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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:赤黒アグロ(スタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:赤黒アグロ(スタンダード)

by 岩SHOW

 この記事は3部作の2つ目にあたる。前日分を読まなくても問題はないが、読んでくれるとなお嬉しいぞ!ということで、『破滅の刻』スタンダード環境における赤いアグロ(速攻)デッキに関する考察3部作・第2回では......1回目で浮き上がった「ラムナプ・レッド」の弱点改善に取り組んだリストを見ることにしよう。

 その前におさらい。僕が実際に「ラムナプ・レッド」を回してみて痛感したのは、《ショック》や《焼夷流》といったカードの弱さだ。《削剥》は使い勝手が良いものの、他の2種類の呪文がなんとも頼りない。特に《ショック》は......これで倒せるクリーチャーはほとんどおらず、無駄ドローとなってしまう可能性が非常に高かった。

 ここに代わるカードとして......《集団的抵抗》は悪くないが、複数採用するには重い。《マグマのしぶき》では、結局2点ダメージなだけで《ショック》と何も変わらない。どうしたものか......

 というところで、赤単で無理ならじゃあ色を足せばいい、というアンサーを示してくれたのが、プロツアー地域予選で高尾翔太が使用し、権利獲得に至ったこの「赤黒アグロ」だ。

タカオ ショウタ - 「赤黒アグロ」
プロツアー『イクサラン』地域予選 東京大会 5位(権利獲得) / スタンダード (2017年8月20日)[MO] [ARENA]
8 《
8 《
4 《凶兆の廃墟
4 《燻る湿地

-土地(24)-

4 《戦慄の放浪者
2 《ボーマットの急使
4 《地揺すりのケンラ
4 《屑鉄場のたかり屋
2 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ
4 《アン一門の壊し屋
1 《ピア・ナラー
3 《熱烈の神ハゾレト

-クリーチャー(24)-
3 《致命的な一押し
4 《削剥
3 《木端 // 微塵
2 《反逆の先導者、チャンドラ

-呪文(12)-
2 《アムムトの永遠衆
2 《栄光をもたらすもの
1 《蠍の神
1 《チャンドラの敗北
1 《マグマのしぶき
2 《闇の掌握
2 《心臓露呈
1 《精神背信
2 《最後の望み、リリアナ
1 《反逆の先導者、チャンドラ

-サイドボード(15)-

 環境でベストな1マナ除去は《致命的な一押し》であることには疑いようがなく。だったらそれを使え、ということだ。

 同じ黒を足すのであれば、一部のクリーチャーはより良質なものへと置き換えられる......《戦慄の放浪者》に《屑鉄場のたかり屋》だ。これらの墓地から帰還するクリーチャーを採用したことで、継続して戦場にクリーチャーを投下することが可能になった。

 黒を色濃く採用することを選んだので、無色土地である各種砂漠とともに《ラムナプの遺跡》もデッキから姿を消している。「ラムナプ・レッド」の代名詞がなくなるわけだが。これは上述の蘇るクリーチャーと《微塵》がその役割を果たしてくれるのでさして問題ではないのだ。《アン一門の壊し屋》《熱烈の神ハゾレト》による猛攻には変わりなし、だしね。

 サイドボードにはさらに黒いカードを濃く採用。《心臓露呈》《精神背信》といった手札破壊が使えるようになったことで、対戦相手のサイドカードを使わせることなく排除することが可能になった点は見逃せない。《最後の望み、リリアナ》《蠍の神》としぶといカードも増え、中長期戦も戦る構えとなっている。

 この高尾のリストを共有してもらった村栄龍司も、Magic Onlineでプロツアー地域予選を突破。2名をプロツアーに送り出していると考えると、現環境にフィットしたデッキであることは間違いない。

Ryuji - 「赤黒アグロ」
Magic Online Standard Regional PTQ 6位(権利獲得) / スタンダード (2017年8月26日)[MO] [ARENA]
8 《
8 《
4 《凶兆の廃墟
4 《燻る湿地

-土地(24)-

4 《戦慄の放浪者
2 《ボーマットの急使
4 《地揺すりのケンラ
4 《屑鉄場のたかり屋
2 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ
4 《アン一門の壊し屋
1 《ピア・ナラー
3 《熱烈の神ハゾレト

-クリーチャー(24)-
3 《致命的な一押し
4 《削剥
3 《木端 // 微塵
2 《反逆の先導者、チャンドラ

-呪文(12)-
2 《栄光をもたらすもの
1 《蠍の神
1 《チャンドラの敗北
2 《精神背信
1 《大災厄
3 《十三恐怖症
1 《栄光の刻
1 《橋上の戦い
2 《最後の望み、リリアナ
1 《反逆の先導者、チャンドラ

-サイドボード(15)-

 メインの構成は同じながら、サイドボードはやや異なる。特に皆が注目するであろうポイントは、《十三恐怖症》。

 ライフが13ならその場で敗北する、というハチャメチャな能力を持ったこのエンチャントは、対「ティムール・エネルギー」戦で輝くのだそうだ。これを採用した「黒単ゾンビ」が大阪のプロツアー地域予選を突破しているあたり、実際に効果がありそうだ。確かに、「ティムール・エネルギー」はエンチャントに触る手段も、ライフを調節する手段も乏しいため、必殺の1枚となり得るね。

 「ラムナプ・レッド」は《ラムナプの遺跡》を捨て、赤黒の2色ビートダウンに。この進化を経て、《熱烈の神ハゾレト》を擁する赤い速攻デッキは、まだまだこのスタンダード環境で暴れることだろう。

 さて、冒頭でしつこく書いたように、このコラムは明日への橋渡しでもある。色を足して、赤単では弱いカードをより質の高いものと入れ替える。そのアプローチに、僕自身も挑んでみようと。当コラムが始まって1年半、そろそろこういうことをしても良いかな......と、自作デッキの紹介だ! 強いか弱いか、それは蓋を開けてみないと分からない。挑むこと、それを楽しむマジックの魅力を伝えるということが目標だ。それではまた明日!

(もういっちょ、つづく)

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