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金子と塚本の「勝てる!マジック」
金子と塚本の「勝てる!マジック」 第8回:サイドボード
金子と塚本の「勝てる!マジック」 第8回:サイドボード
by 金子 真実 & 塚本 樹詩
登場人物:
金子 真実
ウィザーズ・オブ・ザ・コーストの人。塚本に押しかけられ突然弟子をとることになった。
好きな丼もの:卵かけごはんこそ至高。雑味の入った丼など語るに値せず!塚本 樹詩
マジック初心者。マジックの大きな舞台での活躍を夢見て、金子に弟子入りした。とにかく元気。
好きな丼もの:天丼が大好き!将来はあの衣に包まれてご飯の上に乗って生活したいくらいに好き。前回の勝てマジ!
マジックの基本的なデッキタイプである『ビートダウン』『コントロール』『コンボ』の3種類について教えてもらった塚本は、金子に3つのデッキタイプのどれが一番強いのかを尋ねる。
しかしその質問に、金子は「一概にどれが一番とは言えず『サイドボード』次第だ」と答えた。
その時、塚本に衝撃が走る。果たして金子の言う『サイドボード』とは一体............!!
塚本「(ぐずぐず......。)」
金子「塚本さん、どうしたんですか? 突然座り込んで......。」
塚本「どうもこうもないですよ......。前回金子さんが言ってた『サイドボード』。あれ、必殺技でもなんでもないらしいじゃないですか......。よく見れば前回も一度も手から光線らしきもの出してなかったし、おかしいと思ってたんですよ......。」
金子「マジックに必要なのは必殺技ばかりではありません! 今回僕が塚本さんに教えようとしている『サイドボード』は、これから塚本さんが立派なプレイヤーになるためには必要不可欠な要素なのですよ!!」
塚本「本当ですかー? またそうやって、実際は嘘だったりしませんか?」
金子「......塚本さんはそもそも、『サイドボード』についてどれくらい知っていますか?」
塚本「ざっくりですが、試合が終わったら、最大15枚用意した『サイドボード』のうちから好きな枚数をデッキに追加したり、元のデッキのカードと交換したりできるんですよね。」
サイドボードとは?
ゲームとゲームの間に、デッキの調整(追加またはメインデッキのカードとの入れ替え)を行うための追加カードのこと。
構築フォーマットでは、15枚までのサイドボードを使用することができる。「4枚まで」の制限はデッキとサイドボードをあわせた状態で適用される。
個人が対戦を行うリミテッド・フォーマットでは、デッキに入れなかったカードすべてがサイドボードとなる。
金子「はい。マジックの試合では1ゲーム勝ったらそこで勝敗が決まることは滅多にありません。多くのイベントの形式が『2ゲーム先取』となっているのです。ですので、イベントに出たらほとんどの場合、1マッチで1回以上『サイドボード』を使用することになるのです。」
塚本「それより必殺技はどうなったんですか!」
金子「(面倒くさい流れになってしまったなぁ......必殺技とか言わなけりゃよかった......)塚本さん......僕にはその素質がないのですが......『サイドボード』を極めた人の中でも特別な素質を持ったプレイヤーはどうやら......出せるらしいんですよ。」
塚本「え............? 何が出せるんですか!? 石油ですか!!?」
金子「(何言ってんだこいつ)今の流れだと必殺技でしょうが!!」
塚本「ごめんなさい......どうしても5億円欲しくて......。」
金子「(ダメだ......なんとか話を進めよう......)まぁ、いいですよ。僕には必殺技は出せなかったのですが、塚本さんには期待しているので、頑張って『サイドボード』を極めましょう!」
塚本「仕方ないですね、金子さんに才能がないのは僕にもわかるので、僕がかわりに頑張りましょう!!」
金子「(はい、頑張りましょうね!)ツブスゾ!」
塚本「とはいったものの、具体的に『サイドボード』ってどうやって作ればいいのですか?」
金子「マジックのカードにはさまざまなカードが作られていますが、その中で『サイドボード』に使われることを意識したようなカードも何種類かあります。一番いい例としては、特定の色に対して効果を発揮しするようなカードが挙げられます。」
塚本「確かに、カードとしては強いけど、相手がその色のデッキでないと意味がないようなカードですね。相手のデッキの色を確認してからデッキに入れれば問題ないので、まさに『サイドボード』にぴったり!」
金子「他には、普段ではあまり強くないカードも対戦相手によっては役に立つような場合があります。たとえば、ライフを回復するカード。」
金子「これは『コントロール』や『コンボ』相手には通常あまり役に立ちませんが、『ビートダウン』、特に直接ダメージを与える呪文を使ってくる、『赤のビートダウンデッキ』相手には大きな効果があります。
このように、特定のデッキに対して効果の高いカードはよく『サイドボード』に選ばれますが、一番大事なのは『対策したいデッキが実際に活躍しているか?』です。どんなデッキが流行っているのかを事前に調べるのも大事になってきますね。」
塚本「なんとなくわかってきましが、対策カード以外で『サイドボード』に入るカードはあるのですか?」
金子「相手も当然『サイドボード』を使用してくるので、自分のデッキの中で対策されそうなカードを別のカードに変えることがあります。例えばクリーチャーばっかりのデッキ相手にはクリーチャーをたくさん破壊できるようなカードを入れてくると予想できますので、クリーチャー破壊にひっかからないような別の勝ち手段を用意すると、相手の対策をすり抜けて勝つことができるのです。プレインズウォーカーなんかが多いですね。」
塚本「相手の裏の裏をかくのですね! でも、それもまた相手に対策されてしまうのでは......?」
金子「いわゆる『後出しじゃんけん』状態ですね。そういう可能性もありますが、相手も自分がどんなカードで対策カードを潜り抜けるかは使われるまでわからないですし、サイドボード』は最大15枚しかないので、用意できるカードには限りがあります。」
塚本「それでもし対策カード用の対策カードが対策されてしまったら、別の対策カードを用意すればいいんですね!」
金子「ややこしいですが......そうですね。そういった意味では対策カードにも流行や賞味期限があると思って、こまめにいろんな人の『サイドボード』をチェックするといいですよ。」
塚本「なるほど......。すごく根本的な話なんですが、『サイドボード』って1回で大体何枚くらい入れるんですか?」
金子「苦手な相手ほど、いっぱい用意して入れたくなりますが......そうすると、もともとデッキがやりたいことの邪魔になったりもするので、そうならない範囲で入れられるだけ入れるのが理想ですね。
あと、対策カードというよりデッキの構造を変化させるような『サイドボード』のテクニックもあります。」
塚本「テクニック!? 金子さん、僕そういうの大好きです! どういうテクニックなんですか!!」
金子「さっきの『対策されるカードを入れ替える』の発展形です。わかりやすく言えば、元のデッキタイプから別のデッキタイプに変形したり、ゲーム展開の速度を変化させるような『サイドボード』...ですかね。例えばこんなプランがあります。」
- 『ビートダウン』が『サイドボード』後に『コントロール』のようなカードを足す。クリーチャー以外での勝ち手段、例えばプレインズウォーカーを用意することで、対『ビートダウン』用の『サイドボード』をかわしたりする。
- 『コンボ』が『サイドボード』後に『コンボ』対策のカードを入れられることが予想し、クリーチャーなどの『コンボ』とはまったく関係ない勝利手段を用意する。
- 『ビートダウン』『コントロール』が『サイドボード』に『コンボ』となるカードを入れることによって、『サイドボード』後に『コンボ』デッキに変形する。
金子「このように『サイドボード』後に自身のデッキタイプとは別のデッキタイプに変形させることを、『変形サイドボーディング』と呼んだりもします。また、『コンボ』や『コントロール』が別の勝利手段を入れることを『アグレッシブ・サイドボードティング』と呼ぶこともありますね。どちらも通称ではありますが。」
塚本「金子さん......これこそまさに......必殺技じゃないですか!! 『変形』とか『合体』とか男のロマンですよ! 別に嘘ついてなかったんですね! 早く言ってくださいよ!」
金子「は、はは......。」
塚本「大体わかりました、大まかに............
特定カードやデッキへの対策カード
相手の対策カードへの対策や、それを無駄にさせるような別の種類のカード
自分のデッキの構造や速度を変化させるカード
の3つから、必要だと思うものを選んで『サイドボード』を作るといいんですね!」
金子「......何たる成長!」
塚本「うおおおお、今なら......出せる気がします!!」
金子「え?」
塚本「光線的な物ですよ!」
金子「え? え?」
塚本「うおおおおお!!!」
金子「何でだよ!! 何で出るんだよ!?」
塚本「うおおおおおおおおお!!!!!!」
塚本「や......やりすぎた! オフィスが......爆発すりゅうううう!」
金子「うわああああ!!」
続く!
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