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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:レオブレード(レガシー)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:レオブレード(レガシー)

by 岩SHOW

 《師範の占い独楽》が禁止された→ライブラリー操作が簡単に行えなくなったため、従来の「奇跡コントロール」は消滅した→《終末》が環境から激減したことでクリーチャーたちがイキイキ→クリーチャー戦なら《真の名の宿敵》+装備品がメチャ強!というのがついぞこの間「青白石鍛冶」を紹介した際に話した、今のレガシー環境のお話。

 《真の名の宿敵》は除去耐性・回避能力・ブロッカー適正と三拍子そろった戦闘のスペシャリストで、2013年の登場時よりずっと強いカードではあったが、この2017年にて一大ブレイクを果たした1枚である。青絡みのクリーチャーを用いるデッキにはほとんど入っている。グランプリ・ラスベガス2017においても、あっちの卓でもこっちの卓でも、皆「ネメシス、ゴーアヘッド」みたいな感じでこのマーフォークを戦場に送り出していた。同イベントのライブカバレージにおいて、ラスベガスでも最も有名なベラージオの噴水の中よりこの宿敵が姿を現すというアイキャッチ映像も用いられており、レガシーを代表する1枚であることには間違いない。

 ただ、過大評価というか、これ1枚がそうも決定的に強いというわけでもないことは改めて認識しておかねばならないだろう。パワー3、これ1枚では7回殴らないと20点のライフは削りきれない。また、3マナとレガシー環境では決して軽いとは言えないコストも弱点だ。

 これをカバーするために、前述の石鍛冶デッキでは《石鍛冶の神秘家》から持ってくる《殴打頭蓋》《梅澤の十手》を装備させることで打点・決定力を高め、立派なフィニッシャーとして用いる。また「スゥルタイ・ネメシス」では《死儀礼のシャーマン》《貴族の教主》を用いてマナを伸ばし、2ターン目に展開して賛美や死儀礼の能力でバックアップしてサッサと殴り切ろうというスタイルが確立されている。

 これらに共通して言えることは、宿敵という最高の素材を活かす構築が重要だということ。中でもこの2つのアプローチはかなり現実的かつ有用だ。......だったら、混ぜてしまっても良いんじゃない?

David Doberne - 「レオブレード」
グランプリ・ラスベガス2017 レガシー 13位 / レガシー (2017年6月15~16日)[MO] [ARENA]
2 《Tundra
2 《Underground Sea
3 《Tropical Island
1 《Scrubland
4 《溢れかえる岸辺
4 《汚染された三角州
1 《霧深い雨林
3 《不毛の大地

-土地(20)-

4 《死儀礼のシャーマン
4 《貴族の教主
4 《石鍛冶の神秘家
4 《真の名の宿敵
2 《トレストの使者、レオヴォルド

-クリーチャー(18)-
4 《渦まく知識
3 《剣を鍬に
1 《思考囲い
4 《目くらまし
3 《突然の衰微
4 《意志の力
1 《梅澤の十手
1 《火と氷の剣
1 《殴打頭蓋

-呪文(22)-
2 《封じ込める僧侶
2 《エーテル宣誓会の法学者
2 《翻弄する魔道士
1 《ヴェンディリオン三人衆
2 《狼狽の嵐
2 《外科的摘出
1 《真髄の針
1 《思考囲い
2 《盲信的迫害

-サイドボード(15)-

 《石鍛冶の神秘家》装備品パッケージをシャーマン&教主で安定させたマナ基盤でバックアップ、宿敵に頼らずともこれらのカードだけで十分にデッキとして成立している。そして、これらを同居させるのであれば、共通した色を持っている《トレストの使者、レオヴォルド》を使わない手はないだろうと。

 こちらも宿敵に負けず劣らず、今のレガシーで広く愛されている伝説のエルフだ。3マナ3/3、こちらのパーマネントやプレイヤーが呪文や能力の対象になった場合、1枚ドロー。対戦相手には通常ドロー以外のドローは許さない。3色の伝説だけあって、強烈な能力が詰め込まれている。

 何度も言うように、全体除去の代表格《終末》の退場により、単体除去が飛び交う時代に突入したレガシー。ならば、このレオヴォルドは盤面を強烈に支配する可能性を持った、いやらしさの化身とも言える活躍を見せることになる。本人が出て即座に処理されてしまっても、1枚ドローだ。これだけでも対戦相手からすると嫌なものである。

 石鍛冶を用いたデッキは、代々「○○ブレード」と呼ばれている。死儀礼との抱き合わせは「デスブレード」。だったらこの野心溢れるデッキは......「ネメシスブレード」では、「青白石鍛冶」との区別がつかないので、レオヴォルドからとって「レオブレード」なんてどうだろう。名前はどうでもいっか、うん。いずれにせよ、強いカードを片っ端から採用したデッキであり、すなわちストレートに強い。今後流行るかもしれないので、こういうデッキがあるということは認識しておいてほしい。

 8枚採用されたマナクリーチャーを投下する1ターン目(確率論的には、1ターン目に必ず動きたいのであれば1マナのカードは9枚欲しいため、《思考囲い》が1枚だけ入っているのはそういう理由だろう)、無事に迎えた2ターン目で3マナ......宿敵でもよし、レオヴォルドでもよし、《渦まく知識》で手札の装備品をライブラリーに戻しつつの石鍛冶でもよし。いずれのアクションも強力であることには違いない。パワーカードのオンパレードだ。よくもまあこれだけ詰め込んだな......と。

 あとは《意志の力》《目くらまし》で相手を妨害しつつ殴り勝とう。特に《目くらまし》はこちらのパワーカード展開に対応して力で応えようとした相手に劇的に刺さることだろう。ポーカーフェイスを忘れずに。

 とにかくレガシーで強いカードを使いたいぞというわがままな要望に応えてくれる、頼もしいデッキだ。クリーチャー戦には滅法強いため、サイドボードが対コンボに特化しているのも特徴的だ。こういうデッキが流行ってきたら、メインはコンボでサイド後に対策カードをスカらせるクリーチャー戦にシフトできるデッキなんかが隆盛してくるのかもしれない......メタゲームの新たな扉を開くのは、君自身のイマジネーション。やれることが多い環境なら、やりたいことを詰め込んじゃえ!

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