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Mファイル『破滅の刻』編・パート1

Melissa DeTora / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru

2017年7月14日

原文はこちら

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 Mファイルへの回帰の時間がまたまたやってきました! 1年後にデザイン・ファイルを振り返って、そのセットを作っているデザイナーとデベロッパーの開発中のカードについてのコメントを見ることはいつでも楽しく洞察に満ちたものなので、わたしたちは「Latest Developments」からの人気ある伝統のコーナーを続けることにしました。

 各登場人物の顔をご覧になりたいなら、こちらをクリックするとコメンテーターの一覧が表示されます。


《不動の歩哨》

ID: 遅めの白いデッキを強くするために永遠を{5}{W}{W}→{4}{W}{W}に。
SPS: 私は全体的に永遠を楽しんでおりますが、特にキーワードとパワー/タフネスだけが意味のあるシンプルなやつがいいですな。

 永遠はボーラスの永遠衆の軍団を表現するために作り出されたのですが、わたしはこれがメカニズム的に表している方法を本当に気に入っています。これは常に4/4なので、不朽よりも記録上の問題が少なく、パワーとタフネスから離れてできることがたくさんあります。後のほうのカードでもっと具体的な例がありますが、このカードの個別の目的はこのフォーマットを遅くすることでした。(すでにカード1枚分の仕事をした後で){4}{W}{W}で高いパワーとタフネスと警戒を持つコモンのクリーチャーを作るのは、それを助けようとする試みでした。


《結束に仕える者》

ID: 新しい督励能力。
TABAK: 督励して警戒持ちのトークンを作るとは詩的ですね。
TJA: この兵士に警戒をつけるべきかな?
ID: うん、『アモンケット』と揃えるために警戒をつけよう。
EEF: 私はこれが《侵入警報》で無限になる、たくさんあるものの1つだと思っています。

 『破滅の刻』には攻撃したときの誘発と結びついていない新しい督励があり、戦闘が絡まない能力を使うときに督励することができます。わたしたちはこれらの新しい督励クリーチャーがアンタップする効果で強くなることは分かっていましたし、このカードが《侵入警報》で無限になるリストに加わることも分かっていました。


《砂漠の拘留》

ID: チームは「戦場に出たときに砂漠があれば4点回復」を提案してきた。しかし砂漠を引くまでこれを温存するのは嫌な感じがするんじゃないかと心配だ。
AP: イアンの提案どおりアップキープに1点回復→戦場に出たときに4点回復に。
Eli: 他の6枚の「砂漠をコントロールしている場合」カードは墓地も参照している。これもそのクラブに入れるかな?
AF: 「砂漠」は「足枷」の後方互換だな!
ELI: AFは私のスペリング競争チームにいらないな。

戦場に出たときの効果(Enters-the-Battlefield Effects)

 メカニズム。その名の通り特定のカードやカード・タイプが戦場に出たときに誘発する効果。

 このセットには、砂漠をコントロールしていると恩恵を受ける「砂漠関連」のカードがたくさんありました。ゲームプレイのときに、わたしたちはプレイヤーが砂漠関連のカードを引くのを待っているため、自分の砂漠を生け贄に捧げたりサイクリングしたりしないことに気がつきました。

 わたしたちはゲームプレイ上の問題をなくすために「あなたの墓地に砂漠がある場合」の文をこれらのカードに加えましたが、今度は《砂漠の拘留》で逆の問題が発生しました。プレイヤーはライフ回復の恩恵を受けるために、砂漠を引くまでこれを温存したのです。このカードの1点回復を削除したとき、わたしたちはプレイヤーが適正なタイミングで彼らのカードを唱える、バランスの良いところにたどり着きました。



《典雅な襲撃者》

TJA: クリーチャー・タイプを猫に更新。
JL: 待った、それってつまり猫が全ての試練を通過したってこと?
AF: JLのコメントは面白いな。試練以外に永遠衆が選ばれた別の話が必要かも知れん。
ELI: マンティコアとアムムトもそうだな。ボーラスは破滅の動物園を愛でたがっている
ID: 多分こいつはボーラスのビグルスワース君なんだね。
MDT: これはつまらないレアです。初手級のアンコモンみたいな感じがします。
ID: 永遠を{4}{W}{W}→{3}{W}{W}。フューチャー・フューチャー・リーグはこれが構築フォーマットでいけるとは思っていない。

 《典雅な襲撃者》は元々は人間でしたが、『イニストラードを覆う影』が出たときに人間・部族デッキはかなり強力であることが証明されました。強力な人間とゲーム後半のカード・アドバンテージを与えることは潜在的リスクに思えたので、わたしたちはクリエイティブ・チームにこの世界にいる他に機能しそうな小型クリーチャーを尋ね、彼らは猫を選びました。

 このブロックにより多く楽しい猫のデザインがあることに気がついたので、わたしたちは《誇り高き君主》や《威厳あるカラカル》のような、猫をプレイすることの恩恵があるようにするものに対してさらに努力しました。クリーチャー・タイプの変更後、これは猫デッキや非部族のアグロ・デッキのために強化されました。


《厳粛》

ID: 新テキスト。感染対策およびスタンダードでの『カラデシュ』のテーマに対する安全弁。
KEN: 《暗黒の深部》とデッキに入れる?
AF: 私のエネルギー感染デッキがお前を殴る!
KEN: 私の累加アップキープデッキ向けだね! 《Glacial Chasm》!
AP: 特定のカード・タイプにだけ効くようになった。プレインズウォーカーのプレイはできるようにした。
ID: まあ確かにこのカードとコンボになるのはいくつかあるな。このカードの目標は既存のカードよりも効率の良くない新しいコンボを作ることだが、既存のコンボに対してのサイドボードとしても有用だ。

対策カード(Hate Card)

 他のカードや戦略の有効性やパワー・レベルを抑止しようとするカード。これらのカードは特定のカードや戦略が支配的になりすぎた場合のメタゲームのバランスを取る助けになる。

 このカードはエネルギーへの対策カードでしたが、古いフォーマットでのクレイジーな新しいデッキも可能にしました。わたしたちはこのカードとのコンボをすでにかなりの数見つけていて、わたしはプレイヤーが古いフォーマットでそれを試すのを楽しみにしています。



《冠毛の陽馬》

JL: 青っぽい「コピーする」テキストよりも絆魂のトークンを作るほうがいいと思う。アップキープにタップして自動的にトークンを生成するとかだともっと神話っぽくなる。
BH: 単純に「あなたのコントロールするトークンは破壊不能を持つ」にもできる。
EEF: 《ターパン》とコンボりませんね。

 《冠毛の陽馬》は元々それ自身のコピーを作っていましたが、白らしくありませんでした。わたしたちはバニラのトークンを作るようデザインを微調整しましたが、《冠毛の陽馬》にそれらを強化する能力をつけました。こうして馬部族が生まれたのです!


《巧みな軍略》

NKM: これは何年前か前にヴィンテージで取り上げられた(《ゴブリンの溶接工》と使われた)。プレイヤーはこれをまた見て興奮するはずだ。
ID: その通り! これがここにある理由の大きなところだ。

 私はこれがコモンで再録されたことがとても嬉しいです。これにはいくらかのフレイバーがあり、リミテッドで素敵な動きをして、そして古いフォーマットのプレイヤーはこれが簡単に見つかることに満足するでしょう。


《空想の脅威》

ID: KKのフレイバー・ミニチームからのカード。サイクリングつきの《睡眠》のバリエーションだったものだ。
MJJ: タップ能力を持ったクリーチャーを組み合わせるとちょっとぎこちないな(記録上の問題)。対象のプレイヤーがコントロールするクリーチャーをアンタップさせないようにできないか?
ID: 素晴らしい提案だMJJ。それでいこう。
ID: サイクリングを追加。
MDT: 警戒持ちのクリーチャーに対してちょっとぎこちないですね。

 わたしはリミテッドでの《睡眠》が、突然どこからでもゲームを終わらせてしまうので好きではなく、それが頻繁に起こると不満がたまるので、それがアンコモンの効果であることは気に入りません。このカードは《睡眠》の妥協案で、より興味深いゲームプレイを生み出す少し弱いバージョンでした。これは次のターンに全力攻撃して勝つために相手のクリーチャーに攻撃を強制させたり、大きいブロッカーに突っ込ませるために攻撃を強制させたりできます。これは《睡眠》よりも狭いので、このカードが死なないようにサイクリングが追加されました。


《機知の勇者》

SM: 引き継ぎ注意点――全ての永遠を持ったレアに大きくなることに意味があると感じられるように何かサイズに関する能力をもたせるようにしてください。人々はこのアップグレードの方法を特に楽しんでいます。
ID: 今のところかなり満足だ。

 《機知の勇者》は私が言った、パワーとタフネスに関するプレイをされる永遠能力のデザインの1つでした。この場合はこれのパワーに等しい枚数のカードを引きます。これにより、戦場に出たときの誘発に対応して強化呪文を唱えるなどのクールな行動が可能で、もちろん永遠でも効果が拡大されます。また戦場に出たときの誘発に対応して《闇の掌握》などを唱えて、このクリーチャーを殺すだけでなくプレイヤーにカードを0枚引かせるようなやり取りもできます。


《ジェイスの敗北》

ID: EVLのリクエストで自色対策を試してみる。
TABAK: イアンからの新しい能力です。《反論》よりも強くなりましたよ。
MJJ: すごく強そうだ。

 この敗北サイクルはスタンダードでの自己修正の仕組みとして、何かのデッキが我々が気づいたよりも強かったときのために作られました。ミラーマッチ向けの用途の狭くて強いカードがあることで、それらのデッキは他のデッキに対する勝率が下がり、他のデッキが浮上することができます。

 このカードのデザインは《反論》の上位互換です。わたしたちは《不許可》や《奔流の機械巨人》に対して強くするためにこのデザインを選びました。この「それがジェイスであるなら」はほとんどフレイバーですが、それが出てくる時もあるでしょう。


《永遠の刻》

JDR: これでもまだ青のリアニメイト呪文として強すぎる感じがする。インスタント速度で、相手の墓地から持ってこられて、勇者との相互作用もあって、これがリリアナよりも弱いとは確信できないし、弱いべきだと確信している。
JDR: イーサンとカラー・パイを調べてみた。これは曲がりの範囲で、壊してはいないが、黒のほうが合っているだろう(気づいたんだが永遠は白青に集中している)。
ID: ジュール、カラー・パイを調べてくれてありがとう。これは物語の特定の瞬間でサイクルの一部なので、許容範囲内の曲がり方なら青にしなければならない。
ID: 単独の対象では適正な割合が見つけられなかったので、Xで拡大可能なバージョンを試してみる。
AP: 自分の墓地にだけ影響を及ぼすようにした。
EVL: XX呪文のように見えますね。
AP: グッドニュースですエリック、XX呪文になった!

 《永遠の刻》についてわたしたちが抱えていた最大の問題は、このカードを黒でなく青に感じさせながら適正な割合を見つけ出すことでした。これは実質的に黒の長所であるクリーチャーのリアニメイトをしていて、そして《墓場からの復活》などよりも良い働きをしないことが重要でした。いくつかの変更が行われ、その中にはこれをXX呪文にすることと自分の墓地にだけ効果を及ぼすことも含まれていました。


《ラザケシュの儀式》

KEN: この教示者は、いつも欲しいものをトップデッキしたかどうかトップのカードを見て、マナを無駄にしたかどうかを見るだけだったよ。
ID: カジュアル/構築フォーマットにアピールするために{4}{B}{B}→{3}{B}{B}に。

教示者(Tutor)

 教示者はプレイヤーに別のカードを探すことを許可するカード。この名前は『アルファ版』のカード《Demonic Tutor》からつけられた。

 この単語を音訳すると「欲しいカードをチューターする」というように動詞としても使われる。

 このデザインはその優雅さによって大勢が楽しんでいました。《魔性の教示者》は1マナ軽いですがやることは1つだけです。マナがなかったり教示者を唱えている暇がない時があり、《ラザケシュの儀式》はその問題を解決してくれます。ゲームの後半に爆弾レアを探してくることもできますが、サイクリングがある序盤に土地や軽いカードがほしいときに置き換えることもできます。



《バントゥ最後の算段》

ID: 督励ソーサリーサイクルの新しいカード。
BrH: FFLのチームは3マナでライフの損失なしを推奨してきている。
ID: {2}{B}{B}→{1}{B}{B}でライフの損失なしに。

 このカードは、1ターン土地がアンタップしないことと引き換えに強力な効果を軽いコストで得られる、レアのサイクルの1枚です。メカニズム的にはこれは新しい形の督励ですが、あなたのクリーチャーを督励するのではなく、このサイクルは「あなた自身」を督励します。、わたしがウィザーズに戻って『破滅の刻』のデベロップ・チームに加わったとき、このカードにものすごく感動しました。

 全体除去の基準線は5マナですが、その呪文が殺せるものに制限がある場合はマナが軽くなります。このカードはわたしには《滅び》のように見えて、そしてこれでデッキを組むことにワクワクしています。これの欠点は深刻ですが、私はこのカードがちょうどいいところに落ち着いたと思います。


《穢れた血、ラザケシュ》

KEN: 《グリセルブランド》みたいに統率者で禁止されるかも?
ID: 彩りを添えるためにトランプルを追加。
BH: これ好き。
ID: 安全弁として「2点のライフを支払う」をつけた。ループみたいなことが起こる場合、(それをやられる前か後に)アグレッシブなデッキにチャンスが出てくる。
NKM: この生け贄のコストが、これをヴィンテージの《ドルイドの誓い》デッキでほぼアンプレイアブルなものにしているのが面白い。

 『破滅の刻』デザイン・チームは、クリーチャーを生け贄に捧げて《Demonic Tutor》することを、派手で、強力で、フレイバーにあふれた残酷な悪魔の所業として思いつきました。これはあるリソースを他のものと交換する《グリセルブランド》を連想させるだけでなく、メカニズム的に《ネクロポーテンス》や《吸血の教示者》のようなカードを思い起こさせます。

 開発部の多くの人がこのカードでのループや1ターンで殺してしまうことを懸念して、起動コストにマナを追加することを勧めていました。FFLチームは出してすぐこの能力を使えることが大事だと考えたので、無限ループと1ターンで決まるコンボを防ぐためにライフの支払いを追加しました。


《忌まわしい生き残り》

ID: +1/+0と接死→+2/+0に。

 この変更はこのコモンのサイクリングによるボーナスが十分だと感じられなかったために行われました。ほとんどの場合、カードをサイクリングすると相手のクリーチャーとこれが相打ちになります。この変更は大きなクリーチャーと相打ちになることは変わらないのでどうでもいいように見えますが、このパワーの追加はこれがブロックされなかった場合にたくさんカードをサイクリングすることでより満足がいくように感じられました。


《呪われた大群》

ID: 前はゾンビがETBで対戦相手は2点失うやつだった。『アモンケット』のカードともっと違いをつけて、ゾンビの攻撃を通す助けになるものを試そう。
ID: {2}{B}で接死→{1}{B}で攻撃しているゾンビに破壊不能に。
KEN: この手の閾値0のボーナスは好きだよ。『イクサラン』で2~3個使えると思ってる。

 わたしは何週間か前に閾値1についてお話ししました。これはプレイヤーに特定のテーマをそれに全力で突っ込ませることなく意識させる方法です。閾値Nというのは、カードを機能させるために何かがN個必要という意味です。このカードの場合は、能力を使うために他のゾンビは必要ありませんが、他にゾンビがいればもっと強くなります。

今週のプレイ・デザイン・チーム

 先週は開発部でバーベキューをして、わたしたちはみんなで公園に集まり、食事をして、そしてゲームをしました。わたしたちがしたゲームの中の1つに「Great Minds」というのがありました。これは2対2でやるゲームです。先攻のチームがジャンルを選びます。そのジャンルは本当になんでもいいです。たとえば「食べ物」でも「スポーツ」でも「点数で見たマナ・コストが1の赤のクリーチャー」でもかまいません。他のチームは全く同時にそのジャンルの単語やフレーズを言わなければいけません。チームメイトと同じ単語を言えばゴールです。このゲームで最も壮大なプレイはダン・バーディック/Dan Burdickとエリック・ラウアー/Erik Lauerがチームを組んでジャンルが「果物」のときに起こりました。二人が同時に「アボカド!」と叫んだのです。多くの人はアボカドを果物とみなしてはいませんが、エリックが唯一食べる果物なのです――そしてダンはそれを知っていました。

 他にわたしたちがプレイしたゲームはキックベース、いろいろなボードゲーム、そしておそらく子ども向けであろうロープを登ったりもしました。プレイ・デザイン全員がロープに登りました。

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プレイ・デザイン・チームはロープの上で結束しチームを結成しました。

 今週は以上です。来週はMファイルの赤、緑、金色、アーティファクトを見ていきます。

メリッサ・デトラ (@MelissaDeTora)

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