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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:白黒コントロール(スタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:白黒コントロール(スタンダード)

by 岩SHOW

 精密機械の如きプレイングを行えば、おのずから勝利は舞い込んでくる。あのジョン・フィンケル/Jon Finkelは、「プレイングに良いプレイや悪いプレイなどない。あるのはたったひとつの正解だけだ」と言ったそうな。確かに、上手くプレイしたからと言って呪文が与えるダメージが増えるわけでもないし引けるカードの枚数が増えるわけでもなく。いくつもある選択肢の中から、その状況で最も正しいプレイングを行えるかどうかのゲームで、それを行えた者が勝利する......ということなんだろうけど、僕のような一般人からするとその正解に行きつけるのが上手い・良いプレイに見えるものだ。

 ついぞ最近も、これを実証したプレイヤーがいる。ルーカス・ブロホン/Lukas Blohonだ。彼はさまざまな局面であらゆる物事をケアしたプレイングを行い、たとえ《約束された終末、エムラクール》でターンを奪われてもそれだけでは負けないという盤面を作り出して勝ち星を重ねた。ついたあだ名が「ケア魔人」。状況に即した正確なプレイングは、決勝ラウンドで2ゲームを落とした後に9ゲーム連続で勝利してのプロツアー『異界月』優勝という結果を呼び込んだ。

 優勝後のインタビューで「このプロツアーで何か予想外のデッキとの対戦はありましたか?」という質問に対して、ブロホンは「特になく、存在するデッキはおおむね予想通りだった」と答えている。冷静に環境を読み解いた彼が選んだデッキは、「白黒コントロール」だった。

Lukas Blohon - 「白黒コントロール」
プロツアー『異界月』 優勝 / スタンダード (2016年8月5~7日)[MO] [ARENA]
9 《
4 《平地
4 《コイロスの洞窟
4 《乱脈な気孔
4 《放棄された聖域
1 《荒廃した湿原

-土地(26)-

3 《ゲトの裏切り者、カリタス
3 《大天使アヴァシン
1 《保護者、リンヴァーラ

-クリーチャー(7)-
4 《闇の掌握
2 《神聖なる月光
2 《精神背信
2 《究極の価格
3 《骨読み
2 《苦渋の破棄
2 《破滅の道
4 《衰滅
3 《最後の望み、リリアナ
2 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス
1 《死の宿敵、ソリン

-呪文(27)-
4 《強迫
2 《死の重み
1 《精神背信
1 《究極の価格
2 《無限の抹消
1 《苦渋の破棄
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン

-サイドボード(15)-

 以前に紹介した伝説の天使達とそれらにアクセスにできる《サリアの槍騎兵》をフィーチャーした同色のコントロールと打って変わって、こちらのデッキのクリーチャーはシンプルにカリタス・アヴァシン・リンヴァーラとまとめられたものとなっている。これらのクリーチャーは勝ち筋であると同時に、墓地対策(厳密にはクリーチャー死亡時に誘発する能力の対策)、ライフ回復、クリーチャー除去と様々な役目を兼任する。3種のプレインズウォーカーもそうだ。リリアナにニクシリス、ソリンといずれもクリーチャーに触れることができ、アドバンテージももたらし、そしてフィニッシャーとなれる能力の持ち主だ。

 これらのカードと《闇の掌握》《衰滅》と定番の除去を用いてクリーチャーデッキと戦うのがこの白黒コントロールだ。前環境においてオーウェン・ターテンワルド/Owen Turtenwaldも愛用していたデッキだったが......当時の「白黒コントロール」との最大の違いは《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》をメインデッキからスッパリと抜いて、しかしサイドにはしっかりと4枚採用していることだろう。「バント・カンパニー」のようなこちらのターン終了時にクリーチャーが複数飛び出してくるようなデッキに対して、ギデオンは出しどころが難しいカードでなかなかその効力を発揮できない。

 こうしたマッチアップが多いと踏んで、メインデッキにはギデオンを採用せず・しかしながら4マナで5点と高い打点を持ち《衰滅》や《コジレックの帰還》でも対処できないダメージ源はコントロール同型や「ティムール現出」などのビッグマナ系のデッキには有力なので、しっかりとサイドボードに枠を設けているというわけだ。この読みがプロツアーではドンピシャでハマったのは、優勝という結果が証明してくれている。

 冒頭で述べたように、正確なプレイングを行っていればおのずと勝利の方が向かってくるタイプのデッキだ。使い方が最も難しそうなのは《骨読み》だろうか。占術2で下に送るかそのまま引き込むか、今欲しいのは除去だが果たしてここでそれを2枚引く必要があるのか・X枚目の土地を引くか否か......などなど、このカード1枚だけでもプレイングを問われるものだと思われる。

 こればっかりは、練習を続けて身に着けるしかない。まず、自身のデッキ60枚に何があと何枚あるのか、それをきっちりとイメージするところから始めよう。当たり前のことかもしれないけども、サイドボード後とかで枚数を間違えてしまうこととかはあるからね。千里の道も一歩から、《骨読み》のような基本的なカードを極めて、目指せプロツアーチャンプ!

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