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企画記事
グランプリ・名古屋を楽しもう! 『テーロス』『神々の軍勢』シールドデッキ講座
グランプリ・名古屋を楽しもう!『テーロス』『神々の軍勢』シールドデッキ講座
by mtg-jp.com staff
4月の11~13日にかけて、グランプリ・名古屋が開催されます。国内で開催されるリミテッド個人戦としては昨年のグランプリ・横浜2013以来ですので、楽しみにされている方も多いかと思います。
さて、参加を予定されている方の中には「シールドはプレイしたことがないんだよなあ......。」「シールドってどんなフォーマットなんだろう?」といった悩みや疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では前半部分でシールドデッキ構築の手順や基本を、後半部分では『テーロス』『神々の軍勢』環境ならではのポイントについてお話ししていきたいと思います。
シールドデッキってどんなフォーマット?
シールドデッキとは、大まかに言ってしまえば「ブースターパック6個を開封し、中に入っているカード84枚と、好きな枚数の基本土地で40枚以上のデッキを作って対戦する」というものです。スタンダードやモダンのような構築戦フォーマットとは違い、あらかじめデッキを用意する必要はありません。今回のグランプリ・名古屋は『テーロス』3パック、『神々の軍勢』3パックの計6パックで行います。
デッキを組む前に
カードを色別に並べ替えよう
さて、まずはパックを開封し、中に入っているカードを色別に並べ替えましょう。パックはカードがランダムに封入されていますので、枚数の多い色や少ない色、強力なカードがある色やない色が出てきてしまいますが、ごちゃ混ぜの状態では正確に内容を把握するのは困難です。まずは、見た目をスッキリさせてカードの整理を進めていきましょう。
クリーチャーとそれ以外の呪文に分ける
色別に並べ終えたら、次はそれぞれを「クリーチャー」と「その他の呪文」に分けてみましょう。後でデッキに使用するカードを選択する作業が行いやすくなります。
ここまでがデッキを組む前に行う準備となります。一連の作業をスムーズにできれば、デッキ構築に時間を多く使えますので、なるべくスピーディにこなすことを目標としましょう。
いざデッキ構築!
さて、準備を終えたらいよいよデッキ構築に入ります。整理したカードの中から必要なものを選別し、デッキを組み上げていくこととなります。ここでは、デッキ構築の基本ポイントを抑えつつ、どのようにしてデッキを組むのかを説明していきたいと思います。
デッキは40枚ちょうどで組もう!
先ほど、「40枚以上のデッキを作る」と説明しましたが、シールドデッキを組む際はちょうど40枚になるように組むのが望ましいです。枚数が多ければ多いほど、引きたいカードを引ける確率は下がってしまいます。ですので、デッキはなるべく40枚ちょうどになるようにしましょう。
さて、40枚でデッキを組む際のデッキ内のカードの比率ですが、
- クリーチャー15枚
- 呪文8枚
- 土地17枚
が目安になると考えていただければと思います。デッキの性質や、カードの内容によって若干変わることもありますが、まずはこれをベースに組んでみましょう。
また、デッキで使う色についてですが、基本的には2色でデッキを組むのが理想とされています。3色以上になると、必要な時に必要な色マナが揃わないトラブルが起きやすくなるからです。シールドデッキを組む時は2色でデッキを作ることを念頭に置いておきましょう。
色の選び方
では、肝心の色はどのようにして選べばいいのでしょうか?ざっくりとした基準は以下のようなものになります。
1.強力なカード=ボムのある色
《太陽の勇者、エルズペス》や《ナイレアの弓》はプレイすることができれば盤面に大きな影響を与え、グッと勝利に近づくことができるカードです。そういった、1枚でゲームを決めてしまう力を持ったカードはボム(「爆弾級のカード」の意味)と呼ばれることがあります。幸運にもボムを手に入れたならば、ぜひとも使うようにしたいものです。
2.クリーチャー除去呪文がある色
シールドデッキでの対戦は、クリーチャーの攻防が主となります。そのため、対戦相手のクリーチャーに対処できる除去呪文は非常に大切な存在です。うまく使えば戦況を左右することもできるだけに、除去呪文は色を決める重要な要素となります。
3.クリーチャーが揃っている色
クリーチャーはデッキを支える屋台骨と言えます。この部分が弱いと、デッキそのものの動きに影響が出てしまいます。色を決める際は、クリーチャーの吟味をしっかりとしましょう。
このような基準をもとに、色を決めていくことになります。いきなり2色を決めてしまう、というのは難しいですが、いくつかの候補に絞って組み合わせを試してみて、好みの色を見つけましょう。
クリーチャーをマナ・コスト別に並べよう
さて、使う色のめどは立ったでしょうか? 次はデッキ全体のバランスチェックです。
まずはクリーチャーを点数で見たマナ・コスト別に並べてみましょう。クリーチャーが軽いマナ域や重いマナ域に偏っていませんか? デッキ全体が軽すぎれば、ゲームの後半戦で逆転されやすくなってしまいますし、重すぎれば対戦相手の軽いカードに攻めつぶされてしまいます。具体的には2マナ域が4~5枚、3マナ域が5~6枚、4マナ域が3~4枚、5・6マナが3枚、というようにデッキが組めれば理想的な形です。とはいえ、シールド戦ではいつも綺麗なバランスでデッキを組めるわけではなく、多少枚数のばらつきがあってもそこまで気にするほどではありません。ただ、バランスがあまりにも悪いようであれば、色の変更も検討しましょう。
使用するカードを絞り込もう
ここまでの作業で、デッキ全体の枠組みができたと思います。次は、個々のカードを取捨選別する作業です。
まずは、クリーチャーの選択からです。「序盤から積極的に攻撃したい」「相手の攻勢をさばいてから後半勝負」といったデッキの方針に合わないカードを抜いていきましょう。例えば、《レオニンの投網使い》は前者のような攻めるデッキであれば、相手のブロッカーをタップして攻撃するといった使い方ができますが、後者のような受けるデッキでは効果的な使い方はあまり望めないでしょう。逆に同じ{1}{W}の《セテッサの戦神官》は、パワーが1しかなく攻めるクリーチャーとしては物足りないですが、タフネスが3ありますので大抵の2マナクリーチャーを受け止めることが可能です。どのクリーチャーを使えば良いのかわからなくなった場合には、デッキ全体の方針に合わせてみましょう。
除去呪文
先述のとおり、除去呪文は対戦相手のクリーチャーに対処できる貴重な存在です。除去呪文の有無はデッキの強さに大きく関わってくることとなります。
クリーチャー強化呪文
最後のダメ押しや、戦闘を有利に進めたりと、有用な場面はかなり多いです。攻撃的なデッキなら、より多めに枠をさいてよいでしょう。
バウンス呪文
クリーチャーを手札に戻す呪文は総称してバウンスと呼ばれています。相手のスキを突けば、単にクリーチャーを手札に戻す以上の効果があることも。マナ・コストが軽いことが多いので、手軽に使えるのが魅力です。
エンチャント破壊呪文
後述しますが、『テーロス』『神々の軍勢』ではクリーチャー強化エンチャントが数多く見られますので、デッキに1枚は入れておきたいですね。
上記のような呪文からカードをチョイスしてデッキに入れていくことになります。特に重要なのは除去呪文です。対戦相手のクリーチャーに干渉できる手段は限られていますので、多少無理をしてでも使いたい呪文です。
※使えるテクニック:タッチとサイドボードを活用しよう
タッチ
2色でデッキを組めたけれど何か物足りない......という時に3色目を足して構築する場合があります。これを「タッチ」と呼びます。上で述べたとおり、3色目の枚数が多いと色事故を起こしてしまう原因になりますが、例えば《稲妻の一撃》のように、要求される色マナ・シンボルが少ないカードを2~3枚「タッチ」することで、デッキに足りていない要素を補うことができる有効なテクニックです。特にこの環境では《乳白色の一角獣》や《旅行者の護符》などマナをサポートしてくれるカードが複数ありますので、覚えておくと役に立つことが多くあります。
サイドボード
シールドデッキでは、メインデッキに使わなかったカードは全てサイドボードとして使うことができます。《闇の裏切り》や《切り裂く風》といった、対象を極端に限定するカードはメインデッキには入れづらいですが、対戦相手のデッキを確認した2ゲーム目以降は活躍の場が回ってくることもあります。積極的に活用しましょう。
基本土地を加えてデッキ完成!
最後に基本土地を加えればデッキ完成です。基本土地のバランスについては、色分布に合わせて調整しましょう。例えば、白のカードが18枚+青が5枚のデッキと、白が12枚+青が11枚のデッキでは、《平地》と《島》の枚数が変わってきます。カードの多い色の土地を多めにするようにしましょう。
完成したデッキで遊んでみよう!
デッキが完成したら、試してみたくなるのがマジックプレイヤーですよね。ぜひ、試合をして組み上げたデッキの強さを実感してみましょう。思ったより強かったカードや弱かったカードが発見できるかと思います。シールドデッキでは、同じカードプールでも組み合わせを変えることによって様々なデッキを作ることができます。繰り返し遊んで色々な組み合わせを試してみてください。
『テーロス』『神々の軍勢』ならではのポイント
次は、『テーロス』『神々の軍勢』環境のシールドデッキ特有のポイントについて抑えていきましょう。まずは、本環境におけるキーワード能力について、それぞれ代表的なカードを挙げながらお話ししていきます。
英雄的
「英雄的」は、「英雄的」を持ったクリーチャーを対象に取る呪文を唱えることで、+1/+1カウンターを乗せることができたり、クリーチャートークンを生み出すことなどができる能力です。この環境にはクリーチャーを強化するエンチャントや、後述の「授与」を持ったカードが多くありますので、「英雄的」を持ったクリーチャーが活躍する機会は多々あることでしょう。
授与
クリーチャーとして唱えるかオーラとして唱えるかを選ぶことができる「授与」は、シールドにおいて大きな影響を与える能力です。序盤はクリーチャーとして、中終盤はオーラとして唱えるなど、柔軟な運用が可能です。また、オーラとして唱えた場合、通常のオーラと異なり、エンチャント先のクリーチャーが除去されるなどした場合、クリーチャーとして戦場に残るため、カードアドバンテージを失う恐れが少ないのも大きな魅力です。
「授与」を持つクリーチャーは色やレアリティを問わず多く存在しますので、グランプリ・名古屋でもあちこちで見られることとなるでしょう。
怪物化
「怪物化」はマナを支払うことでクリーチャーをパワーアップさせることのできる能力です。序盤に出しておいたクリーチャーが、終盤には一気に試合を決めることのできる、文字通り怪物へと変貌を遂げます。「怪物化」することでパワーとタフネスが上昇するだけでなく、何かしらのおまけがついてくることもあります。勝負の行方を左右することも多々あり、使いこなせれば非常に強力な武器となるでしょう。弱点として「怪物化」には多くのマナが必要となるため、バウンス呪文を合わせられると、行動を大きく阻害されてしまう点が挙げられます。そのため、使うタイミングを見極めることが重要になってきます。
信心
戦場にあるパーマネントの色マナ・シンボルを参照し、その数の分だけ効果を及ぼす能力です。この能力を持つクリーチャーの数はあまり多くなく、効果を発揮するには色の拘束も厳しいため、シールドで使いこなすのは難しいかもしれませんが、ハマった時の強さは環境でも随一ですので、頭の中に入れておきましょう。
占術
「占術」はライブラリーの上部を操作することができ、デッキの安定性に貢献してくれる能力です。デッキ全体の指針を決めるような強力な能力ではありませんが、カードについてくるおまけとし考えればはかなりありがたい能力です。また、レアにはなってしまいますが、《奔放の神殿》のような占術つきの土地「神殿」シリーズは、色さえ合えばデッキのマナ基盤の強化に貢献してくれます。
貢納
貢納は、戦場に出る際に対戦相手に厳しい選択を迫る能力です。そのクリーチャーがより強力になるか、対戦相手にダメージを与えたり、クリーチャーを生け贄に捧げさせたりといった形です。選択権が対戦相手にありますので使い所が難しい能力ですが、強力なカードが揃っています。
神啓
「神啓」を持つクリーチャーはアンタップするごとに能力が誘発し、あなたに恩恵をもたらしてくれます。一気にゲームを決めるほどの効果は無いものの、コツコツとアドバンテージを重ねてくれます。
以上がこの環境の能力となります。上記を踏まえて、デッキを構築する際に注意したい点は、
- エンチャント破壊は通常の環境より優先度アップ
- バウンス呪文は見た目より強い
の2点です。
エンチャント破壊呪文は、数の多い「授与」に対処できます。なんの変哲もないクリーチャーに「授与」されてしまい、対処できずに負けてしまった......ということは頻繁に起こります。また、クリーチャーを強化するエンチャントも環境にあふれていますので、エンチャント破壊呪文は常に使用を検討しておきましょう。
バウンス呪文は、「怪物化」や「英雄的」によって強大化したクリーチャーを手札に戻し、相手の計算を狂わせることができます。特に、「怪物化」に合わせて使えば、対戦相手は丸々1ターンを損することになりますので、効果は抜群です。《航海の終わり》や《撤回のらせん》など、軽くて使いやすいバウンス呪文は、使えるならばぜひデッキに入れましょう。
デッキ構築の際にはそれぞれのキーワード能力や、こういったポイントも気に留めて作業を行うようにしましょう。
終わりに
さて、ここまで長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。皆さんがシールドデッキを構築される際の一助になれれば幸いです。
シールドデッキは一筋縄ではいかない難しいフォーマットですが、その分奥深いフォーマットでもあります。グランプリ・名古屋までは少し時間がありますので、ぜひ一度シールド戦を遊んでみて、その楽しさを実感してみてください。
それでは、グランプリ・名古屋の会場で皆さんとお会いできることを楽しみにしております。
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