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コラム

金子と塚本の「勝てる!マジック」

金子と塚本の「勝てる!マジック」 第18回:リミテッドのマナバランス

金子と塚本の「勝てる!マジック」 第18回:リミテッドのマナバランス

by 金子 真実 & 塚本 樹詩

登場人物:

金子 真実

ウィザーズ・オブ・ザ・コーストの人。塚本に押しかけられ突然弟子をとることになった。
好きな魚:秋刀魚最高!この時期は週5回とか食べます。刺身塩焼きなめろう............秋刀魚!秋刀魚!秋刀魚!

塚本 樹詩

マジック初心者。マジックの大きな舞台での活躍を夢見て、金子に弟子入りした。とにかく元気。
好きな魚:のどぐろ最高!特に現地(日本海側)で食べるのどぐろは最強!言葉で説明するより体験してももらうのが一番なので、機会があれば是非食べてみてください!普段は鰤(ぶり)が好きです。

前回の勝てマジ!

怪しい「かねこ君人形」にクリーチャーとそれ以外の呪文のデッキ内の比率を教えてもらった?
塚本はさらにデッキ内の土地の比率についても「かねこ君人形」に教わるらしいが......


塚本「早速マナバランスの話にいきましょう! 前回は金子さんが『クリーチャー16枚、クリーチャー以外の呪文7枚』と教えてくれたので、単純計算で土地は17枚になるのが基準だと思うのですが、これって60枚デッキに換算すると25.5枚土地が入っている計算なのですけど、構築の平均的な土地の枚数に比較すると多めですよね?

金子「な、なんだか成長している!? そうですね、そのとおりです。大きく2つの理由があります。まずはひとつめ、『リミテッドでは基本的にデッキが重い』ということですね。」

塚本「確かに5マナ6マナのカードも使いますし、デッキによっては7マナや8マナのカードも入ってたりしますもんね!」

金子「そういうことです。そしてふたつ目の理由が、『必要な色マナを用意するため』です。リミテッドでは基本的に基本土地で色マナをやりくりしないといけないため、色マナの比率の問題を解決するためには枚数を増やすことしか解決策がないからなのです。

image1.jpg

塚本「かねこ君人形先生がプロジェクターになって謎の画像を! もしかして今映っているのは......2ターン目にダブルシンボルを出せるマナベースがわかる表ですか!?」

金子「いや......確かに合っていますけど......(何なんだこの人形......)。というわけでまずはこの表を見てください。」


表1:特定のカードの期待枚数
 引いた枚数(状況)
7(初手)8(2ターン目)9(3T目)10(4T目)11(5T目)
デッキに投入した枚数10.1750.2000.2250.2500.275
20.3500.4000.4500.5000.550
30.5250.6000.6750.7500.825
40.7000.8000.9001.0001.100
50.8751.0001.1251.2501.375
61.0501.2001.3501.5001.650
71.2251.4001.5751.7501.925
81.4001.6001.8002.0002.200
91.5751.8002.0252.2502.475
101.7502.0002.2502.5002.750
111.9252.2002.4752.7503.025
122.1002.4002.7003.0003.300
132.2752.6002.9253.2503.575
142.4502.8003.1503.5003.850
152.6253.0003.3753.7504.125
162.8003.2003.6004.0004.400
172.9753.4003.8254.2504.675
183.1503.6004.0504.5004.950
193.3253.8004.2754.7505.225
203.5004.0004.5005.0005.500
※デッキ枚数は40枚

塚本「40枚デッキでのカードの期待値表ですね。こうやって見ると、2マナのダブルシンボルのカードを2ターン目にきっちりプレイするためには、その色のマナが出る土地が10枚も必要なんですね。となると、{W}{W}と{B}{B}が両方入ったデッキを回すには骨が折れそうですね。」

同じデッキでの活躍は厳しい

金子「はい。マナシンボルの濃いカード、特に2マナのダブルシンボルのカードはそれだけ強力ではあるのですが、きっちり2ターン目に唱えるのはかなり大変です。できるだけその色に寄せたデッキを作って、2色目のシンボルの枚数を気にしてデッキを作るのが良いですね。またはすっぱり諦めて、『2マナで出たらラッキー、基本的には4マナ域』という考えもありです。それくらい強いカードも多いですよ、2マナのダブルシンボルのカードは。」

塚本「17枚が基準なのはわかりましたが、デッキに重いカードが多かったり、少なかったりと、内容によっては16枚以下や18枚以上になったりする場合もありますよね?

金子「もちろんです。極端に増減することはないのですが、やはり±1~2枚の調整が必要な場合もありますね。」

塚本「2色ベースが基準でデッキによって土地の枚数が変わるのなら3色以上のデッキを組むのはもっともっとハードルが上がりそうですね。」

金子「セットの方向性によって単色を推奨したり多色を推奨したりと幅はあるものの、『リミテッド』では構築と違い、マナベースを自分で工夫しにくいので、よほど強いカードでマナシンボルが濃くないようなカードならギリギリ許容できるかどうか...ですね。よくある『強力なシングルシンボルのカードと、土地を数枚入れる』という『タッチ3色』ですが、実際これも結構リスクのある戦略といえます。例えば......。」

image2.jpg

塚本「かねこ君人形先生が!!こ......この図は......?」


表2:特定のカードを、少なくとも1枚引ける確率
 引いた枚数(状況)
7(初手)8(2ターン目)9(3T目)10(4T目)11(5T目)
デッキに投入した枚数117.5%20.0%22.5%25.0%27.5%
232.3%36.4%40.4%44.2%47.9%
344.8%49.8%54.5%58.9%63.0%
455.2%60.7%65.6%70.0%74.0%
563.9%69.4%74.2%78.3%82.0%
671.1%76.4%80.8%84.5%87.6%
777.1%81.9%85.9%89.1%91.6%
881.9%86.3%89.7%92.4%94.4%
985.9%89.7%92.6%94.8%96.3%
1089.1%92.4%94.8%96.5%97.6%
1191.6%94.4%96.3%97.6%98.5%
1293.6%96.0%97.5%98.5%99.1%
1395.2%97.1%98.3%99.0%99.4%
1496.5%98.0%98.9%99.4%99.7%
1597.4%98.6%99.3%99.6%99.8%
1698.1%99.0%99.5%99.8%99.9%
1798.7%99.4%99.7%99.9%99.9%
1899.1%99.6%99.8%99.9%100.0%
1999.4%99.7%99.9%100.0%100.0%
2099.6%99.8%99.9%100.0%100.0%
※デッキ枚数は40枚
※小数点第二位以下四捨五入

金子「これは40枚デッキで特定のカードを最低1枚は引く確率を、枚数ごとに表にしたものですね。例えば、3色目のマナが出る土地が3枚入ってる場合には、先手5ターン目までに引いている確率は63%です。これを見ただけでも、タッチカラーの運用というのはかなり厳しいことがわかりますね。」

塚本「土地を引けなかったり、色マナが出なかったりで負けてしまうのは悲しいですし、そういうリスクはなるべく避けたくなりますね。」

金子「さらに気をつけなくてはいけないのですが、そのタッチカラーを基本土地で運用しようとすると、その分メインカラーの土地が減っていくということですね。例えば標準的な土地17枚デッキで上の例のとおりタッチ用の基本土地を3枚入れると、メインの2色の土地が残り14枚。単純に半分にして7枚ずつとなると、メインカラーでダブルシンボルのカードを使用するのはかなり不安なマナベースです。表1を見ればわかりますが、7枚というのは、5ターン目だとしても期待値が2枚に届いていませんからね。無理のないマナベースを構築するために、デッキに入れるカードの右上のマナシンボルを気にするのも、大事な要素なのです!


塚本「これで『リミテッド』でのデッキを組むとしてクリーチャー、それ以外、土地と全部教えてもらったのですが、教わったことを振り返ると『リミテッド』というのは随分カッチリした印象のフォーマットなのですね。」

金子「しかしまだまだ『リミテッド』には、隠れた面白さがあります! 次回はちょっと必殺技を教えましょうか! これを覚えれば『リミテッド』を楽しみつつも勝てる!かもしれませんよ!!」

塚本「おおおおーー!!! 珍しくタイトルどおり『勝てる!』ってフレーズが出てきましたね!」

金子「塚本さんが『楽しむ』重視ですからね!いつも!」

塚本「上手くなるための取っ掛かり要素があるなら、ぜひ教えてください!......こ......これは......!」

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