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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:赤黒ディスカード(モダン)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:赤黒ディスカード(モダン)

by 岩SHOW

 マジックプレイヤーの大好きなことの1つといえば、「カードを引く」は真っ先に候補に挙がるのではないだろうか。対戦相手よりも多く手札を抱えて、減ったらドロー呪文で補充して......カードを引くという行動は実にわかりやすい勝利への第一歩だ。

 これに対して、その真逆の行動もまたプレイヤーを勝利へと導いてくれるのもマジックの面白いところ。その行動とは、手札を捨てること。ゲーム開始時、7枚与えられた手札を全力で吐き出していく。一見無駄な行為に見えて、手札を捨てることでボーナスを得るカード・墓地に送り込むことで真価を発揮するカードは多数ある。

 これらを束ね、一見いびつにも見えるがその実かなり芸術的にまとめあげた珠玉の逸品が、今モダンで注目すべきデッキの1つとなっている。「赤黒ディスカード」、とくとご覧あれ!

NuBlkAu - 「赤黒ディスカード」
Magic Online Modern Challenge #11104098 7位 / モダン (2018年1月13日)[MO] [ARENA]
3 《
1 《
2 《血の墓所
1 《踏み鳴らされる地
4 《血染めのぬかるみ
3 《樹木茂る山麓
4 《黒割れの崖

-土地(18)-

4 《炎刃の達人
4 《恐血鬼
3 《炎跡のフェニックス
4 《虚ろな者
4 《通りの悪霊
3 《グルマグのアンコウ
1 《騒乱の歓楽者

-クリーチャー(23)-
4 《燃え立つ調査
4 《信仰無き物あさり
4 《稲妻
3 《秋の際
3 《ゴブリンの知識
1 《癇しゃく

-呪文(19)-
2 《大物狙い
1 《熱烈の神ハゾレト
3 《虚無の呪文爆弾
2 《稲妻の斧
2 《思考囲い
2 《古えの遺恨
2 《血染めの月
1 《仕組まれた爆薬

-サイドボード(15)-

 他のモダンデッキではまず見ることのないカードが多数採用されており、一線を画すリストであるが......これには先祖になったデッキがある。「Hollow Vine」だ。

 《虚ろな者》と《復讐蔦》を高速展開してあっという間にライフを押し切ってしまおうというコンボ・ビートダウンデッキから、《復讐蔦》を抜き去り赤黒の2色(+ほんのり緑)デッキにまとめた進化形である。

どんなデッキ?

 赤い手札入れ替え呪文《燃え立つ調査》《信仰無き物あさり》《ゴブリンの知識》でカードを引きつつ手札を捨てる。手札を捨てたことで《虚ろな者》のコストが減少し、これに《通りの悪霊》などのサイクリングも絡めれば1ターン目に4/4を複数展開することも可能となる。

 《炎刃の達人》は手札を捨てた分だけパワーが上昇し、威迫も合わさってとてつもない打撃力を誇る。

 これらの手札を捨てたことでボーナスを得るカードを展開・強化しつつ、《恐血鬼》《炎跡のフェニックス》を墓地に送り込んで戦場に戻し、ただ手札を放棄するのではなくしっかりとアドバンテージとして還元していく。

 無茶苦茶なブン回りにより、対戦相手が態勢を整える前に勝負を決めにかかる、序盤戦にすべてをかけた速攻デッキだ。

テクニック!

 《信仰無き物あさり》+《通りの悪霊》=0マナ《虚ろな者》!

 3枚カードを捨てることで、フリー《虚ろな者》が誕生する。中でも上記の組み合わせは合計で1マナしかかからないため1ターン目に決めることができ、かつ捨てる手札を自分で選べるため安定感がある。このデッキを使う以上、この動きは是非とも狙っていきたい。

 《燃え立つ調査》は捨てるカードがランダムなため、肝心な《虚ろな者》を捨ててしまう危険性もあるが、対戦相手の手札を強制的に入れ替えることができるため、折角キープした自慢の手札をグズグズにさせにかかるのは大いにアリだ。

注目カード:《秋の際

 『未来予知』のシブすぎる1枚がメインデッキ唯一の緑要素であり、そしてこのカードを唱えることはほとんどないというのも面白い点。マナを支払わずにサイクリングが可能なカードとして、《通りの悪霊》の追加分として採用されているのだ。

 これにより1ターン目《虚ろな者》率を高め、デッキの速度を確実に向上させている。これ1枚で墓地を2枚増やせるので《グルマグのアンコウ》の探査の餌にもうってつけだ。このデッキでは土地にさほど価値がないので、思い切ってバンバン切っていくのが吉。サイクリング専用カードではあるが、時に普通に唱えて《恐血鬼》を戦場に戻してフィニッシュへ......なんてことも狙える、楽しいカードだ。


 《ゴブリンの知識》や《秋の際》などの一見カードパワーが低いものを寄せ集めたことで、他のデッキでは実現不可能な爆発力を手に入れることに成功した、というのは実に面白い話である。

 ゲーム開始時の手札の内容にかなり左右されるデッキなので、一人回しでも良いから何度も何度も動かして「これはいける」「これは後○○と△△を引けば爆発するので賭ける価値がある」などのマリガン感覚を研ぎ澄ましていってほしい。ダメな時はダメ、回る時に回って勝てたらそれでいいという潔さは、美学の域にまで達している。

 刹那的なマジックで生を実感したい、そんな求道者からギャンブル好きまで、とにかく尖ったマジックをしたいという人はこのデッキを手に取ってみるべし!

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