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Magic Story -未踏世界の物語-

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プレインズウォーカーのための『イクサラン』案内 その1

R&D Narrative Team / Tr. Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori

2017年11月1日

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イクサランの歴史

 太陽帝国と川守りの歴史は密接に絡み合っています。真に古くから住んでいたのはマーフォークであり、人間がこの地にやって来た時の伝説を残しています(とはいえその人間らが何処から来たのかについては言及していません)。そして非常に長い年月に渡って、マーフォークと人間は比較的平和な関係を保ってきました。聖なる森イトリモク、豊穣なる太陽の揺籃の地はマーフォークと人間の司祭が共に肥沃な大地の祝福を祈願していた時代の遺産です。


《イトリモクの成長儀式/Growing Rites of Itlimoc(XLN)》 アート:Grzegorz Rutkowski

 太陽帝国の成立以前、人間の文明が幾つかの都市国家の形態で大陸に点在していました。そのうちの一つ、オラーズカが、統治者チャカント・イントリのカリスマと狡知を大きな力として次第に他を圧倒していきました。彼女はその統率力をもって、他の都市をまとめ始めました。その時代ですら、人間(と彼らが使役する恐竜)は川守りの領域にまで広がることはなく、マーフォークは自分達では作れない物品を求めてオラーズカと交易を行っていました。チャカント・イントリは点在する小さな都市国家を強大な帝国へと変えたのです。

 この時代にマーフォークはかつてない、そしてそれ以来行っていないとある事を行いました。幾つかの村や、都市と言えるようなものまでを建造したのです。伝統を守りながら、そういった居住地は自然そのものから、そして自然との調和の中で築かれ、それでいて長く保つものでした。荘厳な深根の木はそういった古の都市の名残であり、祖先が住んでいた地として今も敬われています。

 世代を経て、一人の新たな統治者が高い目標を定めました。アパゼク・イントリ皇帝は運命的な遭遇から不滅の太陽を与えられ、マーフォークを征服して密林を滅ぼすと誓ったのです。

 彼は分別も抑制も無く、不滅の太陽の力を振るいました。

 その足跡には破壊と滅亡が続き、不滅の太陽は持ち去られて川守りへ渡されます。彼らはその在処を秘密にすると誓いました、彼ら自身に対しても。

 太陽帝国は沿岸に少数の都市を残す所まで衰退しました。皇帝の後継者は新たな首都パチャチュパを築きますが、他の都市との繋がりは希薄でした。その時代に三つの都市が隆盛し、帝国の所属する他の街や村を支配していきました。

 一方で、川守りの力は増しました。彼らは大陸の広範囲へと移住し、密林そのものも広がって太陽帝国が均し耕した大地を飲み込みました。マーフォークのシャーマンに育まれ、彼らの魔術に呼び起こされた新たな支流を得て、大いなる川は幅と深さを増しました。

 近年、パチャチュパにて新たな統治者が玉座に就いています。長年に渡って鉄面連合の海賊船から略奪を重ねた後、アパゼク・イントリ三世が新しくも力強い支配を他の都市にも広げ、海賊に対抗し、領土の拡大すら始めました。

 内陸へ進み、侵食する密林を押し返し、太陽帝国の軍は失った古の遺産を取り戻そうとしています――黄金の都オラーズカとその不滅の太陽を。


《オラーズカの尖塔/Spires of Orazca(XLN)》 アート:Yeong-Hao Han

アパゼク・イントリ三世

 太陽帝国の新たな統治者、現在の拡大と征服の気風をもたらしたのはアパゼクという血気盛んな男性です。その名は不滅の太陽の力を乱用して川守りを征服しようとした者のそれを継いでいます。極めて長命かつ保守的な母親からその座を継承した彼は既に中年であり、母親の権威に苛立ちつつ、指導者かつ戦士として自身を証明することを切望する人生を過ごしてきました。

 母親が亡くなると、すぐに彼はその統治において嫌っていた全てを変えにかかり、帝国を新時代へと放ちました――そして少なくはない混乱がありました。

 アパゼクは帝国の上昇機運を確かなものにするため、軍と自身の指導力を信頼しています。その名に反して(もしくはその名ゆえか)彼は当初不滅の太陽をほとんど評価せず、発見できるとも全く思わず、関わることなく歴史の流れを変えていました。ですが戦場詩人ファートリの幻視を知ったことで、彼は確信します――黄金の都と不滅の太陽は発見される時を、今一度帝国の敵からの勝利を手にする力となる時を待っているのだと。都を捜索するために少なくない戦力を費やしつつも、彼は当初の躊躇が高くつくのではと苦々しく実感しています。同時に、皇帝が不滅の太陽を熱望するあまり、太陽帝国の都市の防御が手薄になるのではと懸念する指導者もいます。

パチャチュパの軍隊

 近衛兵団はトカートリの宮廷に駐在する精鋭の軍です。厳しい訓練のもと統制された彼らは皇帝から直接命令を受ける立場にあり、宮廷の防衛に専念しています。兵団は七つの隊に分かれており、それぞれに司令官がいます(インティカルと呼ばれています)。七人のインティカル全員が皇帝直属であり、決して兵団が皇帝に背かないよう、彼らの間には十分な対抗意識が漂っています。

 パチャチュパの神殿兵であるカンチャタンはトカートリの太陽神殿二つ、誕生の太陽の神殿と焼尽の太陽の神殿から特別に選別され祝福を受けた者たちです(もう一つの神殿、持続の太陽の神殿では安定と結束を強く教えているため、兵の祝福は行っていません)。彼らはその武器として、太陽を模した円形の刃を好みます。カンチャタンは厳密には二つの軍ですが、その司令官は一人です。カパロクティ・サンボーンはパチャチュパの信心深い勇者であり、自分こそが人々の敵を撃つためにもたらされた太陽の眩い光であると思い描く獰猛な戦士です。カパロクティは陽光を眩しく反射して輝くその兜で知られています。

三相の太陽

 帝国の人々は太陽を三つの相で崇拝しています。創造性(白マナに関連)、持続と促進(緑マナに関連)、破壊(赤マナに関連)。生命や自然世界の様々に異なる面は、太陽の様々な面に関連しているのです。例として、雨季は覚醒の太陽に、冷涼な季節は翠緑の太陽に、暑い季節は焼熱の太陽に関連づけられています。

覚醒の太陽、キンジャーリ

 太陽の白の面はその創造的特色を体現しています。キンジャーリは粘土から人間を作り出し、それを焼き固めたと言われています。キンジャーリは生命に心をかき立て、知性を灯し、創造性を鼓舞します。覚醒の太陽は治癒と、一方で目を眩ませ焼き尽くす怒りにも関連します。太陽のこの面は皇帝の権力を支えるとともに、帝国の創始者チャカント・イントリに深く関わっています。キンジャーリの相は宮廷内組織、創造の太陽の司祭階級、そして軍隊構造の中に体現されています。キンジャーリが持つ他の名として、太陽の創世と誕生の太陽があります。

翠緑の太陽、イクサーリ

 太陽の緑の面は持続と促進という特色を体現しています。新緑の雨林、子供が大人に至るまで、イクサーリはあらゆる存在の成長を促します。翠緑の太陽は力、結束、共同体に関連しています。イクサーリの聖職者らは帝国社会の中においては保守的な勢力であり、変化に抵抗しながらも人々や国の力を支えます。この司祭らは恐竜の主であり、強力な魔法を用いて彼らを支配し制御します。イクサーリは同時に肥沃の太陽、持続の太陽、太陽の成長、太陽の豊穣としても知られています。

焼熱の太陽、ティロナーリ

 太陽の赤の面は破壊という特色を体現しています。ティロナーリは情熱を灯し、帝国の敵を討ち、あらゆる生命にやがて来る終わりをもたらします。焼熱の太陽は獰猛、炎、そして愛に関連しています。ティロナーリはパチャチュパの信心深い兵やオテペクの獰猛な騎士など、多くの戦士を支える存在です。ティロナーリはまた焼尽の太陽、太陽の破壊とも呼ばれています。

恐竜

 恐竜はイクサランの生態系において支配的な動物であり、肉食の頂点捕食者や巨体の草食恐竜から卵や果実食の小型恐竜まで様々です。太陽帝国の人々は恐竜を飼い慣らしたり家畜化したりはせず、共に生きています。ある恐竜が太陽帝国の都市内を移動する際は、何者かによって直接制御されているのが常です――そして常にその制御を離脱する危険をはらんでいます。これこそが太陽帝国の価値観でもあります。自然(恐竜の内に体現されている)とは用いる道具であり、人の意向に従わせながらも、常にその意志と力を試すものなのだと。自然を飼い慣らすことはできない、けれど自然と共に生きることは人を強くするのです。

 恐竜は太陽帝国の国民性において重要な存在です。帝国の人々は恐竜の羽毛を装飾やデザインモチーフとして宝飾品から建築まであらゆる所に用います。元々、不滅の太陽が彼らの司祭へと恐竜を呼び出し命令する力を授けたと彼らは信じており、それを持ち続けることは古の遺産を守ることでもあります。


《皇帝の先兵/Emperor's Vanguard(XLN)》 アート:Victor Adame Minguez

 太陽帝国の人々は多種多様な恐竜と関わっています。森に住む巨大な草食恐竜の群れや重装甲の四足獣、翼竜、攻撃的な二足の肉食恐竜などです。

川守り

 雨林のシャーマンがその力を振るうや否や、破壊的な大竜巻に風は咆哮し、空高くそびえた波が叩きつけ、蔓と枝が自ら伸びて掴みかかる。水の民、川守りは自然の荒々しい力を振るって自分達の世界を災難から守ります。自然世界と調和して平和の内に生きながら彼らはその繊細なバランスを守り、侵略者を追い払おうとしています。

 川守りは小規模な放浪の部族が集まったもので、太陽帝国の隆盛以前にはイクサランの大陸を支配していました。かつての力は太陽帝国を内陸から追い出し黄金の都を放棄させるほどでしたが、今や彼らの数は大きく減少しています。彼らは大地と調和して生き、そのシャーマンは風や水の要素を操る強力な自然魔術を振るい、それらを用いてイクサランの過酷な野生から自分達を守ります。今、川守りは内陸深くの諸島と密林、曲がりくねる川、そして空の多くを支配しています。

自然の形成師

 彼らが記憶している限りの昔から、川守りは平穏に自然世界と調和して生きてきました。都市を建造し技術を発展させる知識や技術に欠けていたのではなく、むしろ彼らは自然世界の一部として生きることを慎重に選択しました。川守りは太陽帝国が遠い昔に辿った道を見ており、それを拒否したというのも理由の一つです。

 川守りのシャーマンが振るう魔法は風や水、密林の環境を操ることに集中しています。彼らは自然を征服したり逆らおうとしたりするのではなく、平和的共存を維持しようとします。周囲の自然を作り変える様子から、彼らは形成師と呼ばれています――風や水の流れを変え、嵐や洪水を呼び、枝や蔓を意のままに曲げます。彼らが密林の中を移動する際には、周囲を自らの必要に適応させます――そして通過した痕跡を全く残すことなく元通りにします。まるで水に落とした小石も、波が過ぎてしまえば水面に何も残さないように。


《自然形成師/Shapers of Nature(XLN)》 アート:Chris Seaman

 形成師の力は非常に強力であるため、川守りの小集団であっても太陽帝国や薄暮の軍団の遥かに大規模な軍に立ち向かうことが可能です。彼らは川の流れを変えて侵入者を妨害し、濃霧を発生させ、凄まじい波を召喚して敵を押し流し、船や要塞を破壊するほどの巨大な蔓を作り出し、風の流れを変えて敵を宙へ放り投げ、もしくは空から墜落させます。彼らはまたエレメンタルを召喚します――水や密林の植物が生物の形態をとったものです。

九つの流れの源

 余所者の目には、川守りの多様な集団は単一の前線であり、侵入者を雨林の奥地から遠ざけて黄金の都の発見を防ぐためのものに映ります。事実、彼らの共通の目的はそれですが、マーフォークの集団は常に優越と最も豊かな地域の支配を巡る競争状態にあります。一つの集団は数十人程から成り、形成師と呼ばれるシャーマンがそれを率いています。形成師は尊敬される年長者や指導者であり、集団の決定や彼らの渡りを率いて――そして侵入者と戦います。形成師にはそれぞれ常に一人の弟子がいます。ある形成師が死亡すると、その弟子が集団の指導者となります。一つの集団が地域内にてあまりに巨大となった時には、その弟子が一部を率いて新たな集団を作り、新たな領土を得ます。

 マーフォークいわく、大いなる川の九の支流がイクサランの内陸を占めています。それら九本の流れの源流は最も重要な領土とされており、そこを支配する集団のシャーマンは高く尊敬されています。シャーマン達はそれぞれの川の名前を持ちます。ティシャーナ、クメーナ、パショーナ、ヴハーナ、ミティカ、ノタナ、ファラーニ、トゥヴァーサ、コパラの九つです。

エレメンタルのトーテム像

 川守りは彫刻された翡翠の柱で彼らの領域を印すと同時に守っています。遠くからは、それらのトーテム像は装飾的な彫刻のある、曖昧な人型をした岩の塊に見えます。ですがそれらが守る地域に余所者が侵入すると、像の内から青や緑の光が輝き、次第に溢れ出るとともに翡翠が継ぎ目から自ら分かれはじめます。すぐに像は完全に開き、内に込められていたエレメンタルの力を放ちます。そして像を核として、エレメンタルの守護者――渦巻く風や流れる水、もしくは伸びた蔓でできた生物が姿を成します。それらは強力な守り手ですが、その製作は翡翠細工の才と、エレメンタルの精神をトーテム像に束縛する魔法技術の二つを要する非常に困難なものです。そのため、今や川守りの領域へ向かいつつある侵入者軍を効果的に防ぐ障壁として頼るには、とても数が足りていないのが現状です。


《金色の歩哨/Gilded Sentinel(XLN)》 アート:Izzy

 更なる伝承と背景を知りたい方は、2018年1月2日発売の書籍「The Art of Magic: The Gathering――Ixalan」をお楽しみに!(英語)

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