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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ベルチャー(レガシー)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ベルチャー(レガシー)
by 岩SHOW
仕事柄、オススメのデッキは何かと聞かれることがある。その度にまあ、可能な限り真面目なコメントをするようにはしているのだが、「レガシーでオススメはなんですか?」という質問だけは答える際にやや葛藤してしまう。
オススメのデッキはある。あるにはあるが、果たしてこれを人に勧めて、良いものだろうか......かと言って、「奇跡コントロール」のような強いが習熟度を要求されるデッキを勧めるのも果たして正しいのか? そういうことを考えながら、いつも「こうこうこういうデッキがあって、その中から自分がこれだと思うデッキを組んでください!まずは記事なり動画なりでデッキの動きを見て......」といった感じの、ざっくり丸いアンサーをしている。
ただ、今回は本心のデッキを紹介したい。このデッキも、ハッキリ言って人を選ぶ。ただこのデッキの波長と噛み合えば、こんなに楽しくやんちゃなデッキもないだろう。レガシーをやっている感も味わってほしいしね。というわけで、今日のデッキは「ベルチャー」だ!
1 《Taiga》 -土地(1)- 4 《ほくちの壁》 4 《Elvish Spirit Guide》 4 《猿人の指導霊》 -クリーチャー(12)- |
4 《ライオンの瞳のダイアモンド》 4 《水蓮の花びら》 3 《金属モックス》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《炎の儀式》 4 《捨て身の儀式》 4 《土地譲渡》 4 《魔力変》 2 《発熱の儀式》 4 《煮えたぎる歌》 4 《燃え立つ願い》 4 《ゴブリンの放火砲》 2 《巣穴からの総出》 -呪文(47)- |
2 《ザンティッドの大群》 3 《紅蓮破》 1 《ゴブリンの集中攻撃》 1 《破壊放題》 1 《外殻貫通》 1 《冥府の教示者》 1 《紅蓮地獄》 1 《財宝発掘》 1 《先細りの収益》 1 《巣穴からの総出》 1 《恭しき沈黙》 1 《苦悶の触手》 -サイドボード(15)- |
このデッキは《ゴブリンの放火砲》をフィーチャーしたもので、このアーティファクトを唱えて能力を起動する=勝ち、というアクションに特化した末に、ご覧の通り土地1枚という他に類を見ないリストに行きついている。もう何年もこのリストを見ているので何の違和感もないが、初見のインパクトはなかなかのものだろうなぁ。
この土地1枚の理由は単純なもので......放火砲は起動するとライブラリーを上から順にめくっていって、土地が出るまでの間に公開したカードの枚数分ダメージを与える。なので、ライブラリーに土地カードがなければ、その時点のライブラリーの枚数分対戦相手のライフを削ることができる。まあ、往々にして対戦相手のライフを0にしてしまえることだろう。採用されている1枚だけの土地も、山タイプを持つ《Taiga》となっている(土地が公開されるとそこまでで終了だが、その土地が《山》だった場合ダメージは公開したカードの枚数の倍となる)。
《ゴブリンの放火砲》を唱えて起動までに必要なコストは7マナ。このデッキにはこれを揃えるためにレガシー環境におけるマナブーストをこれでもかと詰め込んである。土地は1枚だけなので、土地以外の方法で0マナから1マナへとジャンプアップするカードが19枚も採用されている。
《金属モックス》《水蓮の花びら》の0マナアーティファクト組、《Elvish Spirit Guide》《猿人の指導霊》ら手札から追放するとマナを生み出すクリーチャーたち、そして0マナの土地サーチ《土地譲渡》......まずはこれらがないとそもそも動けないので、ゲーム開始時の手札にはこれらをしっかりとキープしたい。
0から1にジャンプしたら、今度は1から2へ。《ほくちの壁》と《炎の儀式》、特に後者は2枚目以降、生み出すマナがどんどん増えていくので、あればあるだけほしい。0→1→2あるいは0→2とマナを生み出して、2マナ以降は《捨て身の儀式》《発熱の儀式》《煮えたぎる歌》を使ってマナを伸ばして一気に放火砲設置→起動まで持っていこう。
《魔力変》はマナの色を調節し、また1枚ドローにより思いのほかマナが伸びてコンボが決まることもある、使いどころが大事な1枚だ。
このデッキの象徴的なカードは《ライオンの瞳のダイアモンド》だ。0マナから3マナ生み出すという、額面は《Black Lotus》と変わらない超絶マナブーストだ。もちろんデメリットはしっかりとあって、手札をすべて捨てることが能力起動のコストとなっている。なかなかにハードではあるが......このデッキの場合、上述のマナブーストで4マナ生み出して《ゴブリンの放火砲》を設置すれば、もう手札など必要ないわけで、このダイアモンドをスッと置いて起動してしまえばよい。このカードのおかげで、このデッキは1ターン目に合計7マナ揃えて開幕勝利を決めることも可能となっている。気ン持ちいィ~。
《ライオンの瞳のダイアモンド》とうまく組み合わせたいのは《燃え立つ願い》。このカードはこのデッキの放火砲に次ぐもう1つの勝ち手段。マナブーストの連打からこれを唱えて、それがスタックに積まれている状態で優先権を放棄せずに《ライオンの瞳のダイアモンド》を起動、するとこのカードが生み出す3マナを願いからサーチしたソーサリーを唱えるのに用いることができる。これを活かして《巣穴からの総出》《苦悶の触手》というストーム呪文で勝負を決める、という戦略だ。
特に《巣穴からの総出》はメインから採用されている。これによってメインデッキに勝ち手段が10枚。いずれかはゲーム開始時の手札に来ることが期待できる数字である。《巣穴からの総出》は《意志の力》のような1枚の呪文に対する打ち消し呪文に強いため、両方手札に来た場合、こちらを優先するというプレイングもある。この判断を助けてくれるのが《ギタクシア派の調査》だ。これにより《狼狽の嵐》が見えたら逆に放火砲ルートを取る。ぶっ放しコンボデッキに見えて、しっかりとプレイングが介在する面もある。
《燃え立つ願い》は勝ち手段だけでなく、対戦相手への各種妨害&相手の妨害を乗り越えるためのカードをサーチする手段でもある。基本的にはアーティファクト、エンチャント、クリーチャーに対処する手段+黒を採用しているデッキでは手札破壊を採用するものだ。
このデッキでは《財宝発掘》が面白い。放火砲が打ち消されたり手札破壊で墓地に置かれても、このカード+0マナアーティファクトで釣り上げてやれば良いのだ。
個人的には対戦相手がどんなデッキであるかわからないままに先手1ターン目でぶっ放すことこそが「ベルチャー」の醍醐味だと思っているので、まずは組んでトーナメントに意気揚々と乗り込んでほしい。大丈夫、初手に《意志の力》をしっかり握られている確率なんてそんなに高いもんじゃない。いけ、いけ、放てッッ!......打ち消されても気にしちゃダメ、「並行世界の自分は勝っている」の精神が大事だ。
前回の日本国内レガシーグランプリ、グランプリ・京都2015では初日全勝も成し遂げている。とりあえず日頃の行いを良くすることが、「ベルチャー」とともに駆け抜ける秘訣だと思うね。人にやさしく、対戦相手に厳しく......ってそれ、ただの外道やん。
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