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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:隆盛昇天(モダン)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:隆盛昇天(モダン)
by 岩SHOW
このコラムを書いている段階では、まだ『イニストラードを覆う影』プレリリース前。このセットのカードがどれほど各環境に影響を与えるのか、我々のような一般プレイヤーにはまだちょっと読めない時期だ。特にスタンダードはまだしも、モダンやレガシーで活躍するカードはあるのか? カードの強さも把握していないため、なかなか想像がつかない。
『イニストラードを覆う影』参入前の現モダン環境では、『ゲートウォッチの誓い』により大幅に強化されたエルドラージデッキが大暴れしている、というのは当コラムでも何度も述べたところ。ただ、だからこそこれらのデッキを相手に戦えるデッキもその芽が出てきているのも事実。これらの前環境ではそこまで活躍できなかった後発デッキが、新セット発売による影響を受けてそのままモダンの深淵に眠るか、あるいは......というところにも注目してほしいと、個人的には思っている。
エルドラージ系のデッキは形により多少の差はあるが、基本的には真っすぐ殴りに来るデッキである。こういったデッキを喰うのは、いつの時代だって違う軸で攻めてくるデッキ......そう、コンボだ。当コラムでも既に「Living End」を紹介した。「シャドー・シュート」のようなクレイジー極まるコンボデッキを持ち込む猛者も現れ、コンボ時代へと突入するかのようにも見える。今日紹介するデッキも、2つのコンボデッキを1つに融合した新たなアプローチで、モダンという環境に殴り込みをかけるデッキだ。まずはリストを見てほしい。
2 《島》 1 《山》 1 《平地》 2 《蒸気孔》 2 《神聖なる泉》 1 《聖なる鋳造所》 4 《溢れかえる岸辺》 3 《汚染された三角州》 1 《硫黄の滝》 1 《フェアリーの集会場》 -土地(18)- 4 《命運縫い》 -クリーチャー(4)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《稲妻》 4 《流刑への道》 4 《血清の幻視》 4 《手練》 4 《思考掃き》 3 《彼方の映像》 4 《差し戻し》 3 《紅蓮術士の昇天》 4 《ジェスカイの隆盛》 -呪文(38)- |
3 《若き紅蓮術士》 2 《僧院の導師》 3 《摩耗 // 損耗》 2 《払拭》 3 《機を見た援軍》 2 《光輝の炎》 -サイドボード(15)- |
クリーチャーが《命運縫い》4枚のみの時点で気付いた方もいらっしゃるはず。このデッキは《ジェスカイの隆盛》を用いたコンボデッキだ。《ジェスカイの隆盛》を貼った状態でクリーチャーでない呪文を唱えると、自身のクリーチャーがすべて+1/+1の修正を受けつつアンタップする能力、そしてカードを1枚引き1枚捨てる能力が誘発する。
これらの能力と相性が良いのが、先述の《命運縫い》。これ自体は4マナのクリーチャーだが、《ジェスカイの隆盛》の能力で手札から墓地に落とすと、蘇生能力により{U}で墓地から戦場に出すことができる。しかも速攻も得ているので、パーマネントをタップorアンタップする能力をいきなり使うことが可能。これで土地をアンタップする。そうやって捻出した1マナでまた呪文を唱える→《命運縫い》がアンタップされ、その能力で土地をアンタップし......というサイクルを、呪文を引き続ける限り延々繰り返すことが可能になる。
ここからストームを稼いで《ぶどう弾》などで決める、あるいは純粋に《ジェスカイの隆盛》によって打点が上がった《命運縫い》《フェアリーの集会場》、このデッキでは採用されていないが緑入りならば《極楽鳥》といったクリーチャーでブン殴って勝利というのがこのデッキの目指すところ。一度コンボが始動すれば、そのターンのうちに勝負が決められるのが長所。結局のところ、コンボが始動してもそこから呪文を引くことができなければピタッと止まってしまうのが短所。
この短所を抑えるための工夫が、最近のこのデッキには施されてきている。それが《紅蓮術士の昇天》である。
このカードはもともと、「青赤ストーム(青赤昇天)」というコンボデッキのキーカードだった。墓地に同名のカードが落ちているインスタントorソーサリーを唱えるとこのエンチャントに探索カウンターが1つ置かれる。これが2つ置かれている状態だと、以降のインスタントとソーサリーは自動的にコピーが作られるバイバインな世界へと突入。この状態で《稲妻》を連打したり、《魔力変》で2マナ増やしながら2枚引いたりしつつ、ストームを稼いだ呪文を......というコンセプトのデッキが「青赤ストーム」だ。《ジェスカイの隆盛》コンボデッキと同じく、いわゆるチェイン系のデッキであり、こちらも引きのかみ合わせなんかが悪いとなんじゃこりゃーな結末を迎える、プレイングが難しい方に属するデッキであった。
それぞれ噛み合わせを要求するコンボであるが、ならばいっそ組み合わせてみては?という発想から始まったのだろうか。色も合うし、どちらも1マナのドロー呪文をメインに構成されていたデッキなので、無理なく組み合わせることが可能。これにより、キーとなるエンチャントを引けなかったらどうしようもなかったという弱点も、それ自体が7〜8枚体制になることでかなり緩和されるし、これら2枚が並ぶとデッキを全て引き切れる勢いでチェインしていく、と良いことばかり。というわけでこのデッキ、個人的には「隆盛昇天」とでも呼びたいと思う。どちらも力が増し、天に届きそうなポジティブな単語なのも良い。
このデッキは上述のように、エンチャントを貼って軽い呪文を連打してくる。もしトーナメントで多く見かけるようならば、エンチャント破壊に《アメジストのとげ》《三なる宝球》のような呪文のコストを増加させて連打を防ぐ系の妨害カードを取れば良いかもしれない。《虚空の杯》ももちろん効くのだが、この2種のエンチャントは呪文そのものが打ち消されても能力自体は誘発するので、強引にチェインされてしまうこともあるので気を付けよう。
自分で使いたいそこの君! これから毎晩寝る前の15分間はこのデッキに捧げよう! チェインデッキは一人回しして自分に合った微調整を施してナンボだぞ! コンボ時代を生き抜くには、日頃の鍛錬がものを言うのだ。
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