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行弘賢のよくわかる!リミテッド講座
行弘賢のよくわかる!リミテッド講座 第19回:『アモンケット』発売!新環境ドラフト攻略
行弘賢のよくわかる!リミテッド講座 第19回:『アモンケット』発売!新環境ドラフト攻略
皆さんこんにちは!
桜も舞い散り、いよいよ暖かい季節になってきました。そんな出会いと別れの季節である春も落ち着いてきた中、マジックはといえばいよいよ本日『アモンケット』の発売と落ち着いている暇なんかありません!
今回もいつも通り「新環境リミテッド:発売前ファーストインプレッション」と、「新環境リミテッド:プロツアー後の振り返り」の2本立てで、今回は前編です。
基本的にはブースタードラフトに関する内容の記事とはなりますが、カードの評価などはシールドデッキでも応用できる点もあるかと思いますので、リミテッドが好きな方のお役に立てたらと思います。
それでは、まずは新環境のファーストインプレッションから見ていきましょう!
1.新環境~『アモンケット』のドラフト
『アモンケット』3パックを使用する形式になります。
ファーストインプレッション
今回の『アモンケット』のカードリストを見たファーストインプレッションは、以下の2点です。
- 督励持ちのクリーチャーが攻めに向いていて、不朽持ちのクリーチャーが捌きにくいのでコントロールよりも攻めが有利そう。
- ゾンビやサイクリングなど、明確なシナジーが多いためアーキタイプ環境になりそう。
順番に解説していきます。
督励持ちのクリーチャーが攻めに向いていて、不朽持ちのクリーチャーが捌きにくいのでコントロールよりも攻めが有利そう。
督励持ちは攻撃時に選択できる能力なので、攻める際に有用な能力です。督励を上手く使うためには攻めた方が良いので、アグレッシブなデッキで使うことになるでしょう。
また、不朽は2度クリーチャーに対処しなくてはいけないため、除去を多めに採用したコントロールでは対処が難しく、コントロールを組んだ際はかなりてこずることになるでしょう。
つまり、攻めが強く守ると不利になりやすい環境なため、コントロールデッキを組むのはかなり難しそうです。
ゾンビやサイクリングなど、明確なシナジーが多いためアーキタイプ環境になりそう。
今回は《束縛のミイラ》や《オケチラの名のもとに》のような、ゾンビを代表とした明確なシナジーがいくつか用意されています。
ゾンビ以外にはサイクリング(カードを捨てる)や、督励、カルトーシュ、-1/-1カウンター、などのアーキタイプが思いつくだけでも存在するので、これらを目指しつつ、レアを活かすドラフトをすることになりそうです。
ここまでがカードリストを見た最初の感想です。
攻めが強く、守りが弱いためゲームスピードはそれなりに早そうですが、膠着状態を打破する呪文も少ないため、意外とゲームが長引くことも多そうです。したがって、長期戦になった際に膠着状態を打破できるシステムや呪文はしっかりと入れておきたいですね。
さて、次は『アモンケット』の新キーワード能力について見ていきましょう。
2.収録キーワード能力について
不朽
不朽[コスト]([コスト], あなたの墓地からこのカードを追放する:マナ・コストを持たない白のゾンビ・[元のクリーチャータイプ]であることを除きこれのコピーであるトークンを1体生成する。不朽はソーサリーとしてのみ行う。)
不朽は、墓地にある状態で不朽コストを支払うことで、墓地からトークンとなって戦場に戻る能力です。(ルール上、その元になったカードは追放されます。)
クリーチャー・タイプは元々の種族に加えゾンビが追加され、色も白で固定されます。これを利用してゾンビのアーキタイプにシナジーとして組み込むこともできます。
単純にカード2枚分の働きをすることが多いため、リミテッドにおいて不朽持ちのクリーチャーは非常に強力です。
督励
[カード名]が攻撃するに際し、あなたはこれを督励してもよい。そうしたとき、~。(督励されたクリーチャーは、あなたの次のアンタップ・ステップにアンタップしない。)
督励は、攻撃時にクリーチャーが次にアンタップしないことを選べば、督励のボーナス能力が発動する、攻撃の際に選択できる能力です。
状況に応じて督励を発動するかどうかを選べるので、基本的にはメリットの能力であり、警戒やアンタップする能力と組み合わせるとアンタップしないデメリットを帳消しにできるため、督励のカードを使う際はこれらのカードと一緒に使うとより強力になります。
余波
余波(この呪文はあなたの墓地からのみ唱えられる。その後、これを追放する。)
余波は『アモンケット』に収録されている分割カード全てに採用されているキーワード能力で、カードの横向きになっている半分をプレイする際のプレイ条件です。
余波カードは墓地にある間、余波と書いてある横向きの半分のみ墓地から唱えることができます。逆に手札から唱えられるのは上半分だけとなります。
再録キーワード・キーワード能力に近いメカニズム
サイクリング
サイクリング[コスト]([コスト], このカードを捨てる:カードを1枚引く。)
サイクリングはサイクリング・コストを支払い、手札からそのカードを捨てることでカードを1枚引くことができる能力です。
カードによってはサイクリングした際に、土地を増やしたり、ライフを回復したりなどのボーナスを得るものもあります。
基本的には使い道が無いときや、土地が止まって困った時などに次のカードを探すためにサイクリングを使うのが主な用途ですが、カードを捨てたときに能力が誘発するカードとのシナジーも期待できます。
-1/-1カウンター
それの上に-1/-1カウンターをX個置く。
-1/-1カウンターはキーワード能力ではありませんが、『アモンケット』の重要なメカニズムです。
-1/-1カウンターとは、+1/+1カウンターと同じくクリーチャーの上に置き、その数の分だけクリーチャーにマイナス修整を与える、クリーチャーの上に置かれ続けるカウンターです。
今回は《気性の荒いクーズー》のような戦場に出た際に-1/-1カウンターを置くカードが多く登場します。これらは基本的にはデメリット能力なのですが、不朽を持ったクリーチャーや死亡時の誘発型能力を持ったクリーチャーに代わりに乗せることで、優秀なクリーチャーを戦場に残しやすくなります。
また、《スカラベの巣》のようなシナジーカードも『アモンケット』には存在します。
3.『アモンケット』の注目のカード
さて、それではここからは色、レアリティ別(コモン・アンコモン)で、僕が強力だと思うカード・トップ3を挙げていきたいと思います(3枚の中での順位はつけません)。皆さんも最初はカードの強さがいまいちよく分からないと思うので、ぜひ参考にしてみてください。
白・アンコモン
《排斥》:ほぼ完全除去であり、サイクリングまで付いていてインスタント・タイミングで唱えられる、言うことなしの優秀な除去です。
《献身的な門友》:若干構築に縛りは必要なものの、督励がそのままカードアドバンテージに繋がる、強力な督励持ちクリーチャーです。
《オケチラの従者》:サイクリングと不朽能力を併せ持っているため、確実にカードアドバンテージを稼ぎつつ、飛行のクロックとしても活躍できる優秀なクリーチャーです。
白・コモン
《束縛のミイラ》:タップ能力が非常に強力なため、ゾンビデッキ最強の2マナ域として活躍が期待できそうです。
《扇持ち》:{W}と軽いマナながら、起動も{2},{T}と軽い、優秀なタッパーです。
《断固たる修練者》:警戒を持つため、攻守に渡って活躍し、無理なく不朽につなげられる優秀なクリーチャーです。
青・アンコモン
《釣りドレイク》:バウンス内蔵クリーチャーなだけで強いのに、さらに飛行で4/4とサイズも悪くなく、ひたすらに強力なクリーチャーです。
《主張》:相手のクリーチャーのコントロールを奪う強力なエンチャントですが、重いのがネック。ただサイクリングで弱点をカバーできているので、強力な上に裏目が少なくて使い勝手が良さそうです。
《驚異への入り口》:クリーチャーの最後の一押しとして、大量にドローする手段として、どちらの用途でも強力なバックアップ呪文です。
青・コモン
《微光鱗のドレイク》:3/4飛行と優秀なフライヤーなだけでなく、不要な際はサイクリングまでできる優秀なクリーチャーです。
《ヘクマの歩哨》:サイクリングやカードを捨てる行為でサイズが上がっていくため、相手からはサイズの上昇幅が推測しにくく、戦闘を上手く進めることができる優秀なクリーチャーです。
《エイヴンの修練者》:3/2飛行と強力なクロックでありつつ、不朽を持っていて除去耐性まである申し分ないクリーチャーです。
黒・アンコモン
《グレイブディガー》:墓地からクリーチャーを回収しつつ、盤面にクリーチャーを展開でき、さらにゾンビのシナジーも見込める非常に強力なクリーチャーです。
《呪われた者の王》:ゾンビ限定ではありますが、全体強化能力に加え、威迫も付与してしまう何でもありな強力なロードです。
《ホネツツキ》:早いターンに1マナでプレイできる選択肢がある、強力な飛行クリーチャーです。
黒・コモン
《最後の報賞》:不朽持ちクリーチャーを後腐れなく処理することができる、優秀なインスタント除去です。
《野望のカルトーシュ》:タフネス1のクリーチャーを処理するだけでなく、エンチャント先のクリーチャーをフィニッシャークラスに成長させることができる、強力なエンチャントです。
《華麗な苦悶》:最大2体までのクリーチャーを弱体化させることができる、使い勝手の良い除去呪文です。
赤・アンコモン
《アン一門の壊し屋》:3マナ3/2速攻と高速クロックに加え、相手のクリーチャーにブロック不可まで選択できる、優秀な督励クリーチャーです。
《蓋世の誉れ》:サイクリングで相手のクリーチャーを除去しながらアドバンテージを取れるだけでなく、いざとなれば7点の強力除去としてプレイできる、使い勝手の良い除去です。
《激情の試練》:カルトーシュとの組み合わせでお手軽アドバンテージを稼げる、優秀な除去です。
赤・コモン
《燃えさし角のミノタウルス》:督励によりパワー5に威迫がお手軽に付いちゃう、優秀なクリーチャーです。
《マグマのしぶき》:不朽持ちクリーチャーを後腐れなく処理できる、優秀な除去です。
《オナガトカゲ》:ゲーム中盤以降は4/4サイズで戦闘できる、マナレシオに優れたクリーチャーです。
緑・アンコモン
《シェフェトのオオトカゲ》:サイクリング能力がアドバンテージを稼げて有用なだけでなく、いざとなればフィニッシャーにもなる、優秀なサイクリング付きクリーチャーです。
《同期した一撃》:2体のクリーチャーを強化する強力なバックアップ呪文です。
《横断地のクロコダイル》:自身にカウンターを置いても4/3速攻と強力で、他のクリーチャーに置いた時は5/4速攻とすみやかにゲームを終わらせる、強力なクリーチャーです。
緑・コモン
《頭巾の喧嘩屋》:督励の選択肢により、ほとんどの局面で常に攻撃し続けることができる、緑の攻めの要となるクリーチャーです。
《活力のカルトーシュ》:格闘能力が除去として機能するだけでなく、クリーチャーを強化しトランプルまで付与する、強力なオーラです。
《弱さからの脱皮》:1マナで+2/+2と高効率でありつつ、-1/-1カウンターを軽減してくれる、シナジーも見込める優秀なコンバットトリックです。
以上、各色のトップ3でした。
さて次は、『アモンケット』の注目アーキタイプをチェックしていきましょう!
4.『アモンケット』ドラフトの注目のアーキタイプ
注目のアーキタイプその1:白黒ゾンビ
白黒ゾンビとは、《束縛のミイラ》や《オケチラの名のもとに》などのゾンビシナジーカードを優先的に集め、白と黒のゾンビ・クリーチャーでビートダウンするアーキタイプです。
アンコモンには《むら気な召使い》や《呪われた者の王》など、ゾンビデッキで無類の活躍をするカードが存在するため、これらがピックできたら目指してみましょう。
注目のアーキタイプその2:青黒サイクリング
青黒サイクリングとは、《遺棄地の恐怖》や《ヘクマの歩哨》などの、サイクリングまたはカードを捨てたときに誘発する能力を持つカードをサイクリングでバックアップするアーキタイプです。
アンコモンの《信者の確信》はサイクリングし続けるだけで勝てる可能性がある青黒サイクリングの肝なので、これがピックできたらサイクリング中心のアーキタイプを狙ってみましょう。
注目のアーキタイプその3:赤黒ディスカード
赤黒ディスカードは《ハゾレトの碑》や《無慈悲な投槍手》などの手札を持続的に捨てる手段を用意し、《冷酷な侍臣》や《無情な狙撃手》などのカードを捨てたときに誘発する能力を使い続けるアーキタイプです。
このアーキタイプの肝はなんといっても《ハゾレトの碑》と《無慈悲な投槍手》。どちらかをピックできたら狙ってみましょう。また、《ハゾレトの碑》をピックしつつ青黒で同じ動きを狙うこともできます。
注目のアーキタイプその4:緑白督励
緑白督励とは、緑と白の優秀な督励持ちクリーチャーを、アンタップさせるカードと組み合わせ継続的に攻撃し続けさせるアーキタイプです。
アンタップさせるカードとしては《演習ミイラ》や《デジェルの決意》などがあります。さらに緑白には多色カードに《アン一門の勇者》という督励との相性が抜群なクリーチャーも用意されているため、優秀な督励持ちクリーチャーがピックできたら、これらの相性が良いカードを組み合わせて使ってみましょう。
5.最後に
これで今回の記事は終わりです。最後まで読んでいただいてありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。
プロツアー『アモンケット』後には再度環境の振り返り、答え合わせ編をやりますので、そちらもよろしくお願いします。
前回のプロツアーはドラフトが3勝3敗と不完全燃焼の成績で終わってしまったため、今回はしっかり勝ち越しできるようドラフトの練習にに力を注ぐとともに、プロツアーも良い成績で終われるように練習に励んでいますので、ぜひとも応援していただけますと幸いです。
それでは皆さんまた次回の連載の記事でお会いしましょう!
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