岩SHOWの「デイリー・デッキ」：エルドラージ・ストンピィ（レガシー）

by 岩SHOW

　君は「ドラゴン・ストンピィ」を知っているか？ レガシー環境でかつて地位を築いていたデッキタイプで、《古えの墳墓》《裏切り者の都》など２マナ生み出す土地と《猿人の指導霊》《金属モックス》などのマナブーストから、《虚空の杯》《三なる宝球》《血染めの月》などの妨害手段を１ターン目に設置。しかる後に《ラクドスの地獄ドラゴン》などのマナの割にパンチ力のあるフィニッシャーを展開して速攻で勝負を決める、ゲーム開始時の手札にオールイン！なデッキだ。凶悪な妨害カードを先手１ターン目に置ければそりゃ強いが、《Force of Will》で弾かれたり、後続を何も引かなかったり、手札がマナブーストだけとかその逆でマリガンしまくったり......安定感の欠片もないデッキだった。己との戦いの系のデッキで、パワーカードで一方的にドカドカするのが好きな僕もこれを作って遊んでいた。

　時は流れて2016年。『ゲートウォッチの誓い』にて強力なエルドラージが多数登場。モダンでは《ウギンの目》《エルドラージの寺院》の２マナランドで加速して暴れまくっているが、では元祖２マナランドが存在するレガシーではどうか。誰もが思い描くそのデッキが、ここ最近Magic Online上で結果を残している。個人的に「ドラゴンストンピィ」の正当後継機が来たか！と喜びを隠せないが、それではそのリストを見てみよう。

　Sunyveilがレガシー構築リーグ戦にて連日5-0の成績を残したデッキ「エルドラージストンピィ」だ。前述の「ドラゴンストンピィ」のように１ターン目には《虚空の杯》《アメジストのとげ》といった大多数のレガシーのデッキにとっては悪夢のようなアーティファクトを設置しつつ、《難題の予見者》《現実を砕くもの》を叩き付ける、容赦なき攻めがセールスポイント。エルドラージたちの何がすごいって、無色土地のみで４/４や５/５を出せること。かつて「ドラゴンストンピィ」が同じ4マナで《ラクドスの地獄ドラゴン》を使っていて、{R}{R}が出せずにプルプルしていた身としては、クリーチャーの進化を感じずにはいられない。そう、かつての「ドラゴンストンピィ」が抱えていた、安定してフィニッシャーが出せないという問題をまったく苦にしないデッキなのだ。恐ろしい話である。

　このデッキには《変位エルドラージ》が採用されているのが特徴的。そのクリーチャーを一時的に追放＆タップする能力で、エルドラージ同系などクリーチャー同士の殴り合いになるゲームでは相手のクリーチャーをがんじがらめに、《殴打頭蓋》《梅澤の十手》などの装備品戦略も完全否定し、《昆虫の逸脱者》は《秘密を掘り下げる者》へと変身解除、大いなるエルドラージの巨人《引き裂かれた永劫、エムラクール》が《騙し討ち》から飛び出しても安心、とかなりいい仕事をしそうだ。

　このデッキを対策するのであれば、「ドラゴンストンピィ」時代にはストンピィデッキ側が自ら使用していた《血染めの月》《月の大魔術師》を用いるのがひとつの手だろう。あるいは《不毛の大地》で足を止めて《目くらまし》で弾いてサイズ負けしない《タルモゴイフ》で殴る、テンポ戦略で攻めるのも良いだろう。エルドラージ最大の武器にして弱点であるマナベースを突きつつ、リカバリー前に勝負を決めてしまおう！