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Magic Story -未踏世界の物語-
プレインズウォーカー達の現状2015
プレインズウォーカー達の現状2015
Mel Li / Tr. Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori
2015年8月19日
マジックの物語の多くは広大な時間と空間の至る所で繰り広げられ、そこにはおびただしい別個の事象や人物が満ちています。多元宇宙の無数の場所を舞台とする、永遠にも及ぶ壮大な物語です。そんな中には多元宇宙の様々な場所を行き来することができる者達が存在します――それがプレインズウォーカーです。そういったプレインズウォーカー達は皆、少なからぬ力を振るいますが、彼らはまた素晴らしい個々の、進行する歴史を持つキャラクターでもあります。今日は少しだけ時間をとって振り返ってみましょう、その冒険がその者達を何処に連れて行ったのか、そして何処へ向かおうとしているのかを。
前回に「現状」を確認してから一年以上が経過し、それ以来とても多くのことが起こりました。私達は好戦的なカン達が統べる過酷な未開地を、作り変えられた時間軸を、龍が統べる世界を、獣の如き殺人者の歩みを見てきました。そして時に忘れられかけた古の脅威の不吉な一瞥を目にしました。
ですので、もしあなたがここでマジックのプレインズウォーカーを初めて紹介されたのだとしても、進行状況を確認したい馴染みの読者だとしても、この記事は物事を整理する助けになってくれるでしょう。
それでは、灯が現存するプレインズウォーカーそれぞれについて、名簿の最初から始めましょう。
黄金のたてがみのアジャニ
《英雄の導師、アジャニ》 アート:Aaron Miller |
新たな始まりを探し求めている。
アラーラのナヤ断片で過ごした若い頃からずっと、アジャニは戦士であり癒し手であった。戦士として、彼は自身の理想を体現するべく誇り高く戦ってきた。だが彼はまた、そういった争いからの重荷――元も最近、近しい友(であり仲間のプレインズウォーカー)エルズペス・ティレルの死――を背負っている。彼は今、斃れた友の外套を誇らしくまとい、弱者の為に戦った勇者という彼女の記憶を讃えるために努めている。他者を癒しながら、アジャニはゆっくりと自身を癒し始めた。
《不動のアジャニ》 アート:Chris Rahn |
アショク
《悪夢の織り手、アショク》 アート:Karla Ortiz |
新たな、極上の恐怖を探している。
一人の繊細な芸術家として、その犠牲者達の最高に完璧な悪夢を彫り上げるために、アショクは多元宇宙のあらゆる所で新たな恐怖を探し求めている。私達が最後にアショクと遭遇したのはテーロスで、アショクは人間の、他のプレインズウォーカーの、果ては神々の心の中の悪夢へと生命を吹き込んだ。そういった生きた悪夢を用いて、アショクは欺瞞の神フィナックスと共謀し、一つの国へと恐るべき滅びをもたらした。
チャンドラ・ナラー
《チャンドラ・ナラー》 アート:Aleksi Briclot |
ケラル砦を導くという新たな役割。
カラデシュにおける騒々しい子供時代からずっと、チャンドラはその危険への情熱から、邪魔となるものを常に適切な方法で排除してきた。今や初めて、彼女は「故郷」と言える場所へと戻ってきた――レガーサ次元、ケラル砦の炎の修道院、何年も前に初めて次元を渡ってきた場所へ。その修道院は穏やかで心地良いのだが、彼女は今も心躍る冒険と黒焦げになった敵の甘い香りを切望している。腰を落ち着けようと最大限の努力をしてはいるが、ゼンディカーの壮大な風景とニコル・ボーラスの手に操作されたという苦い記憶は彼女の心に鮮やかに燃え続けている。
ダク・フェイデン
《ダク・フェイデン》 アート:Eric Duschamps |
テーロスでの奇妙な夢。
フィオーラでの青年時代から、ダク・フェイデンはアーティファクトとその使用法の理解について独特かつ天性の才能を示してきた。もしかしたらそれは彼の、アーティファクトへの情熱の始まりだったのかもしれない。知っての通り、そこから彼は最高の盗人となった。私達が最後にダクを見た時、彼はテーロス次元の神秘的な島々から「借りた」強大な力を持つ篭手を組み上げた。だがその篭手の力の探究は別のプレインズウォーカーに邪魔をされる――都市国家の人々をその夢を通じて操り始めた、悪夢の織り手アショクに。自身(と新たに発見した宝)を守るべくダクはテーロスの者達から助けを求め、テーロスの死の国へと続く門をくぐる彼が最後に目撃されている。
ダレッティ
《屑鉄の学者、ダレッティ》 アート:Dan Scott |
フィオーラの学院の政争によって叩き落とされた。
そう遠くない昔、この機知に富むゴブリンの工匠はフィオーラ次元、パリアノ学院の地位を昇ることに独力で集中していた。だが「主席工匠」の座を得る直前、彼の昇進は難色を示した学院の精鋭によって妨害された。学生の中には、ダレッティの追放は学院の現在の主席工匠、ムッツィオの策謀ではないかと囁く者すらいる。没落してから、ダレッティは学びの新たな境地を発見していた。実験の失敗によって彼のプレインズウォーカーの灯が点火し、彼は次元を超えて工匠術の分野を更に探索することが可能となった。以来、彼は公衆の目から消え去った。もしかしたら彼は昔の野望に変わる、新たな目的を見つけたのかもしれない。
ドムリ・ラーデ
《ドムリ・ラーデ》 アート:Tyler Jacobsen |
遥かな次元の大自然を探検している。
ドムリ・ラーデの「プレインズウォーカーの灯」が点火した時、彼は故郷のラヴニカ次元からアラーラのナヤの密林へと出現した。それはまた、都市の壁の外の世界を見たことがなかった若いプレインズウォーカーの中にあった、心からの冒険心に火をつけた。旅をしながらも、彼はその内にグルールの精神を持ち続けている――知られざる新たな地へと彼をさらに遠くへ駆り立てる、野生の無謀さを。
エルズペス・ティレル
《太陽の勇者、エルズペス》 アート:Tyler Jacobsen |
テーロスの死の国を放浪している。
エルズペス・ティレルは常に栄誉を自身の行動の規範としてきた。その栄誉は彼女をヘリオッドの勇者という役割へと導いた。成り上がりのプレインズウォーカーにして神、ゼナゴスの脅威からテーロス次元を守るために。だがその栄誉は全ての者にとって同じ意味を持ちはしなかった。エルズペスの力を怖れたヘリオッドは彼女の剣を用いて殺害し、テーロスの死の国へと追放した。ここで、ほとんどの平均的な人間は永遠の灰色の領域に住まう運命となる、もしくは自我を放棄して蘇りし者となる。だがエルズペスは平均的な人間ではない。悲劇的な死を遂げながらも、彼女はその栄誉を心の傍に保ち続ける理由が今もある。テーロスへの、仲間への、彼女が守ると誓った無辜の者達への愛が。
アート:Tyler Jacobsen |
フレイアリーズ
《ラノワールの憤激、フレイアリーズ》 アート:Adam Paquette |
その人々を救うための、伝説的な自己犠牲。
エルフのプレインズウォーカー、フレイアリーズはドミナリア次元で最も尊敬される指導者の一人だった。彼女は信者へは生命を、敵へは迅速な死をもたらすことで知られている。彼女は氷河期を生き延びるために、ファイレクシアの侵略に抵抗するためにエルフ達を導いた。そして最終的にはドミナリアを食らい尽くす脅威、時の裂け目から彼女のエルフ達を救うために命を捧げた。彼女の名の力は二つの意味をもつ――ただの守護者というだけではなく、その命全てをエルフのために捧げた者として。
野生語りのガラク
《ヴェールの呪いのガラク》 アート:Eric Deschamps |
人間というよりも怪物に近い。
野生語りのガラクは常に獰猛な、捕食性の狩人だった。だが屍術師リリアナ・ヴェスに与えられた鎖のヴェールの呪いの下、彼は遥かに不吉な何かへと成り果てた。以来、その呪いは彼の心を残忍な血の飢えへとねじ曲げた。すぐに彼はもはや動物ではなくプレインズウォーカーを狩るようになった。ガラクの脅威はあまりに増大し、ラヴニカの生けるギルドパクトにしてプレインズウォーカー、ジェイス・ベレレンはそれに干渉せざるを得なくなった。ジェイスはヴェールの呪いを反転させることはできなかったが、一つの面晶体をガラクの身体に埋め込むことによって呪いによる悪魔的な存在への変身を遅らせることに成功した。その面晶体の抑制効果にもかかわらず、ガラクは今も多元宇宙を放浪する脅威であり続けている。
《ガラクの目覚め》 アート:Brad Rigney |
ギデオン・ジュラ
《正義の勇者ギデオン》 アート:David Rapoza |
次元を超えた義務と絶えない戦いに縛られている。
テーロス次元での青年時代から、難攻不落のプレインズウォーカー、ギデオン・ジュラは猛烈な戦いに身を投じてきた。だが彼は今、二つの異なる次元にて絶える様子のない戦いの中にいる。ゼンディカー次元で彼はエルドラージとその血統に脅かされた人々を守ることを誓い――その異形どもは途絶えることなく発生し、その荒廃を広げ続けている。だが彼はもう一つ、ラヴニカ次元のボロス軍への誓いへと背を向けることはできない。そちらで彼は都市のゴブリンの間に増大し続ける暴力的な闘争の中、秩序を保つために奮闘している。昼はゼンディカー、夜はラヴニカ。どちらの状況も良くなってはいない。ギデオンの限界は近く、だがそれを彼自身が認めるのは最後だろう。
ジェイス・ベレレン
《ジェイス・ベレレン》 アート:Aleksi Briclot |
多元宇宙全体を監視している。
彼は躊躇しながらも生けるギルドパクト、大都会次元ラヴニカでの平和の執行者としての役割に就くことに同意した。だがジェイス・ベレレンは常に多元宇宙を研究し探検したいという意欲に駆り立てられている。その注意深い瞳が呪われたプレインズウォーカー、ガラクの次元を超えた殺人的な蹂躙に定められた時、ジェイスはその狩人へと面晶体を埋め込み、呪われた変身を遅らせることでこの脅威を鎮めることができた。だが多元宇宙を監視するという彼の意欲はただの利他主義や好奇心だけのものではない――彼自身、その最大の脅威を解き放った責任を幾らか負っている。ゼンディカー次元、エルドラージの巨人達を。ジェイスの最悪の恐怖はゼンディカーの絶望的な生存者達の便りをもたらしたプレインズウォーカー、ギデオンによって確かな現実となった。
《ギルドパクトの体現者、ジェイス》 アート:Chase Stone |
カーン
《解放された者、カーン》 アート:Jason Chan |
ファイレクシアの隆盛を防ぐ手段を探し求めている。
銀のゴーレム、カーンは恐るべきファイレクシアの堕落によってその心とミラディン次元の両方を失った。その堕落へと完全に屈する瀬戸際に立たされた時、カーンは仲間によって救われた。プレインズウォーカー・ヴェンセールは自身の生命を犠牲にしてその「プレインズウォーカーの灯」をカーンへと移し、銀のゴーレムを救った。今やカーンの心は澄み渡り、他の次元をミラディンと同じ運命に堕ちさせはしないと、それを防ぐ道を見つけると誓っている――自身のためではなく、死した友の犠牲に敬意を表するために。
キオーラ
《荒ぶる波濤、キオーラ》 アート:Scott M. Fisher |
新たな力を手に入れ、再び奮起している。
マーフォークのプレインズウォーカー、キオーラは増大するエルドラージの脅威と戦う手段を求め、故郷の次元ゼンディカーを離れてテーロス次元を訪れた。テーロスの巨大な海獣を手に入れる探究の中、彼女はその次元の海の神、タッサとの激しい戦いに突入した。プレインズウォーカーと神は共に自分の側の深淵から最強の生物を召喚し、片方の敗北まで戦った。最終的にキオーラはその戦いから逃走した。アリクスメテスのクラーケンと繋がりを築くことはできず――だが彼女はテーロスから手ぶらで去りはしなかった。次元渡りをして去る最後の瞬間、彼女はタッサの神器を奪った。海神の力が吹き込まれた、あまねく海とその生物を支配する二叉槍を。キオーラの現在の居場所は現在のところ不明だが、何処にいようとも、彼女は最新の「獲物」に非常に満足している。
《荒ぶる波濤、キオーラ》 アート:Tyler Jacobsen |
コス
《槌のコス》 アート:Jason Chan |
ミラディン人の抵抗を率いている。
かつて、地操術師コスは仲間のエルズペスにこう言った、「勝利が無いのなら、永遠に戦うまでだ」。その言葉に偽りなく、コスは故郷の次元の生存者達を守るべく不屈に日々を過ごしている。かつてミラディンであったその世界は堕落し、今や新ファイレクシアの地獄の風景となった。シルヴォクの癒し手メリーラとともに彼は、生き残り達を守るために人生を捧げている。
リリアナ・ヴェス
《リリアナ・ヴェス》 アート:Aleksi Briclot |
過去に取りつかれ、無慈悲な狩人に追われている。
屍術師リリアナ・ヴェスがずっと求めてきたのは、永遠の生命と死の支配である。彼女は決して隷属してこなかった。とはいえ、彼女へと力を約束してきた者達......鎖のヴェール、契約の悪魔四体、ドラゴンのプレインズウォーカー、ニコル・ボーラス、そして謎めいた「鴉の男」に従わされていることは、彼女も認めるところである。その一方で、残忍な狩人ガラクが次元を越えて彼女を追跡している。シャンダラーからイニストラードへ、彼に与えられたヴェールの呪いを取り除くために、もしくは単純に復讐のために。概して、彼女にとっての現状は何よりも急を要している。ジェイス・ベレレン、古い......友へと助けを求めるほどに。
アート:Adame Minguez |
ナーセット
《悟った達人、ナーセット》 アート:Magali Villeneuve |
書かれざる歴史の断片を探している。
詮索好きで大胆なプレインズウォーカー、ナーセットは自身の内の落ち着かなさを統制できずにいた、師である龍王オジュタイが彼女へと「啓発を求めよ」という教えを与えるまで。ナーセットは目の前にあるもの全てを学ぶことに身を投じ、そしてオジュタイ自身によって最年少にして師の称号を与えられた。知識への飽くなき飢えは彼女をダルガー要塞の書庫へと導き、そこで彼女はサルカン・ヴォルについて学んだ。人にして龍、時の流れを変えた者。その情報は彼女がサルカン自身と出会った時に確かめられた。彼はその奇妙な、書かれざる時間軸を彼女へと語った。ナーセットは今、この変えられたタルキールの断片を更に探し出そうとしている。龍が統べるこの世界が決して存在しなかったという、全く異なる地を。
ナヒリ
《石術師、ナヒリ》 アート:Eric Deschamps |
一千年近くの間、行方は知れない。
コーのプレインズウォーカー、石術師とも呼ばれるナヒリは六千年以上前、エルドラージを故郷の次元ゼンディカーへと封じ込めた最初の三人のプレインズウォーカーの一人である。それから数千年、彼女は物言わず次元を監視し、その時をコーの人々と共に過ごしもした。ナヒリの最近の消息は一千年近く昔、一時的なエルドラージの巨人の再出現から次元を単独で守った時にまで遡る。だが次元の守り手となることを誓った、彼女のプレインズウォーカーの仲間、吸血鬼ソリン・マルコフと精霊龍ウギンへの緊急召集をしたのにもかかわらず、彼女はそれを一人で対処することを強いられた。最後に私達は一千年近く前、不可解にも不在であった仲間にして古い友、ソリンを探すべく彼女が次元を渡って離れた所を目撃した。
アート:Igor Kieryluk |
ニコル・ボーラス
《プレインズウォーカー、ニコル・ボーラス》 アート:D. Alexander Gregory |
タルキールでの勝利はその手から零れ落ちた。
古龍のプレインズウォーカー、ニコル・ボーラスは多元宇宙の至る所に散りばめた下僕を絶えず操作することを何よりも楽しんでいる。彼は不本意ながら下僕となった龍のシャーマンにしてプレインズウォーカー、サルカン・ヴォルを苦しめることを長く楽しんできた。タルキール次元にて、ボーラスは龍爪のヤソヴァの力を用いて憎き敵である精霊龍ウギンを倒そうと試みた。二体の龍はタルキールにて決闘し、ヤソヴァはボーラスへと大きな優位性をもたらしたが、ウギンは(そしてタルキールの龍達は)サルカンの介入によって救われた。今や、ボーラスは知らないながらもウギンは生き続けており、サルカンはボーラスの支配から逃れた。タルキールでのこの変化はボーラスの大計画に影響を与えるのだろうか? 時だけが教えてくれるだろう......
《命運の核心》 アート:Michael Komarck |
ニッサ・レヴェイン
《ニッサ・レヴェイン》 アート:Jaime Jones |
異形の敵との終わりなき戦い。
エルフのプレインズウォーカー、ニッサ・レヴェインは子供の頃から、エルドラージの巨人達の不気味な脅威が故郷の次元ゼンディカーの内に囚われていることを感じていた。エルドラージを封じる面晶体の魔術が弱まり、ニッサはそれらの血統が数を増やして、愛する故郷に次々と出現する様子を目撃した。その巨人と血統がゼンディカーを離れると確信し、ニッサ自身が彼らをウギンの目から解き放つ手助けをした。巨人たちは新たな血統の群れとともに現れた。だが去るのではなくそれらはゼンディカーに残り続け、長いまどろみからゆっくりと力を取り戻しつつある。今やニッサはその怪物と落とし子の波との休みない戦いを続けている。彼女はその熟達したエレメンタルの魔術を用いて、ゼンディカーの土地に命令しエルドラージの脅威へと立ち向かわせている。ゼンディカーの仲間は彼女へと「シャーヤ(世界を目覚めさせる者)」の称号を与えた。大地とその人々への一心の献身が彼女に力を与える。だがそれは一体の巨人を打ち倒せるほどのものなのだろうか?
《精霊信者の覚醒》 アート:Chris Rahn |
オブ・ニクシリス
《解き放たれし者、オブ・ニクシリス》 アート:Karl Kopinski |
ゼンディカーにて力を取り戻しつつある。
遠い昔、オブ・ニクシリスと呼ばれる男は勝利を確かにする為には手段を選ばない、残酷で無慈悲な将軍だった。力を求める探究の中、彼は古の悪魔と契約を結び、その次元へと大破壊を放った。「ニクシリス卿」は唯一の生存者だった。彼は周囲の惨状に笑い、プレインズウォーカーの灯を点火させ、彼の前には征服すべき新たな世界が広がった。だがそれら新たな次元の征服はヴェールの呪いに遮られ、更にそのヴェールは彼を悪魔へと変質させた。治療法を求める中で彼はゼンディカーへと赴き、そこで彼はその次元の古からの庇護者に会った――石術師ナヒリに。その石術師はオブ・ニクシリスを大地の下に幽閉し、頭蓋骨に面晶体を埋め込み、彼の灯を消して魔法を抑えつけた。弱体化され、多元宇宙の無限の自由という記憶も消えゆく中、この悪魔は数世紀に渡って復讐を熱望し計画してきた。やがて、脱出の機会は意外な形で現れた。プレインズウォーカー、ジェイス・ベレレン。野生語りのガラクの蹂躙を止めるための窮地の策として、ジェイスはオブ・ニクシリスの抑制の面晶体を引き抜き、ガラクの変質を押し留めた。面晶体が取り除かれ、オブ・ニクシリスは解放された。遂に彼はその力が戻りつつあるのを感じながら、灯を取り戻して復讐を遂行する時を熱望している。
ラル・ザレック
《ラル・ザレック》 アート:Eric Deschamp |
イゼットギルドから秘密を守り続けている。
嵐魔道士ラル・ザレックは彼が呼び起こす稲妻のように衝動的で鮮やかである。ラルは嵐魔道士としての能力を忌避される小さな地区で育ち、その能力とは裏腹に困難な道に直面した。彼は自分のような者がいる場所に目標を定めた――ラヴニカ次元、尊敬を受けるイゼット団の魔道士達。何年も熱心に学び、ラルは生まれた地区を離れてイゼット団のギルド魔道士になるという夢を叶えた。だがラルはプレインズウォーカーという例外的存在であるよりも、才能ある魔道士としてそこに留まり続けることを断固として決めており、次元渡りの能力を固い秘密として守り続けている。運命は奇妙にねじれ、彼は同じ秘密を持つ者を発見した。かつての競争相手にしてラヴニカの生けるギルドパクト、ジェイス・ベレレン。暗黙の迷路からの好敵手同士は好まざる同盟を組み、イゼット団のギルドマスター、竜英傑ニヴ=ミゼットの油断ならない目から自分達の秘密を隠している。
《天才の煽り》 アート:Terese Nielsen |
サルカン・ヴォル
《龍語りのサルカン》 アート:Daarken |
「時に置き去りにされた者」は自由へと生まれ変わった。
シャーマンのサルカン・ヴォルは常に龍に心を奪われてきた。若い頃、彼はその堂々たる獣に魂を奪われたが、故郷の次元タルキールでは当時既に絶滅していた。彼の崇拝は多元宇宙最強のドラゴン、ニコル・ボーラスへの隷属の誓いとなった。ボーラスはサルカンをゼンディカーへと送り込み、ウギンの目の小部屋を監視するよう申し付けた。だがそれは秘密裡に「目」そのものの鍵を開ける手助けをさせ、そして内に捕えられたエルドラージの巨人を解放するためのものだった。「目」にて、サルカンは心の中の声を聞き始めた。龍の声、主ニコル・ボーラスのものではなく、その小部屋の守り手にして精霊龍ウギンの声を。ウギンの声にサルカンはゼンディカーから次元を渡り、「扉を見つける」ために故郷タルキールへと帰った。タルキールにて、サルカンの旅はナーセットとの出会いと、「きずな」――時を超える扉への道をもたらした。サルカンは「きずな」へと入り、千年前の過去へと放り出された。彼はウギンとニコル・ボーラスの決定的な戦いを目撃し、ウギンの死はタルキールを、龍が満ちる栄光ある世界から争いの不毛の地へと決定的に変化させる鍵の瞬間だと知った。実感とともに、サルカンは精霊龍を救いに向かい、そしてウギンとタルキールの龍たちを、そして彼自身の正気をも救った。彼の行動はタルキールの時の流れを変化させたが、多元宇宙の歴史の流れは変化することなく残されている。サルカンはこの新たな時間軸へと再誕したが、その中に彼は決して生まれてはこなかった。
《揺るぎないサルカン》 アート:Aleksi Briclot |
ソリン・マルコフ
《ソリン・マルコフ》 アート:Michael Komarck |
多元宇宙の様々な問題に引き込まれている。
吸血鬼のプレインズウォーカー、ソリン・マルコフが最後に目撃されたのは故郷の次元イニストラードから遥か遠く離れたところである。彼は荒々しい次元ゼンディカー、その面晶体の牢獄から解放されたエルドラージの巨人達という次元を超える脅威に対応すべく不可欠な仲間を集めている。これらの巨人達がもたらす危険をソリンは熟知している――彼は元々それらをゼンディカーに封じた三人のプレインズウォーカーの一人なのだ。だがそれは数千年前のこと。最近、ゼンディカー世界の苦痛の源を取り除こうと、プレインズウォーカー・ニッサが巨人達を解放した。エルドラージは姿を現してゼンディカー中へと破壊をもたらし、これはもしかしたらエルドラージ達が貪る最初の次元となるに過ぎないのではとソリンは怖れている。精霊龍ウギンとの前回の遭遇にて、ソリンは石術師ナヒリを見つけるようその龍に要請されていた。三人の力を合わせ、今一度巨人たちを封じ込めるために。彼が守るべき次元が一つだけならば、物事は遥かに単純なのだが。
《真面目な訪問者、ソリン》 アート:Cynthia Sheppard |
タミヨウ
《月の賢者タミヨウ》 アート:Eric Deschamps |
イニストラードの神秘を探究している。
神河生まれの空民の学者、タミヨウの研究はイニストラード次元へと彼女を導いた。そこで彼女はイニストラードの月が、その次元における多くの超自然的な種族、狼男から天使に至るまでに特徴的で強い影響を及ぼしていると記録している。長い研究の後、彼女はその稀な、魔法の封じられた銀鉱石から成る天上の存在の軌道パターンと影響を理解し始めている。
テフェリー
《時間の大魔道士、テフェリー》 アート:Tyler Jacobsen |
灯を捧げた、才気に溢れる時間の大魔道士。
ドミナリア次元で過ごした若い頃から、テフェリーはその世界で最も偉大な魔道士の一人として知られていた。彼はその才能から名高いトレイリアのアカデミーにて学ぶ栄誉に預かり、プレインズウォーカー・ウルザの弟子となり、銀のゴーレム・カーンの友となった。そこで彼は時に関する問題へと熱中するようになり、何年もの学びを経てそれを操作することに熟達した。そしてこの能力を振るい、テフェリーはファイレクシアの侵略からドミナリアを防衛すべく立ち上がった。だが故郷ザルファーと友人ジョイラの故郷シヴがその侵略で荒廃するのを見るに忍ばず、彼はそれらを時の流れからフェイズ・アウトさせた。それらは安全かつ無傷に、時の流れの外に残った。年月が過ぎ、時の裂け目の網がドミナリアとその先の次元を破壊の脅威にさらすと、彼は自身の「プレインズウォーカーの灯」を捧げてその裂け目を閉じ、「大修復」として知られる多元宇宙規模の変質事件の先駆けとなった。だが彼は時の流れからザルファーを戻すことは叶わなかった――その失敗は彼を苦しめることとなる。
テゼレット
《ボーラスの工作員、テゼレット》 アート:Aleksi Briclot |
新たな力の源を追い求めている。
工匠テゼレットはドラゴンのプレインズウォーカー、ニコル・ボーラスへと忠誠を誓っている。だが彼はそれが自分自身にとって有利となる時にのみ思い出すのを好んでいる。ボーラスによって新ファイレクシアの堕落次元の調査へと送り込まれた時、テゼレットはその次元の支配者の地位を当時「機械の父」であった銀のゴーレム、カーンから奪うことを熱望した。だが彼の奮闘は妨害され、そして彼はあのドラゴンから与えられた新たな任務を始めており、多元宇宙の新たな片隅で注意深くその計画を広げつつある。
ティボルト
《悪鬼の血脈、ティボルト》 アート:Peter Mohrbacher |
所在は知れない。
悪魔の血が混じったプレインズウォーカー、ティボルトは常に故郷の次元イニストラードにて拷問の偉大なる喜びを享受してきた。この苦痛魔道士のよじれた実験はそれを止めさせようという審問官の注意を引いた。彼らが訪れた時、ティボルトはプレインズウォーカーの灯を目覚めさせ、逃走した。今や彼は多元宇宙を自由に放浪し、その嗜虐的な気まぐれのままに嗜虐の対象とする新たな世界を見つけ出している。
ウギン
《精霊龍、ウギン》 アート:Chris Rahn |
長いまどろみから目覚めた。
謎めいた精霊龍ウギンは最近、面晶体の繭での約一千年の眠りから目覚めたばかりである。古龍ニコル・ボーラスとの戦いでほぼ致命傷を負った後、サルカン・ヴォルの手によって救われ、そこに彼は横たわり、ゆっくりと癒えながら力を取り戻していった。だがもう一つの巨大な力もまた目覚めているとウギンは知っている。エルドラージの巨人達が。六千年前、石術師ナヒリと吸血鬼ソリン・マルコフと共にウギン自身がその巨人達を閉じ込め、活動休止状態に留める手助けをした。彼は自覚している、長い不在の間に起こった物事の真実を知り、遥か昔に築いた繊細な平衡を修復しなければならないと。
アート:Daarken |
ヴェンセール
《滞留者ヴェンセール》 アート:Eric Deschamps |
その師、カーンを通して生き続けている。
プレインズウォーカー・ヴェンセールは常に素晴らしいアーティファクトを作成する技に長けていた。ドミナリア次元の彼の故郷近く、壊れたファイレクシア人の残骸ですら彼にとっては素材だった。後に彼はドミナリア最高の機械の一つ、銀のゴーレム・カーンの親友となった。カーンの謎めいた失踪の後、ヴェンセールとプレインズウォーカーの同行者コスとエルズペスはファイレクシアの侵略の中心へと入った――ミラディンの核へと。そこで彼は自身の命と灯を捧げてカーンをファイレクシアの堕落から解放した。彼は今やカーンの内に生き続けている、ファイレクシアの脅威を取り除こうとするそのゴーレムの歩みの中に。
ヴラスカ
《見えざる者、ヴラスカ》 アート:Aleksi Briclot |
所在は知れない。
私達が最後にヴラスカに遭遇した時、謎めいたゴルゴンのプレインズウォーカーはゴルガリギルドの指導者として力を増そうとしていた。彼女は密かにラヴニカの敵対ギルドの構成員と生けるギルドパクト、ジェイス・ベレレン自身をも標的とした襲撃を目論んだ。だがジェイスが彼女の無謀な野心を他ギルドの指導者たちへと暴露すると、彼女は身の安全のためにその次元を離れた。配下の無数の暗殺者のように、ヴラスカは密かに情報を集めることに長けている――決定的で、致命的な攻撃を与える時を待ちながら。
ゼナゴス
《歓楽者ゼナゴス》 アート:Jason Chan |
その死はテーロスを動揺させる混乱をもたらした。
テーロスの神々は常に御し難い存在だった――時に狭量で、高慢で、もしくは交戦的で。簒奪者のプレインズウォーカー、ゼナゴスも同類であった。ゼナゴスは神の座へと上がろうと試みたが、彼は太陽神ヘリオッドとその勇者にしてプレインズウォーカー・エルズペスによって打倒された。だがエルズペスの手によってゼナゴスが倒れた直後、ヘリオッドは自身の勇者へと刃を向けた。太陽神のその行動はテーロスの都市国家群に気付かれないわけはなかった。噂が囁かれている――自分達がこれまで長いこと崇拝してきた神々は、万神殿を転覆しようとしたプレインズウォーカー、ゼナゴスよりも果たして高貴なものなのだろうか? かつては揺らぐことのなかった彼らの信仰は疑問と、定命の存在を弄んできた神々からの独立の道となった。
以上が――マジックでも最強のキャラクター達のうち幾らかの、多くの冒険の簡潔な概要です。このプレインズウォーカー達の行動は多元宇宙の運命を形作り、彼らの物語の糸はしばしば重なり合い、分岐し、そして一つまた一つと収束します。多くのプレインズウォーカーの偉業が私達の物語とカードで語られる予定ですが、そうでない者も何処かで自身の冒険を持っています。もし皆さんがこの記事に特集された物語を楽しんでくださったなら、毎週更新の私達の記事、Uncharted Realmsで更に沢山読んでいただくことができます!
マジックの物語について疑問がありますか? 何をもっと読みたいかコメントをしたいですか? どうか私達に知らせてください。そして物語専門のTumblrにて他の皆さんが何を喋っているかを見てください(リンク先は英語)。
私達の愛するキャラクターと舞台について皆さんが学ぶ手助けができてうれしく思います。お読みいただき、ありがとうございました!
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