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Making Magic -マジック開発秘話-

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モダン一問一答

Mark Rosewater / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru

2015年5月18日

原文はこちら

 今週はモダン特集だが、このフォーマットのデザインに私はあまり関わっていない。そこでこの機会を利用して、一問一答をおこなおうと思いたち、こんなことをツイートした。

一問一答の記事を書くのに、諸君の助けが必要だ。モダンのカードやメカニズムのデザインに関する質問を送ってくれたまえ。よろしく頼む。


《ゴブリンのドカーン物取扱者》 アート:Kev Walker

 大量の返事が届いたが、掲載するのは記事1本分だけだ。そこで、実際に回答を始める前にいくつかの注意をしておこう。答えきれないほどの質問が届いたので、そのすべてに回答するわけではないことを了承してもらいたい。また、私では答える資格がないデベロッパー宛の質問も大量に届いていたことも添えておく。さて、それではさっそく質問に入るとしよう!


《流刑への道》は元々『ゼンディカー』用にデザインされたんですか? 上陸を誘発させるのは、リミテッドにちょうどいい欠点に見えます。

 いや、《流刑への道》が最初に作られたのは、『コンフラックス』のデザイン中だ。もう1つ『ゼンディカー』のために作ったのでない証拠を挙げるなら、私はこういった類いの白の除去カードがあまり好きではないのだ。私は、白の解決策には(《平和な心》や《忘却の輪》のように)解決策があるか、あるいは白の従わなければならない規則(「反撃はするが、攻撃はしない」)のために何らかの制約がつきまとうようなものが好きなのだ。白は、クリーチャーのコントローラーに何らかの見返りを与えることで「取引」することができる。しかしこういったカードは、注意深く作らなければ、黒の領域に堕ちてしまう。もっとも効率的なクリーチャー除去は黒の領域だと私は信じている。これらのカードはスタンダードのバランスを取るために重要なので、デベロップの手によって作られることが多いのだ。


《ヴィセリッドの深み歩き》が火吹き能力を持つのはなぜですか? 『次元の混乱』より前に、ホマリッドはその知性でカラー・パイを破ったのですか?

 青でパワーを強化する(「火吹き」)ことはそれほど多くないが、カラー・パイの中で青に認められていることの1つではある。実際、パワーやタフネスを強化することは非常に基本的なことなので、色ごとの多少はあっても、5色どれでも何らかの形では可能なのだ。


《石鍛冶の神秘家》のデザインを変えて禁止されないようにするとしたら、どう変更しますか?

 鍵は、装備品をライブラリーから探すこととそのマナ・コストを踏み倒すことの両方はできないようにすることだ。どちらかだけが可能なら、《石鍛冶の神秘家》はずっとまともになっていただろう。


《石鍛冶の神秘家》 アート:Mike Bierek

『アラーラの断片』には、没になった「墓地にあるアーティファクト」メカニズムがあったんですか? 《風生みの魔道士》とか《回収する斬鬼》はそんな感じですが。

 私はエスパーのミニ・チームでリード・デザイナーを務めていたので、はっきり「ない」と答えられる。我々が実際に取り組んだのは、様々な形でアーティファクト関連のものを作ることだった。種類を増やし、ドラフトして組めるエスパー・デッキの方向性を増やすため、様々な「アーティファクト関連」のカードを組み合わせたのだ。


《鏡の精体》の使ったデザイン空間は何ですか? こういったカードは白にもっと作られますか、それともこれは白じゃなくなりましたか?

 このデザイン空間はこれまでにも何回か扱っている、自分のクリーチャーをすべて特定のサイズにし、またものによっては能力をコピーするというものだ。白には「すべてを均質にする」、青には「他者を変身させる」という特色があるので、この能力は白や青に見られることが多い。今後も作っていくか、と言われると、おそらく作るだろうが、それほど頻繁ではないと思われる。


 平地渡りは再登場しますか? 大好きなんですが。

 平地渡りというよりも、土地渡りについて答える方がいいだろう。土地渡りは開発部的には嫌われていて、そうそう使われることはないだろう。これについてはまたすぐに話そうと思う。そして、もし土地渡りを使おうとなったとしても、平地渡りは基本土地渡りの中で一番少なくなることだろう。なぜなら色のメカニズム的にも完璧とは言えず、フレイバー的にも特に魅力的だとは言えないからである。また、マジックにおいて「プレインズウォーク」は重要な概念なので、ルール文中にもう1つ「プレインズウォーク」と読めるものを入れたくはないのだ。


振り返ってみて、ファイレクシア・マナについてはどう思いますか?

 アーロン・フォーサイス/Aaron Forsytheと私が最初にこのメカニズムを思いついたとき、私は、効果は通常アーティファクトがするようなことに絞るべきだと強調した。ファイレクシア・マナの目標は、カラー・パイを広げることであり、カラー・パイを破壊することではなかったのだ。従って、最終的に印刷されたカードの中には好きでないものもある。このメカニズムは人気が出たので、再びファイレクシアに巡り会うとき(まあ起こるだろう)、ファイレクシア・マナもまた戻ってくる機会がある。戻ってくるなら、我々はどのような効果を持たせるか、さらに慎重になるようにするだろう。


 刹那同士で対応できるようにデザインしなかったのはなぜですか?

 メカニズムはシンプルであればあるほどよいデザインにつながる、ということがわかってきていたからである。


待機は再登場しますか? 時をテーマにしていたタルキールで登場するかと思っていたのですが。

 『時のらせん』当時、待機を作ったときには強く期待していたのだが、テンプレートも複雑で、カウンターを操作する必要があり、結果的にあまりにも多くのプレイヤーを混乱させてしまい、プレイヤーの大多数からはあまりいい評価を得られなかった。いつか、よりシンプルで明瞭なものが作れるかもしれないが、待機が現状のままでスタンダードで使えるセットに戻ってくることはあまり考えられない。スタンダードで使えないセットなら、可能性はあり得るかもしれないな。


モダン・フォーマットにカードが増えるにつれて強力になる、《出産の殻》のようなカードをデザインすることには慎重ですか?

 デザインは、プレイヤーが使って楽しむようなクールなカードをデザインするものだ。デザインにおいて、大きなフォーマットで問題を起こす可能性があるからとエリアの使用を禁止するということはない。もし大きなフォーマットで問題があれば、そのカードを禁止することができるのだ。そのカードが輝き、愛されるような小さな環境(特にスタンダードとリミテッド)があるなら、我々はそのカードを作るだろう。


《出産の殻》 アート:Daarken

消術。メカニズムとして、またプレインズウォーカーの能力として存在しますが、これはどうやって作られたのですか? 開発部のお気に入りですか?

 このメカニズムのデザイナーである私は、このメカニズムの作られかたを正確に語ることができる。占術の裏として作られたのだ。実際、デザインにおいて、これは「悪の占術」と呼ばれていたはずだ。全く楽しくないメカニズムだということがわかったので、このキーワード・メカニズムが近いうちに戻ってくることはないと思われる。キーワード化しない形で、カード単体に登場することがあり得ない、とは言わないが。


クリーチャーが死亡したときにオーラになる、授与のような形にしたら憑依はもっとうまくいっていたと思いますか?

 現在の形では、憑依は多くのプレイヤーが困惑するようなものだ。だから、変更は歓迎だろう。オーラになるような形にすると文章が長くなり、またパーマネントしか持てないという問題もあるが、フレイバーは非常にクールになっている。


開発部は、近いうちにモダンで装具工やからくりを手がける予定はありますか? もう待ちきれません。

 私の親分がそのデッキをどれほど好きかは計り知れないない。ああ、親分というのは《蒸気打ちの親分》のことだがね。


『コールドスナップ』からメカニズムを1つ選んで次のブロックに入れるとしたらどれですか?

 どのメカニズムがテーマ的にもっとも『戦乱のゼンディカー』にふさわしいか、という質問なら、「復活」と答えるだろう。ブロックを1から作り上げるにあたって使うものを1つ、というなら、「氷雪マナ」を選ぶ(メカニズムというよりも道具というほうがふさわしいが、それほど選択肢があるわけでもない)。


モダン(あるいはエターナル)でだけ使える、新しいカードを作るという計画はありましたか? 《封じ込める僧侶》などはいい感じです。

 それはファンから何度も寄せられている発想なので、我々もそれについて話し合っている。しかし、現時点ではモダンで使えるものは必ず一度はスタンダードでも使えるようにすることにしている。


《ヴィダルケンの枷》はなぜ作られたんですか? 当時の青が必要としていたからですか?

 《ヴィダルケンの枷》は、青のクールなアーティファクトとしてアーロン・フォーサイスが作ったものだ。一般的に、1色でしか使えないアーティファクトというのはあまり作らないものだが、《ヴィダルケンの枷》は例外としてもいいほどにクールだった。このデザインは、アーロンがスタンダード環境で必要だと思ったから、という理由よりも、カード単体で見てクールだったから作られたのだと思う。


《ヴィダルケンの枷》 アート:Svetlin Velinov

『タルキール龍紀伝』に変異をそのまま戻すことは検討しましたか? それと比較して、大変異の仕上がりに満足していますか?

 第3セットでの世界全体の変化を表すため、変異にも何らかの変化を加えることは重要だった。大変異はうまくいったと思っているが、もう1度作るとしたら少し違うことをしていただろう。これについては、8月に発表する今年のデザイン演説で掘り下げる予定である。また、現在の知見を踏まえると、名前も変えていた。「変異」という表現をそのままは使わなかっただろう。


《本質捕らえ》はすべての呪文を打ち消していたことがありますか、それとも強すぎたから、とかフレイバーのミスとかですか?

 このカードは最初からこのままデザインされていた。デザインの美学はここでも働いており、どちらもクリーチャーに作用するものだが、一方はネガティブ、一方はポジティブな働きかけをする。


『ギルドパクト』の《血なまぐさい法務官》は、『ギルド門侵犯』の始源体サイクルのようなサイクルだったんですか?

 そのデザイン・チームには私は参加していなかったが、私の知っている限りそういう事実はない。


ファイレクシア・マナ! もし将来再登場するとしたら、やはりファイレクシアのロゴを使うんですか?

 ファイレクシア・マナと呼ばれるのであれば、使うだろう。別の名前と画像を使ってこのメカニズムを再利用する可能性も、ある。


『未来予知』でほのめかされたメカニズムで「実際の」メカニズムになりうるもののなかで、まだ実際のメカニズムになっていないものはどれですか?

 ミライシフトのメカニズムやカード・タイプは、4種類に分けられる。

登場済み
  • 彩色/信心(『未来予知』では名前はついていなかった)
  • 接死
  • 探査
  • 絆魂
  • プレインズウォーカー
  • 到達
  • 被覆
  • 部族(カード・タイプとして)
登場する可能性がある
  • 城砦化
  • 壮大
登場する可能性がなくはない
  • 吸収
  • 激情
  • 有毒
  • [カード・タイプ]交換
  • [タイプ]サイクリング
登場する可能性はまずない
  • 消術
  • 墓地ストーム
  • 変形

毒カウンターで勝ちを目指すデッキはどういうスタイルにすべきだと思いますか?

 『ミラディンの傷跡』ブロックで毒は調整されて、高速でも低速でもできるようになっている。高速にするなら単色のアグロデッキでパワー強化が入っているもの、低速にするならコントロールで、増殖を使うのがいいだろう。


《風景の変容》はどうやって作られたのですか? コンボデッキの可能性は検討しました?

 このカードはデッキ圧縮と色マナの調整のためにデザインされていると思う。コンボに使えるよう、自由度が高くされているのは明らかだ。しかし、私の知っている限り、このカードのデザインにおいてそれが主であったということはない。


《風景の変容》 アート:Fred Fields

消散→消失のように、メカニズムを少しだけ調整して再利用するのはなぜですか? 理解できません。

 我々はメカニズムを、マジックの長い歴史の中で何度も再利用するべきリソースだと考えている。もし最初にメカニズムを作ったときに失敗したと思ったなら、より良いメカニズムを作るために修正し、将来再利用できるようにするのだ。消散の問題点は、カウンターを取り除けなかったときでなく最後のカウンターを取り除いたときにカードは消えるのだと多くのプレイヤーが誤解したという点である。消失は、プレイヤーの多くが思っていた通りに処理するように修正されたものである。


彩色と信心の違いはなんですか? フレイバーのために名前を変えたというだけですか?

 この変更は些細なことだが、重要なことだ。彩色は、そのカードに書かれている領域にあるすべてのカードのマナ・コストから該当するものを参照するが、信心は戦場にあるパーマネントだけを参照する。ほとんどの彩色カードは戦場を参照していたが、この変更によって文章を注釈文にすることができた(そうすることによって、このメカニズムはシンプルに見えるようになった)。このメカニズム的な問題を解決するにあたって、メカニズムのフレイバーを強化するためにメカニズムの名前も変えたのだ。


《精力の護符》が作られたのはなぜ、どのようにですか? 《迷える探求者、梓》はどうですか?

 《精力の護符》は、タップ状態で戦場に出るというカードの不利益を解消するために作られた。《迷える探求者、梓》は土地を素早く戦場に出して巨大呪文を唱えられるようにするために作られた。


《精力の護符》 アート:Warren Mahy

《石鍛冶の神秘家》のデザイン上の問題は、『ミラディンの傷跡』で印刷された装備品のせいですか?

 いいや。問題は、カードを持ってくることと、翌年のブロックの大テーマの1つのマナ・コストを支払うことの両方を回避するカードを作ったことである。


《血顎の憤怒鬼》の回避能力は何色ですか? 一般的には、黒ではなく赤だと思います。これは染み出しですか、それとも新しい方向ですか?

 「2体以上のクリーチャーによってしかブロックされない」という能力は、開発部では「《ゴブリン・ウォー・ドラム》」能力と呼ばれている。長年にわたって赤で使ってきているもので、『タルキール龍紀伝』では実験的に黒でも使ってみた。


信心のデザイン空間は、マナ/シンボル以外、たとえば「エンチャント」などでも使えますか?

 いいや。信心はマナ・シンボルしか数えない。


一部だけファイレクシア・マナなマナ・コストはなぜ存在しないのですか?(一部が色マナで、一部がファイ・マナ)

 説明がいくらか難しくなり、色違いのデッキに挿せるというファイレクシア・マナのクールな一面を潰してしまうからである。


《包囲の搭、ドラン》の作られかたは? トップダウンですか、ボトムアップですか?

 私の知っている限りでは、ツリーフォークらしさを感じるメカニズムを作るという目的のトップダウン・デザインである。


《包囲の搭、ドラン》 アート:Mark Zug

《嵐の神、ケラノス》の誘発型能力を、イゼットによくあるインスタントとソーサリーに限ったものではなく、土地でないカードで誘発するようにした理由は何ですか?

 これも、プレイ上の、デザイン美学の一例である。1つの能力が土地・カードで誘発するので、もう1つの能力はその逆、つまり土地でないカードで誘発するのだ。こうすれば、どのカードでも何かは誘発することになる。


頑強を作るとき、不死は頭にありましたか?

 頑強は、ネイト・ハイス/Nate Heissというデザイナーが、クールな-1/-1カウンターの使い方を探していて作ったものだ(『ローウィン』のデザイン中で、-1/-1カウンターを使った、除去のように致命的でない形を探していたときである)。不死は、頑強にかなり影響されている。『闇の隆盛』で使う、クールな怪物のメカニズムを作ろうとしていた私は、妻から、今必要なことをするような既存のメカニズムはないのかと尋ねられ、頑強に思い至った。それならなぜ使わないのかと聞かれて、私は、このセットには+1/+1カウンターがあるから使えない、そのメカニズムは-1/-1カウンターを......あっ。こうして、やるべきことが見つかったのだ。


賛美は楽しいメカニズムです。スタンダードでもまた登場しますか?

 基本セットに戻そうと計画したということは、つまり我々が楽しくて手頃だと思っているということである。つまり、再登場の可能性は高い。


モダン用にカードがデザインされることはありますか? あるなら、モダンでも使えるほど強いけれどもスタンダードを変質させてしまうほどではないカードはどうやってデザインしますか?

 デザインが、特定のフォーマット用にカードをデザインすることはないし、パワー・レベルを調整することもない。デベロップはスタンダードとドラフトを中心に検討しているが、モダンを意識したカードを作ることもある。


《安楽死》というカードについて、また緑白での生け贄系除去について教えてください。

 デザインでは、このカードは除去ではなく、大型クリーチャー1体を大量の小型クリーチャーに変化させるものとして考えられていた。この能力が緑白なのは、緑白には自軍すべてを強化する能力があり、自分の大型クリーチャーを大量の小型クリーチャーに変えたい状況がありうるからである。


《安楽死》 アート:Dave Kendall

《石のような静寂》のような狭いサイドボード用対策カードは、好きですか、それともないに越したことはない必要悪ですか?

 充分狭いなら、私は好きだ。隙間を狙ったようなサイドボード用対策カードがあることで、マジックは最高になっていると思う。


占術、サイクリング、部族が常磐木にならないのはなぜですか?

 常磐木になるキーワード能力(やキーワード処理)の数には限界がある。それらの能力のどれかを常磐木にするなら、現在の常磐木キーワードのうちいくつかを取り除いて場所を作らなければならない。「部族」はカード・タイプであり、メカニズムではないが、我々は部族を持つカードを新しく作ることはやめている(ただし、古いカードでは扱われたままである)。


装備品を作ったとき、10年後にもこれほどの影響を与え続けるカード・タイプになると思いましたか?

 『ミラディン』で装備品をデザインしたとき、我々は何か非常に汎用的なものを手がけている、ということに気付いていた。装備品は印刷されてすぐに常磐木入りし、それ以来一度も失われていない。


タイタンは必ず巨人ですか? 《墓所のタイタン》がゾンビじゃないのは残念なんです。

 一番最初に作られたときから、ずっとタイタンは巨人だったと思う。


《墓所のタイタン》 アート:Nils Hamm

ポスト・モダン

 ふう。大量の質問があった。質問を提供してくれた諸君に感謝しよう。いつもの通り、今回の記事についての諸君の感想を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrGoogle+Instagram)で(英語で)聞かせてくれたまえ。

 それではまた次回、諸君を世界中にお連れする日にお会いしよう。

 その日まで、あなたがモダンをもっとプレイし、もっと多くの質問があなたとともにありますように。

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