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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:青黒アズカンタ(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:青黒アズカンタ(スタンダード)
by 岩SHOW
世界選手権2017開催地、ボストンから無事に帰ってまいりました!
前年、初めて世界選手権に実況として参加させてもらい、現地にてその空気を直接感じるという経験をさせてもらって......「世界選手権、すごいな!」と。世界中から選りすぐりの24名が戦う見応えたっぷりのフィーチャーマッチ、選ばれし者だけが参加するからこそ掘り下げられる各プレイヤーの背景、そしてドラマ......壮大なプロツアーシーズンの締めくくりに(厳密にはシーズン的には開幕だが)相応しい、最高のイベントであった。
今年も参加することになって、もちろん楽しみだったのだが...実はグランプリ・静岡2017秋からの連戦で、このコラムの連載とも相まってカッツカツのスケジュール。どちらかと言えば体調を壊さないように、目の前の仕事のクオリティを保たねば、など楽しむというよりは責任を感じながら臨むことに。
で、いざ着いたボストンでもその姿勢で試合開始を迎えたわけだが、前年にも増してハイレベルな攻防とドラマチックな展開を目の当たりにしたら、なんかもうすっかり楽しむ側になってしまったね。世界選手権、最高! マジックが好きなら、トーナメント・シーンに興味がなくても観てほしいね。選手について何も知らなくてもいい、彼らの持つ魅力は十分に伝わるはずだ!
そんなわけで、締め切り限界状態で迎えた今週後半戦は、世界選手権で活躍したデッキを紹介することにしよう!
まずは、昨シーズンで自身初のグランプリ優勝・Magic Online Championship優勝・そしてプロツアー殿堂入りと多数の偉業を重ねたジョシュ・アター=レイトン/Josh Utter-LeytonがTOP4に入賞した、青黒2色のコントロールデッキを見てみよう!
6 《島》 5 《沼》 4 《異臭の池》 4 《水没した地下墓地》 4 《進化する未開地》 3 《廃墟の地》 -土地(26)- 2 《スカラベの神》 3 《奔流の機械巨人》 -クリーチャー(5)- |
4 《致命的な一押し》 4 《検閲》 4 《本質の散乱》 3 《アズカンタの探索》 4 《不許可》 2 《本質の摘出》 4 《ヒエログリフの輝き》 3 《ヴラスカの侮辱》 1 《天才の片鱗》 -呪文(29)- |
3 《禁制品の黒幕》 2 《多面相の侍臣》 4 《強迫》 2 《否認》 1 《アルゲールの断血》 1 《宝物の地図》 1 《本質の摘出》 1 《廃墟の地》 -サイドボード(15)- |
クリーチャーはゲームに勝つために必要な最小限に抑えて、デッキのほとんどを土地と呪文で構成した由緒正しきコントロールデッキといったルックスは、もうこれだけでも美しいものである。このデッキを成立させたのは『イクサラン』より参入の新戦力《アズカンタの探索》である。
このエンチャントのパワフルさについては、ちょうど前回でも述べたところ。このエンチャントは......本物だ。
世界中のコントロールが望んでいた、間違いのない最高品質のカードである。2マナで設置できる手軽さ、ドローを安定させてくれる能力、そしていざ変身すると、莫大なアドバンテージを稼ぎ出す驚異のエンジン兼土地となる。この土地になるというのも地味ながら強烈。青い《不屈の自然》と言ってもよく、土地が詰まると死が見える・逆に延びればそれだけ希望が繋がるコントロールデッキにおいては、軽量エンチャントが土地に化けるということはとんでもない革命なのである。あなたは今、時代が変わったその瞬間に立ち会っているというわけだ。
言い過ぎかもしれないが、かつての《厳かなモノリス》のようなものである。いろいろとボーナスがあることを考えれば、モノリスより上かも?(初心者でも扱いやすいという点を加味すれば、さらにね)
これだけ強力なカードを手に入れても、周りがだらしなくてはデッキにならない。その点、環境もうまい具合に噛み合っている。同期のセットにはコントロール向けのカードが多数存在する。除去に打ち消しに、1対1交換に限れば敵なしだ。最近のセットではクリーチャーが強くデザインされる傾向にあり、それらをたった2マナで打ち消せる《本質の散乱》は現行スタンダードにおける《対抗呪文》である、と言ってしまっても何ら問題はないだろう。これか《検閲》を構えながら、4ターン目に《アズカンタの探索》を設置するのが勝利への道。
1対1交換を重ねればいずれ手が尽きてしまうため、アドバンテージ獲得手段=ドロー呪文を採用するのがコントオールデッキの常である。これまでは環境最高のドロー呪文である《天才の片鱗》を4枚採用するのが当然のように行われていたが、このリストではたった1枚に抑えられている。代わりに《ヒエログリフの輝き》が4枚だ。
これはアドバンテージ回復はあくまで《水没遺跡、アズカンタ》により行うものであり、その変身条件である墓地にカード7枚という状態を作りやすいサイクリング持ちのカードを優先した、ということだ。あくまで中心はアズカンタ、デッキ名も「青黒アズカンタ」と言った方が良いレベルだね。
この世界選手権に「青黒アズカンタ」を持ち込んだプレイヤーは4名。それぞれ細部が異なるものとなっており、これらを比較しながら眺めるだけでも良い暇つぶしになるだろう。まだ、どの形が正解かどうかもわからない、発展の余地は大いにあり。さて、プロツアー『イクサラン』ではどのようなアズカンタデッキが、古代の知識にたどり着いているかな?
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