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企画記事
はじめての「競技レベル」イベント(事前準備編)
はじめての「競技レベル」イベント(事前準備編)
By Naoaki Umesaki(DCI認定Lv3ジャッジ)
こんにちは、はじめましての方ははじめまして。DCI認定レベル3ジャッジの梅咲直瑛です。
いよいよ、「グランプリ・東京2016」の開催が近づいてきました。
東京でグランプリが開催されるのは19年ぶりのこと。今回は3000人規模での開催となり、日本国内で開催される構築戦のグランプリとしては過去最大のイベントとなることが確実な大規模大会となっています。
このイベントが初めての大規模イベント参加になるという方。もしくは、最近マジックに復帰して久しぶりの大規模イベント参加になる、というプレイヤーの方も多いのではないでしょうか。
今回は、そういった方に向けて、グランプリのような「ルール適用度:競技レベル」で開催される大会に参加する際に気をつけるべきことを、2回のコラムに分けて簡単に紹介させていただきたいと思います。
今回の「グランプリ・東京2016」に参加されない方にとっても、実は「競技レベル」のイベントは身近な存在です。例えば、各地のショップで開催されているプロツアー予備予選や、グランプリ・トライアル。こういったイベントも「競技レベル」の大会なのです。
ぜひ、「競技レベル」の大会に参加する際にはこのコラムを読んで、イベント当日に備えてください。
それでは、前編となる今回は、大会に参加する事前準備の段階で気をつけるべきことを紹介していきたいと思います。
そもそも、「ルール適用度:競技レベル」の大会とは?
マジックのDCI認定イベントでは、必ずその大会の開催趣旨に合わせて「ルール適用度」というものが三段階に分けて設定されています。
日常的に開催される多くのイベントは「ルール適用度:一般レベル」ですが、賞金や特別な大会参加権利が関わってきたりすると、ルール適用度の設定も上がり「競技レベル」や「プロレベル」の大会として開催されるようになります。
「参加者3000人の頂点を決める、優勝賞金100万円の大会。」
改めてこう聞くと、グランプリは凄いイベントです。公正性を保つため、より厳格にルールを適用する「競技レベル」の大会として開催されるのは自然なことと言えるでしょう。
(※グランプリは、1日目が「競技レベル」。2日目はもう1段階ルール適用度が上がり、世界最高峰の舞台であるプロツアーや世界選手権と同じルール適用度となる「プロレベル」によって行われます。)
しかし、いきなり「ルール適用度:競技レベル」と言われても、どういった点に気をつければ良いのかピンとは来ないもの。ここからは、初めて「競技レベル」の大会に行く際にまず気をつけるべき代表的な例を紹介していきたいと思います。
スリーブに問題がないか、再確認しよう
スリーブは消耗品です。使っていると自然と傷んできますが、そういった中で意図せずにデッキが不正な状態になっていることも多くあります。
例えば、写真のデッキを見ると、数枚だけスリーブの端が折れているようです。
もし、この折れているカードが勝ち手段やドロー呪文などの重要な意味合いのあるカードであったり、「全部土地カード」といった規則性があったらどうでしょうか。
第三者の視点で見ると、あってはならない不正行為の可能性が脳裏をよぎる状況でしょう。
「競技レベル」で開催される大会は、きっと何かしら大きなものが掛かったイベントだと思います。もし今使っているスリーブがボロボロになってきていたり、何か気になる部分があったりしたら、せっかくの大きな大会ですし新しいスリーブに換えてしまうのがオススメです。
このケースに限らず、イベント当日のゲーム中はもちろん、事前準備の段階から自分がクリーンなプレイを心掛けている状態であるかを意識することは非常に重要です。
大会は多くのプレイヤーが集まる場所。全員がルールを守り、クリーンなプレイを心掛けることで成り立っています。ぜひ、ご協力をお願いいたします。
両面カードの扱いについて
《ヴリンの神童、ジェイス》や、『イニストラードを覆う影』に収録されている両面カードをデッキに使用する際、「そのスリーブの裏面は、完全に不透明でなければならない」とルールによって決められています。
例えば、少しでも裏面が透けるスリーブだと、ライブラリーの一番上に両面カードが来た時にそのことが分かってしまいます。そして、当然ながらそのような状況のゲームは公平性に大きく欠けるものとなってしまうからです。
そして、そういったスリーブの問題を解決するために、ブースターパックに封入されているチェックリスト・カードを使用することが認められています。
ただし、チェックリスト・カードを使用したことでゲームプレイが紛らわしくならないよう、「各カード名ごとに、使用するカードを全て本物で統一するか、チェックリスト・カードで統一する」という大会ルールの決まりがあります。
【例】
× 「4枚入っている《ヴリンの神童、ジェイス》で、2枚は本物、2枚はチェックリスト・カード」
○ 「4枚入っている《ヴリンの神童、ジェイス》は全て本物、2枚入っている《異端の癒し手、リリアナ》はチェックリストカード」
大会参加前、デッキを組み終わったら各カードごとに統一できているか忘れず再確認するようにしましょう。
(※以前はデッキ内の両面カード全てをどちらかに統一する必要があったのですが、『イニストラードを覆う影』の発売に合わせて2016年4月8日からこのようにルール変更が行われました。)
デッキケースに余計なものは入れないようにしよう
何気なく、デッキケースにメインデッキとサイドボード以外の余計なカードを入れていませんか?
例えば、「サイドボードに入れようか迷っていたけど、最終的には採用しなかったカード」が数枚デッキケースに入っていたとします。
あなたの視点だと、そのカードは「単純に使っていないカード」です。しかし、何も知らない第三者の視点では「不正にサイドボードを多く使えてしまう懸念があるのではないか?」といった可能性が見えてきます。
同様に、1個のデッキケースに2つのデッキを入れているのも、紛らわしい状況と言えるでしょう。
デッキケース内の余計なカードについては、状況によってはペナルティが出てしまう危険性もあります。デッキケースに入れるマジックのカードは、メインデッキとサイドボードのみ。これがクリーンなプレイを示すのに明快です。
(※トークンやサイコロ、チェックリストカードを使う場合の本物カードはデッキケースに入れておいて問題ありません)
デッキ登録用紙やデッキは、間違いがないかどうか再確認しよう
「競技レベル」のイベントでは、イベントで使用するデッキ内容を必ず大会開始時に登録用紙で提出します。そこで起こりがちなのが、登録用紙へのカード記入忘れ・記入間違いや、実際に使用していたデッキのカードが59枚だったといったミスです。
「自分はそんな簡単なミスをするわけがない」。皆さんそう思われるでしょうが、これは大規模イベントに慣れているプレイヤーでも確認を怠って時々犯してしまうミスでもあります。
- 使用している各カードの枚数は合っているか。
- メインデッキの枚数が60枚に足りているか。
- サイドボードは15枚以内に収まっているか。
デッキやデッキリストの内容に不備があると、ペナルティの対象となってしまいます。大会の開始前には、実際に使うデッキとデッキ登録用紙の両方について枚数などの再確認を必ず行うようにしましょう。
ウィザーズ・アカウントを作っておこう
イベントに参加したり、グランプリの賞金を受け取る際に、DCI番号とウィザーズ・アカウントが必要になります。
最近新しくDCI番号を作った方は自動的にウィザーズ・アカウントを取得していますが、復帰して以前からのDCI番号を使用している方は、そのDCI番号でウィザーズ・アカウントを取得する必要があります。イベント前に、必ず確認しておきましょう。
ウィザーズ・アカウント取得方法については、こちらのリンクから解説ページをご確認ください。
ウィザーズ・アカウントとDCI番号の作成方法
- 新規にウィザーズ・アカウントとDCI番号を取得する方法
- 現在利用中のDCI番号でウィザーズ・アカウントを作成する方法
- ウィザーズ・アカウントのログインID確認方法
- パスワードの再発行方法
- DCI番号有効化の方法
集合時間、会場までの道のり・所要時間を調べておこう
大会の集合時間に間に合わないと、最悪の場合は大会に参加できないという事態もありえます。そういったことにならないよう、大会の集合時間や会場までの道のり・所要時間についてはあらかじめ確認しておきましょう。
また、電車に1本乗り遅れてしまったり、駅から会場まで意外と時間が掛かったりすることもあります。小さなアクシデントが起きても大丈夫なよう、時間には余裕を持ったプレイングがオススメです。
まとめ
ここまでの内容を見て、「当たり前のことしか書かれていない」と思われた方もいるかと思います。そうです。「当たり前のことを、普段よりも厳密にみんなで守っていく」のが「競技イベント」です。
「競技レベル」と聞くと、難しい、怖いような印象を受けるかもしれませんが、あくまで「一般レベル」の延長線上なのです。
このように基本的に心掛けることは普段のイベントとあまり変わりませんが、大規模イベントに慣れていない間は、当たり前の準備や心掛けが抜け落ちてしまいがちです。何事も油断大敵。些細なミスが、トラブルに繋がってしまうこともあるからです。
まずは今回のコラムで紹介したような基本的なことに気を付けていただき、段々と「競技レベル」の大会にも慣れていって下さればと思っています。
それでは、また後編の「大会当日編」でお会いしましょう。
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