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市川ユウキの「プロツアー参戦記」
市川ユウキの「プロツアー参戦記」 プロツアー『異界月』 前編
市川ユウキの「プロツアー参戦記」 プロツアー『異界月』 前編
こんにちは!Team Cygames所属の市川です。
今回もプロツアーに向けての調整記/大会レポートを綴って行こうと思います。
今回は8月5日~7日にかけて行われましたプロツアー『異界月』に向けての調整記をお送りします。よろしくお願いします。
0.プロツアーに向けて/目標
シーズン最後のプロツアーと言うこともあり、目標は漠然としたものではなく、明確に、具体的にする必要があります。
前回の記事では「ゴールドレベル維持」を目標としていましたが、GP台北16での優勝もあり、ゴールドレベルのボーダーとなるプロポイント33点はゆうに超えて、目標はプラチナレベルに到達する......
あっ!忘れていました!筆者市川、遅ればせながらここにグランプリ・台北2016優勝を報告いたします!
グランプリの優勝は昨年度のグランプリ・上海2015以来2度目となるのですが、やはり優勝は格別ですね。
使用デッキは基本的に自分で調整したデッキを持ち込む筆者にしては珍しく、アメリカのプロプレイヤー、ブライアン・ブラウン=デュイン/Brian Braun-Duinがグランプリ・コスタリカ2016で使用したバント・カンパニーの75枚コピーでした。
4 《森》 3 《平地》 1 《島》 1 《荒地》 3 《梢の眺望》 4 《大草原の川》 4 《ヤヴィマヤの沿岸》 2 《伐採地の滝》 4 《進化する未開地》 -土地(26)- 4 《薄暮見の徴募兵》 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《森の代言者》 4 《反射魔道士》 4 《不屈の追跡者》 3 《変位エルドラージ》 2 《巨森の予見者、ニッサ》 -クリーチャー(25)- |
4 《ドロモカの命令》 4 《集合した中隊》 1 《オジュタイの命令》 -呪文(9)- |
4 《ラムホルトの平和主義者》 1 《巨森の予見者、ニッサ》 3 《否認》 2 《石の宣告》 2 《オジュタイの命令》 3 《悲劇的な傲慢》 -サイドボード(15)- |
メインデッキはスタンダードを練習し始めた時からビビっと来たので1枚も変えず、サイドボードはいろいろと試行錯誤してみたのですが、やはりオリジナルが一番しっくり来たので結局75枚同じリストに。
デッキリストをガチャガチャ弄ったり、サイドボードを奇抜なものに変えることも調整ですが、またそれに満足しているのであれば、変えないことも調整と見つけたり......。
ぶつぶつぶつ......。あっ!話が脱線してしまいました。
GP台北16を優勝して私の通算プロポイントは39点。
あと1点あればプロツアー『異界月』で11勝5敗=10点でプラチナレベルのボーダーに届いたんだけどなぁと絵に描いた餅を想像しながらも、プロツアーでの目標は11勝4敗1分でのプロポイント11点。
ただ、目標とする4敗はトップ8の可能性があるラインのため、IDによる引き分けというのは、ほとんど選択できないのが実情です。
つまり12勝4敗=ほぼプロツアートップ8でなければプラチナレベルには到達できないという試算になります。
やはり厳しいプラチナレベル。ただ、GP台北で優勝したこと自体想定外のことでしたし、プラチナレベルに到達できなかったからといって、何かを失うわけでもありません。
ですので、怯む必要は一切なし!心地いい緊張感を胸にプロツアーへの準備を始めました。
1.発売前~発売週
バント・カンパニーの強化
まずはこれでしょう、全体除去への耐性や、3ターン目に《不屈の追跡者》を出しやすい&守れる《無私の霊魂》。
また、クリーチャーに触れないデッキでは飛んでいる&軽い《神秘の蛇》となる《呪文捕らえ》。
その他《異端聖戦士、サリア》、《首絞め》など、贅沢にパーツを選べるようになったバント・カンパニー。
大幅に強化された前環境覇者は、発売週に開催された大型イベントStarCityGames.com Standard Openを威風堂々と、当たり前のように優勝しました。
3 《森》 5 《平地》 1 《島》 3 《梢の眺望》 4 《大草原の川》 3 《ヤヴィマヤの沿岸》 2 《伐採地の滝》 4 《進化する未開地》 -土地(25)- 4 《無私の霊魂》 4 《森の代言者》 3 《薄暮見の徴募兵》 4 《反射魔道士》 4 《呪文捕らえ》 3 《異端聖戦士、サリア》 3 《不屈の追跡者》 2 《大天使アヴァシン》 -クリーチャー(27)- |
4 《ドロモカの命令》 4 《集合した中隊》 -呪文(8)- |
3 《ラムホルトの平和主義者》 2 《巨森の予見者、ニッサ》 1 《不屈の追跡者》 2 《石の宣告》 2 《否認》 2 《オジュタイの命令》 2 《悲劇的な傲慢》 1 《次元の激高》 -サイドボード(15)- |
使用するプレイヤーが多い=試行回数が多い=デッキが最適化されやすいの法則で、プロツアーまでの2週間前後での伸びしろも多く感じられ、本戦での使用数も間違いなく最多になるだろうと予想。
「バント・カンパニーに強い」か「バント・カンパニー」を使うかの2択だろうなとこの時は考えていました。
天使デッキ?
8 《沼》 5 《平地》 4 《コイロスの洞窟》 4 《乱脈な気孔》 4 《放棄された聖域》 1 《ガイアー岬の療養所》 -土地(26)- 3 《折れた刃、ギセラ》 2 《ゲトの裏切り者、カリタス》 2 《サリアの槍騎兵》 1 《大天使アヴァシン》 1 《保護者、リンヴァーラ》 1 《消えゆく光、ブルーナ》 -クリーチャー(10)- |
2 《強迫》 4 《闇の掌握》 2 《究極の価格》 1 《神聖な協力》 3 《骨読み》 3 《破滅の道》 1 《苦渋の破棄》 3 《衰滅》 2 《最後の望み、リリアナ》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 2 《死の宿敵、ソリン》 -呪文(24)- |
1 《フェリダーの仔》 1 《消えゆく光、ブルーナ》 2 《死の重み》 1 《強迫》 3 《精神背信》 1 《集団的蛮行》 2 《鞭打つ触手》 1 《苦渋の破棄》 1 《骨読み》 1 《次元の激高》 1 《最後の望み、リリアナ》 -サイドボード(15)- |
《サリアの槍騎兵》を軸に据え、各種伝説カードを場面に応じてサーチする白黒コントロール。《サリアの槍騎兵》を使うという発想が私には全く無かったのでこれは目から鱗!
アドバンテージを取りやすいデッキが個人的に好きなこともあって《ヴリンの神童、ジェイス》をタッチしたエスパーカラーでテストを開始。
友好3色で組まれるデッキの理想的な土地の置き方は1ターン目基本土地(《進化する未開地》)、2ターン目基本土地で2マナの行動、3ターン目以降は《窪み渓谷》や《大草原の川》などのバトルランドでそのマナ域のカードをプレイする形でしょう。
その動きと対戦相手の《異端聖戦士、サリア》の噛み合いたるや。
序盤にバトルランドを置くと2ターン目に行動できなかったり、《進化する未開地》を消化することができなかったりしますので、土地の置き方で《異端聖戦士、サリア》をケアすることは友好3色のデッキでは不可能です。
ですので、デッキの構造上《異端聖戦士、サリア》には手も足も出ない。
また、単純に《サリアの槍騎兵》から伝説カードを持ってくる動きが特段強い動きではないという本末転倒なことにも気づいて、あれやこれやと試してはみましたが結局没に。
昂揚デッキの可能性
昂揚していたら素晴らしいコストパフォーマンスを発揮する《墓後家蜘蛛、イシュカナ》。
また、ミッドレンジデッキの新しいゴールとなるだろう《約束された終末、エムラクール》。
この2枚を主軸とした昂揚デッキは可能性を感じさせます。
また、《最後の望み、リリアナ》や《残忍な剥ぎ取り》など、脇を固めるカードもかなり選べる状態。
使えるカードの選択肢ではバント・カンパニーより豊富でしょうか。
とりあえず試してみたい!ということでプロツアーの前週に行われたBIG MAGIC Openに、調整仲間のプロツアー『戦乱のゼンディカー』優勝者瀧村和幸さんと、グランプリ・東京2016でトップ8に入りプロツアー『異界月』に参戦する加藤健介さんとリストを共有して出てみることに。
4 《沼》 4 《森》 1 《島》 3 《ラノワールの荒原》 4 《風切る泥沼》 4 《窪み渓谷》 1 《詰まった河口》 1 《ヤヴィマヤの沿岸》 4 《進化する未開地》 -土地(26)- 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《森の代言者》 2 《棲み家の防御者》 2 《巨森の予見者、ニッサ》 1 《約束された終末、エムラクール》 1 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 2 《龍王シルムガル》 -クリーチャー(16)- |
2 《ウルヴェンワルド横断》 3 《闇の掌握》 2 《精神背信》 2 《究極の価格》 1 《破滅の道》 3 《衰滅》 1 《シルムガルの命令》 3 《最後の望み、リリアナ》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 -呪文(18)- |
1 《苛性イモムシ》 2 《ゲトの裏切り者、カリタス》 2 《死の重み》 1 《空への斉射》 1 《強迫》 2 《否認》 2 《精神背信》 1 《破滅の道》 1 《悪性の疫病》 1 《闇の誓願》 1 《過ぎ去った季節》 -サイドボード(15)- |
ベースは私がグランプリ・東京で使用したスゥルタイ季節(参考)です。
もちろん《残忍な剥ぎ取り》を主軸に置いた形も試してみたんですが、
《残忍な剥ぎ取り》の後手番の弱さ
アタックできるターンには相手の場には2体程度クリーチャーがいるので、除去1枚では突破できない。
昂揚用にメインに弱いカードを採用しなければならない。
などが気になり結局没に。
昂揚カードが2枚の《ウルヴェンワルド横断》と1枚の《墓後家蜘蛛、イシュカナ》だけと、「昂揚できたら強いけど、別にできなくても良い」みたいな欲張り構成に。
結果は......?
- 1R 青赤ミッドレンジ ○○
- 2R スゥルタイコントロール ○○
- 3R 失念しました ○○
- 4R 白黒コントロール ××
- 5R バント・カンパニー ○○
- 6R 赤緑ランプ ○×○
- 7R スゥルタイ現出 ○×○
- 8R バント人間カンパニー ○○
- 9R バント・カンパニー ××
※記憶の彼方から掘り起こしているのでマッチングの順番などに自信なし
と、結果は7勝2敗とまずまず。
ただ、結果に反して感想はあまり良くないもので......。
バント・カンパニーキツすぎぃ!
最終ラウンドで当たったのがプロツアートップ8経験もある強豪、永井守さんだったのですが、やはりしっかりしたプレイヤーが使うバント・カンパニーには不利が付くなという感想。
ソーサリータイミングの除去デッキであること、《衰滅》のような大ぶりなアクションを《呪文捕らえ》で対応されてしまうとそれだけで敗色濃厚になってしまうことなど、またデッキがいかにも普通のスゥルタイデッキであることから相手がプレイミスしづらいことなどが起因しています。
私が挑むのはプロツアー。
対戦相手も強豪ばかり、昂揚デッキがどうかはまだ未知数ではありますが、少なくともこの形で発展させていったとしてもバント・カンパニーに有利は付かないだろうと結論付けました。
一緒に出場した瀧村さん、加藤さんも6勝3敗、5勝3敗1分と勝ち越しはしましたが優れたスコアではなかったため、とりあえずこのデッキはお蔵入りに。
鬼才との出会い
5 《森》 5 《島》 3 《ヤヴィマヤの沿岸》 4 《伐採地の滝》 2 《窪み渓谷》 4 《進化する未開地》 -土地(23)- 4 《首絞め》 4 《秘蔵の縫合体》 4 《縫い翼のスカーブ》 2 《改良された縫い翼》 3 《老いたる深海鬼》 3 《厄介な船沈め》 -クリーチャー(20)- |
4 《群れの結集》 4 《過去との取り組み》 4 《棚卸し》 4 《コジレックの帰還》 1 《墓所粛正》 -呪文(17)- |
4 《ヴリンの神童、ジェイス》 2 《巨森の予見者、ニッサ》 1 《州民を滅ぼすもの》 1 《約束された終末、エムラクール》 3 《払拭》 1 《ナヒリの怒り》 2 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》 1 《山》 -サイドボード(15)- |
「デッキの完成度が40%程度だが、コンセプトが強過ぎて勝ってしまう。」
と、不敵な笑みを浮かべる鬼才浅原晃。
《秘蔵の縫合体》を生け贄に捧げながら《老いたる深海鬼》をキャスト。
《コジレックの帰還》が誘発して相手の盤面を一掃しながら相手の土地も《老いたる深海鬼》でタップ。
生け贄に捧げた《秘蔵の縫合体》は《縫い翼のスカーブ》とともに墓地から戻って来て......。
まさに奇想天外な動きをする浅原晃スペシャルに私と瀧村さんも一目ぼれ。
翌日、製作者本人にアドバイスをもらいながら(デッキに入りそうだと思うカードをポケットに入れて持参していました)デッキを調整することに。
4 《島》 3 《森》 1 《山》 4 《ヤヴィマヤの沿岸》 4 《伐採地の滝》 3 《ウギンの聖域》 4 《進化する未開地》 -土地(23)- 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《首絞め》 4 《秘蔵の縫合体》 4 《縫い翼のスカーブ》 2 《改良された縫い翼》 2 《不憫なグリフ》 4 《老いたる深海鬼》 1 《州民を滅ぼすもの》 -クリーチャー(25)- |
4 《群れの結集》 4 《過去との取り組み》 4 《コジレックの帰還》 -呪文(12)- |
「手元に無かったので入っていなかった」(本人談)《ウギンの聖域》、その他回収できる呪文が実質《群れの結集》と《過去との取り組み》だけだったため安定性に欠ける《厄介な船沈め》を1マナ軽い《不憫なグリフ》に。
《不憫なグリフ》は《縫い翼のスカーブ》と相性が良く、4ターン目に《縫い翼のスカーブ》を2マナで釣り上げながら、《不憫なグリフ》キャスト、《コジレックの帰還》を誘発させるなど、スピード勝負になりうるビートダウンデッキなどへの耐性を持ちます。
これでとうとう完成度100%か?! とりあえず目の前にいる八十岡翔太(一緒に調整会を行っていました、お宅もお借りしていました。)のバント・カンパニーと対戦だ!
あれ......?
最初の方はバンバン勝て、プロツアーのデッキはこれで決まりだ!と騒いでいましたが、対戦数を重ねるにつれてドンドンと勝率が下がっていきました。
このマッチアップの肝は《コジレックの帰還》です。
相手が戦線を広げ、殴り切る前に《コジレックの帰還》を墓地から誘発させて盤面を一掃させなければなりません。
まず障害第一。
《無私の霊魂》が戦場にいる状態で《コジレックの帰還》を誘発させると、それを使うか使わないか決める前に対戦相手は《無私の霊魂》を生け贄に捧げないといけません。
これだけ聞くと主導権はこちらにあるように感じられますが、対戦相手が盤面的に押し込んでいるときは別です。
その一回のタイムラグがゲームを決めかねません。
また、もう一度誘発させるためには2枚目の現出クリーチャーを引いていなければならない関係上、こちらのドローが悪いとそれだけで敗北必至です。
障害第二。
《森の代言者》に《ドロモカの命令》で+1/+1カウンターを載せたり、《不屈の追跡者》が手掛かりを生け贄に捧げ続けたことによってタフネス6以上になると、《コジレックの帰還》で一掃できなくなります。
《老いたる深海鬼》などで一時的に盤面を押し留めることは可能ですが、逆に《コジレックの帰還》で流せないとなると、押し留めても回答が入っていないと同義。
《無私の霊魂》で1ターン稼ぎ出し、《森の代言者》や《不屈の追跡者》をもりもりと育てる。
このゲーム展開で負け続け、バント・カンパニーへの勝率は最終的に3~4割程度に激減。
これは......いよいよダメなのか。
強過ぎるバント・カンパニー、わかっていたがこれほどまでとは......。
>「バント・カンパニーに強い」か「バント・カンパニー」を使うかの2択だろうなとこの時は考えていました。
思い返される所見。これはいよいよ「バント・カンパニー」を使う選択をする時が来たのか......。
この時プロツアーの1週間前。
私はバント・カンパニーでMO(Magic Online)に籠り始めました。
2.バント・カンパニーを考える。
下地
一番選択の幅があるのは2マナのクリーチャーです。
これがデッキのマナベースを決めますし、デッキの大まかな構成まで構築するでしょう。
3色デッキのマナベース的に、2マナ域に全色のクリーチャーを入れる形は良しとしません。
1ターン目に置く土地や、《進化する未開地》で持ってくる土地によって裏目が発生してはならないからです。
つまり、《無私の霊魂》と《森の代言者》と《ヴリンの神童、ジェイス》を4:4:4と採用した形は望ましくないと言うことです。
2色タッチ1色の形で構成を模索しました。
《森の代言者》と《薄暮見の徴募兵》と優秀な2マナクリーチャーを8枚投入できる緑は主軸になるのは確定です。
特に《薄暮見の徴募兵》は同型戦での《呪文捕らえ》を変身で牽制することができるので、前環境と比べて評価が上がりました。
白緑型
《無私の霊魂》を入れたらデッキが緑と白に寄りますので、2枚くらい《大天使アヴァシン》が入れられます。
前述したSCGで優勝した形はこれですね、また一番ポピュラーな形でもあります。
ただ、一番ポピュラーなだけにこの形は一番対策されるだろうと考えました。
《最後の望み、リリアナ》で《無私の霊魂》は除去されてしまいますし、《衰滅》や《闇の掌握》などのマイナス修整での除去に対応できません。また、《ヴリンの神童、ジェイス》が入っていない分アドバンテージ勝負で弱くなっているため、黒を軸とした除去コントロールへの不安が残ります。
青緑型
となると、2マナ域に《ヴリンの神童、ジェイス》を入れて青緑に寄せた形はどうでしょう。
3マナ域に《跳ねる混成体》と、白緑型では《大天使アヴァシン》が入っているスロットに《老いたる深海鬼》を2枚程度。
《跳ねる混成体》と《老いたる深海鬼》の瞬足能力が《衰滅》などの全体除去に強く、また《ゲトの裏切り者、カリタス》や対戦相手の《老いたる深海鬼》などのバント・カンパニーが対処困難なクリーチャーを一時的に回避することができ、「バント・カンパニーを対策して来たデッキに強いバント・カンパニー」と言える構成です。
とすれば同型戦で弱くなるのは当然の話で。
飛行クリーチャーが入っていないため膠着戦に弱く、得てして同型戦は膠着します。
《老いたる深海鬼》でクリーチャーを4体タップすることは可能ですが、地上クリーチャーを4体寝かせたところで致死ダメージはなかなか入りません。
一番多いだろう同型戦で不利となると食指は動かず。
変位型
原点に立ち返ろう。
と、私がGP台北を優勝した《変位エルドラージ》型。
新しいカードはほぼほぼ入りませんが、同型戦での強さは折り紙付きです。
特に対戦相手が繰り出す《呪文捕らえ》に対して《変位エルドラージ》は完璧の回答です。
《変位エルドラージ》で《呪文捕らえ》をブリンクすると、《呪文捕らえ》の「戦場に出たとき」の誘発時にはまだ《呪文捕らえ》に追放されていた呪文は唱えていないため、呪文を救い出すことができます。
黒系の除去コントロールに対しても、青緑型ほどではないですが戦えないわけでもないですし、一番バランスが良い形に思えます。
とうとう来たか!これがベストデッキか!?
『異界月』きってのパワーカード、《老いたる深海鬼》。
プロツアーでも一定数使われることが予想されますが、このデッキは全くと言って良いほど耐性がありません。
スロットの関係から《呪文捕らえ》や《跳ねる混成体》などの軽量な瞬速クリーチャーを大量に採用できませんし、マナベースの関係から《大天使アヴァシン》や《老いたる深海鬼》も取れません。
そのため、こちらのアップキープに《老いたる深海鬼》が出て来たら概ね4枚の土地を寝かされて何もできず。
《呪文捕らえ》や《大天使アヴァシン》のような飛行クリーチャーもいませんし、《跳ねる混成体》や《老いたる深海鬼》などの盤面のクリーチャーを一時的に対処するクリーチャーも《反射魔道士》だけと、5/6と言うボディにビタ止まり。
想定内の「バント・カンパニー同型」「黒系の除去コントロール」には強い構成ですが、想定外の「《老いたる深海鬼》デッキ」には不利だろうと言う結論に。
つまり
「彼方を立てれば此方が立たず」
どの形も長所はあるが短所もある。
最適解と言えるような形は無く、イマイチ踏み切れない。
一体どれが良いのか......と頭の中を様々な形のバント・カンパニーが駆け巡っていたらもう出発前日。
まずい......まずいー!! と思いつつもやらないよりはマシかとMOでバント・カンパニーで練習。
そこで突如眼前に現れた新デッキ。
まさかこれが運命の出会いとなるなんて......!!
と、いうことで前編はこれにて終了!
後編はプロツアーで使用したデッキの解説から、大会レポートをお送りしたいと思います。
お楽しみに!
市川
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