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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:感染(モダン)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:感染(モダン)

by 岩SHOW

 先日、ワールド・マジック・カップ2016から還ってきました。オランダ・ロッテルダムは......思っていたよりも寒くなかった。パーカーさえ着ていれば余裕な感じ(冬場でも室内では基本半袖の人間が言っても説得力はないかもしれない)。古い建物をそのままオフィスにしているという、いかにもヨーロッパな街並み......も見られたんだけども、会場とホテルの往復しかしていなかったので、もっと街の中心なんかにも行ってみたかったなぁと。まあ夜はただただ眠かったからしょうがないかな(笑)。ご飯に関しては「当たり外れの振れ幅が大きい」とだけ言っておこう。お魚は美味しかった、サバの塩焼きをほぐしたものをサラダに添えたものがNice。

 ワールド・マジック・カップ自体は......プロツアーとはまた違った空気が流れていたね。4人1組のチームで行動する姿、各国のテーマが込められた衣装、飛び交うさまざまな言語......ただ会場をうろうろしているだけでも楽しいね。

 トーナメントそのものは、チームモダンというフォーマットらしい派手な決着が多かったなぁと。戦前の予想では「感染」がパーツの被らなさ・そしてデッキ自体の強さから、多くのチームが3つのデッキの1つに採用してくるだろうとささやかれていた。事実「感染」は全体の半数近くのチームが中核に据える、使用率トップのデッキとなった。「感染」を採用したチームはTOP8に3チーム、TOP16には10チーム勝ち残っている。その強さは結果が証明している、皆もあの「2ターンキル」を目の当たりにした時に強く実感したことだろう。

イタリア A席 - 「感染」
ワールド・マジック・カップ2016 3位 / チーム共同デッキ構築・モダン(2016年11月18~20日)[MO] [ARENA]
2 《
1 《ドライアドの東屋
2 《繁殖池
4 《吹きさらしの荒野
4 《樹木茂る山麓
1 《新緑の地下墓地
4 《墨蛾の生息地
2 《ペンデルヘイヴン

-土地(20)-

4 《ぎらつかせのエルフ
4 《貴族の教主
4 《荒廃の工作員

-クリーチャー(12)-
4 《ギタクシア派の調査
4 《変異原性の成長
4 《古きクローサの力
4 《巨森の蔦
2 《顕在的防御
1 《ひずみの一撃
1 《呪文貫き
1 《よじれた映像
2 《使徒の祝福
1 《四肢切断
4 《強大化

-呪文(28)-
1 《ヴィリジアンの堕落者
3 《自然のままに
2 《呪文貫き
2 《よじれた映像
1 《払拭
1 《ひずみの一撃
2 《四肢切断
3 《貪欲な罠

-サイドボード(15)-

 チームモダンは通常の個人戦のモダンとは似て非なるフォーマットである。なので、今回紹介するデッキをそのままモダンのトーナメントに持ち込んで、最高の結果を得られるかと言うと必ずしもそうではない。「感染」の場合メインデッキは他のチームのデッキにカードを提供するために形を変えるということはないが(チーム戦は3つのデッキに同名カードを散らして採用することができない)、サイドボードは他の2つにある程度カードを譲る形となっている。また、通常のモダン以上に当たるデッキ・対策すべきデッキが絞り込まれているということも忘れずに。

 「感染」はその名の通り感染能力を持ったクリーチャーで10点のダメージを与え、速やかに毒殺することを目的とした、コンボ要素の強いビートダウンデッキである。感染クリーチャーが使用可能なモダン及びレガシーに存在するデッキで(ヴィンテージでは見たことないなぁ)、レガシーのそれは《激励》と《狂暴化》の呪文2枚で感染クリーチャーのパワーを10まで押し上げることができ、また《目くらまし》《意志の力》と打ち消しも豊富。クロックパーミッションに一撃必殺が組み込まれているといった具合だ(参考:「青緑感染(レガシー)」)。

 モダン環境には上記のカードがいずれも存在しないため、キーカードは大きく異なる。相手の行動を打ち消しながら殴るという、いわゆるクロックパーミッションな動きは取れないため、前述のコンボ・ビートの側面が色濃く出ている。こちらの感染クリーチャーによる圧力により、対戦相手に対処を迫る側のデッキとなっている(もちろん、相手によってはクロックパーミ的な動きもできる)。

 このデッキをモダン環境随一のスピードデッキへと押し上げているのは《強大化》という探査呪文。このカードは実に危険だ。生け贄に捧げる能力を持った《樹木茂る山麓》のようなフェッチランド、0マナで唱えられる《ギタクシア派の調査》《変異原性の成長》などで一気に墓地を肥やし、3ターン目には6マナのこの呪文を平然と唱えることができる。3ターン目に感染クリーチャーを+6/+6できるのであれば、それは即ちゲーム勝利。このデッキの一般的な3ターンキルは以下のようなもの。

 ご覧の通り、3ターン目に土地を置かずとも10点ダメージを与えることが可能だ。これ以外にも3ターン目に毒殺パターンは複数あるし、すでに述べたようにギリシャチームは2ターン目に《ぎらつかせのエルフ》を《古きクローサの力》と3枚の《変異原性の成長》で膨らませての2ターンキルを実現させている。他のデッキが土地を置いている間に轢き潰すこのスピードこそが、モダンの「感染」の強みだ。

 実際にはそんなに安定してこれを決められるわけではない。対戦相手の除去や手札破壊といった妨害を掻い潜りながら、最大効率のダメージを与えていくことになる。その際に役に立つのが《顕在的防御》《巨森の蔦》。

 これらで自身のクリーチャーに除去耐性を与えつつ、打点も上昇させるというわけだ。大事なのは、プレイするタイミング。焦って唱えないというのは基本だが、これらの呪文をあえて先に唱えることで対戦相手の除去をあぶり出して、二の矢で弾くという手もある。《ギタクシア派の調査》があるとこういったプランも練りやすくなるので、これの使い時もじっくりと考えると良い結果に繋がるのかも。

 チームモダンにおける殺戮の神となった「感染」。モダンにて開催される今週末のプロツアー地域予選でも暴れまわるのか、楽しみである。ガードを下げていると、一瞬でやられるぞ!

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