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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:「ティムール・エネルギー」のバリエーション(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:「ティムール・エネルギー」のバリエーション(スタンダード)
by 岩SHOW
このコラムにおいて、最近意図的に取り上げてこなかったデッキがある。それが今日紹介する「ティムール・エネルギー」であるわけだが、なぜこのデッキについて書くことを避けてきたのかというと、もうこのデッキが日本選手権を制するだろうなと読んでいたからだ。
先に書いてしまっては内容がかぶって新鮮味が無くなる、ネタ温存のためにそうしてきたが、これは正解だった。まあ優勝するかどうかはともかくとして、上位入賞デッキはティムール(青赤緑)の3色に染まるだろうなと。
検証シリーズなどでスタンダードを回すことが多かった8月。この1か月間、ひたすらこのデッキに負け続けた。もちろん勝つこともあるんだけれども、対戦するたびに対戦相手のデッキの微妙な違いに翻弄され、特にサイド後はバリエーションが多すぎて読み切れず、「どれが入ってくるんだいっ!」と開き直って戦うしかなかった。
例えば「黒単ゾンビ」なら、《無情な死者》4枚《戦墓の巨人》4枚......と、シナジー重視のデッキなので枚数を調整したりすることができない。デッキの幅がないので、対戦を重ねればどのような動きをしてくるのか、どれがあと何枚あるからどう計算して戦っていけばよいのか、そんなことを考えながら対戦することができる。
しかし「ティムール・エネルギー」は《牙長獣の仔》《つむじ風の巨匠》といったデッキには確実に入ってくるカードが、使用者によって枚数がまちまち。呪文のスロットも《マグマのしぶき》を取っていたり機体に寄せていたり......いわゆる全天候型のデッキであり、細かいところをいじれば得意不得意が簡単に入れ替わるデッキなので、それらのカードが出てくるまで形が読み切れない。《逆毛ハイドラ》《栄光をもたらすもの》などカード単体のパワーも高いし、3色なのでサイドも多彩。まさしくオールラウンダーなデッキと言って良いだろう。
今日はこの、エネルギーに関するシナジーを中心とした中速デッキのバリエーションを紹介しよう。あなたの好きな形が見つかるとイイネ。
3 《森》 1 《島》 2 《山》 1 《沼》 4 《植物の聖域》 2 《伐採地の滝》 2 《隠れた茂み》 1 《獲物道》 2 《尖塔断の運河》 4 《霊気拠点》 -土地(22)- 4 《導路の召使い》 3 《牙長獣の仔》 4 《ならず者の精製屋》 3 《つむじ風の巨匠》 4 《放浪する森林》 4 《栄光をもたらすもの》 2 《スカラベの神》 -クリーチャー(24)- |
4 《霊気との調和》 4 《削剥》 4 《蓄霊稲妻》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文(14)- |
2 《不屈の追跡者》 2 《チャンドラの敗北》 1 《侵襲手術》 3 《否認》 1 《没収の曲杖》 1 《光輝の炎》 1 《慮外な押収》 2 《捲土 // 重来》 1 《生命の力、ニッサ》 1 《炎呼び、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
まずは復活の日本選手権優勝者・原根健太のリストを紹介せねばなるまい。8月、Magic Onlineではプロツアー予選で活躍した《スカラベの神》入り、黒を足した「ティムール・エネルギー」が流行した。
果たして本当にこの青黒の神はティムールに必要なのか? そう思いながら実際に使ってみると、確かにこれが戦場に出るとゲームが終わってしまうこと多数。手札が切れることがままあるデッキなので、墓地のクリーチャーを釣ってゾンビの数だけ占術が行えて、とにかく大盤振る舞いなこの神は大変頼もしかった。ただ、《沼》の使い道が他に全くないことだけが気になりつつ、その時は使用するのをやめてしまった。
このリストでは、その《沼》の存在価値を高める《放浪する森林》が採用されている。
これも最近Magic Onlineで見かける形で気にはなっていたのだが......日本選手権優勝という形でその強さはしっかりと証明された。4マナ以降はとにかくパワーカードのオンパレード! 《反逆の先導者、チャンドラ》もしっかりと採用されており、それらに繋ぐための仕事を担う《つむじ風の巨匠》が3枚、それに伴い《牙長獣の仔》は3枚に抑えられる形となっている。サイドボードのラインナップの豊富さも、いかにもティムールって感じだ。
4 《森》 1 《島》 1 《山》 4 《植物の聖域》 2 《伐採地の滝》 2 《燃えがらの林間地》 3 《尖塔断の運河》 1 《さまよう噴気孔》 4 《霊気拠点》 -土地(22)- 4 《牙長獣の仔》 4 《導路の召使い》 4 《ならず者の精製屋》 3 《不屈の追跡者》 2 《つむじ風の巨匠》 3 《逆毛ハイドラ》 1 《新緑の機械巨人》 -クリーチャー(21)- |
4 《霊気との調和》 2 《マグマのしぶき》 4 《蓄霊稲妻》 3 《削剥》 1 《慮外な押収》 2 《霊気圏の収集艇》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 -呪文(17)- |
1 《多面相の侍臣》 2 《チャンドラの敗北》 2 《自然のままに》 1 《儀礼的拒否》 1 《侵襲手術》 2 《否認》 1 《ジェイスの敗北》 2 《光輝の炎》 2 《慮外な押収》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 -サイドボード(15)- |
対してこちらは、同トーナメント準優勝の八十岡翔太のリストだ。純正と言って良いだろう、黒は混ざっていない3色であるが、普通のティムールでもない。標準装備と言って良いほど見かける《栄光をもたらすもの》《反逆の先導者、チャンドラ》は不採用。代わりに《新緑の機械巨人》《霊気圏の収集艇》《領事の旗艦、スカイソブリン》を搭載している。
同型で火を噴く《慮外な押収》も注目ポイント。また《マグマのしぶき》をメインから採用することで「ゾンビ」などのアグロデッキに対する耐性も高めつつ、同型であれば相手の2マナ域をつぶしながら4枚採用された《牙長獣の仔》がガシガシ殴る。
メインから3枚も採用された《不屈の追跡者》が、勝負を決めるアーティファクト群へとドローを繋げつつ、これ1枚でもサイズ勝負が可能。
他のプロプレイヤーたちにも「さすがヤソさん」と言わしめる、日本選手権を勝つために組まれたこのリスト。我々一般プレイヤーには扱うのは少々難しい形となっているが、スカイソブリンの制圧力・《不屈の追跡者》の幸福感は絶対的なものなので、一度試してみてほしい(試す機会がない?フライデー・ナイト・マジックが君を待っているよ!)。
この両者の「いいとこどり」とでも言おうか、4色でスカラベ&森林を採用しつつ、《不屈の追跡者》《慮外な押収》もきっちり抑えたのが、上記の2名とともにワールド・マジック・カップに出場するキャプテン・渡辺雄也だ。スカイソブリンとスカラベを併せた廣澤遊太といい、この大会のTOP8デッキリストは見比べると面白いので必見だ!
4 《森》 2 《山》 1 《島》 4 《植物の聖域》 1 《伐採地の滝》 3 《隠れた茂み》 1 《獲物道》 2 《尖塔断の運河》 4 《霊気拠点》 -土地(22)- 4 《牙長獣の仔》 4 《導路の召使い》 4 《ならず者の精製屋》 3 《つむじ風の巨匠》 1 《不屈の神ロナス》 4 《逆毛ハイドラ》 3 《栄光をもたらすもの》 2 《老いたる深海鬼》 -クリーチャー(25)- |
4 《霊気との調和》 2 《マグマのしぶき》 4 《蓄霊稲妻》 2 《削剥》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 -呪文(13)- |
1 《不屈の追跡者》 1 《払拭》 4 《否認》 1 《削剥》 2 《光輝の炎》 2 《慮外な押収》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 1 《炎呼び、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
最後に紹介するのは、グランプリ・トリノ2017にてTOP4に入賞した純正型。このリストの最大の特徴は25枚とたっぷり採用されたクリーチャー、この形になった要因である2枚の《老いたる深海鬼》だ。
対戦相手のガードをこじ開け、無理やりダメージを通すことを可能にする現出クリーチャー、ダメージを稼ぎ出す《牙長獣の仔》は4枚、3マナで生け贄にはもってこいの《つむじ風の巨匠》は3枚と、他のリストとの違いが生まれている。これらと相性の良い《不屈の神ロナス》が採用されているのも自然な流れと言えるだろう。
とにかく、同じデッキで括っても採用されたカードは異なる、すなわち戦法が異なってくるので、相手がどのタイプなのかを見極めるのが大事になってくる。対戦する際にはこの「読み」を楽しんでほしいね。
この『破滅の刻』環境もいよいよ終わりを迎え、ローテーション&『イクサラン』参戦により、「ティムール・エネルギー」はどう変わるのか。根幹を成しているカードがほとんど変わらないので、次の環境でも強いことには違いない。恐竜型、とか出てくるのだろうか。楽しみだなぁ。
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