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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:「ラムナプ・レッド」を検証!(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:「ラムナプ・レッド」を検証!(スタンダード)
by 岩SHOW
これまでの歴史では、赤単色の速攻デッキというものはメインの強さは比類なくともサイドボードの選択肢の少なさから苦戦することが多々あった。狙われると一気に苦しくなる、ガードが下がっているタイミングで使用してそのポテンシャルを発揮する、そんなイメージが強い。
赤単に負けたくないというプレイヤーも多く、赤単が強いシーズンは回復能力持ちや軽量除去でガッツリ武装したデッキリストをよく目にするものだ。そして、赤単速攻はそれらへのアンサーとなるカードをサイドボードに用意できない。結果、惨敗という......。
今のスタンダード環境の赤単はどうだろう。いわゆる「ラムナプ・レッド」というやつだ。『破滅の刻』発売直後から評価が高く、プロツアー『破滅の刻』を深紅に染め上げ優勝をかっさらい、そしてそれから1か月近く経った現在もスタンダード環境を闊歩している。
デッキパワーは最強、対策も乗り越えるレベルだともっぱらの評判で、プロツアー地域予選でも意識しないわけにはいかないデッキとして君臨していた。先述のサイド後の弱さというものがない、これが「ラムナプ・レッド」の強さだと、巷では話題である。《反逆の先導者、チャンドラ》と《栄光をもたらすもの》をサイドインして骨太な中速デッキに切り替わる、という手法だ。
この夏の祭典の1つであったグランプリ・デンバー2017では、プロツアーで「ラムナプ・レッド」を狩る側のデッキを選択し準優勝だったサミュエル・パーディー/Samuel Pardeeが今度はこの赤単を使う側に回ってTOP8に入賞している。
やはりデッキパワーは高いのだろうか。彼の使用したリストで確かめてみることにした。
15 《山》 4 《ラムナプの遺跡》 4 《陽焼けした砂漠》 1 《屍肉あさりの地》 -土地(24)- 4 《ボーマットの急使》 4 《ファルケンラスの過食者》 3 《村の伝書士》 4 《地揺すりのケンラ》 3 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》 4 《アン一門の壊し屋》 4 《熱烈の神ハゾレト》 -クリーチャー(26)- |
4 《ショック》 4 《削剥》 2 《焼夷流》 -呪文(10)- |
2 《ピア・ナラー》 2 《栄光をもたらすもの》 2 《マグマのしぶき》 3 《焼けつく双陽》 1 《木端 // 微塵》 1 《霊気圏の収集艇》 4 《反逆の先導者、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
メインはすでに完成されているデッキなのでこれといったオリジナル要素はなく。サイドボードに3枚も採用された《焼けつく双陽》が特徴と言えば特徴か。苦手な相手「黒単ゾンビ」への対抗策を増やしている。
それじゃあ、これでMagic Onlineのリーグに参戦してみよう!
1回目
- × ティムール・エネルギー
- ○ 黒単ゾンビ
- ○ ティムール・エネルギー
- × 黒緑エネルギー
- × スゥルタイ・エネルギー
エネルギー系デッキのオンパレードだ。これらはハッキリ言ってキツい相手である。クリーチャーのサイズでは全く勝負にならず、早いターンに大型のクリーチャーを作られてしまうと、もう殴りに行くことができずに静かに敗北を迎える......そんな展開が目立った。
ティムール(青赤緑)は《逆毛ハイドラ》がどうしようもなく......これが出てこなければチャンドラなんかでなんとかできるかな......くらいしか望みがなかった。黒緑、そしてその亜種スゥルタイ(青黒緑)は《巻きつき蛇》に即対処できなければ、《歩行バリスタ》なんかで無茶苦茶にされてしまう。そして、これらの黒がらみのデッキは除去が強い! 《致命的な一押し》もさることながら、渾身の《熱烈の神ハゾレト》を《闇の掌握》1枚でサックリ処理されるのは涙が出た。
「黒単ゾンビ」に対して勝利できたのは、まさしく《焼けつく双陽》のおかげ、3枚あるのは非常に頼もしい。ここからチャンドラ&ドラゴンに繋げる動きができれば、相性差は覆せそうな気も。5ターン目にチャンドラ→[+1]能力で{R}{R}出して双陽という動きができた時の爽快感ときたら。
2回目
- × 黒単ゾンビ
- ○ 青黒コントロール
- ○ 《霊気貯蔵機》コンボ
- ○ 白緑トークン
- ○ ラムナプ・レッド
開幕の「黒単ゾンビ」相手には2ゲームとも土地を全く引けず、《リリアナの支配》を連打されどうしようもなく。「青黒コントロール」は黒い除去満載で《才気ある霊基体》《ゲトの裏切り者、カリタス》も採用されており、額面上は苦手なはずなのだが......引いているカードを投げつけているだけで、特に何かに苦しむことなく勝ててしまった。不思議。
このリーグはご覧の通り、メタゲームの上位には食い込んでこない、いわゆるローグと呼ばれる類のデッキと当たっており、そして「ラムナプ・レッド」はそれらのデッキがやりたいことをやる前に叩いて勝利できる。こういうところが強みだ。現環境の怪しいコンボなんかは大体アーティファクトに頼っており、それらに対して《削剥》が火を噴くのもイイネ。
3回目
地獄や...この世の地獄や......赤単斬るぞ系デッキの皆さんに絡まれ、何もできぬまま。「黒緑巻きつき蛇」戦のサンドバッグ具合がたまらなかった。除去もクリーチャーも強いって、一体どうしたら良いのだろうか。序盤は押せても除去で切り返されて、対戦相手の盤面が完成し投了。本当にこれを繰り返すだけだった。デッキコンセプトは異なるが、「スゥルタイ昂揚」も似たようなもの。気がつけば《墓後家蜘蛛、イシュカナ》やらなんやらが出てきて何もできなくなる。
「副陽コントロール」も除去が強く、頼みのハゾレトもはい《排斥》。あとサイド後の《威厳あるカラカル》! あれバケモン。あれ1枚で相当な戦力を削がれた上にモリモリとライフを回復され、気がつけば射程圏外からの《副陽の接近》逃げ切り。あちらが明確に「赤単を倒す」という意志に基づいて組まれているだけに、キツかった。
結論としては、今は対策デッキが隆盛真っただ中なので、いかに可変式サイドボードが強くても厳しいな、というところ。特に思ったのは《ショック》《焼夷流》の弱さ。プレイヤー本体に撃てるのは良いけど、特に《ショック》なんて同型以外ほとんど役に立たない、《導路の召使い》を焼くくらいか。ここを何か別のカードに代えられないのだろうか?
そんな疑問を抱いたところで......ここから先は、明日・明後日のコラムで話すとしよう。珍しく、3回まとめて1つのコラム、3部作だ!
(はじめての、つづく)
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