くなります。あなたはあなたのデッキが意図することを行っているのです。
特定の色のペアで単色デッキよりも強いけども、全てのペアで強いわけではないカードが存在します。たとえばあなたが《起伏鱗の大牙獣》から始めて次に《ナーナムの改革派》を取ったとしましょう。今のところあなたのデッキには2枚のそこそこ強いクリーチャーがいます。
あなたは次のパックで緑単色のカードを取りたいかもしれませんが、2つの選択肢があります。《霊気流の豹》と《僧帽地帯のドルイド》です。これらはどちらも強力なカードですが、向かうデッキの方向はいくらか異なります。《霊気流の豹》は赤緑やビートダウン寄りの白緑や黒緑に最適のカードであり、《僧帽地帯のドルイド》はもっと遅い青緑やミッドレンジよりの赤緑で強いカードです。ここで厳密に色を選ばなくてもいいのですが、何らかのデッキに向かったカードを取ることになります。
レアリティに関する問題
レア。レアは何が出てくるかわかりません。そのセットで最も強力な個別のカードはほぼ全てレアか神話レアです。それらに負けるとムカつくかもしれませんが、そのカードがコモンかアンコモンならばもっとムカつくでしょう。《火花鍛冶》、あなたのことを言ってるんですよ。
ムカついてしまいがちですが、このような類のカードが常に存在するということを学ぶのは大事です――時には我々はそれらを異なるものにして対処しやすいようにするいい仕事をします――のでなぜそれらを受け入れることを学ばないのでしょうか? 自分の《シヴ山のドラゴン》は腕によるもので相手のは運だけだと思ってしまいがちですが、これらの強力なゲームを決めるカードがあることは全体的に見るとマジックにとって良いことなのです。
私はセットを見るときに全ての爆弾レアに大きく注目する人々をたくさん見てきました。私はそれがいちばん重要なことだとは考えておらず、そしてそれはそのセットが本当に向かっているものを学ぶことを基本的に邪魔していると考えています。
これらの類のカードは常に繰り返し存在し、そして特定のどれかをゲームの中で見かける確率はかなり低いものです。あなたは全体除去が何枚あるか、そして強力な除去呪文を大きくて強力な飛行クリーチャーのために温存しようとするべきかどうかは知っておくべきですが、個別のレアやそれらが他と比べてどれだけ強いかを解明するためにに時間をかけすぎないでください――それらは時間をかける価値に見合うほどは出てこないのです。
新しいリミテッド環境を分析するために最も重要なものはコモンとアンコモンです――我々はこれらにリミテッドのバランスを取るための時間のほとんどを費やしています。我々は爆弾レアの数が多い色に人々が流れないように各色で大体同じ数あるようにしようとしていますが、第1ピックがレアである比率は半分を少し下回り、大抵そのカードはどのアンコモンよりもあまり強くありません。しかしその後、レアが絡む本当に難しい選択が起こる確率は大きく下がります。これらの爆弾レアはゲームに大きな影響を与えますが、出て来る頻度が少ないのでそれらをピックする難しい決断をする必要があるのはまれです。
同じようにシールドデッキでは、可能な限り多くのレアをプレイしたいなら全てのレアを引っ張り出して簡単に決断することができます。レアは高い頻度でデッキの最もエキサイティングな部分ですが、そのフォーマットを定義するものではありません。
《鼓舞する彫像》 アート:Kirsten Zirngibl |
そうではなく、もっと頻繁に目にするであろうコモンやアンコモンに注目してみてください。我々はトップコモンとアンコモンの数のバランスをとることにベストを尽くしていますが、我々が常に正解することはありません。リミテッドでどの色が最強かを解明することの大部分は、1つの色に余分に強力なコモンがあるかどうかを発見することです。
除去呪文の数字を見て、セットの「重要なタフネス」を解明してください。たとえば、タフネス4のクリーチャーを倒せるコモンの除去が4枚あり、しかしタフネス5を倒せるものが1枚しかないなら、コモンやアンコモンのタフネス5をほとんどのセットよりもずっと高く評価するべきです。
また、最も決まるところを見かけることになるので、コモンとアンコモンの2枚コンボの中で最強のものを見つけ出してください。コモンとアンコモンのコンバット・トリックも同様に機能します――コモンのパンプ呪文をアンコモンよりも意識しましょう。
セットのコモンとアンコモンで何が重要であるかに関して良い感触がつかめたなら、あなたはリミテッドのデッキがどのようなものかについてかなり良いアイデアを持っているはずです。この時点で、あなたは色ごとに何をドラフトしたいか、そしてそれらのデッキをどのようなものにしたいかの計画を持ってリミテッド環境に向かうことができるはずです。
セットをプレイする最初の数回はその計画を実行して、どれぐらいあなたが正確かを見てみてください。これを行えば行うほど、あなたはそれに慣れていくでしょう――そして人々がそのセットを解明しようとしている最初の数週間のリミテッド環境で大きなアドバンテージを得ることになるでしょう。
今週はここまでです。来週は『霊気紛争』をリミテッドのために目を通して、1月14~15日に地元のプレリリースで楽しんでください! 次回は『霊気紛争』スタンダードについてお話しします。
それではまた次回お会いしましょう。
サムより (@samstod)
(編訳より:次回は原文より10日遅れの、1月23日掲載予定となります。)
AetherRevolt 霊気紛争
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