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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:黒緑昂揚(現在のMagic Onlineのスタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:黒緑昂揚(現在のMagic Onlineのスタンダード)
by 岩SHOW
この回が世に出るころには、『霊気紛争』が発売され、皆は真っさらなスタンダード環境を楽しんでいることだろう。ただ、執筆時はまだ発売前。いつもなら「書くこと(読んでもらえること)スタンダードにないやん!」となって別フォーマットや昔のスタンダードデッキを紹介するところだが......今回はちょっとわけが違う。
久方ぶりにスタンダードに禁止カードが制定された。これにより、1月20日付で《反射魔道士》《密輸人の回転翼機》《約束された終末、エムラクール》がスタンダードで使用不可となるのだが......実は、Magic Onlineでは一足先に(1月11日から)これらのカードが使用不可となっている。つまり、Magic Onlineは禁止カードあり・『霊気紛争』の新カードなしという、ここでしか遊ぶことができない特殊なスタンダードを体験できる場となっているのだ!
おそらくは、『霊気紛争』発売に先駆けて、どんなデッキ・カードに可能性がもたらされたのかを確認する期間として設けられたのではないかな~なんて思っている。今回と次回は、そんな限られた期間だけ存在する環境で勝利したデッキを紹介しよう。リーグ全勝デッキの中から、「黒緑昂揚」をピックアップ!
7 《森》 7 《沼》 4 《花盛りの湿地》 4 《風切る泥沼》 1 《進化する未開地》 -土地(23)- 4 《残忍な剥ぎ取り》 2 《不屈の追跡者》 1 《巡礼者の目》 3 《精神壊しの悪魔》 1 《ゲトの裏切り者、カリタス》 3 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 2 《害悪の機械巨人》 -クリーチャー(16)- |
4 《ウルヴェンワルド横断》 3 《発生の器》 4 《闇の掌握》 3 《過去との取り組み》 1 《殺害》 1 《破滅の道》 1 《餌食》 4 《最後の望み、リリアナ》 -呪文(21)- |
1 《不屈の追跡者》 1 《ゲトの裏切り者、カリタス》 1 《死の重み》 1 《自然のままに》 4 《精神背信》 2 《鞭打つ触手》 2 《知恵の拝借》 1 《人工物への興味》 1 《餌食》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 -サイドボード(15)- |
「黒緑昂揚」はこの度の改訂で《約束された終末、エムラクール》を失った。かつての昂揚デッキのリストを見て「とは言え、たった1枚しか採用されていないカードでしょ?」と思われる方もいるかもしれない。ただ、この1枚が強かった......《ウルヴェンワルド横断》によりサーチしてこられるので、デッキには実質5枚も入っているようなものだった。
唱えるのに十分なマナと墓地が準備できたら、サッと探してポンと唱えて、それで対戦相手の次のターンのコントロールを奪ったら後は戦場や手札に大損害を与えて、それで決着。マジックでは「1対X交換」という表現が日常的に用いられているが、最大効率で働いた時にはそんな値で計り知れないだけの壊滅的なダメージを与えることができたのだ......しかもエムラクールを唱えた時に誘発する能力なので、0対Xとまで言って良い。とにかく、《鬱後家蜘蛛、イシュカナ》で盤面を固めて睨み合ってからのエムラクール、これがコントロール寄りの昂揚デッキでは必勝パターンだった。
それから昂揚デッキにはもう1つ、「アグロ・デリリウム」という軽量のカードを用いて攻めに特化したものがあった。こちらは重いエムラクールは用いないが、打点と墓地肥やしの両方の仕事を担う《密輸人の回転翼機》が失われて組みづらくなってしまった。このデッキの攻め攻め感は好きだったんだけどな。昂揚するまでは回転翼機に乗る《残忍な剥ぎ取り》という構図がなんかツボだった。
さて、それら強力パーツを失い、形を変えることを余儀なくされた「黒緑昂揚」。一体どんな形になったのかというと......実は、大きく姿かたちを変えているわけではなく。「こういうリスト、前にも見たことあるよ」というものにまとまっている。まあ、新カードがないからそりゃそうか。元々のデッキが強力なものであり、また墓地を耕すカード・それにより恩恵を受けるカードと、カード1枚1枚が噛み合って作られているデッキなので、パーツをごそっと交換する......というわけにもいかないものなのだ。
このデッキでは従来の中速の昂揚デッキのエムラクールの枠を《害悪の機械巨人》2枚目と差し替える形となっている。クリーチャーを破壊し、ライフを回復させてくれる頼りになるクリーチャーであり、アーティファクトでもあるので墓地のカードの種類を増やして昂揚を推し進めてくれるという素晴らしいカードだ。これと《精神壊しの悪魔》という中型ながらパワーは十分なアタッカーを用いて、盤面のコントロールを握ってからは息もつかせず殴って終了!というわけだ。
「黒緑昂揚」は弱体化はしたが大きく変わらなかったよ、ということを伝えたかったが、これだと少々ボリューム不足かな?と思うのでボーナストラック的にもうひとつデッキを簡潔に紹介して終わりとしよう。この期間に活躍したデッキに触れる、なんてことは今後もうないだろうしね。それでは、コガモこと我らが日本の殿堂顕彰者・津村健志が使用していたのはこのデッキだ!
8 《島》 6 《山》 4 《尖塔断の運河》 4 《さまよう噴気孔》 4 《霊気拠点》 -土地(26)- 3 《奔流の機械巨人》 -クリーチャー(3)- |
4 《流電砲撃》 4 《予期》 4 《蓄霊稲妻》 4 《革命的拒絶》 2 《否認》 4 《虚空の粉砕》 2 《電招の塔》 4 《天才の片鱗》 2 《炎の鞭打ち》 1 《疑惑の裏付け》 -呪文(31)- |
1 《竜使いののけ者》 4 《稲妻織り》 3 《両手撃ち》 1 《儀礼的拒否》 2 《否認》 2 《熱病の幻視》 1 《即時却下》 1 《秘密の解明者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
プロツアー『カラデシュ』TOP8の記憶も新しいピエール・ダジャン/Pierre Dagenの「青赤電招」の調整版といったところか。
できれば複数枚引いて手札でだぶつかせるということはしたくないカードである《電招の塔》の枚数を2枚に抑えて、《奔流の機械巨人》を増量。こちらは固め引いても連打で勝利することのできるカードであり、どちらかと言えば《電招の塔》がサブプラン的な位置づけになっている。このデッキは失うものもなく、そのまま平常運転が可能だ。
打ち消し呪文を満載にすることで狩っていた《霊気池の驚異》系デッキがパワーダウンしてその数を減らす(かもしれない)のはマイナスポイントかもしれないが、『霊気紛争』環境でもその姿を見る可能性は高い。《不許可》《金属の叱責》と打ち消し呪文が強化され、《遵法長、バラル》により呪文を連打して《電招の塔》がエネルギーを大量生産!そして《バラルの巧技》で戦場に出てしまったパーマネントにも対処が可能になったと、ちょっと強化をされたデッキじゃないかなぁと。発売前に期待しているんだけども、どうかなぁ~? 結果外してても、笑わないでね!
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