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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

2017.08.11

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:グリセルピットサイクル(レガシー)

by 岩SHOW

 いやはや、すごいことを考え付く人がいるものである。マジックを続けていると、こんな感想しか出てこないことがある。物事を考えるシステムが大多数のプレイヤーと明らかに異なる、鬼才というものが確実に存在するということを僕はマジックで学んだ。

 その最初の出会いは「ピットサイクル」だったなぁ。これがマジックのコンボかと、感動したのを今でも覚えている。ライフを手札に、手札をマナに、マナをライフに......流れるような動きで相手のライフを吸い尽くしてしまう。マジックとはただクリーチャーで殴るだけのゲームではないということを強く教えてくれた、個人的にはコンボデッキを語る際には決して外せない逸品である。

 残念ながらこのデッキを成立させていた《ヨーグモスの取り引き》は現在レガシーでは禁止カードに指定されてしまっている。これは仕方ないか。《アカデミーの学長》なんかと組み合わせて早いターンに出てしまったら、とんでもないことになってしまう。......いや、でも似たようなカードは野放しになっているぞ。《グリセルブランド》だ。

 取り引きは1点払って1枚ドロー、グリセルは7点払って7枚ドロー、大体一緒だ。細かい値を刻めないが、それがどうしたというのだ。こっちはより悪さのしやすいクリーチャーで、本体は7/7飛行絆魂だ。1回殴れば7ドロー確定!なんと信用に足る悪魔だろうか。

 というわけで各種コンボデッキでマナ・コストを踏み倒されるものの象徴となっているグリセル。今回紹介するデッキは、そんなグリセルで「ピットサイクル」を再び! そんな熱い思いが込められた力作だ。

Nagahashi Ray - 「グリセルピットサイクル」
グランプリ・京都2017併催 日本レガシー選手権2017夏 トップ8 / レガシー (2017年7月23日)
15 《沼》

-土地(15)-

1 《スカージの使い魔》
2 《墓所のタイタン》
1 《毅然たる大天使》
2 《グリセルブランド》

-クリーチャー(6)-
4 《水蓮の花びら》
1 《金属モックス》
4 《暗黒の儀式》
4 《納墓》
1 《再活性》
3 《陰謀団式療法》
3 《思考囲い》
4 《集団的蛮行》
4 《浅すぎる墓穴》
2 《動く死体》
2 《死体発掘》
1 《陰謀団の儀式》
1 《Grim Tutor》
4 《暴露》
1 《苦悶の触手》

-呪文(39)-
1 《墓所のタイタン》
2 《根絶》
2 《外科的摘出》
1 《思考囲い》
3 《厳かなモノリス》
1 《失われた遺産》
1 《毒の濁流》
1 《虐殺》
1 《解放された者、カーン》
2 《Lake of the Dead》

-サイドボード(15)-
bigweb より引用)

 黒単色のリアニメイトデッキに、マナ加速を多めに採用し《苦悶の触手》も採用。ストームを稼いでライフを吸い取るコンボも狙う、何とも貪欲なデッキだ。まず、黒単色で土地が《沼》×15というのが良いね。《不毛の大地》などの阻害を寄せ付けず、ビジュアルも美しい。それではデッキの狙いを分析していこう。

 序盤は大体のリアニメイトデッキ同様、手札破壊で相手を妨害しつつ、獲物を釣り上げるプランを練る。14枚もある手札破壊を撃ち込めば、相手もこちらのコンボを妨害しきることは難しくなるだろう。

 《集団的蛮行》はこの手のデッキへのキラーカードである《死儀礼のシャーマン》を処理しつつ、相手の打ち消しや除去を排除でき、しかも手札のクリーチャーを墓地に置くこともできるという、三拍子揃った素晴らしいカードだ。

 これと《納墓》でクリーチャーを墓地に置いたら、いざ釣り上げる!......のだが、このデッキでは定番とされている《再活性》の枚数は少なく、《浅すぎる墓穴》をメインの釣り上げ手段としている。

 それはなぜか。このデッキが普通のリアニメイトではない、「グリセルピットサイクル」だからだ。《再活性》でライフを支払うと、グリセルで引ける枚数が減ってしまう。《浅すぎる墓穴》であれば釣って即殴って、相手のライフを減らしつつ引けるカードも7枚追加! 至れり尽くせりである。このターンのうちに勝負を決めるのだから、ターン終了時に追放されようが関係ないのだ。

 グリセルによる大量ドローを獲得したら《水蓮の花びら》などのマナ加速から、さらにクリーチャーを埋めて釣り上げる工程を行おう。ここで釣るのは《スカージの使い魔》《毅然たる大天使》だ。

 スカージは、初代「ピットサイクル」のコンボパーツで、手札を黒マナに変換する。これで引きまくった手札の中から不要なものをマナに変換し、どんどんとアクションを繋いでいって《苦悶の触手》を目指すのだ。《毅然たる大天使》は戦場に出た際にライフを初期値の20まで戻してくれる。ということは? これを釣れば14枚ドロー追加だ! とんでもねぇ! こうやってライフを補充しながらマナを確保し、《Grim Tutor》か《苦悶の触手》にたどり着いてフィニッシュ!

 決めれば爽快極まる、最高に楽しそうなコンボデッキだ。ドローを繰り返して好き放題するのが、マジックをやっている感があって実に良いね。

 文面だと簡単そうにも見えるが、黒単なのでやれることが限られるのだけは忘れないでおきたい。特にサイド後はさまざまな妨害に苦しめられることになるだろう。そこで《墓所のタイタン》などの素出しを狙って、《厳かなモノリス》《Lake of the Dead》といったマナ加速が用意されているのは好いたらしい。

 これで200名を超える参加者のレガシートーナメントでTOP8に勝ち残ったのは、いわゆる「わからん殺し」のみではなく、使用者のやりこみとデッキへの愛あってこそだろう。《毅然たる大天使》×《グリセルブランド》なんて、もし思いついたとしてもデッキの形にできそうもないもんなぁ。いやはや、すごいことを考え付く人がいるものである。

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