HALL OF FAME

マイク・チュリアン

Mike Turian

選出 2008年
出身 アメリカ合衆国、ワシントン州シアトル
プロツアー・デビュー プロツアー・シカゴ1997
生涯獲得賞金 【記載なし】
生涯獲得プロ・ポイント 234点

「ザ・ポテト」。史上最強のリミテッド・プレイヤーのひとり。ゲイリー・ワイズ/Gary Wise、スコット・ジョンズ/Scott Johnsとともに結成したチーム「Potato Nation」でプロツアー・ニューヨーク2000制覇。リミテッドのプロツアーでトップ8入賞を重ねた自身最高のシーズンを終え、2004年に引退。プレイ中常に浮かべている微笑は、2点の攻撃を通す不思議な力があった。プロツアー・トップ8入賞5回。プロツアーの舞台を離れてからは、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社のマジック開発部の一員となった。

PROFILE

マイク・チュリアンは、ベン・ルービン/Ben Rubinと同じく2007年度の殿堂入りが確実視されていたために票を集められなかった7人のひとりだった。2007年の殿堂入りを逃したチュリアンは、新たなルールで迎える今年の投票で投票者たちが自分のことを忘れてしまわないことを願った。しかしマイク・チュリアンよりも殿堂入りにふさわしいプレイヤーを見つけるというのも難しいことだろう。プロツアー・トップ8入賞5回(うち優勝1回)にグランプリ・トップ8入賞6回(うち優勝2回)という実績を誇り、「相手をするのが楽しくも恐ろしい」と評される彼なしには、プロツアー殿堂は語れない。

 チュリアンのプロ・キャリアが始まったのは、ディルク・バベロウスキー/Dirk Baberowskiと同じシカゴの地だった(とはいえ1年早いが)。プロツアー予選を勝ち抜いて出場したプロツアー・シカゴ1997で、彼は27位という成績を収めた。

「あれは大学に入ったばかりの頃で、当時はランディ・ビューラー/Randy Buehlerとエリック・ラウアー/Erik Lauer、ダン・シルバーマン/Dan Silbermanとチームを組んでいました」と、チュリアンは初めて参加したプロツアーを振り返る。「私たちは、私が使っていた白赤のデッキを『The Car』と呼んでいました。ピッツバーグからシカゴへ車で移動している間にエリックと私が組み上げたことに由来します。第1回戦から『スカンダリー・ステイシス』を操るトミ・ホヴィ/Tommi Hoviと当たったのは、プロツアーの洗礼を浴びた気分でしたね。それでもその試合に勝つことができ、その瞬間、プロツアーの舞台にいることを実感できました」

「この大会の権利を獲得したプロツアー予選は『ミラージュ』ブロック構築で行われ、私は《マロー》や《ミストムーン・グリフィン》、それから《中断》を用いた緑白のデッキで予選を勝ち抜きました」と、チュリアンは続ける。彼が参加したPTQ(プロツアー予選)はレベルが高く、プロツアーへの道のりは厳しかったという。「完成したデッキを手にアクロンのPTQへ行き、ジェイソン・オパルカ/Jason Opalkaやデヴィッド・プライス/David Priceらを破ってプロツアー・シカゴ1997の参加権利を掴んだんです。また、グランプリ・トロント1997でも同じデッキを使用してトップ8に入賞できました。これらのことが重なってシカゴでも勝てるという自信はあったのですが、叶いませんでしたね。それでも、ランディが優勝したのは嬉しかったです」

 デビュー戦から32位以内という見事なスタートを切ったチュリアンは、その直後にプロツアー・マインツ1997で16位以内に入る成績を収めた。その後も32位以内と16位以内の好成績を残し続けたチュリアンは、プロツアー・ニューヨーク2000でついに、優勝チーム「Potato Nation」の一員として輝きを放った――チーム名の由来も彼の愛称だった。

「一番の思い出はプロツアー・ニューヨーク2000で優勝したことですね」と、いつも陽気なチュリアンは明るく言った。「その大会では、殿堂顕彰者ゲイリー・ワイズ/ Gary Wiseとスコット・ジョンズ/Scott Johnsという最高のチームメイトに恵まれ、大きな勝利を収めることができました。本当に最高のチームでしたよ」

「準決勝を何とか勝ち切った私たちは、決勝でアンドリュー・クネオ/Andrew Cuneoとアーロン・フォーサイス/Aaron Forsythe、そしてアンドリュー・ジョンソン/Andrew Johnsonによるチーム『Car Acrobatic』と対峙しました。当時ジョンソンとはルームメイトの間柄で、彼らのチームとはピッツバーグで一緒に練習をしていました。優勝は嬉しかったですが、あの素晴らしい決勝戦も相まって最高の思い出です」

 華々しい経歴を持つにも関わらず、チュリアンが今年殿堂入りできるかは疑問視されていた。彼がウィザーズで働いているため、殿堂特典を活かせない者に投票してよいものか投票者たちは迷っていたのだ。だから殿堂入りの知らせを受けたチュリアンは、心から安心したという。

「殿堂入りを果たすなら今年しかないと思っていました。投票のルールが変わると聞くまでは自信に満ちていましたよ」と、チュリアンは認める。「しかしルール改正を聞いて、昨年の得票率が40%に届いていなかった私は急に不安になりました。ある火曜日の8時45分。アーロン・フォーサイスがやって来て、『おめでとう』と私に声をかけました。彼が私の殿堂入りについて話すまで、何のことかわかりませんでしたよ。殿堂入りを知った瞬間に喜びがあふれました。プロツアー殿堂の制度ができて以来、私は殿堂入りを心から求めていました。昨年惜しくも苦汁をなめたからこそ、今年入れた喜びはひとしおです」

「投票権を持つ人は、誰でも殿堂入りに値すると感じた人物に投票すべきだと思います。私も現在のウィザーズ社員3人(アラン・カマー、ランディ・ビューラー、スコット・ジョンズ)に投票しました。3人とも票を集めるべき人物だと思ったからです」と、チュリアンはウィザーズ社員に投票することについて意見を述べた。

 殿堂特典で得られるプロツアーの参加権利は活かせないものの、チュリアンは今後もプロツアー会場へ足を運ぶという。

「ベルリンではガンスリンガーに参加しますし、世界選手権で行われる殿堂顕彰式にも参加します。それから『Legion Events』のスティーヴ・ポート/Steve Portに声をかけていただいたので、メキシコ湾のクルーズ船で開催される『コンフラックス』の発売記念パーティでもガンスリンガーを行う予定です。素晴らしいイベントの数々で予定がいっぱいなんですよ」

「もしまたプロツアーへ参加できるなら、必ずプロツアー・サンデーの舞台に立ちますよ」と、チュリアンは付け加えた。彼がマジックを引退してウィザーズ社員になったのは、プロツアー・サンディエゴ2004とプロツアー・アムステルダム2004で連続トップ8入賞を果たすなど、まさにキャリア全盛期の頃だった。その姿を知る者なら、彼の言葉を疑うことはできないだろう。

「インビテーショナルに出場することが長年の夢でした」と、自身の殿堂入りを予想できたか問われたチュリアンはそう切り出した。「その夢も叶えられなかった私ですから、当時存在もしていなかったプロツアー殿堂に入れるなんて、夢にも思いませんでしたよ」

 ではその夢にも思わなかった殿堂入りは、彼にとってどのような意味を持つのか?

「私がマジックに向けた愛そのものです」とチュリアンは答え、続けてこれまでの道のりを支えてくれた人々にゆっくりと思いを馳せた。

「チーム『CMU』の面々に感謝を。何年にもわたってメンバーは入れ替わりましたが、創設メンバーのランディ・ビューラー、エリック・ラウアー、ネイト・ヘイス/ Nate Heiss、ダン・シルバーマン、アーロン・フォーサイス、アンドリュー・ジョンソン、アンドリュー・クネオ、ユージン・ハーヴェイ/Eugene Harvey、エリオット・ファン/Elliot Fung、ポール・ソトサンティ/Paul Sottosanti、ニック・エイゼル/Nick Eiselへ感謝の気持ちを伝えたいです」

「それから、ゲイリー・ワイズとスコット・ジョンズへ――ふたりとも最高のチームメイトで、マジック・コミュニティに多大な貢献をしてくれています」

「さらに、ディルク・バベロウスキーとオリヴィエ・ルーエル/Olivier Ruel、ベン・ルービン、イェルガー・ヴィーガーズマ/Jelger Wiegersmaへ――君たちと並んで2008年度の殿堂になれて嬉しいです」

「アリ・シュトゥルマン/Ari Shtulmanへ――彼は私をマジックの世界へ誘い、デッキには持っているカード全部入れるんじゃなくて60枚に留める方が良いよ、と教えてくれました」

「エヴァン・デイヴィス/Evan Davisと父へ――いつも一緒にマジックで遊んでくれた大切な友人です」

THE RECORD

プロツアー プロツアー・ニューヨーク2000:優勝(チーム・リミテッド)
世界選手権2001:第5位(混合フォーマット)
プロツアー・ボストン2003:第3位(チーム・リミテッド)
プロツアー・アムステルダム2004:第8位(ロチェスター・ドラフト)
プロツアー・サンディエゴ2004:第3位(ロチェスター・ドラフト)
グランプリ グランプリ・トロント1997:第7位(ブロック構築)
グランプリ・ワシントンD.C.1999:第5位(ロチェスター・ドラフト)
グランプリ・モントリオール2001:優勝(ロチェスター・ドラフト)
グランプリ・ミルウォーキー2002:第3位(スタンダード)
グランプリ・オークランド2004:第3位(ブースタードラフト)
グランプリ・コロンバス2004:優勝(ブースタードラフト)

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