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プレインズウォーカーのための『ニクスへの旅』案内

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プレインズウォーカーのための『ニクスへの旅』案内

The Magic Creative Team / Tr. Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori

2014年4月2日


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イラストレーション:Chase Stone

星空の危機

 テーロス。それは神話、伝説、予言に満たされた世界。豪胆なる勇者たちは内なる勇気を奮い起こし、恐るべき怪物と戦う。神々は信奉者である定命の者達の運命を操ることにより、自身の計画へと邁進させる。

 テーロスにて定命の者達が眠り、夢を見る時、彼らは「ニクスを訪れている」のだと言われている。それは夜の世界であり神々の故郷として知られる地である。神々が定命の者達の前に姿を現す際、その物理的な姿は夜の空であるニクスに満たされている。神々からの贈り物も同様に、その源であるニクスを映し出している。

 この原則は数千年もの間続いてきた。

 だが最早そうではない。簒奪者ゼナゴスが神の座へと昇った。戦は次元を飲み込み、万神殿をその崇拝者達と争わせている。物事を正すには英雄の奮闘を必要とするだろう。

引き裂かれし万神殿


イラストレーション:Jason Chan

 殺戮の神モーギスが送り込んだミノタウルスの軍勢を撃退した後、アクロス人とその同盟者達は勝利の宴を盛大に開いた。だが彼らの歓楽は長くは続かなかった。ゼナゴスがそれを利用し、神の座へと昇る最後の儀式の場とした。他の神々は自分達の覇権を混乱させたとして定命の存在を責め、人類文明へと報復を宣言した。

 テーロス世界は引き裂かれようとしている。自然の秩序を取り戻すには、不法侵入者を追い出すしかないだろう。一人の英雄がニクスへの旅と、簒奪の神への挑戦を選択した。太陽の勇者エルズペスである。

英雄の試練


イラストレーション:Terese Nielsen

 神々全ての中でも、ヘリオッドは特にゼナゴスの隆盛へと怒り狂っている。彼はエルズペスがその共謀者であると信じ、彼女を滅ぼそうと目論んでいる。大歓楽祭の後、エルズペスは荒野へと逃亡し、かろうじてヘリオッドの怒りから逃れた。今はセテッサの英雄アンソーザが、ニクスから生まれ出たもの達に対抗する定命の者達の軍勢を率いている。

 状況は厳しいながらも、エルズペスは思わぬ仲間を得た。アクロスから離れ、遠方の山々に住むレオニン達だった。彼らは遥か遠くからミノタウルスの包囲戦を観察しており、神々や人間達の争いとは部外者の立場を貫いていた。

 黄金のたてがみのアジャニ、エルズペスの古い友人であるレオニンは彼女を探しにテーロスを訪れると、この地の同類達の助言者となった。テーロスのレオニン達はアジャニへと何が起こったのかを伝え、エルズペスがその危機を引き起こしたのではないと自信を持って言った。やがてレオニンの王ブリマーズの助力を得て、二人のプレインズウォーカーはレオニンの本宿営地テツモスにて再会した。共に、彼らは物事を正すことを誓った。


イラストレーション:Eric Deschamps

神の座の代価

 地平線の神クルフィックスは、ニクスへと入りゼナゴスを星々から引き剥がす方法の秘密を知る、とても数少ない存在の一つである。彼は知識を守ることを誓っているが、エルズペスはその神の存在の情報を掴むと、故意でないにしても自身が引き起こしてしまった不都合を正す方法を見つけると決心した。地平線の神へと交感するため、アジャニとともに、彼女は世界の果てにある神秘の神殿を目指す旅に出た。


イラストレーション:Daarken

 クルフィックス神殿への旅路にて、たびたび二人はニクス生まれどもからの攻撃を受けた。エルズペスは夢の中で、破滅の幻視に悩まされた。そして彼女は内心、ニクスへの旅の結果何が起こるかを怖れている。だが遂に二人は神殿へと辿り着き、不可解な神からの助言を得た。

 今やエルスペスとアジャニはゼナゴスの領域にて対峙する。強大な武器「神送り」を手に、不承不承の英雄エルズペスは世界を救うという究極の重荷を引き受けた。


イラストレーション:Daniel Ljunggren

ニクスへの旅の神々


イラストレーション:Jung Park

 テーロスの世界はそれぞれ独自の特質、欲求、神殿、崇拝者達を持つ神々が統べている。多元宇宙の他の次元世界と同じように、テーロスの魔法はその土地自体から生まれ来るマナによって力を持つ。マナには五つの色が存在している。テーロスのあらゆる神々もそのマナの性質からの影響を受けており、それは彼らそれぞれが統べる分野へと反映されている。

 テーロスの主神五柱――ヘリオッド、タッサ、エレボス、パーフォロス、ナイレア――彼らはそれぞれただ一色のマナと関連している。もう十柱の神々は定命の存在の多様な分野を統べており、それぞれが二色のマナに関連している。ゼナゴスの昇天によって、万神殿には現在十五柱の神々が存在する。

通行の神、エイスリオス

イラストレーション:Ryan Barger

 定命の者が死すと、その魂は死の国へと続く「世界を取り巻く大河」を渡らねばならない。骸布纏う神エイスリオスは彼らの案内役として、死者達を究極の安息へと送り届ける。黙々と、熱心に、見すぼらしくなりながらも、彼はひたすらにその役割を果たしている。

 エイスリオスは常にその特徴とされる、節くれ立った黒木の長い杖を手にしている。死者が河の岸へと辿り着くと彼はその杖を水面に浮かべ、すると杖は小舟へと変化する。生から死への旅路を安らかなものにするという役割から、彼は白と黒のマナに関連している。

 テーロスの風習では、死して間もない者へと被せる葬送の仮面を粘土で作る。これによって故人の自己はエイスリオスのために「枠づけされ」、そうしてその神は彼らを適切に送り届けることができる。それらの仮面は破壊されてオストラコンと呼ばれる破片となり、死の国において取引に使われる。

嵐の神、ケラノス

イラストレーション:Daarken

 青空から放たれる稲妻は破壊的であり、かつ霊感を与えるものでもある。同様に、ケラノスは嵐の憤怒と思いがけない洞察の炎を併せ持つ。彼は忍耐力はほとんど無く、温情などまったく無い神であり、洞察と稲妻の一撃とを平等に与える。そのため、彼は青と赤のマナに関連している。

 知識の体現として、ケラノスは定命の者達を認めておらず、彼らを無謀な存在であるとみなしている。それでいて彼はまた明確な目的をもって行動する者を讃える、とりわけその者たちがまず彼の是認を求める時は。そのような者は未来の瞬間を垣間見る祝福を得るが、来たるものを変えることはできない諸刃の剣である。定命の者たちの中では、アクロスのサイミーディ女王がケラノスの著名な信徒であり、その神の崇拝を都市国家中へと広めている。

苦悶の神、ファリカ

イラストレーション:Peter Mohrbacher

 致死的な毒も少量ならば治癒薬となる。そしてこの分野を統べる神そのものも同じ二面性を体現している。ファリカは薬学の知識と暗黒魔法の源の守り手である。彼女はまた全てのゴルゴンの母であり、彼女らの蛇の身体はこの神と同じ姿である。

 対立する者にとってファリカは恐るべき敵だが、彼女が寵愛する定命の者を殺害するのは困難である。彼女は水薬の杯を手にしており、下僕達へと力を与えるために、また敵を殺害するためにその一服を与える。

 ファリカは黒と緑のマナに関連している、そして彼女はまたその二面性から加齢を――生命を引き伸ばし死へと近づくことを――統べている。伝説によると、この秘密主義の神は自然世界の中に医学的な知識を隠しているのだという。それらを発見しようと求める定命の者達への報酬なのか、はたまた彼女はそういった者達を玩具とみなしているのか、それは誰も知るよしもない。

勝利の神、イロアス

イラストレーション:Slawomir Maniak

 戦闘における栄光の標、イロアスは筋骨隆々としたケンタウルスに似た姿をとっている。彼は個人的武勇と戦闘における勇気をともに統べており、従って彼は戦争を統べる神でもある。彼は殺戮の神、戦争の暗く暴力的な面を統べるモーギスとは双子の兄弟であり、そのため両者は常に争っている。

 イロアスは定命の者達の中へと、栄誉ある戦闘を鼓舞している。彼は軍国都市国家アクロスを贔屓にしており、その都市の闘技場ではイロアスの競技会が開催される。その表彰場はイロアスの主神殿でもある。毎年、夏の盛りにテーロス中から運動選手と兵士が集まり、最高の肉体的武勇の証である花冠を求めて戦う。

 勝利の神は赤と白のマナに関連している。彼の熱心な信奉者には競技会の優勝者達、軍隊のカリスマ的指揮官達が含まれる。アクロスのアナックス王は獰猛な戦士かつ熟練の戦術家として知られており彼もまたイロアスの長年の信奉者である。とはいえ彼は近年、その都市国家を帝国へと鍛え上げる中でパーフォロス神を奉じている。

彼方の神、クルフィックス

イラストレーション:Daarken

 最も謎めいた神、クルフィックスは可能性、距離、見えざるものといった分野を支配している。そのため、彼は夢の神託者とみなされている。彼はまた航海、神秘、時の循環を統べている。クルフィックスは万神殿でも最古の神であり、他の誰も学ぼうとしない神秘の守り手であると定命の者達は言う。

 この隠遁する神は滅多に口を開かず、崇拝者は僅かである。彼はしばしば実体ではなく、ただニクスに満ちた空間だけを空に映す。クルフィックスは緑と青のマナに関連しており、彼の神殿は世界の縁の瀑布の上に建造されている。

 クルフィックスはテーロス世界とその神々の起源の真実を知っている。そして神を一柱殺害する力のために払わねばいけない代償がどれほどかも理解している。


 この次元を更に学ぶには、「プレインズウォーカーのための『テーロス』案内」その1その2その3と「プレインズウォーカーのための『神々の軍勢』案内」を読もう。

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