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企画記事
グランプリ・京都2015に向けて:第2回 レガシーの主要なデッキたち
グランプリ・京都2015に向けて:第2回 レガシーの主要なデッキたち
by 小山 和志 (グランプリ・京都2015 イベントカバレージチーム)
皆さんこんにちは! 第1回の記事はお読みいただけたでしょうか? 前回はレガシーの代表的なカードを見てきましたが、本記事からは、グランプリ・京都2015に向けていよいよレガシーのデッキについて見て行きたいと思います。
第2回目となる今回ご覧いただくのは、現在の環境を支配する主要なデッキたちです。とはいえ、スタンダードやモダンよりカードプールが広いこともあり、トーナメントを勝ち抜く可能性のある強力なデッキは非常に多く存在します。そんなたくさんのデッキから、現在のレガシーを代表するデッキたちをご紹介していきます。
奇跡コントロール
古き良き青白コントロールの系譜を継ぐ、現レガシー環境最強の万能コントロールデッキと言って差し支えないのが、ここでご紹介する奇跡コントロールです。『アヴァシンの帰還』で《天使への願い》と《終末》を手に入れたことで、一躍レガシーのトップシーンに躍り出ました。
5 《島》 2 《平地》 3 《Tundra》 2 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 3 《沸騰する小湖》 2 《汚染された三角州》 2 《Karakas》 -土地(23)- 1 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(1)- |
4 《渦まく知識》 4 《師範の占い独楽》 4 《剣を鍬に》 2 《紅蓮破》 4 《相殺》 2 《対抗呪文》 4 《Force of Will》 3 《終末》 3 《時を越えた探索》 2 《天使への願い》 4 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(36)- |
3 《石鍛冶の神秘家》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《紅蓮破》 2 《赤霊破》 2 《呪文貫き》 1 《大祖始の遺産》 2 《安らかなる眠り》 1 《殴打頭蓋》 -サイドボード(15)- |
デッキの動き
基本的には《師範の占い独楽》や《渦まく知識》で状況に応じて必要なカードを探し、《Force of Will》や《剣を鍬に》といった多彩な妨害呪文で序盤を凌いで、盤面が落ち着いたら《精神を刻む者、ジェイス》や《天使への願い》といった強力なカードでフィニッシュを決める、これぞコントロールという動きをするデッキです。
このデッキのキーカードは何と言っても《師範の占い独楽》です。《天使への願い》や《終末》の「奇跡」を好きなタイミングで唱えることができるようライブラリーを操作したり、《相殺》との組み合わせ、いわゆる「独楽相殺」と呼ばれる状況を作り出して対戦相手の呪文をシャットアウトしたりと八面六臂の活躍を見せます。
ビートダウンデッキを相手にした時の《終末》は、インスタントタイミングで、しかもたった{W}で唱えられる全体除去として無類の強さを誇りますし、ドローや妨害を1マナの呪文に頼りがちなコンボデッキに対しても、上述の「独楽相殺」さえ決まってしまえばほぼ完封できてしまいます。
サイドボードもメタゲームに合わせて幅広く採ることができ、弱点の少ない万能デッキと言えるでしょう。
弱点
そんな奇跡コントロールの弱点は、カードごとの役割分担がはっきりしているため、「噛み合わない手札を引いてしまうと何もできない」ことです。クリーチャーデッキ相手に打ち消し呪文を多く引いて押し潰されてしまったり、逆にクリーチャーが入っていないコンボデッキに対して《剣を鍬に》や《終末》がたくさん集まってしまい相手のコンボを眺めることしかできない、といったことも少なくありません。
また、苦手としている戦略としては「対処しなければいけないカードを連打してくるコンボデッキ」「アドバンテージを稼げるカードばかりで構成されているミッドレンジデッキ」などが挙げられます。対戦相手の脅威を全て捌ききる前提のデッキなので、対処漏れがあるとそこから一気に決壊してしまうのです。
奇跡コントロールは、序盤をいかに凌いで、《精神を刻む者、ジェイス》に繋げられるかというゲームが多くなります。相手をコントロールしきりたい方にはオススメのデッキです。
《実物提示教育》デッキ
ウルザズ・サーガの《実物提示教育》で強力なカードのマナ・コストを踏み倒し戦場に出すことで勝利を狙うコンボデッキです。レガシーではこの《実物提示教育》を使ったデッキが長い間存在し、形を変えながら現在も一線級のデッキとして活躍を続けています。
8 《島》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 3 《裏切り者の都》 -土地(19)- 2 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(2)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《呪文貫き》 2 《定業》 1 《衝動》 4 《実物提示教育》 3 《狡猾な願い》 1 《直観》 4 《Force of Will》 4 《時を越えた探索》 4 《全知》 -呪文(39)- |
1 《エメリアの盾、イオナ》 1 《否定の契約》 1 《殺戮の契約》 1 《狼狽の嵐》 2 《防御の光網》 1 《エラダムリーの呼び声》 1 《蟻の解き放ち》 2 《拭い捨て》 1 《四肢切断》 1 《精神壊しの罠》 1 《火想者の予見》 2 《すべてを護るもの、母聖樹》 -サイドボード(15)- |
デッキの動き
先ほどご説明した通り、このデッキは《実物提示教育》を唱えることを目的としたデッキです。 基本的には、《思案》《定業》《渦まく知識》といった軽く優秀なドロー呪文でコンボパーツを探し出し、準備が整えば《実物提示教育》からフィニッシュ手段を戦場に出すという動きになります。
最近は《実物提示教育》で《全知》を戦場に出し、《引き裂かれし永劫、エムラクール》を唱えるか、《渦まく知識》などで《引き裂かれし永劫、エムラクール》をライブラリーの一番上に積み込んだ上で、《狡猾な願い》でサイドボードから《蟻の解き放ち》を持ってきて、対戦相手のライフが無くなるまで唱え続けるといった形で勝利する構成が主流となっています。特に後者は《全知》さえ戦場にあれば、インスタントタイミングで勝利することができ、対戦相手にとって対処するのは簡単なことではありません。
コンボに必要なマナが実質《実物提示教育》の3マナのみと軽く、多彩なドロー呪文のお陰で《Force of Will》や《呪文貫き》といった打ち消し呪文を構えながらコンボを開始することが容易である、速度と強さを兼ね備えたコンボデッキなのです。
弱点
コンボデッキらしく《思考囲い》や《強迫》などの手札破壊呪文が非常に苦手です。《実物提示教育》に頼りきったデッキなので、手札からこのカードを捨てられてしまうだけでコンボのスピードが一気に落ちてしまいます。また、《実物提示教育》が打ち消されてしまうことも敗北につながりかねないため、青いデッキ相手には慎重な立ち回りが要求されます。手札破壊呪文と打ち消し呪文の両方を兼ね備えたデッキが相手だと、厳しい戦いを強いられることになります。
また、《実物提示教育》から《全知》を戦場に出すことに成功しても、勝利手段を探している間に《全知》を《解呪》などで破壊されてしまうという負けパターンもあります。《ギタクシア派の調査》などで安全確認を行いながら、確実にコンボ達成が可能なタイミングを見計らうことが大切になってきます。
レガシー環境を代表するこの《実物提示教育》デッキ。お手軽にコンボで勝利したい方はこのデッキを使ってみてはいかがでしょうか?
《秘密を掘り下げる者》デッキ
《秘密を掘り下げる者》で対戦相手を殴り倒すことを主眼としたデッキで、色や他の要素によって「○○デルバー」と呼称されます。《昆虫の逸脱者》に変身してしまえば1マナ3/2飛行と抜群のコストパフォーマンスを誇る《秘密を掘り下げる者》が『イニストラード』で登場してからというもの、このカードをレガシーのトーナメントで見かけないことはありません。青を主体としていくつかのパターンがあるデッキですので、それぞれについてご紹介していきます。
ティムール・デルバー(青赤緑)
「カナディアン・スレッショルド」とも呼ばれ、《秘密を掘り下げる者》が加わってから一世を風靡したデッキです。かつてほど支配的なデッキではありませんが、今もその強さは健在です。
3 《Tropical Island》 3 《Volcanic Island》 4 《霧深い雨林》 4 《沸騰する小湖》 4 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《敏捷なマングース》 4 《タルモゴイフ》 -クリーチャー(12)- |
4 《渦まく知識》 4 《稲妻》 4 《思案》 4 《もみ消し》 3 《呪文貫き》 4 《目くらまし》 2 《火 // 氷》 1 《四肢切断》 4 《Force of Will》 -呪文(30)- |
3 《紅蓮破》 1 《水流破》 1 《呪文貫き》 2 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 1 《古えの遺恨》 1 《森の知恵》 1 《クローサの掌握》 2 《乱暴 // 転落》 2 《水没》 -サイドボード(15)- |
デッキの動き
《不毛の大地》で基本でない土地を破壊したり、《もみ消し》でフェッチランドの起動を打ち消して対戦相手のマナを縛る「マナ否定戦略」をベースとしています。主戦力となるクリーチャーは主に3種類、《秘密を掘り下げる者》と《敏捷なマングース》、そして《タルモゴイフ》です。これらの軽くてコストパフォーマンスの良いクリーチャーを召喚し、上述の《不毛の大地》や《もみ消し》でマナを足止めしている間に、対戦相手のライフを削りきるのが基本的な動きです。
この「マナ否定戦略」を《目くらまし》や《呪文貫き》などの呪文でバックアップし、対戦相手がクリーチャーを召喚すれば《稲妻》や《二股の稲妻》といった火力呪文で排除しながら押し切り勝ちを狙います。
弱点
カードパワーが比較的低いため、一度盤面で不利な状況になった場合、逆転するのが困難です。序盤に強い《目くらまし》や《もみ消し》は対戦相手のマナが潤沢になってしまえば意味をなさなくなってしまいますし、火力呪文で対処できないクリーチャーが並んでしまえば、それを突破するのは容易なことではありません。
また、序盤に対戦相手のライフをできるだけ減らし、最後の数点を無理矢理押し込むパターンが多いので、《殴打頭蓋》や《梅澤の十手》という装備品が機能することを許してしまうと一気に敗北が近づきます。勝つ時は対戦相手の盤面を更地にしてしまい圧勝することもありますが、1枚のカードで簡単に負けてしまうこともある繊細なデッキなのです。
ハマってしまえば対戦相手に何もさせないこともあるティムール・デルバー。コンボデッキにも比較的強く、「絶対に勝てない」という相手も少ないので、クロック・パーミッションがお好きな方は使用を検討してみてはいかがでしょうか。
スゥルタイ(青黒緑)・デルバー
『ラヴニカへの回帰』で《死儀礼のシャーマン》と《突然の衰微》を手に入れたことで、一気に強化されたカラーリングの《秘密を掘り下げる者》デッキです。
3 《Tropical Island》 3 《Underground Sea》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 4 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《タルモゴイフ》 3 《闇の腹心》 1 《真の名の宿敵》 -クリーチャー(16)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 3 《呪文貫き》 3 《もみ消し》 2 《見栄え損ない》 4 《目くらまし》 3 《突然の衰微》 3 《Force of Will》 -呪文(26)- |
1 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《方向転換》 1 《外科的摘出》 1 《狼狽の嵐》 2 《思考囲い》 1 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 2 《湿地での被災》 1 《突然の衰微》 1 《大渦の脈動》 1 《Force of Will》 1 《残忍な切断》 -サイドボード(15)- |
デッキの動き
《思考囲い》《Hymn to Tourach》といった強力な手札破壊呪文で対戦相手の動きを妨害、出てきたパーマネントは《突然の衰微》で排除、そのまま《秘密を掘り下げる者》や《タルモゴイフ》で対戦相手を蹂躙するというのが主な勝ちパターンです。
手札破壊呪文と打ち消し呪文をともに擁することからコンボデッキに対してめっぽう強く、《死儀礼のシャーマン》の能力を存分に発揮できるため、通常メインデッキでは対処しづらい墓地を活用するデッキ相手にも比較的有利に試合を運ぶことができます。また、致命的なパーマネントを出されても《突然の衰微》である程度対処できるのが大きな魅力です。
弱点
明確に《安らかなる眠り》のような墓地対策カードが苦手です。《死儀礼のシャーマン》《タルモゴイフ》という主戦力が無力化されてしまうと一気に勝ち手段が乏しくなってしまいます。また、除去耐性のないクリーチャーカードばかりで構成されているため、環境に多い奇跡コントロール相手は不利な戦いとなるでしょう。基本的には1枚のカードで対戦相手のカード1枚に対処していくことになるので、クリーチャーを大量展開するビートダウンデッキにも苦労します。
また、《秘密を掘り下げる者》デッキの中では採用されているカードのマナ・コストが重く比較的速度が遅いため、《不毛の大地》を複数枚引かれてしまうと展開が止まってしまうこともあります。デッキの構造上、基本土地を投入することも難しいため、盤面を構築する前に《血染めの月》や《基本に帰れ》といった基本でない土地を咎めるカードを出されてしまうと何もできず敗れ去ってしまうこともあります。ティムール・デルバーと異なり、最後の数点を火力呪文で押しこむこともできないのが辛いところです。
色の組み合わせもあって妨害呪文を数多く採用できますので、コンボデッキ相手に理不尽な負け方をしたくない方はぜひスゥルタイ・デルバーを使ってみてはいかがでしょうか?
青赤/グリクシス(青黒赤)・デルバー
《秘密を掘り下げる者》に加え、軽量ドロー呪文と相性の良い《僧院の速槍》《若き紅蓮術士》といった軽いクリーチャーたち、さらには《稲妻》等の火力呪文で対戦相手のライフを速やかに削っていくデッキです。
1 《島》 1 《山》 4 《Volcanic Island》 4 《沸騰する小湖》 2 《汚染された三角州》 1 《溢れかえる岸辺》 1 《霧深い雨林》 2 《血染めのぬかるみ》 -土地(16)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《僧院の速槍》 3 《若き紅蓮術士》 -クリーチャー(11)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《稲妻》 4 《思案》 3 《Chain Lightning》 2 《呪文貫き》 1 《二股の稲妻》 1 《定業》 1 《発展の代価》 4 《Force of Will》 1 《火炎破》 4 《時を越えた探索》 -呪文(33)- |
3 《紅蓮破》 1 《水流破》 2 《狼狽の嵐》 2 《墓掘りの檻》 1 《真髄の針》 2 《粉々》 1 《発展の代価》 3 《水没》 -サイドボード(15)- |
4 《Volcanic Island》 2 《Underground Sea》 4 《汚染された三角州》 4 《溢れかえる岸辺》 2 《血染めのぬかるみ》 -土地(16)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《僧院の速槍》 4 《若き紅蓮術士》 1 《真の名の宿敵》 -クリーチャー(13)- |
4 《渦まく知識》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《稲妻》 4 《思案》 2 《陰謀団式療法》 2 《二股の稲妻》 4 《目くらまし》 4 《Force of Will》 3 《時を越えた探索》 -呪文(31)- |
1 《真の名の宿敵》 1 《外科的摘出》 3 《紅蓮破》 2 《陰謀団式療法》 1 《思考囲い》 1 《死の印》 1 《精神支配》 1 《真髄の針》 1 《ラクドスの魔除け》 1 《唐突なる死》 1 《終止》 1 《仕組まれた爆薬》 -サイドボード(15)- |
デッキの動き
《僧院の速槍》《若き紅蓮術士》などを展開しながら、《思案》《ギタクシア派の調査》《渦まく知識》で墓地を肥やし、《時を越えた探索》で戦力を補充していくのが基本的な戦略となります。これらのクリーチャーは、クリーチャーでない呪文を唱えれば唱えるほどダメージ量が増加していき、場合によっては1ターンで10点以上削ることも珍しくありません。
もともとは『タルキール覇王譚』で《宝船の巡航》が出現したことにより、バーンデッキに青をタッチするような形でレガシーに現れました。《宝船の巡航》が禁止になった今、その部分を《時を越えた探索》に変えて、ご紹介したような形に落ち着くこととなりました。
最近は青赤の組み合わせに黒をタッチし《陰謀団式療法》や《思考囲い》を採用することで、苦手だったコンボデッキへの耐性を上げたデッキが流行の兆しを見せています。
弱点
青赤のバージョンは妨害呪文を絡めたコンボデッキを苦手としています。このデッキがMagic Onlineで爆発的な流行を見せた時は、アンチデッキとして後ほどご紹介する「むかつきストーム」が一気に数を増やしました。黒をタッチしたグリクシスバージョンは、そういったコンボデッキへの相性が改善していますが、色を増やしたことにより安定性は失われています。
採用しているクリーチャーのサイズが小さいため、《罰する火》と《燃え柳の木立ち》のコンボを相手にするとクリーチャーを片っ端から除去されてしまいます。また、《不毛の大地》を採用せず土地をギリギリまで切り詰めていますので、《The Tabernacle at Pendrell Vale》などの致命的な土地に対処することが叶いません。なんとか序盤のリードを保って押し切りましょう。
《若き紅蓮術士》や《僧院の速槍》と大量の呪文の組み合わせで、みるみるうちにダメージ量が増加していくさまは圧巻です。一度試してみてはいかがでしょうか。
以上が、《秘密を掘り下げる者》デッキの主なアーキタイプとなります。《秘密を掘り下げる者》を使ったデッキとしてまとめてご紹介しましたが、それぞれ異なった動きをするデッキです。お好みのタイプは見つかったでしょうか?
むかつきストーム
先ほどご紹介した《実物提示教育》デッキと並んでレガシーを代表するコンボデッキです。デッキの名前にもなっている《むかつき》から、呪文を唱えれば唱えるほど威力を増す「ストーム」を持つ《苦悶の触手》まで繋げることを目標としていますが、そこに至るまでにとても多彩なパターンがあります。
1 《島》 3 《Underground Sea》 1 《Tropical Island》 1 《Volcanic Island》 3 《霧深い雨林》 3 《沸騰する小湖》 3 《溢れかえる岸辺》 -土地(15)- -クリーチャー(0)- |
4 《ライオンの瞳のダイアモンド》 4 《水蓮の花びら》 4 《暗黒の儀式》 4 《陰謀団の儀式》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 2 《定業》 4 《強迫》 3 《陰謀団式療法》 4 《冥府の教示者》 1 《Grim Tutor》 1 《炎の中の過去》 1 《苦悶の触手》 1 《むかつき》 -呪文(45)- |
1 《外科的摘出》 2 《見栄え損ない》 2 《突然の衰微》 2 《ハーキルの召還術》 2 《紅蓮地獄》 1 《古えの遺恨》 1 《防御の光網》 2 《巣穴からの総出》 1 《虐殺》 1 《恭しき沈黙》 -サイドボード(15)- |
デッキの動き
基本的には《暗黒の儀式》や《陰謀団の儀式》などのマナ加速呪文、《思案》《渦まく知識》に代表される軽量ドロー呪文で呪文の数を稼いで、何らかの方法で《苦悶の触手》を持ってきてフィニッシュ、という動きです。それに加えて、《強迫》や《陰謀団式療法》などの手札破壊呪文は対戦相手の致命的な呪文を捨てさせつつストームを増やすことができるので自然にデッキに組み込めます。
最も一般的な勝ちパターンは、大量のマナ加速呪文に加え、《ライオンの瞳のダイアモンド》を戦場に出してから《冥府の教示者》を唱え、それに対応して《ライオンの瞳のダイアモンド》の能力を起動し手札を0枚にすることで好きなカードを持ってくる動きでしょう。ストームが足りなければ《むかつき》や《炎の中の過去》を、十分に呪文を唱えた後ならば直接《苦悶の触手》を持ってくれば勝負あり。運が良ければ1ターン目にして勝利してしまうことすらありえるデッキです。
弱点
《スレイベンの守護者、サリア》、《エーテル宣誓会の法学者》のようなデッキそのものを否定されてしまうようなカードが環境に多く存在するのは非常に辛い点です。またコンボデッキの常として、手札破壊呪文や打ち消し呪文に弱く、両者を組み合わせたデッキを相手にコンボを決めるのは困難です。
また、《むかつき》経由で勝ちを狙う場合、ライフが少ないと必要なカードを手に入れる前にライフが無くなってしまう、いわゆる「むかつき死」と呼ばれることも起こります。コンボデッキであるにも関わらずライフにも気を使わなければいけないのです。
むかつきストームは使い込めば使い込むほど味の出てくるコンボデッキです。上手く《苦悶の触手》まで繋げた時の爽快感はたまらないものがあります。一人で回すのも楽しいデッキなので、一度組んでみてはいかがでしょうか。
エルフ
かつてエクステンデッドで開催されたプロツアー・ベルリン2008で猛威をふるい、トップ8に6人ものプレイヤーを送り込んだデッキがありました。それがエルフデッキです。レガシーのエルフはそれをアップデートしたものとなっており、グランプリ・京都でも十分に上位に食い込める強さを持っています。
2 《森》 2 《Bayou》 1 《Tropical Island》 2 《新緑の地下墓地》 2 《霧深い雨林》 2 《吹きさらしの荒野》 2 《樹木茂る山麓》 4 《ガイアの揺籃の地》 2 《ドライアドの東屋》 -土地(19)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《遺産のドルイド》 4 《イラクサの歩哨》 4 《クウィリーオン・レインジャー》 4 《ワイアウッドの共生虫》 2 《樺の知識のレインジャー》 4 《エルフの幻想家》 1 《再利用の賢者》 1 《威厳の魔力》 1 《孔蹄のビヒモス》 -クリーチャー(29)- |
4 《垣間見る自然》 4 《自然の秩序》 4 《緑の太陽の頂点》 -呪文(12)- |
1 《漁る軟泥》 1 《黄金牙、タシグル》 1 《大祖始》 3 《陰謀団式療法》 2 《狼狽の嵐》 2 《白鳥の歌》 1 《真髄の針》 3 《突然の衰微》 1 《精神壊しの罠》 -サイドボード(15)- |
デッキの動き
エルフを並べて《垣間見る自然》を唱え、《遺産のドルイド》でマナを生み出し、エルフを追加していくことで加速度的に手札とマナを増やしていきフィニッシャーにたどり着くという動きはプロツアー・ベルリン2008時代のものと変わりません。
必ずしも《垣間見る自然》を唱える必要はなく、マナクリーチャーを並べて、《自然の秩序》や《緑の太陽の頂点》で《孔蹄のビヒモス》や《威厳の魔力》を呼び出せばそれだけで勝負ありです。加えて、レガシーには《ガイアの揺籃の地》というエルフデッキのために作られたような土地があり、普通にマナを支払ってフィニッシャーを唱えることも可能なのです。
また、コンボが達成できずとも、大量に召喚したエルフたちで殴り倒すビートダウンデッキとしての側面も持っており、相手にした場合一筋縄ではいかないデッキです。
弱点
クリーチャーに依存しきったデッキなので、全体除去呪文、例えば奇跡コントロールの《終末》を打たれればそれだけで敗北に直結します。個々のクリーチャーを見てみると貧弱なものばかりですので、《紅蓮地獄》のような呪文でも戦線が壊滅してしまいます。他にも、《仕組まれた爆薬》や《仕組まれた疫病》といった明らかなアンチカードが存在し、特にサイドボード後はその種の呪文に気をつけなければいけません。
また、お世辞にも妨害手段が豊富とは言えず、自分より速度の速いコンボデッキが相手だと先に勝負を決められてしまうことがほとんどです。コンボデッキ相手にはサイドボードで何とかするしかないのが現状です。
一撃必殺だけでなくパズル的な要素も持ち合わせ、エルフデッキは様々な勝ち手段を提示してくれます。慣れるまでに時間が必要なデッキですので、このデッキを使いたい方は今のうちから練習しておきましょう。
青白《石鍛冶の神秘家》デッキ
スタンダードを圧倒的に支配し、2枚もの禁止カードを生み出した超強力デッキ、「Caw-Blade」をレガシー版にチューンしたデッキです。スタンダード時代から《戦隊の鷹》は抜けてしまいましたが、《石鍛冶の神秘家》のカードパワーはレガシーでも随一で、《殴打頭蓋》《梅澤の十手》のような強力な装備品とともに使われています。
4 《Tundra》 3 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 1 《霧深い雨林》 4 《不毛の大地》 -土地(20)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《石鍛冶の神秘家》 2 《真の名の宿敵》 -クリーチャー(10)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 3 《呪文貫き》 3 《剣を鍬に》 4 《稲妻》 4 《目くらまし》 4 《Force of Will》 2 《時を越えた探索》 1 《梅澤の十手》 1 《殴打頭蓋》 -呪文(30)- |
3 《翻弄する魔道士》 1 《真の名の宿敵》 2 《赤霊破》 1 《紅蓮破》 1 《狼狽の嵐》 2 《真髄の針》 1 《墓掘りの檻》 2 《安らかなる眠り》 1 《饗宴と飢餓の剣》 -サイドボード(14)- |
1 《島》 1 《平地》 3 《Tundra》 3 《Underground Sea》 1 《Scrubland》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 2 《湿地の干潟》 -土地(19)- 2 《死儀礼のシャーマン》 4 《石鍛冶の神秘家》 1 《瞬唱の魔道士》 3 《僧院の導師》 1 《黄金牙、タシグル》 -クリーチャー(11)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《剣を鍬に》 3 《陰謀団式療法》 2 《思考囲い》 1 《未練ある魂》 4 《Force of Will》 2 《時を越えた探索》 1 《梅澤の十手》 1 《殴打頭蓋》 -呪文(30)- |
3 《翻弄する魔道士》 2 《外科的摘出》 1 《陰謀団式療法》 1 《狼狽の嵐》 1 《流刑への道》 1 《真髄の針》 2 《盲信的迫害》 1 《解呪》 2 《非業の死》 1 《火と氷の剣》 -サイドボード(15)- |
デッキの動き
《石鍛冶の神秘家》から各種装備品を探し、それを戦場に出し機能させていく動きが基本となります。レガシーの環境には比較的ライフを素早く詰めていくデッキが多く、そのような相手に《殴打頭蓋》は絶大な強さを誇ります。また、小粒なクリーチャーを並べるデッキには《梅澤の十手》が効果的で、これの上にカウンターが乗り始めれば対戦相手は何もできなくなることでしょう。《真の名の宿敵》が装備品をつけようものなら対戦相手は絶望するしかありません。
青白のデッキということで、《Force of Will》《剣を鍬に》など優良妨害呪文も豊富で、対戦相手によって攻めるか守るかを切り替えることができるのも魅力で、どんなデッキに対しても柔軟に立ち回ることができるのは大きな強みです。
最近は青白をベースに、黒や赤をタッチするのが主流です。《思考囲い》に代表される手札破壊呪文など黒を加えるとコントロール寄りに、《秘密を掘り下げる者》や《稲妻》を投入して赤を加えるとアグロな方向にシフトしている傾向にあるようです。
弱点
《石鍛冶の神秘家》を除去されてしまうと、とたんに動きが鈍ってしまうのが大きな弱点です。《殴打頭蓋》は唱えるために5マナ、《梅澤の十手》は戦場に出して装備するのに4マナも必要で、《不毛の大地》が跋扈するレガシー環境ではその重さが致命傷になりかねません。また、メインデッキではコンボデッキに強いとは言えず、《石鍛冶の神秘家》を展開していたらコンボを決められた...ということともしばしばです。サイドボードでのしっかりとした対策が必要となります。
柔軟なデッキであるがゆえに、どんなデッキに対しても負けることがありえます。1つのプレイミスが大きく状況を左右することが起こります。しっかり練習するようにしましょう。
逆に言えば、プレイングをしっかりすればどんなデッキが相手でも互角以上に渡り合うことができますので、腕に自信のある方は《石鍛冶の神秘家》を相棒に選んでみてはいかがでしょう。
ジャンド
レガシーでは数少ない、青に頼らないデッキです。『アラーラの断片』ブロックが使えるスタンダード環境で圧倒的な成績を収め、そのカードパワーによりモダンでも大活躍したジャンドは、もちろんレガシーでも有力なデッキです。
1 《森》 1 《沼》 3 《Bayou》 3 《Badlands》 4 《燃え柳の木立ち》 4 《新緑の地下墓地》 1 《樹木茂る山麓》 3 《汚染された三角州》 3 《不毛の大地》 -土地(23)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《闇の腹心》 4 《タルモゴイフ》 3 《ゴブリンの熟練扇動者》 -クリーチャー(15)- |
4 《思考囲い》 3 《稲妻》 4 《突然の衰微》 3 《Hymn to Tourach》 3 《罰する火》 1 《森の知恵》 4 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(22)- |
2 《外科的摘出》 2 《強迫》 2 《赤霊破》 1 《真髄の針》 2 《ゴルガリの魔除け》 1 《古えの遺恨》 1 《壌土からの生命》 2 《仕組まれた疫病》 1 《クローサの掌握》 1 《仕組まれた爆薬》 -サイドボード(15)- |
デッキの動き
《闇の腹心》《血編み髪のエルフ》に代表されるクリーチャーに加え、《Hymn to Tourach》《罰する火》+《燃え柳の木立ち》コンボなどで、アドバンテージを稼いで盤面を有利にしながら試合を運んで行きます。
《罰する火》と《燃え柳の木立ち》のコンボはクリーチャーデッキに対して抜群の強さを誇りますし、コントロールデッキ相手にも《Hymn to Tourach》や《思考囲い》などの手札破壊で動きを制限してから《闇の腹心》や《血編み髪のエルフ》と動ければかなり楽に勝つことができるでしょう。
比較的マナのかかるカードが多いですが、《死儀礼のシャーマン》のおかげでその部分を上手く補えています。
弱点
マナ・コストが比較的重く、《死儀礼のシャーマン》がいないと動きがもっさりしてしまうことが大きな弱点です。《死儀礼のシャーマン》を除去された後に、《不毛の大地》で土地を破壊され、手札の重いカードを唱えることができないままゲームが終わってしまう、などのようにマナ基盤を攻められるリスクは常につきまといます。
また、速いコンボデッキに対する相性は悪いです。《突然の衰微》や《罰する火》が無駄カードになってしまうので、メインデッキではかなり苦しい戦いを強いられます。《渦まく知識》のようなドローカードに乏しいため、手札破壊などの対策カードを引けなかった場合、相手のコンボが決まらないことを祈るしかありません。
ジャンドの魅力は何よりそのカードパワーの高さです。盤面をコントロールしきった後に唱える《血編み髪のエルフ》や《タルモゴイフ》はすぐに勝利へと導いてくれることでしょう。
次回はレガシーならではのデッキをご紹介します
長くなってしまいましたが、お付き合いいただきありがとうございました。レガシーは使えるカードの種類が膨大であり、デッキの種類も数えきれないほど存在します。今回はその中でもトーナメントでよく見かけるデッキたちをご覧いただきました。本連載の最終回となる次回の記事では、レガシーならではの特徴的なデッキをご紹介する予定です。
それでは、第3回の記事もよろしくお願いいたします。
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