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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:「機体のカスタマイズ」(スタンダードまとめ)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:「機体のカスタマイズ」(スタンダードまとめ)
by 岩SHOW
「マルドゥ機体」がTOP8に6人。驚きの結果となったプロツアー『霊気紛争』からはや10日(執筆時)。このプロツアーの結果は、当コラムでも何度か触れたが、メタゲームの産物であり、「マルドゥ機体」が環境を支配してしまうような圧倒的に強いデッキというわけではない。相性の良い「コピーキャット」がトーナメントに多数参加していたため、これらを狩って上位に進出したのである。これからは強く意識されるデッキとして、決して平坦ではない道を歩むことになるのだろう。早速、グランプリ・ピッツバーグ2017ではTOP8に1名は送り出したものの、「黒緑巻きつき蛇」の群れに圧倒される形となった。
「マルドゥ機体」はデッキの細部がプレイヤーによって異なるものだ。今回はその点に注目し、これらを比較してこれからのあるべき形を模索するプレイヤーの参考になればな......という特別回となる。何せ、プロツアー前に「マルドゥ機体」を紹介しちゃったから、こうでもしないとプロツアー成績優秀デッキに触れられなくて......というリアルな話も織り交ぜつつ、それでは本編スタート。
3 《山》 3 《平地》 4 《感動的な眺望所》 1 《鋭い突端》 1 《燻る湿地》 1 《凶兆の廃墟》 4 《秘密の中庭》 2 《霊気拠点》 4 《産業の塔》 -土地(23)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《模範的な造り手》 3 《発明者の見習い》 4 《屑鉄場のたかり屋》 4 《経験豊富な操縦者》 2 《ピア・ナラー》 1 《異端聖戦士、サリア》 -クリーチャー(22)- |
2 《ショック》 4 《無許可の分解》 4 《キランの真意号》 2 《霊気圏の収集艇》 3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文(15)- |
1 《発明者の見習い》 2 《無私の霊魂》 1 《致命的な一押し》 1 《断片化》 1 《空鯨捕りの一撃》 2 《グレムリン解放》 1 《耕作者の荷馬車》 2 《領事の旗艦、スカイソブリン》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 1 《鋭い突端》 -サイドボード(15)- |
ということで、まずはプロツアー『霊気紛争』王者ルーカス・エスペル・ベルサウド/Lucas Esper Berthoudのデッキリストから。Aha!Uhu!と陽気な応援歌で人気者になった、彼はブラジル勢であり、同じ南米のアルゼンチンやチリ、そしてヨーロッパはポルトガルやスペインとも繋がりがあるチーム・コミュニティに属している。
同じコミュニティに属し、決勝戦で熱戦を繰り広げた対戦相手、マルシオ・カルヴァリョ/Márcio Carvalhoの使用したものと彼のデッキリストも微妙に異なるものであり、調整チーム内で「マルドゥ機体」を使うという結論には達したものの、フリースロットやサイドボードは各々のプレイヤーが自分に合ったものをチョイスしたようである。
王者ルーカスのチョイスは《発明者の見習い》を3枚搭載し合計11枚の1マナクリーチャーで1ターン目に動ける可能性を高めたものである。
また3マナのクリーチャーには《異端聖戦士、サリア》と《ピア・ナラー》を採用。相手の展開を妨害すること・最後の数点のダメージを強引にねじ込むことを重視した形となる。
除去のチョイスは《無許可の分解》......これは機体デッキの最も強いカードでもあり、他のデッキに扱えない武器なので今日紹介するデッキはすべて4枚積みだ。さらに追加の除去として《ショック》を優先している。
《サヒーリ・ライ》に撃ち込んで、《守護フェリダー》とのコンボを妨害することを重視したのだろう。《致命的な一押し》はサイドに1枚のみと、今回紹介するデッキの中では最も少ない枚数となっている。
メインには《キランの真意号》の追加の機体として《霊気圏の収集艇》を採用。決勝ラウンドでもこれがダメージレースを制する光景が見られた。機体同型を相手にする際には間違いなく役に立つカードである。
3 《平地》 4 《感動的な眺望所》 4 《秘密の中庭》 4 《尖塔断の運河》 3 《霊気拠点》 4 《産業の塔》 -土地(22)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《模範的な造り手》 1 《発明者の見習い》 4 《屑鉄場のたかり屋》 4 《経験豊富な操縦者》 2 《模範操縦士、デパラ》 -クリーチャー(19)- |
4 《致命的な一押し》 1 《発火器具》 4 《無許可の分解》 4 《キランの真意号》 3 《耕作者の荷馬車》 3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文(19)- |
2 《呪文捕らえ》 2 《断片化》 2 《ショック》 3 《金属の叱責》 2 《苦い真理》 1 《空鯨捕りの一撃》 2 《燻蒸》 1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -サイドボード(15)- |
カナダのエドゥアルド・サイガリク/Eduardo SajgalikもプロツアーTOP8に名を連ねた爆走野郎(機体デッキを使用するプレイヤー)の1人である。彼のリストは《発明者の見習い》は1枚に抑え、3マナ域は《模範操縦士、デパラ》でアドバンテージを取ることを重視。
除去呪文も《ショック》よりも確実性の高い《致命的な一押し》を4枚フル投入。機体同型のみならず、「黒緑巻きつき蛇」などその他の軽量クリーチャーを用いるデッキとの除去合戦に負けない作りとなっている。
その分《サヒーリ・ライ》に対して下がったガードを、《発火器具》にて上昇させている。《模範的な作り手》《産業の塔》の能力のためのアーティファクトカウントも稼げるという寸法だ。
追加機体は《耕作者の荷馬車》。これには理由があって、このリストはサイドボードに打ち消し呪文を取る4色型だからだ。そのため土地にも《尖塔断の運河》が採用されているのが純正マルドゥ(赤白黒)との違いだ。
青のカードで用いるのは《金属の叱責》《呪文捕らえ》。これらは特に先手のゲームで真価を発揮する。同型相手にもこちらだけクリーチャーや機体がある、いわゆるマウント状態を維持する助けになるし、全体除去やコンボを阻害したりと大活躍。ただ、その分運用は難しくなってはいるけどね。
同様のデッキを用いてプロツアー『カラデシュ』TOP8を勝ち取ったこのデッキのスペシャリスト、李詩天(リー・シー・ティエン)と同じチームであるので、この4色型のチョイスには納得。
3 《山》 3 《平地》 4 《感動的な眺望所》 1 《鋭い突端》 1 《凶兆の廃墟》 1 《燻る湿地》 4 《秘密の中庭》 2 《霊気拠点》 4 《産業の塔》 -土地(23)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《模範的な造り手》 4 《屑鉄場のたかり屋》 4 《経験豊富な操縦者》 2 《模範操縦士、デパラ》 2 《ピア・ナラー》 -クリーチャー(20)- |
3 《致命的な一押し》 4 《無許可の分解》 4 《キランの真意号》 2 《耕作者の荷馬車》 1 《霊気圏の収集艇》 3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文(17)- |
4 《発明者の見習い》 1 《致命的な一押し》 2 《グレムリン解放》 1 《霊気圏の収集艇》 1 《耕作者の荷馬車》 2 《領事の旗艦、スカイソブリン》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 1 《鋭い突端》 -サイドボード(15)- |
こちらはMagic Online Championships Seriesにて7勝1敗のデッキ。ルーカスのアグレッシブな型とエドゥアルドの4色型、その両者のリストを合わせたかのようなリストが特徴的だ。4色ではないが、色マナを安定させる《耕作者の荷馬車》を採用、3マナクリーチャーは《ピア・ナラー》と《模範操縦士、デパラ》で押し込みもアドバンテージも両方いただく貪欲さ。
このデッキはサイド後にさらに1段階ギアを上げることができる。《発明者の見習い》4枚を投入して、1ターン目に何が何でもクリーチャーを出してそのまま走り切る、ホットなカスタマイズを施そう!
1 《山》 1 《平地》 4 《感動的な眺望所》 1 《鋭い突端》 4 《秘密の中庭》 1 《乱脈な気孔》 4 《尖塔断の運河》 4 《霊気拠点》 4 《産業の塔》 -土地(24)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《模範的な造り手》 4 《屑鉄場のたかり屋》 2 《経験豊富な操縦者》 3 《ピア・ナラー》 2 《異端聖戦士、サリア》 -クリーチャー(19)- |
4 《致命的な一押し》 4 《無許可の分解》 4 《キランの真意号》 1 《霊気圏の収集艇》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文(17)- |
2 《ショック》 4 《金属の叱責》 2 《空鯨捕りの一撃》 4 《グレムリン解放》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
こちらは先日Magic Onlineのリーグ戦にて勝っていた山ほどある「マルドゥ機体」のリストの中でも、その様相が他と少し異なるものをピックアップ。
注目してほしい点は3つ。まず1つは、《経験豊富な操縦者》の枚数が2枚に抑えられていること。機体デッキには当たり前のように4枚積みされているこのカード、ごくまれにこのように枚数を削っているリストを見ることがある。
プロツアーでは日本のチーム「Musashi」のメンバーがこれを0枚にしたデッキを用いていたが、結果としては失敗だったと市川ユウキ本人が語っている記事があるのでそちらも絶対にチェック! 今すぐ読もう!
話は戻って、この機体のサイズを上昇させつつ占術で質的なアドバンテージをもたらすドワーフ、果たしてデッキ内の枚数は減らして良いものなのかどうか......オカルトな話だが、4枚だと事故りまくる!なんて人がこうやって枚数を削っているのかもしれない......まあ4枚が一番安定することだけは間違いない。
操縦者が削られた分、何が増えているのかが第2の注目ポイント。今日紹介した他のデッキも含め、大半のデッキでメイン3:サイド1という形で運用している《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》がメインに4枚採用される形となっている。
サイドのギデオンは結構な確率でサイドインされるカードなので、だったらもうメイン4枚で、だぶついたらしんどい相手と当たった時だけ抜く、という方がスマートなのかもしれない。実際にこれ以外でもギデオン4枚型のリストも結果を残しており(先に挙げたMusashi型もそうだ)、現環境最強のプレインズウォーカーを絶対に4ターン目に戦場に出す、という鉄の意志はこれから同型の海などを泳ぎ切る際に重要になってくるかもしれない。
3つ目のポイントは土地構成。《鋭い突端》に加えて、《乱脈な気孔》というクリーチャー化する土地を採用することで全体除去への耐性を上昇させ、絆魂によってダメージレースに勝つ要素も増量させている。これはプロツアーTOP8(実に11回目!)のパウロ・ヴィタ―・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosaも用いていたテクニックだ。
またこのデッキリストは基本土地を各々1枚に抑えて、《霊気拠点》をフル投入しているのも珍しい点。
「マルドゥ機体」のマナベースは非常にデリケートなもので、バランスが悪いと欲しいマナが全く得られない色事故を引き起こしてしまう。このデッキでは「エネルギーが切れたら、また補充すればいい」という精神のもと、エネルギーがなければ無色土地に成り下がってしまう《霊気拠点》、同じくアーティファクトがなければ色マナを生み出せない《産業の塔》を合わせて8枚採用。リスクよりもリターンを狙った形になる。
あとはオマケで4つ目、サイドボードの《グレムリン解放》4枚はイイネ!他所のマシンは出走前に潰しておくという、徹底して勝ちに行く姿勢が出ててこういうサイドボードは好きだなぁ。
こうして4つ取り上げただけでも異なる側面が見える機体デッキ。君も自分だけのカスタマイズを見つけだし、速さの向こう側を目指せ!ぶっちぎるぜ!Aha!Uhu!
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