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製造のデベロップ

Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru

2016年9月23日

原文はこちら

 製造の最初のルーツは『マジック・オリジン』に端を発します。我々はアーティファクトをそのセットに組み込む方法を探し、ギズモと呼ばれていた何も書かれていないアーティファクト・トークンをさまざまな方法で使っていました。これは面白いアイデアでしたが、最終的にそれらのカードはアーティファクトであることと関係なく、セットの中で自己完結しすぎてしまいました。

 飛行機械の手法は興味深く、異なる方法でアーティファクトを用いた同じカラデシュを示したカード(《ギラプールの霊気格子》や《隠棲した工匠》)を加えることができた一方で、アーティファクトに基づかないデッキでも機能しました。これは我々が実際にカラデシュを知る前に満足いく紹介ができる方法でした。

  『カラデシュ』の先行デザインを終えて、マローが長い間使いたがっていたエネルギーのメカニズムがこのセットで機能しそうであることがどんどん明らかになっていきました。同時に、デザインが比較的満足しているバージョンの機体もできていました。ちょうどそのころ『戦乱のゼンディカー』のデベロップが完了して、マジックのセットが複雑すぎる方向へ流れていたことが分かっていました。『戦乱のゼンディカー』と『ゲートウォッチの誓い』は維持不可能なほどキーワード能力が増えていました。『イニストラードを覆う影』ブロックでは少し減りましたが、まだそれでも我々が望むよりも上回っていました。

 年2ブロック制への移行は我々にセットの複雑さを少し抑えるよう圧力をかけました。『カラデシュ』にすでにエネルギー(難しい選択を多くもたらします)と機体(新しいことを行いそして少し複雑です)というとても複雑なメカニズムがあることを考えると、このブロックの他のメカニズムはもっと役に立って単純でなければならないことは分かっていました。

 ということで製造は作られました――トークンを生成するか、パワーとタフネスを高くするというカスタマイズをすることで、プレイヤーに発明家の気分を味わわせるメカニズムです。

製造を機能させる

 エネルギーと機体の複雑さによる盤面の複雑さのせいで、我々は製造が異なった種類の選択をもたらすことを本当に求めていました――いったん選んだら後は忘れることができるものです。我々はエネルギーがプレイされるような類の精神的空間を楽しんでいましたが、ブロックの中で大きく開かれたメカニズムがあるときにプレイヤーの精神空間を占めるものを多く維持するのはとても困難です。このセットの他のメカニズムは実際には何であれ、かなり単純なものであることが必要とされました。

 デザインの作った最初のバージョンの製造は『マジック・オリジン』と同じ1/1の飛行を持つ飛行機械・トークンを使っていました。これは良い思い起こしであり、我々は飛行機械が依然として世界の一部であるようにする世界構築を完了していました。

 ここの問題は、エネルギーで起きたことと同じように、デザイナーとデベロッパーで製造のプレイの仕方が大きく異なったのです。デザイナーはこれの選択を楽しみ、そして製造を持つカードを唱えたときによって大きく異なったプレイをすることができました。デベロッパーは常に1/1飛行を出すことを選んだだけでした。

 私はこのデザインの過程が悪いと言いたいのではありません――デベロッパーはプレイヤーに異なる選択を与えることを気にしない可能性がはるかに高く、彼らは何が正しい選択であるかについてより興味を持っています。このメカニズムの問題点は、これがデザイナーのゲームで実際に競技レベルでの興味深い決断をもたらさないことでした。私が思うデザインとデベロップのプレイ過程を隔てている大きな部分は、デザインはよくそれ単体でプレイしたくなる動きのセットを作り、デベロップはそのセットがより幅広いマジックのプレイヤーに与えられたときに実際にプレイされる方法を確かめようとするところにあります。


《霊基体の野心家/Ambitious Aetherborn(KLD)》 アート:Josu Hernaiz

 我々の課題は、製造の力を最大限に引き出そうとする人々がこのような類の興味深い選択をできるようにして、プレイヤーが適当に選択して何が起こるかを見るだけにしないようにすることです。当時のこのセットは今よりもアーティファクト・トークンに対する見返りが大きかったので、これは困難でした。その時は機体は複数のクリーチャーのタップを必要としており(1/1がさらに強くなっていました)、より純粋にアーティファクトに関するカードであり、その上それらのトークンは飛行を持っていました。

 確かに我々はその決定を面白くするカードをいくつか作ることができましたが、1/1飛行のパワーレベルは+1/+1カウンターの乗っている普通のカードよりもはるかに上でした。同時に、1/1飛行か+1/+1カウンター2個にした場合、カウンターの方に大きく傾いてしまいます。我々は多くのカードにおいて明らかなて中心軸で苦境に立たされているわけではないのです。もしバニラクリーチャーに2つ以上のキーワード能力を加える場合、その選択肢は興味深くても少ししかないでしょう。恐らくそれを実際にセットに収録するには十分な数ではありません。

 デザインの時に+1/+1と1/1のパワーレベルを近づけるために選択肢は飛行から地上に変化しました。{2}{W}で3/3の地上クリーチャーと、2/2と1/1の地上クリーチャーのどちらかにする選択は理論的には興味深く見えます。そして我々が実際にゲームをプレイするとそれがとても面白いことがわかりました。

 突然、我々は興味深い選択を持ったクリーチャーをたくさん作ることができるようになり、そしてそれらは異なるゲームで異なるプレイをされます。このゲームプレイの多様性とと組み立ての感触はデザイン・チームが『カラデシュ』に組み込もうとしてとても苦労していたもので、そして我々は製造を持つカードでそれをかなり簡単に伝えることができるようになりました。

興味深い決断を作り出す

 このセットがデベロップに入ると、比較的良い状況にありましたが、依然として興味深い決断ができるようになるための適正なバージョンの製造カードを探し続けていました。これはつまりマナ・カーブの上で興味深い決断ができるところを探し出すということでした。{1}{W}1/1製造1は強力ですが、1/1を2体ではなくバニラの2/2を選ぶことは極めてまれでしょう。実際にそれが有効なのは、対戦相手が複数の1/1や1/2を持っているときだけです。

 一方《ピーマの先導》は両方の選択肢に多くの意味があるところを見つけ出すために(キーワード能力を1つ加えるような)手段を自由に使えます。「アーティファクト関連のこと」をしたいときや自軍を増やしたいときには、3/3と1/1に意味がありますが、3/3を突破したりブロックしたいときには4/4の《ピーマの先導》により意味があります。

 メカニズムを作るときに、興味深い決断のできる幅広いカードが作れることは我々にとって本当に重要なことです。我々が発見する能力は、大抵3つか4つは機能しても残りは機能しないものです。これはつまりメカニズムと呼ぶには十分なカードがなく、そしてそれらのカードはバランス調整のための変更がほとんど不可能であるということです。これはあまりよろしくないことです。製造では、我々は多くのカードを『カラデシュ』に作り、そして私は必要ならば変更できる余地がある十分なサイズと組み合わせがあると感じました。

 このメカニズムは3色(白黒緑)にありますが、我々はこのメカニズムをそれぞれの色で違った雰囲気にしたいと考えました。これらのカードがどのように作られたかははっきりしませんが、これらの色がどのように+1/+1カウンターとクリーチャー・トークンを使うかは異なります。例えば白は、4マナ3/2飛行にしてもいいし、もしくは自軍全体を強化する効果のため、もしくはそのクリーチャーを明滅させて追加のトークンを得るためにトークンを出してもかまいません。黒は威迫クリーチャーのパワーを上げてもいいし、生け贄に捧げるために複数のトークンを出しても構いません。緑は《博覧会場の吠え象》のような+1/+1カウンターを使いたくさせるシナジーのあるカードがありますが、異なるプレイパターンを作るために他の2色と組み合わせることもできます。

 製造は『カラデシュ』リミテッドのエネルギーのように蔓延して派手なものではないかもしれませんが、このセットの大きく異なるいくつかのアイデアをまとめる便利なメカニズムとして本当に素晴らしい役目を果たしています。私はプレイテストで常にとても楽しいメカニズムであると常に認識していましたし、みなさんがこれを楽しんでくれると思っています。

 今週はここまでです。

 来週はアーティファクト関連のテーマを持つセットが、我々のリミテッドをデベロップする方法にどのような影響を与えたかについてお話しします。

 それではまた来週お会いしましょう。

サムより (@samstod)

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