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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:黒緑トロン(モダン)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:黒緑トロン(モダン)
by 岩SHOW
日本代表が悲願のワールド・マジック・カップ初優勝。実況していて思わず目頭が熱くなってしまった。これまでに、本当に様々なことがあった。中でもナベ君(渡辺雄也)は、実に5回もキャプテンを務めている。過去5回のいろいろなものが、今回の優勝で報われたのではないだろうか。改めて、おめでとうございます!
この世界が注目するトーナメントの裏で、日本でもマジックプレイヤーが熱戦を繰り広げていた。「マンスリー・モダン・マスターズ(MMM)」という関西にて定期的に開催されているトーナメントだ。これの年末大規模版、「MMM Finals」が同日程で開催され、207名ものプレイヤーが集結。モダン最強のプレイヤーの座を賭けて、火花を散らしていた。
僕も地元大阪で開催されていることなどから、どんなプレイヤーおよびデッキが優勝するのかひそかに楽しみにしていたものである。で、結果をフランスはニースにて知ることになる。
優勝:黒田正城
おっちゃん、ほんまこういう時に火ぃ噴くよなぁ。日本最初のプロツアー王者その人である。このコラムでもちょくちょく取り上げてきたので、今さら説明するまでもないか。最近ではグランプリでも良いところまで勝ち上がるのだが、あと1~2勝足りずプロツアー参加権利獲得ならず......ということを繰り返している。世界のプロを相手に戦う父親サラリーマンが見たい僕としては、否、もうストレートに黒田さんの戦う姿が見たい僕としては、歯がゆい思いをし続けている。まあそれ以上に本人がそうだろうな。
そういう鬱憤もあってか、2017年日本国内最後のモダン最強決定戦にてブン回ってしまったようである。黒ちゃん、大人げないぞ!(いいぞもっとやれ!)
折角我らがダークロ氏が優勝したのだから、デッキを取り上げてあげよう。これは!という目新しいデッキでもないが、定期的に同じタイプのデッキを紹介して最近はじめたプレイヤーの目に少しでも多くのものを見せてあげる、というのもこのコラムのモットーでもあるからね。はい、黒田正城さんが使用した「黒緑トロン」ですよ~おめでと~。
1 《沼》 2 《森》 3 《花盛りの湿地》 4 《ウルザの鉱山》 4 《ウルザの魔力炉》 4 《ウルザの塔》 1 《幽霊街》 1 《ウギンの聖域》 -土地(20)- 2 《ワームとぐろエンジン》 1 《世界を壊すもの》 1 《歩行バリスタ》 2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 -クリーチャー(6)- |
4 《古きものの活性》 4 《彩色の宝球》 4 《彩色の星》 4 《探検の地図》 3 《致命的な一押し》 2 《大祖始の遺産》 4 《森の占術》 3 《忘却石》 4 《解放された者、カーン》 2 《精霊龍、ウギン》 -呪文(34)- |
3 《難題の予見者》 2 《スラーグ牙》 1 《外科的摘出》 3 《自然の要求》 2 《思考囲い》 4 《集団的蛮行》 -サイドボード(15)- |
「トロン」とは「ウルザの~」というタイプを持った土地3種類を採用したデッキにつけられる総称である。
塔、魔力炉、鉱山の3種類を同時にコントロールすると、それぞれ{3}・{2}・{2}と爆発的なマナを生産するようになる。さすがは多元宇宙随一のやべーやつウルザだ。大量のマナを3ターン目など、早いターンに得てしまうことで対戦相手と使えるマナの差をつける。向こうが2マナで2/2を......とかやってきた返しに《解放された者、カーン》を叩きつけたりね。そんなパワーカードの連打により、対戦相手がゲームをする準備が整う前にぐちゃぐちゃにしてやろうという、なんというかガキ大将的なデッキと思ってくれたら良いかな。
この「トロン」というデッキは、その強さゆえに目の敵にされているデッキでもある。こっちが2ターン目《タルモゴイフ》、まあ悪くないなとか思ってたら返しに《ワームとぐろエンジン》が飛び出してやっと対処できたと思ったら《絶え間ない飢餓、ウラモグ》が......とか、されちゃうと、恨みはらさでおくべきか!!と憎まれてしまうのもしょうがない。こんなデッキを野放しにしちゃいけないと、世界中のモダンプレイヤーが《血染めの月》だの《幽霊街》だの《大爆発の魔導士》だの......あの手この手の土地対策を標準装備している。
どれだけデッキとして強くても、対策されてしまうと勝てないのがマジックというゲーム。トロン系のデッキは世間のガードが高い時にはそうそう勝てなかったりする。ただ、トーナメントに参加するすべてのプレイヤーがガチガチに対策してきているわけじゃない。タイミングによっては、もっと他に倒すべきデッキがあったりするのでそっちに手を回すことになったり。こういった隙を「トロン」というデッキは逃さない! 対策していない? そうかいありがとよ! そんなデッキだ。
このデッキの動きについては、僕の別キャラクターであるSHOW軍曹に教えてもらってね。土地を揃えて大きいのを投下する、滑らかに動けばこれほど気分の良いデッキもない。黒田さんはモダンではずっとこのデッキを使っている。ガハハしてるところ、似合うよなぁ。
わかりやすくて強いので初心者にもオススメと言いたいデッキではあるが、先にも述べたように基本的には対策されている存在だということを忘れずに。対戦相手をけちょんけちょんにできるが、同じくらいボコスカにされることもある。「これもまたマジック」と割り切れる寛大さが、このデッキを扱う上で最も大事なことかもしれない。黒田さんはサイドボードに手札破壊をしこたま用意することで対策カードへの対策としているね。《難題の予見者》はデッキがしっかり動かない時でも唱えられるフィニッシャー兼手札破壊として活躍してくれることだろう。
基本的にマジックってのは自分が楽しくなるためにプレイするゲームだということを、トロン系のデッキは再確認させてくれる。正直なところ、僕も好きだよ。食わず嫌いの人が多いデッキであるようにも思う。1回も触ったことがないのに敬遠している人は、せめてプレイしてみてから考えてみちゃくれんか!?
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