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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:モダンアーキタイプ特集 第7回 「トロン」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:モダンアーキタイプ特集 第7回 「トロン」
by 岩SHOW
よう、モダン・ウォリアー候補生の皆。今日も元気にやってるかな? マジックも良いが、美味しいご飯をしっかり食って、日の光を浴びるのも大切だ。身体にエネルギーをしっかり蓄積して、グランプリ本番に臨んでほしいものだ。やはり強いプレイヤーたちはエネルギーが凄まじい、一試合終わるたびにヒィヒィ言っているようではこのゲームを勝ち続けることはできない。プロツアーのTOP8まで勝ち上がってくるようなプレイヤーは、皆歩く発電所のような、底知れぬパワーに満ちあふれている人ばかりだ!
マジックのデッキでも、尋常じゃない発電量を誇るデッキがある。現行モダンでは、このデッキがいわゆる門番的な役割を果たしている。通称「トロン」。このデッキには、生半可なデッキでは太刀打ちできない。「僕の考えたオリジナルデッキ」の大多数はこのデッキに片手でパッパッと払われてしまう。今のモダンを定義づけているデッキだな。
君は「トロン」を使うのか、それとも対抗していくのか? いずれにせよ、このデッキだけは無視できない。いくつか形はあるが、まずは代表的な形を観察することとしよう。
1 《森》 3 《花盛りの湿地》 1 《ラノワールの荒原》 4 《ウルザの鉱山》 4 《ウルザの魔力炉》 4 《ウルザの塔》 1 《幽霊街》 1 《ウギンの聖域》 -土地(19)- 2 《ワームとぐろエンジン》 2 《世界を壊すもの》 2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 1 《歩行バリスタ》 -クリーチャー(7)- |
4 《古きものの活性》 4 《彩色の宝球》 4 《彩色の星》 4 《探検の地図》 3 《致命的な一押し》 4 《森の占術》 2 《集団的蛮行》 3 《忘却石》 4 《解放された者、カーン》 2 《精霊龍、ウギン》 -呪文(34)- |
2 《スラーグ牙》 3 《自然の要求》 2 《強迫》 2 《大祖始の遺産》 2 《外科的摘出》 1 《致命的な一押し》 1 《墓掘りの檻》 1 《集団的蛮行》 1 《幽霊街》 -サイドボード(15)- |
トロンという言葉は器具・電子・装置・研究施設などなど様々な意味がある。精密機械のようにミスのないプレイングをする、かのジョン・フィンケル/Jon Finkel閣下は「フィンケルトロン」と呼ばれたものだ。
デッキ名に使われているトロンは装置とか施設の意味合いが大きい。ウルザがアーティファクトなどの研究に用いたであろう鉱山・魔力炉・塔の3つが揃うと、研究施設=ウルザトロンが完成して爆発的に無色マナが生み出される。これはエルドラージデッキについての回でも教えたことだな。
「エルドラージ・トロン」がかなり増えている昨今だが......あのデッキはこの本家「ウルザトロン」とは異なるものだと考えた方が良い。あっちはあくまで「揃ったらすごい」だが、こっちは緑の呪文を多くとって「すごいから揃える」という強い意志に基づき、大量のマナを確保して圧殺するデッキとなっているのだ。
あふれ出る無色マナ、でも無色しか得られないんじゃ意味ないじゃん?と思った者は今日その認識を改めるように! 《解放された者、カーン》《精霊龍、ウギン》《絶え間ない飢餓、ウラモグ》......とてつもないパワーカードばかりだろう? これら1枚でゲームを決定づけるカード、特にパーマネントの処理に優れ盤面のコントロールを掌握してしまえるカードを、いち早く戦場に叩き付けてゲームを終わらせるのだ。コントロールデッキとしての側面と、コンボの要素を併せ持った、ベリィデンジャラスなデッキだ!
これらのパワーカードを用いるための土地を揃えて研究施設を作り上げる、墨俣一夜城のような作戦を敢行するわけだが、ただ待っているだけでは揃うこともそうそうない(とはいえあるにはあるのが強い)ので、《探検の地図》《森の占術》《古きものの活性》によるサーチ&《彩色の星》《彩色の宝球》のおまけドローで手札に引き込んでいくのが最初の数ターンの主アクションとなる。
ここまで揃えているからこそ、土地を20枚以下にするという無茶な構築が肯定されているんだ......他のデッキで真似するんじゃないぞ! 《古きものの活性》はこれらの中でも最強で、土地のみならずこのデッキを構成するほとんどのカードにアクセスできるのが素晴らしい。土地・エルドラージ・アーティファクト、なんでもこいだ。
最近ではこのデッキのようにサーチ用の緑・除去用の黒の2色のトロンデッキが主流だ。序盤は相手の盤面を無視して、トロン完成からのパワーカードで一発捲り返す!という動きが強いデッキではあるが、それでも最序盤に出てきたクリーチャーにライフを削られ過ぎて負けるということもある。なので1マナ除去が使えるのは有り難いことこの上ない。《致命的な一押し》はそういう致命的なものにサクッと対処できる。これと緑のカードを共存させることには《花盛りの湿地》の多大なる貢献無しでは難しかったことだろう。カラデシュ次元とウルザのコラボレーション、こりゃ誰にも予想できなかったな。
このデッキに有効なサイドボード
とにかく土地を攻める。これらのカードがモダンのいろいろなデッキのサイドボードに取られている理由は、このデッキへの敵意の現れだ! 特に《溶鉄の雨》がとれる「バーン」は対トロンでかなり有利に立ち回れるので、神戸がトロンワールドになると思うのであれば「バーン」を手に取ると良い。
土地をいじめるカード以外にも、純粋に手札破壊や打ち消しをサイド後増量して、《古きものの活性》などを落として消して、殴り切るという手もある。いずれにせよ、だらだらゲームをやっているとウルザ土地を抑えているのに他の土地が並んで普通に《ワームとぐろエンジン》《世界を壊すもの》出されて負け~なんて情けないことになる。ゲームに勝つ手段は減らし過ぎないように!
5 《島》 1 《冠雪の島》 1 《雲の宮殿、朧宮》 1 《涙の川》 4 《ウルザの鉱山》 4 《ウルザの魔力炉》 4 《ウルザの塔》 2 《宝石の洞窟》 1 《アカデミーの廃墟》 1 《地盤の際》 -土地(24)- 1 《瞬唱の魔道士》 2 《宝物の魔道士》 1 《真面目な身代わり》 1 《ワームとぐろエンジン》 1 《白金の天使》 1 《隔離するタイタン》 -クリーチャー(7)- |
1 《威圧のタリスマン》 1 《発展のタリスマン》 4 《探検の地図》 4 《差し戻し》 1 《サイクロンの裂け目》 4 《知識の渇望》 1 《世界のるつぼ》 1 《忘却石》 1 《けちな贈り物》 2 《精神隷属器》 4 《卑下》 3 《撤廃》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《精霊龍、ウギン》 -呪文(29)- |
2 《外科的摘出》 2 《呪文貫き》 1 《仕組まれた爆薬》 2 《広がりゆく海》 1 《ハーキルの召還術》 1 《次元の歪曲》 4 《四肢切断》 1 《虚空の杯》 1 《幽霊街》 -サイドボード(15)- |
トロンは緑黒だけでなく、緑を軸に《流刑への道》と強いサイドカードの取れる白、《コジレックの帰還》でのリセットがウリの赤と、2色目の選択肢があってどれを使うか悩ましいものだ。青は緑と組み合わせるメリットがあまりなく、単色か白と組み合わせて用いられることが多い。このデッキのように「青トロン」と呼ばれ、同じトロンでも緑のものとは戦略が異なるので別者扱いされている。
「青トロン」はドローや占術がついた打ち消しと《知識の渇望》《けちな贈り物》を使って、構えながら戦って気が付けば揃ってぞ!という受けのトロンとでも言おうか、そういうよりコントロールチックなアプローチを取っている。これも相手に柔軟に対処できるので良いデッキだ。
青を取ることで《アカデミーの廃墟》を採用でき、これで《精神隷属器》を回収しては投げつける、完全勝利コンボが搭載されている。無限ライフを決める類のデッキもこれで屠ってやることができる! マジック人生においてこのコンボを決めたことがあるとないのとでは大きな差がある、各自経験しておくように。
3ターン目から対戦相手を寄せ付けずに完封してしまえるポテンシャルを持った各種トロンデッキは、現行モダン環境においてとてつもなく大きな存在感を放っている。このデッキを相手にして有利に戦えるデッキはそれだけで選ぶ価値があり、その逆は無視できないリスクを背負うことになる。うむ、個人的には自分が使う側に回るという選択肢を取る可能性が大いにあるな。グランプリ・神戸2017、トロンを狩るか狩られるか? 注意しなくちゃならんのは、このデッキはいつだって「非情な現実」を突き付けてくるってことだ!
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