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『デュエルデッキ:精神 vs 物理』

Nicholas Wolfram / Tr. Tetsuya Yabuki

2017年3月20日

原文はこちら

 過去幾度となく繰り返されてきた「知力と筋力」の戦い。この戦いの焦点となるのは、「時間」です。知力優れた者が戦略を練る時間を稼ぎ、筋力で勝る者の裏をかくことができるか? それともその前に、意識を失うほどの強打を心と身体に打ち込まれるのか? この戦いでは、ほんのわずかな戦況の変化がたやすく勝負の天秤を傾けます。だからこそ面白いのです。

 この絶妙な対立軸をマジックで体験したいと楽しみにしていたそこのあなたへ、お待たせしました――この連綿と続く戦いは、間もなく発売の『デュエルデッキ:精神 vs 物理』のテーマとなります。これを用いた対戦中はきっと、カードがテーブルに降り立つたびにそのテーマを味わうことができるでしょう。

精神


《ギトゥのジョイラ》  アート:Magali Villeneuve

 「精神」デッキの顔となるのは、《ギトゥのジョイラ》です。ドミナリア(ウルザやテフェリーの故郷であり、多くの物語の舞台となっている次元)出身で、至高の知力を持つ者のひとりである彼女なら適任ですね。かつてはあの《トレイリアのアカデミー》で学んだジョイラは「練達の工匠」とも呼ばれ、また《飛翔艦ウェザーライト》の初代艦長でもあります。彼女自身、新たな装置の発明や既存の機器の修繕には自信があるようです。また、「時間」に関する重大な災害の中心にいた経験や、時魔道士たるバリンやテフェリーとの交流から、ジョイラもまた「クロノマンシー」、つまり時間を操る魔術を深く理解しています。

 そしてその「時間操作」こそ、「精神」デッキの真髄です。インスタントとソーサリーを中心に組まれたこのデッキは、デッキ全体で強力なシナジーを有しているのです。アーティファクトがないため、ジョイラの工匠としての技術はここでは活かされませんが、しかしゲームの「テンポ」を支配し厄介な軍勢を次々と生み出していくこのデッキは、やがてゲームを一気に動かし、対戦相手を完膚なきまでに打ち倒す強烈なターンを迎えます。それでも不十分なら、もう1・2ターン得てとどめを刺すだけです。「強烈なターン」と言いましたが、それは決して誇張ではありません。

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 「待機」と「ストーム」の組み合わせを持ち、そしてデッキ内の土地以外のカードがすべてインスタントやソーサリー、あるいはそれらに関わるもので構成されている「精神」デッキは、準備を整えるまで生き残ることができれば、常軌を逸した凄まじい動きを見せます。青赤の豊富なカード・アドバンテージを活かせば、夢のようなターンを迎えることは決して不可能ではありません。《霧中の到達》、《深遠の覗き見》、《砂のふるい分け》といったカードが複数枚搭載されているため、ライブラリーをふるい分けて手札の質を上げることが容易であり、《語られざるもの、忌話図》を出せるまで時間を稼ぐのも朝飯前に感じることでしょう。

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 そしてひとたび手札が整い、トークンの軍勢で対戦相手の攻撃を防げば、相手を嵐の真っただ中へ送る準備は万端です。《シヴ山の隕石》や《深海のクラーケン》といったカードの「待機」、そしてもちろん《ギトゥのジョイラ》の能力を活かせば、一気に「ストーム」を稼ぎ出して《巣穴からの総出》や《ぶどう弾》、《時間の亀裂》へと繋ぎ、勝利への道をたやすく切り開けるでしょう。どうか最後まで信じてください。準備が整った「精神」デッキは、最高の動きで劇的な勝利をもたらすはずです。本当にそんな動きを実現できるマナを確保できるのかって? 《ゴブリンの電術師》や《捨て身の儀式》が、その疑問を解消してくれますよ。

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物理


《冷眼のロヴィサ》 アート:Anna Steinbauer

 「物理」デッキを率いるのは、こちらもドミナリアの人物、《冷眼のロヴィサ》です。盾と巨大な斧を手にした勇姿が印象的な戦士ですね。バルデュヴィアの酋長たるロヴィサはバーバリアンや戦士たちを束ねる天性の指導者であり、ただ戦場にいるだけで仲間たちを鼓舞し、力と活力を与えます。ロヴィサは筋力を体現する誉れ高き戦士であり、「物理」デッキの顔として適任でしょう。

 そしてこの「物理」デッキも、ビートダウンを加速させていくことを目指したロヴィサらしいものです。バーバリアンや戦士に+2/+2の修整を与える《冷眼のロヴィサ》は(彼女は狂戦士にも力を与えますが、今回のデッキには含まれていません)、マナ・カーブ通りの展開を成功させたときに壊滅的な力を発揮します。しかもそれだけではありません――このデッキは《不屈の自然》や《炎樹族の使者》といったマナ加速も擁しており、ゲーム序盤から素早く前線を築き上げることができるのです。また、このデッキの部族を代表するのは《冷眼のロヴィサ》ですが、《旗印》も加わることでバーバリアンや戦士をさらに強化することができます。

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 「物理」デッキは、無慈悲なビートダウンを得意とするプレイヤーにうってつけです。《炎の稲妻》や《破壊の標》でクリーチャーの攻撃を通す道を作り、「狂喜」持ちのクリーチャーや「フラッシュバック」持ちの呪文(多くは費用対効率に優れたクリーチャー・トークンを生み出すもの)を駆使すれば、毎ターン強打を繰り出しながら盤面を強化することができます。やがて対戦相手もたまらず、防衛線の維持に悲鳴を上げることでしょう。

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 ひとたび対戦相手をロープ際へ追い込めば、こちらもフィニッシャーを叩き込むときです。《森の力》と《高まる残虐性》のワンツー・パンチはどんなクリーチャーでもトランプル持ちの怪物へと変え、こちらがそれだけのマナを集めるまで生き残った相手を一撃のもとに打ち倒すでしょう。相手のクリーチャーがすべて「臆病者」なら、トランプルすら必要ありませんね。

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精神 vs 物理

 もちろん、どちらのデッキも対戦相手への妨害手段なしにはプランを完遂できません。『デュエルデッキ』ですから、衝突が起きて当然です! どちらのデッキにも、自身のプランを進める手段と同じだけ相手のプランを妨害する手段が含まれています。

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 「精神」デッキはマナを伸ばし、防御を築き、飛行持ちのクリーチャーで攻撃を通します。「物理」デッキ側はそれに対する妨害手段を備えています。《雲冠の樫》は、序盤に空中から忍び寄るドレイクやキメラに対する最高のブロッカーとなり、またパワーが3あるため防御の必要がないときは攻撃にも有用です。それから《罰する者、ゾーズー》は、夢のようなターンへ向かって歩み続ける対戦相手がマナを伸ばそうとすると、そのライフをじわじわと削り取ってくれます。そしてもし相手が待ちに待った栄光のターンを迎えても、「物理」デッキには《耳障りな反応》という切り札があります。古くから青が最も得意としていた手を奪い、ゲームの決定打となる瞬間に見せつける。これほど気持ちの良いことはありませんね。

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 一方の「精神」デッキは、「物理」デッキの速度を落とし華々しいフィナーレを迎えることを目指します(それが打ち消されないのが望ましいですね)。「精神」デッキは《断絶》によるテンポ・アドバンテージの獲得や《裂け目の稲妻》によるクリーチャー除去で、次々と繰り出される脅威を寄せ付けず優位を築いていきます。《ニヴィックスのサイクロプス》は強力かつ長時間にわたって活躍する防御の要であり、コンバット・トリックによる強化を対戦相手に意識させ、攻撃をためらわせることもできます(インスタントならなんでもコンバット・トリックになりますね)。そして「精神」デッキには、《火山の幻視》や《賢者眼の報復者》といったゲーム後半に盤面をひっくり返すカードもあります。それらが決まれば、「物理」デッキ側は回答を迫られることでしょう。回答を用意できなければ、そのままゲームが終わるのです。

 私も「精神」と「物理」それぞれを使ってゲームを楽しみましたが、今回はこれまでで最も楽しくバランスの取れた『デュエルデッキ』であると自信を持って言えます。どちらかが一方的に勝つ試合ばかりではなく、緊迫する展開もたくさんありました。そしてどちらのデッキにも派手な動きがあり、気持ち良さも十分です。何度ゲームを楽しんでも、もっとやりたくなりましたよ。

 『デュエルデッキ:精神 vs 物理』は、3月31日にお近くのゲーム店にて発売されます。どうぞお楽しみに!

「精神」
『デュエルデッキ:精神 vs 物理』
10 《島》
10 《山》
4 《急流の崖》

-土地(24)-

2 《ゴブリンの電術師》
2 《若き紅蓮術士》
1 《ギトゥのジョイラ》
1 《遺跡潜り、ジョリー・エン》
1 《ニヴィックスのサイクロプス》
1 《魔心のキマイラ》
1 《空召喚士ターランド》
1 《ナックラヴィー》
1 《賢者眼の報復者》
1 《語られざるもの、忌話図》
1 《深海のクラーケン》

-クリーチャー(13)-
3 《霧中の到達》
1 《急かし》
2 《深遠の覗き見》
2 《断絶》
1 《捨て身の儀式》
1 《ぶどう弾》
3 《裂け目の稲妻》
2 《砂のふるい分け》
2 《巣穴からの総出》
1 《シヴ山の隕石》
1 《時間の亀裂》
1 《精神の願望》
1 《火想者の予見》
1 《火山の幻視》
1 《明日の標》

-呪文(23)-
「物理」
『デュエルデッキ:精神 vs 物理』
11 《山》
10 《森》
4 《岩だらけの高地》

-土地(25)-

2 《スカルガンの穴潜み》
2 《炎樹族の使者》
2 《クルーインの打撃者》
1 《ケルドの後継者、ラーダ》
1 《タララの大隊》
1 《執拗な狩人》
1 《罰する者、ゾーズー》
2 《大使の樫》
2 《雲冠の樫》
2 《血まみれ角のミノタウルス》
1 《瓦礫帯の略奪者》
1 《冷眼のロヴィサ》
1 《ピット・ファイター、カマール》
1 《ボールドウィアの威嚇者》

-クリーチャー(20)-
2 《炎の稲妻》
1 《耳障りな反応》
2 《不屈の自然》
2 《森の力》
2 《獣群の呼び声》
1 《調和》
1 《高まる残虐性》
1 《破壊の標》
1 《獣の襲撃》
1 《旗印》
1 《ワームの咆哮》

-呪文(15)-

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