HALL OF FAME
ギョーム・ワフォ=タパ Guillaume Wafo-Tapa
選出 | 2014年 |
---|---|
出身 | フランス、ナント |
プロツアー・デビュー | プロツアー・バルセロナ2001 |
生涯獲得賞金 | 【記載なし】 |
生涯獲得プロ・ポイント | 262点 |
プロツアー・トップ8入賞5回。プロツアー・横浜2007では《神秘の指導》を原動力に優勝を勝ち取る。構築フォーマットでの評価が高いプレイヤーでありながら、リミテッドで行われたプロツアー・クアラルンプール2008でもトップ8に入賞している。ほぼあらゆる構築フォーマットのイベントで必ずといって良いほどコントロール・デッキを使用するプレイヤーとしても有名。グランプリ・トップ8入賞は7回。プロツアーごとに異なる言語版でフォイル仕様のカードを揃え、こだわりのデッキを持ち込むという一面もある。
PROFILE プロフィール
フランスのナントという小さな街から、ギョーム・ワフォ=タパの名は広まっていった。はじめは、プロツアー・コロンバス2004を制したピエール・カナーリ/Pierre Canaliの優勝デッキの共同制作者のひとりとして。しかしワフォ=タパはその後すぐに、デッキ・デザイナーとして、そしてコントロール戦略の達人としての名声を手にした。コントロールを好むプレイヤーにお気に入りのマジック・プレイヤーを尋ねると、必ずやワフォ=タパの名前が挙がることだろう。
「ワフォ=タパ」という言葉がある特定のタイプのコントロール・デッキを指す形容詞となったのは、(奇しくも彼の殿堂セレモニーが行われるこの場所と同じ)プロツアー・ホノルル2006でのことだった。
「どれかひとつを選ぶのは難しいですが……初めてのハワイですかね」と、ワフォ=タパは特に思い出深いプロツアーを挙げる。「参加権利を持つフランス人プレイヤーが全員同じ宿に泊まり、強い仲間意識を持って臨めました。ビーチも近くて最高でしたし、デッキも大好きなものを使えましたし、初めてのプロツアー2日目進出も果たせました(16位以内にも入れました)。それから、ルーエル/Ruel兄弟が揃ってトップ8に入賞したことも思い出に残っています。とにかく良い大会でした」
デッキビルダーや構築フォーマットの達人として広く知られているワフォ=タパだが、彼はリミテッドでもプロツアーへの道を切り開いている。
「初めて参加したリミテッドのプロツアー予選(PTQ)で優勝しました。そのときのことはよく覚えていますよ。実は帰り道(4時間半のドライブ)の途中で車が動かなくなり、家に着くのが翌朝になってしまったんです。同乗者みんな、特にその日すぐに仕事へ行かなければいけない者はかなりイライラしていましたが、私はそんなに気になりませんでした。だってPTQで優勝したんですから!」
ワフォ=タパは使うカードについても独特のこだわりを持っている。ほぼ毎回、他言語版のフォイル仕様カードでデッキを統一しているのだ。初めて参加したプロツアーでは、光るカードに気が散らないよう自身に言い聞かせたという。
「カイ・ブッディ/Kai Buddeやズヴィ・モーショヴィッツ/Zvi Mowshovitzのような憧れのプレイヤーたちの足元にも及ばないことを思い知らされましたね」と、ワフォ=タパは初参加のプロツアーを回想する。「その上、当時の私にはリミテッドの経験がほとんどありませんでした。だから2日目に進出できれば御の字だと思っていたのですが、それも叶いませんでした。それどころか中国語版の《吸収》に魅せられてトレードをしていたら試合に遅れてしまい、ゲームロスまで受けてしまいましたよ」
彼はまた、手がけたデッキに必ず特定の種類のカードを入れるこだわりを持っている。その構築哲学が、彼にプロツアー・トップ8入賞5回という成績をもたらしてきたのだ。プロツアー・横浜2007では、《神秘の指導》を用いるデッキで対戦相手が繰り出すあらゆる脅威をいなし、歴史的な勝利を収めた。周りのプレイヤーがみな結果記録用紙を提出してもワフォ=タパとその対戦相手だけがまだ席に座っている、という光景は決して珍しいものではない。それでもワフォ=タパは勝機を正確に見極め、そのときを待つのだ。
ワフォ=タパらしい勝利といえば、グランプリ・リミニ2008の予選ラウンド中の一幕を挙げないわけにはいかないだろう。それはローウィン=シャドウムーア・ブロック構築で行われたグランプリ初日の第7回戦、5色コントロール・デッキの同系戦だった。対戦相手であるのちの殿堂顕彰者パトリック・チャピン/Patrick Chapinは、序盤に土地が詰まりながらも《謎めいた命令》でワフォ=タパの土地をバウンスし続け、この試合の鍵となる《川のケルピー》を通すことに成功した。
チャピンはカード・アドバンテージの点で優位に立ち、ワフォ=タパのライフを残り2点まで追い詰めた。しかしワフォ=タパは最後の一撃を紙一重のところでかわし続ける。この環境には「激突」というメカニズムがあり、ワフォ=タパはチャピンが激突でライブラリーの一番下へ送ったカードに常に気を配り、何が残っているのか覚えていたのだ。ワフォ=タパはこの試合を完全にコントロールした。そしてチャピンが最後の2点を削り切るべく《雲打ち》を放つと、ワフォ=タパは《砕けた野望》でその呪文を打ち消した――激突で勝てることも知っていた。チャピンのデッキに残るカードは墓地へ置かれ、ワフォ=タパはライブラリー・アウトでこのゲームに勝利したのだった。
「良いデッキの条件で最も大切なのは、一貫性があることです。デッキに一貫性があればシナジーに頼らずともカード1枚1枚が良い働きをしてくれます。私のデッキ構築にはそれが反映されていると思いますよ」 ワフォ=タパに構築哲学を尋ねると、彼はシンプルにそう答えた。
ワフォ=タパは昨シーズンが始まる時点ですでに4度のプロツアー・トップ8入賞を記録していたが、プロツアー『テーロス』で(今年度の殿堂仲間とともに)殿堂入りの決定打となる5度目のトップ8入賞を達成した。今年の殿堂顕彰者に選出されるチャンスがあることは意識していたというワフォ=タパだが、先ほど「憧れのプレイヤー」として名を挙げたブッディやモーショヴィッツと同じプロツアー殿堂に加わることが決まった瞬間の感動の大きさは予測しきれなかったようだ。彼が電話を受けたのは、ボストンのあるホテルのロビーでプロツアー『マジック2015』に向けた練習をしているときだった。
「この気持ちを言葉にするのは難しいですね。達成感もありますが、同時にこれまでの道のりを振り返るともっとうまくできたことばかり思い浮かび、どうしてここにいられるのかと本当に不思議な気持ちになります。だから複雑な想いがありますね。殿堂入りのおかげで、今後はより良いものを求めて挑戦しやすくなると思います。まあいつも最善を求めて挑戦していますが」と、ワフォ=タパは語る。「本当に嬉しく思います。ずっと憧れてきた人たちと肩を並べることになるのは恐縮ですが、とても光栄で最高の気分です」
これまでの道のりを支えてくれた人たちに感謝を伝える段になると、ワフォ=タパの意識は道の端に停まって動かなくなった車の中でプロツアーの参加権利を握りしめたあの日へ戻っていった。
「ナントの地元コミュニティのプレイヤーたちみんなに感謝を伝えたいです。彼らとはともに多くのPTQへ参加し、マジックをプレイしました。中でも特に多くの時間をともに過ごしたエルワン・メゾヌーヴ/Erwan Maisonneuveには、特別な感謝の気持ちを送ります」
「ワフォ=タパ」という言葉がある特定のタイプのコントロール・デッキを指す形容詞となったのは、(奇しくも彼の殿堂セレモニーが行われるこの場所と同じ)プロツアー・ホノルル2006でのことだった。
「どれかひとつを選ぶのは難しいですが……初めてのハワイですかね」と、ワフォ=タパは特に思い出深いプロツアーを挙げる。「参加権利を持つフランス人プレイヤーが全員同じ宿に泊まり、強い仲間意識を持って臨めました。ビーチも近くて最高でしたし、デッキも大好きなものを使えましたし、初めてのプロツアー2日目進出も果たせました(16位以内にも入れました)。それから、ルーエル/Ruel兄弟が揃ってトップ8に入賞したことも思い出に残っています。とにかく良い大会でした」
デッキビルダーや構築フォーマットの達人として広く知られているワフォ=タパだが、彼はリミテッドでもプロツアーへの道を切り開いている。
「初めて参加したリミテッドのプロツアー予選(PTQ)で優勝しました。そのときのことはよく覚えていますよ。実は帰り道(4時間半のドライブ)の途中で車が動かなくなり、家に着くのが翌朝になってしまったんです。同乗者みんな、特にその日すぐに仕事へ行かなければいけない者はかなりイライラしていましたが、私はそんなに気になりませんでした。だってPTQで優勝したんですから!」
ワフォ=タパは使うカードについても独特のこだわりを持っている。ほぼ毎回、他言語版のフォイル仕様カードでデッキを統一しているのだ。初めて参加したプロツアーでは、光るカードに気が散らないよう自身に言い聞かせたという。
「カイ・ブッディ/Kai Buddeやズヴィ・モーショヴィッツ/Zvi Mowshovitzのような憧れのプレイヤーたちの足元にも及ばないことを思い知らされましたね」と、ワフォ=タパは初参加のプロツアーを回想する。「その上、当時の私にはリミテッドの経験がほとんどありませんでした。だから2日目に進出できれば御の字だと思っていたのですが、それも叶いませんでした。それどころか中国語版の《吸収》に魅せられてトレードをしていたら試合に遅れてしまい、ゲームロスまで受けてしまいましたよ」
彼はまた、手がけたデッキに必ず特定の種類のカードを入れるこだわりを持っている。その構築哲学が、彼にプロツアー・トップ8入賞5回という成績をもたらしてきたのだ。プロツアー・横浜2007では、《神秘の指導》を用いるデッキで対戦相手が繰り出すあらゆる脅威をいなし、歴史的な勝利を収めた。周りのプレイヤーがみな結果記録用紙を提出してもワフォ=タパとその対戦相手だけがまだ席に座っている、という光景は決して珍しいものではない。それでもワフォ=タパは勝機を正確に見極め、そのときを待つのだ。
ワフォ=タパらしい勝利といえば、グランプリ・リミニ2008の予選ラウンド中の一幕を挙げないわけにはいかないだろう。それはローウィン=シャドウムーア・ブロック構築で行われたグランプリ初日の第7回戦、5色コントロール・デッキの同系戦だった。対戦相手であるのちの殿堂顕彰者パトリック・チャピン/Patrick Chapinは、序盤に土地が詰まりながらも《謎めいた命令》でワフォ=タパの土地をバウンスし続け、この試合の鍵となる《川のケルピー》を通すことに成功した。
チャピンはカード・アドバンテージの点で優位に立ち、ワフォ=タパのライフを残り2点まで追い詰めた。しかしワフォ=タパは最後の一撃を紙一重のところでかわし続ける。この環境には「激突」というメカニズムがあり、ワフォ=タパはチャピンが激突でライブラリーの一番下へ送ったカードに常に気を配り、何が残っているのか覚えていたのだ。ワフォ=タパはこの試合を完全にコントロールした。そしてチャピンが最後の2点を削り切るべく《雲打ち》を放つと、ワフォ=タパは《砕けた野望》でその呪文を打ち消した――激突で勝てることも知っていた。チャピンのデッキに残るカードは墓地へ置かれ、ワフォ=タパはライブラリー・アウトでこのゲームに勝利したのだった。
「良いデッキの条件で最も大切なのは、一貫性があることです。デッキに一貫性があればシナジーに頼らずともカード1枚1枚が良い働きをしてくれます。私のデッキ構築にはそれが反映されていると思いますよ」 ワフォ=タパに構築哲学を尋ねると、彼はシンプルにそう答えた。
ワフォ=タパは昨シーズンが始まる時点ですでに4度のプロツアー・トップ8入賞を記録していたが、プロツアー『テーロス』で(今年度の殿堂仲間とともに)殿堂入りの決定打となる5度目のトップ8入賞を達成した。今年の殿堂顕彰者に選出されるチャンスがあることは意識していたというワフォ=タパだが、先ほど「憧れのプレイヤー」として名を挙げたブッディやモーショヴィッツと同じプロツアー殿堂に加わることが決まった瞬間の感動の大きさは予測しきれなかったようだ。彼が電話を受けたのは、ボストンのあるホテルのロビーでプロツアー『マジック2015』に向けた練習をしているときだった。
「この気持ちを言葉にするのは難しいですね。達成感もありますが、同時にこれまでの道のりを振り返るともっとうまくできたことばかり思い浮かび、どうしてここにいられるのかと本当に不思議な気持ちになります。だから複雑な想いがありますね。殿堂入りのおかげで、今後はより良いものを求めて挑戦しやすくなると思います。まあいつも最善を求めて挑戦していますが」と、ワフォ=タパは語る。「本当に嬉しく思います。ずっと憧れてきた人たちと肩を並べることになるのは恐縮ですが、とても光栄で最高の気分です」
これまでの道のりを支えてくれた人たちに感謝を伝える段になると、ワフォ=タパの意識は道の端に停まって動かなくなった車の中でプロツアーの参加権利を握りしめたあの日へ戻っていった。
「ナントの地元コミュニティのプレイヤーたちみんなに感謝を伝えたいです。彼らとはともに多くのPTQへ参加し、マジックをプレイしました。中でも特に多くの時間をともに過ごしたエルワン・メゾヌーヴ/Erwan Maisonneuveには、特別な感謝の気持ちを送ります」