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『デュエルデッキ:ニッサ vs オブ・ニクシリス』
『デュエルデッキ:ニッサ vs オブ・ニクシリス』
Katie Allison / Tr. Tetsuya Yabuki
2016年8月1日
ニッサ・レヴェインとオブ・ニクシリスは仲が悪い、と言って差し支えないでしょう。いや、「仲が悪い」じゃ済まないですかね。彼らは何ひとつ意見が合いません――ニッサが「ピザが好き」だと言えば、オブ・ニクシリスは「そんなもの、この多元宇宙開闢以来の汚物だ」と言って憚らないほどなのです。
『戦乱のゼンディカー』ブロックにおける巨悪(文字通り巨大ですね)はエルドラージですが、オブ・ニクシリスもまたゼンディカー次元で暗躍し、プレインズウォーカーの灯を取り戻しました。ゼンディカーの大地のマナと額に埋め込まれた面晶体によってこの世界に捕らわれていた彼は、世界そのものに対する憎しみを募らせていきました。
ニッサは対照的に、ゼンディカーと深く結びついています。彼女にとってこの世界は故郷の次元であるだけでなく、彼女の友人であり、彼女を守護するものであり、そして彼女が守るべきものでもあるのです。この世界の「魂」と対話ができるのは彼女ただひとりです。エルドラージの脅威からこの次元を守る悲愴な戦いの中で、ニッサはこの世界の生命力を最後の一滴まで搾り取ろうと企むオブ・ニクシリスと邂逅し、彼女は戦いを挑みました。
オブ・ニクシリスの力は強大で戦いの経験もニッサを上回っていましたが、彼女は持ちまえの機敏さと機転を駆使し、そしてゼンディカーの大地のマナに支えられ、強力なデーモンを退けてこの次元の源を守ることができました。しかし手痛い傷を負い敗北を喫したオブ・ニクシリスでしたが、彼はまだ生きています――その恨みを忘れることはありません。
ふたりの持つ魔法の力もまた、対極的です。ニッサは土地そのものに言葉を届ける「精霊信者」です。彼女は生命を育み、命の息吹を呼び戻し、そして巨大な大地のエレメンタルや植物を呼び出して戦うこともできます。
一方、オブ・ニクシリスの魔法は命を消耗させ破壊するものです。リリアナの振るう死の魔法と似ていますが、本質的には異なります――彼の魔法は、いわば「反生命」的なものなのです。彼は敵を弱らせてその防御を侵食します。また、他の生命からエネルギーを吸い取って自身の力とすることもできます。ニッサとオブ・ニクシリスは、たとえどんな状況で出会ったとしても必ず敵同士になることでしょう。
そんな互いに相容れないふたりが、9月2日発売の『デュエルデッキ:ニッサ vs オブ・ニクシリス』の主役です。オブ・ニクシリスのデッキは黒単色で、破壊とライフを失わせることに特化しています。対戦相手のクリーチャーを除去する手段に溢れ、自身のクリーチャーを墓地から呼び戻すカードも豊富なこのデッキは、オブ・ニクシリスの本質である「力の吸収」をよく表していますね。
ニッサのデッキは緑単色で、生命のエネルギーに満ちています。序盤に優れたエルフを繰り出しながら数ターンでマナを加速し巨大なエレメンタルを呼び寄せる動きは、ニッサが自然の持つ野性的なエネルギーを引き出し莫大な力を振るう姿を彷彿とさせますね。どちらのデッキも様々な魅力を持っているため、私はこの戦いを両方の視点から体験してみました。
最初に私が操ったのはオブ・ニクシリス側でしたが、ゲームが始まるなり対戦相手は素早く地上の軍勢を作り上げ、ブロッカーを用意できないこちらは大いに焦りました。しかし《巨大蠍》が一部とはいえ相手の攻勢を食い止め、ようやくひと息吐いた私は悪魔的な陰謀を働かせ始めることにしました。
クリーチャーのサイズも質も、こちらが大きく遅れを取っています。しかしこちらは様々な方法で、対戦相手が嫌がる戦闘状況を作ることができました。《巨大蠍》をはじめとした接死持ちのクリーチャーが戦場に並び、ニッサの操るクリーチャーたちへ「かかって来いよ!」と声を上げます。ときには大物を討ち取ることもありました。激しい戦闘の中、《水膨れ地掘り》が勇敢にも戦場に残り続けました。相手は、2点のライフを失うと同時にこちらの《墓所王の探索》が条件を満たしてしまうことを恐れたのです。地上の戦線は膠着しました――つまり、こちらが大型のデーモンを呼び出し逆転の一歩を踏み出すときがやって来たのです!
黒のデッキが持つ特長のひとつは、自己完結した動きです。私が残りライフ6点で《血の儀式の司祭》を繰り出すと対戦相手は一瞬喜びましたが......《血の儀式の司祭》を《祭壇の刈り取り》の生け贄に捧げるとその顔は曇りました。私はこの動きで、デーモンを残しながらデメリットを解消し、さらにカードを2枚得たのです。
それから《不浄の契約》の力も存分に楽しみました。自身のクリーチャーに付けて死亡したとき戦場に戻すのも素晴らしいのですが、対戦相手の《雲打ち》へエンチャントして、続けて《破滅の刃》を撃ち込んだときは最高の気分でしたね。
そしてもちろん、見事な新規アートで彩られた《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》はこのデッキの中核です。躍動感ある新規アートを得た彼は、絶え間ない怒りに満ちたデーモンのプレインズウォーカーに相応しい凄みのある1枚になっていますね。盤面を一掃しこちらの手札を満たす彼の能力はそれだけでも強力ですが、このデッキには《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》と相性抜群のカードが満載されています。
また、新規アートが施されたカードは他にもあります――《破滅の刃》と《野望の代償》です。《破滅の刃》のアートの端から特徴的な赤と黒の色が突き出して見えることから、オブ・ニクシリスが手ずから敵を葬っていることが想像できますね。
数多の死と破壊を経て、今度はチーム・ニッサの側に付くことにしました(合言葉は「アシャヤ!」と呼びかけることです)。私自身は元来緑の魔術師なので、《森》でいっぱいのデッキを手に戦いへ赴くのはしっくりきます。
何が素晴らしいかって? 1ターン目から動き出せることです――とりわけ《鎌豹》を繰り出せるのは気持ちが良いですね。このときは2ターン目に2枚目の《鎌豹》を展開することに成功し、大満足でした。(余談ですが、《鎌豹》はその名の通り四肢に鎌が付いていますよね。これでは歩きにくいでしょう。もしかしたら、木にしがみついたり獲物に襲いかかったりするときにだけ飛び出すのでしょうか?)
3ターン目、私が土地を置くと2体の《鎌豹》の「上陸」能力が誘発し、さらに(ジョシュ・ハス/Josh Hassの手による新規アートが施された)《ウッド・エルフ》をプレイして《森》をもう1枚戦場へ出し、再び「上陸」を誘発させました。2体の《鎌豹》は3ターン目にして6点ものダメージを叩き出し、私は爆発的なスタートを切ったのです!
他に驚くほど強かったのが、《輪作》です。《森》を《カルニの庭》(植物・トークンを生み出してくれます)に変えるだけでなく、インスタント・タイミングで「上陸」を誘発させることができました。つまり1マナで複数のクリーチャーを強化できるコンバット・トリックとして機能したのです。美しい新規アートも、見ていて微笑ましいですね。白髪の農魔道士がため息を吐きながら弟子に声をかける姿が目に浮かぶようです。「これバーソロミュー、何度言ったらわかるんじゃ。『輪作』とはそういう意味ではないぞ」と。
ニッサのクリーチャーの多くは、それ単体ではサイズの小さなものです。しかしこのデッキには、それらを素早く強化する手段がたくさん搭載されています――そしてニッサも自らクリーチャーたちを支えるのです! 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》はこのデッキの花形であり、植物・トークンを生み出して地上を守ったり+1/+1カウンターを全軍に乗せたり、と攻守にわたって活躍する1枚です。1/1のエルフや0/1の植物といった心許ない仲間たちも、《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》が加わればわずか数ターンで手のつけられない軍勢になるのです! 彼女の敵と同様に、ニッサにも躍動感のあるカッコいい新規アートが用意されています。彼女の勇姿はまさに、自然の力そのもののようですね。
それからもちろん、このデッキには他の助けを借りずとも巨大で恐ろしいクリーチャーがたくさんいます。ニッサは、エレメンタル――大地や植物、魔法のエネルギーが形を成したクリーチャーと、強い絆で結ばれています。このデッキではエレメンタルたちがマナ・カーブの頂点に座し、ゲームを終わらせる助けになってくれるでしょう。
中でも個人的には《茂みの精霊》がお気に入りなのですが、この子1枚で勝った試合が記憶に残り過ぎていて、ひいき目で選んでしまっているかもしれませんね。上級者向けのヒントとしては、このカードは「キッカー」のコストを支払えるまでプレイするのを待ったほうがいいですよ!「続唱」のような効果でクリーチャーをもう1枚繰り出せる《茂みの精霊》の「キッカー」能力ですが、「続唱」と異なり点数で見たマナ・コストに関わらず何でも出せるのです。《茂みの精霊》を「キッカー」込みでプレイして《オラン=リーフのハイドラ》をコストなしで繰り出せたら、強すぎて卑怯なほどですよね。対戦相手は次の私のターンを生き延びることなんてできやしません。
もう「ゼンディカー・シック」になっている方も、あるいは単純に使っていて楽しいプレインズウォーカー同士の熾烈な戦いを体験したい方も、9月2日は行きつけのお店へ足を運び、『デュエルデッキ:ニッサ vs オブ・ニクシリス』を手にとってみてください。それでは皆さん、どうぞデュエルをお楽しみください――《茂みの精霊》の「キッカー」もお忘れなく!
18 《森》 2 《肥沃な茂み》 2 《カルニの庭》 1 《苔汁の橋》 1 《樹上の村》 -土地(24)- 2 《鎌豹》 2 《エルフの幻想家》 2 《ソーンウィールドの射手》 1 《ニッサに選ばれし者》 1 《オラン=リーフの発動者》 2 《シタヌールの樹木読み》 2 《護民官の道探し》 2 《光り葉の予見者》 1 《ファーティリド》 1 《ウッド・エルフ》 2 《茨角》 1 《鞍背ラガーク》 2 《ジャディの生命歩き》 2 《森生まれのビヒモス》 1 《茂みの精霊》 1 《雲打ち》 1 《オラン=リーフのハイドラ》 1 《樫瘤の戦士》 1 《木立を歩むもの》 -クリーチャー(28)- |
2 《イトグモの蔦》 1 《輪作》 1 《ガイアの祝福》 1 《自然の繋がり》 1 《豊穣》 1 《地平の探求》 1 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》 -呪文(8)- |
22 《沼》 2 《ヒル溜りの沼》 -土地(24)- 2 《捕らわれの宿主》 2 《異臭のインプ》 1 《魂の略奪者》 1 《悪臭のインプ》 2 《水膨れ地掘り》 1 《死者のインプ》 1 《巨大蠍》 1 《バーラ・ゲドの蠍》 1 《冒涜の悪魔》 1 《押し潰すヒル》 1 《寛大な拷問者》 1 《血の儀式の司祭》 1 《反逆の悪魔》 1 《黒死病の悪魔》 -クリーチャー(17)- |
2 《墓所王の探索》 1 《見栄え損ない》 1 《無垢の血》 1 《ぬかるみの代価》 2 《破滅の刃》 2 《不気味な発見》 2 《小悪疫》 1 《祭壇の刈り取り》 1 《過去の過ち》 1 《忌まわしい最期》 1 《不浄の契約》 1 《野望の代償》 1 《堕落の触手》 1 《悪魔の掌握》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 -呪文(19)- |
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