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津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ 『戦乱のゼンディカー』参入!ローテーションによる環境変化
津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ 『戦乱のゼンディカー』参入!ローテーションによる環境変化
こんにちは! 晴れる屋の津村です。
前回の記事からしばらく時間が空いてしまいましたが、その間に「WMCQ2015 名古屋予選」で優勝することができました!
(かねこ)全ての予選を終え、今年のワールド・マジック・カップ日本代表は、渡辺雄也選手、玉田遼一選手、楊塑予選手、津村健志選手に決定!本戦は12月11日~13日にスペインのバルセロナで開催、お楽しみに! #mtgjp #WMCQ pic.twitter.com/E4JuUgbnBq
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) 2015, 9月 21
実に11年ぶり、2004年以来の日本代表ということで、気合いを入れてがんばりたいと思います!
さてさて、そんなわけで簡単な近況報告から始めさせていただきましたが、いよいよ『戦乱のゼンディカー』が発売され、プロツアー『戦乱のゼンディカー』の開幕まで1週間余りとなりました。新環境ということでもちろん試合やデッキにも注目が集まりますが、ヤソさん(八十岡 翔太)の殿堂顕彰セレモニーなど、見所満載のプロツアーとなっております!
マジック日本公式ウェブサイトでは3日間の熱戦の模様を、生放送とカバレージで余すことなくお伝えする予定です。お時間のある方はぜひ一緒に盛り上がりましょう!
今週はそんなプロツアー『戦乱のゼンディカー』の前哨戦と評される、「StarCityGames.com Standard Open Indianapolis」の結果を振り返っていきたいと思います。『テーロス』ブロックが去りゆき、『戦乱のゼンディカー』が加入したスタンダードはどのように変化したのか。新環境を牽引するデッキをご覧ください。
「StarCityGames.com Standard Open Indianapolis」トップ8デッキ(2015年10月3日~4日開催)
- 優勝・「アタルカ・レッド(赤単タッチ緑)」
- 準優勝・「白緑大変異」
- 3位・「エスパー・ドラゴン」
- 4位・「ジェスカイ・ブラック」
- 5位・「《白日の下に》・コントロール」
- 6位・「ジェスカイ・ブラック」
- 7位・「エスパー・ドラゴン」
- 8位・「アブザン・コントロール」
新環境で最初に栄冠を掴み取ったのは、「アタルカ・レッド」でした。ローテーションにより優秀な火力の多くがスタンダードを去ったために、活躍が不安視されていたアーキタイプですが、やはり赤いデッキの新環境直後の強さは相変わらずのようです。全体的に既存のデッキを新環境用にチューンしたリストが好成績を残した印象を受けますが、「ジェスカイ・ブラック」や「《白日の下に》・コントロール」などなど、新カードの恩恵を多分に受けたデッキも散見されます。
それでは、早速デッキリストをご覧いただきましょう。
「アタルカ・レッド(赤単タッチ緑)」
8 《山》 1 《森》 2 《燃えがらの林間地》 4 《樹木茂る山麓》 4 《血染めのぬかるみ》 2 《吹きさらしの荒野》 -土地(21)- 4 《僧院の速槍》 4 《鐘突きのズルゴ》 2 《稲妻の狂戦士》 4 《ケラル砦の修道院長》 1 《マキンディの滑り駆け》 2 《カラデシュの火、チャンドラ》 -クリーチャー(17)- |
4 《タイタンの力》 4 《乱撃斬》 4 《アタルカの命令》 4 《ドラゴンの餌》 3 《ティムールの激闘》 3 《強大化》 -呪文(22)- |
2 《ゴブリンの踵裂き》 2 《雷破の執政》 4 《搭載歩行機械》 2 《焦熱の衝動》 2 《焙り焼き》 3 《弧状の稲妻》 -サイドボード(15)- |
新環境直後の活躍が目覚ましい「赤単」系統のデッキ。今年は特にそれが顕著で、「赤単」は直近のふたつのプロツアーで優勝を勝ち取っています。この度のローテーションで、《稲妻の一撃》や《かき立てる炎》という優秀な火力を失いながらも、その力が衰えることはありませんでした。
従来のように火力で強引にライフを削り切ることは難しくなってしまったため、火力に頼らない新たな攻撃手段を模索する必要がありましたが、このリストでは《ティムールの激闘》と《強大化》がその役割を担っています。
このコンボは妨害さえされなければ、二桁以上のダメージが確約されています。火力のような器用さはないため安定性には多少の難がありますが、爆発力という意味では他の追随を許しません。「速攻」や「疾駆」持ちのクリーチャーからの突然死も狙えますし、《ティムールの激闘》は《タイタンの力》との組み合わせでも十分すぎるほどのダメージが入るので、今後の「赤単」ではよく見かけるカードになるでしょう。
これまでの「アタルカ・レッド」と言えば、「点」ではなくクリーチャーを横に並べて「面」で攻めるデッキでしたが、《悲哀まみれ》と《神々の憤怒》がなくなったこのタイミングで一点突破する形に変化したのは非常に興味深いですね。環境初期としては異例の完成度の高さだと思いますし、プロツアー本戦でも間違いなく活躍が期待されるデッキです。
「白緑大変異」
6 《森》 4 《平地》 3 《梢の眺望》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《樹木茂る山麓》 3 《溢れかえる岸辺》 1 《荒廃した草原》 -土地(25)- 4 《始まりの木の管理人》 4 《棲み家の防御者》 2 《隠れたる龍殺し》 4 《死霧の猛禽》 3 《巨森の予見者、ニッサ》 3 《風番いのロック》 4 《搭載歩行機械》 -クリーチャー(24)- |
4 《ドロモカの命令》 3 《勇敢な姿勢》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文(11)- |
3 《アラシンの僧侶》 2 《囁きの森の精霊》 3 《進化の飛躍》 2 《絹包み》 1 《見えざるものの熟達》 1 《光輝の粛清》 1 《勇敢な姿勢》 2 《悲劇的な傲慢》 -サイドボード(15)- |
「グランプリ・サンディエゴ2015」チャンピオンであるマイケル・メジャーズ/Michael Majorsが選択したのは、前環境でも好調だった「白緑大変異」でした。《エルフの神秘家》がいなくなってしまった穴は《始まりの木の管理人》が埋め、新戦力の《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は多角的な攻撃手段として重宝します。
このデッキにおける《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は、1枚で実に多くの仕事をこなしてくれます。[+1]能力と[0]能力はこのデッキが苦手とする全体除去呪文への解答となり、[−4]能力は《搭載歩行機械》のトークンや《死霧の猛禽》と相性が良いのみならず、《風番いのロック》を《衰滅》から守ったりもできます。
前環境では、このデッキをさらに進化させた「ハンガーバック・アブザン」が環境の集大成となりましたが、果たして、新環境でも歴史は繰り返されるのでしょうか。3色の方が当然ながらカードパワーは優れているものの、前環境と現環境の決定的な違いは「占術ランド」の有無です。
『戦乱のゼンディカー』にも《乱脈な気孔》や《梢の眺望》といった優秀な多色ランドは存在しますが、残念ながら「占術ランド」ほどにはデッキの動きが安定しません。そのため、新環境では「白緑」純正の2色が正解になる可能性も十分にあると思います。
「エスパー(青白黒)・ドラゴン」
5 《島》 4 《沼》 4 《窪み渓谷》 2 《大草原の川》 4 《汚染された三角州》 4 《溢れかえる岸辺》 2 《荒廃した湿原》 2 《精霊龍の安息地》 -土地(27)- 4 《龍王オジュタイ》 2 《漂う死、シルムガル》 -クリーチャー(6)- |
3 《蔑み》 4 《シルムガルの嘲笑》 2 《手酷い失敗》 3 《忌呪の発動》 2 《完全無視》 2 《風への散乱》 3 《完全なる終わり》 1 《衰滅》 2 《命運の核心》 4 《時を越えた探索》 1 《精霊龍、ウギン》 -呪文(27)- |
4 《アラシンの僧侶》 3 《ヴリンの神童、ジェイス》 1 《払拭》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《否認》 1 《忌呪の発動》 1 《衰滅》 1 《護法の宝珠》 1 《龍王の大権》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 -サイドボード(15)- |
これまた前環境からの生き残り組である「エスパー・ドラゴン」。《龍王オジュタイ》を《シルムガルの嘲笑》や《忌呪の発動》でバックアップする基本戦略こそ変わりませんが、その他の構成には大きな変化が見受けられます。
呪文構成
このリストの特徴的な部分は、クリーチャー以外の呪文の多くが「インスタント」で固められている点です。「ソーサリー」になった《英雄の破滅》こと《破滅の道》が採用されていないことからも分かる通り、とにかく「マナをオープンでターンを返すこと」を徹底した構成になっています。《破滅の道》の不採用と聞くと「プレインズウォーカー」耐性が気になるところですが、そこは《蔑み》と《完全なる終わり》でしっかりとカバー。
ほかに注目のカードとして挙げられるのは、《完全無視》でしょうか。
このカードは、《ラクシャーサの死与え》や《カマキリの乗り手》を除去できる期待の新鋭。《完全無視》と前述の《完全なる終わり》のおかげで、《搭載歩行機械》にも余裕を持って対処できるようになっています。《忌呪の発動》を多用する「エスパー・ドラゴン」デッキにとって、《搭載歩行機械》対策は必須となるので、「追放除去」満載のこの構築は非常に参考になると思います。
土地構成
ここまでは2色のデッキばかりだったので触れていませんでしたが、ローテーション後の構築で最も難しいのは土地構成とされています。「エスパー・ドラゴン」は《窪み渓谷》と《大草原の川》が入ってマナベースが大幅に強化されたものの、その反面で最適な構成を考えるのが難しくなったという嬉しい悩みを抱えています。
このリストには採用されていませんが、《コイロスの洞窟》や《乱脈な気孔》も候補に挙がりますし、土地構成に関してはまだまだ研究の余地があると思います。サイドボードの《アラシンの僧侶》まで考えると、もう少し白マナを増量した方がいいように思えるので、《荒廃した湿原》を減らすなりして白マナを増やしたいですね。
「ジェスカイ・ブラック」
3 《平地》 1 《島》 1 《沼》 2 《山》 2 《大草原の川》 2 《燻る湿地》 1 《窪み渓谷》 3 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 4 《血染めのぬかるみ》 2 《神秘の僧院》 -土地(25)- 2 《竜使いののけ者》 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《カマキリの乗り手》 1 《軍族の解体者》 4 《搭載歩行機械》 -クリーチャー(15)- |
2 《乱撃斬》 1 《払拭》 1 《焦熱の衝動》 3 《勇敢な姿勢》 4 《はじける破滅》 1 《ジェスカイの魔除け》 2 《オジュタイの命令》 3 《時を越えた探索》 3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文(20)- |
3 《アラシンの僧侶》 1 《払拭》 2 《正義のうねり》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《否認》 3 《光輝の炎》 2 《虚空の接触》 1 《オジュタイの命令》 1 《悲劇的な傲慢》 -サイドボード(15)- |
1 《平地》 2 《島》 2 《山》 2 《大草原の川》 1 《窪み渓谷》 2 《燻る湿地》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 4 《血染めのぬかるみ》 2 《戦場の鍛冶場》 -土地(24)- 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 3 《ケラル砦の修道院長》 3 《魂火の大導師》 4 《カマキリの乗り手》 2 《龍王オジュタイ》 1 《黄金牙、タシグル》 -クリーチャー(17)- |
2 《乱撃斬》 3 《龍詞の咆哮》 2 《勇敢な姿勢》 2 《はじける破滅》 2 《ジェスカイの魔除け》 2 《コラガンの命令》 3 《オジュタイの命令》 3 《宝船の巡航》 -呪文(19)- |
1 《竜使いののけ者》 2 《フェリダーの仔》 1 《アラシンの僧侶》 4 《軽蔑的な一撃》 3 《光輝の炎》 2 《前哨地の包囲》 1 《対立の終結》 1 《シルムガルの命令》 -サイドボード(15)- |
今大会でセンセーショナルなデビューを果たした「ジェスカイ・ブラック」。みなさんが良くご存じの「ジェスカイ」デッキに、《はじける破滅》のために黒を足したリストです。
《はじける破滅》は、《包囲サイ》と《龍王オジュタイ》を最も効率良く対処できるカードのひとつです。特に《包囲サイ》は「ジェスカイ」デッキにとって悩みの種だったので、それを容易に対処でき、なおかつダメージまで期待できるカードは手放しで歓迎できます。《はじける破滅》は《束縛なきテレパス、ジェイス》の[−3]能力の対象としても最上級ですし、このデッキの戦略に合致した素晴らしい選択ですね。
また、両名ともに採用している《竜使いののけ者》には要注目です。
このカードの中盤以降の強さはテキスト通りですが、注目すべきは《オジュタイの命令》で戦場に戻せる点です。序盤の脆弱さこそ懸念材料ですが、それを差し引いても《オジュタイの命令》の入ったデッキならばすべからく採用を検討すべき1枚だと思います。
マナベースも4位のリストが白:14・青:17・赤:14・黒:15、6位のリストが白:13・青:17・赤:14・黒:15と、とても4色のデッキとは思えない充実っぷりで、《包囲サイ》に負けない「ジェスカイ」デッキとして、「ジェスカイ・ブラック」は今後もお目にかかる機会の多いアーキタイプになりそうです。
「《白日の下に》・コントロール」
1 《平地》 1 《島》 1 《沼》 2 《森》 1 《梢の眺望》 1 《燃えがらの林間地》 1 《大草原の川》 1 《燻る湿地》 1 《窪み渓谷》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 3 《血染めのぬかるみ》 1 《樹木茂る山麓》 2 《吹きさらしの荒野》 1 《乱脈な気孔》 2 《伐採地の滝》 -土地(27)- 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 2 《巨森の予見者、ニッサ》 4 《包囲サイ》 1 《賢いなりすまし》 1 《光り葉の選別者》 1 《漂う死、シルムガル》 -クリーチャー(13)- |
2 《軽蔑的な一撃》 2 《魂裂き》 4 《アブザンの魔除け》 1 《破滅の道》 1 《スゥルタイの魔除け》 1 《衰滅》 1 《完全なる終わり》 4 《白日の下に》 2 《残忍な切断》 1 《命運の核心》 1 《ウギンの洞察力》 -呪文(20)- |
1 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 1 《漂う死、シルムガル》 2 《強迫》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《氷固め》 1 《光輝の粛清》 3 《光輝の炎》 1 《シルムガルの命令》 2 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 -サイドボード(15)- |
StarCityGames.comの看板ライターであるジェリー・トンプソン/Gerry Thompsonが持ち込んだのは、これぞ新デッキ!と言わんばかりの「《白日の下に》・コントロール」でした。
誰もが思い付くアーキタイプではありますが、土地構成も含めてまとめるのが非常に困難なデッキなので、短期間でそれを成し遂げてしまうジェリーにはただただ脱帽です。基本的には《白日の下に》で状況に応じたカードをサーチして盤面を掌握するデッキですが、この戦略は事前の予想よりもはるかに強力だったようで、トップ16にも2名を輩出しています。
このリストのように、ありとあらゆるカードを詰め込むコントロール型のほかに、各カードの水増しとして《白日の下に》を採用する形も存在するようです。
1 《平地》 1 《島》 1 《沼》 1 《山》 1 《森》 1 《大草原の川》 1 《窪み渓谷》 1 《燻る湿地》 1 《燃えがらの林間地》 1 《梢の眺望》 3 《溢れかえる岸辺》 3 《汚染された三角州》 3 《血染めのぬかるみ》 3 《樹木茂る山麓》 3 《吹きさらしの荒野》 1 《乱脈な気孔》 -土地(26)- 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《カマキリの乗り手》 4 《包囲サイ》 1 《龍王オジュタイ》 4 《搭載歩行機械》 -クリーチャー(17)- |
3 《焦熱の衝動》 4 《アブザンの魔除け》 3 《はじける破滅》 1 《完全なる終わり》 3 《白日の下に》 1 《残忍な切断》 2 《宝船の巡航》 -呪文(17)- |
3 《アラシンの僧侶》 1 《棲み家の防御者》 3 《強迫》 2 《軽蔑的な一撃》 1 《部族養い》 1 《否認》 2 《光輝の炎》 1 《衰滅》 1 《悲劇的な傲慢》 -サイドボード(15)- |
こちらは《カマキリの乗り手》と《包囲サイ》の攻撃を、《白日の下に》で後押しするリストです。
《白日の下に》でできることは限られていますが、展開にムラが少ないので個人的にはこちらのリストが好みです。いずれにせよ、様々な可能性を見せた「《白日の下に》・コントロール」デッキ。その対応力の高さゆえ、ミッドレンジデッキに対して強い構成になっているので、中速のデッキが流行ればプロツアーでも大いに可能性があるデッキと言えるでしょう。
「アブザン・コントロール」
2 《平地》 3 《沼》 3 《森》 1 《梢の眺望》 3 《吹きさらしの荒野》 4 《砂草原の城塞》 4 《乱脈な気孔》 3 《コイロスの洞窟》 1 《磨かれたやせ地》 3 《ラノワールの荒原》 -土地(27)- 4 《棲み家の防御者》 3 《巨森の予見者、ニッサ》 4 《包囲サイ》 1 《光り葉の選別者》 -クリーチャー(12)- |
3 《蔑み》 2 《究極の価格》 4 《アブザンの魔除け》 4 《破滅の道》 3 《衰滅》 1 《完全なる終わり》 4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文(21)- |
4 《アラシンの僧侶》 2 《隠れたる龍殺し》 2 《ムラーサの緑守り》 1 《強迫》 3 《精神背信》 2 《苦い真理》 1 《完全なる終わり》 -サイドボード(15)- |
前環境の王者だった「アブザン・コントロール」は、《思考囲い》と《太陽の勇者、エルズペス》の退場に伴い、大きく様変わりしました。以前よりも後半戦の粘り強さはなくなってしまったものの、その代わりに手にしたのは《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》による攻撃性です。
このリストは手札破壊と大量の除去で対戦相手の自由を奪い、その間に《包囲サイ》と《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》で速やかに殴りきることを目指します。《棲み家の防御者》と《巨森の予見者、ニッサ》こそ健在ですが、《太陽の勇者、エルズペス》亡き今ならば、このリストのように前のめりな構築が最適ではないでしょうか。このデッキにとって致命的な《ヴリンの神童、ジェイス》が急激に数を増やしてきた現状も加味すると、なおのこと打撃力の高いこの構築は魅力的に映ります。
また、このリストには採用されていませんが、《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》は純粋にカードパワーが高いため、採用を検討してみてもいいでしょう。
「アブザン」には「コントロール型」・「大変異型」・「アグロ型」と三通りありますが、除去呪文を増やせば増やすほど動きが歪になるので、どの形にするにせよ、自分から能動的に動くことを念頭において構築するといいと思います。
「今週の一押し~5色ビッグマナ~」
7 《森》 1 《平地》 1 《沼》 1 《山》 1 《梢の眺望》 1 《窪み渓谷》 2 《燻る湿地》 1 《燃えがらの林間地》 4 《樹木茂る山麓》 4 《血染めのぬかるみ》 3 《精霊龍の安息地》 -土地(26)- 4 《地下墓地の選別者》 2 《巨森の予見者、ニッサ》 2 《龍王ドロモカ》 2 《忘却蒔き》 2 《龍王アタルカ》 2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 4 《搭載歩行機械》 -クリーチャー(18)- |
4 《光輝の炎》 3 《ニッサの巡礼》 4 《面晶体の記録庫》 2 《爆発的植生》 1 《彼方より》 2 《精霊龍、ウギン》 -呪文(16)- |
4 《包囲サイ》 1 《龍王オジュタイ》 2 《龍王シルムガル》 1 《龍王ドロモカ》 2 《帰化》 1 《大地の断裂》 1 《完全なる終わり》 1 《命運の核心》 1 《群衆の掟》 1 《精霊龍、ウギン》 -サイドボード(15)- |
「今週の一押し」は僕の大好きなマナ加速デッキを。リストをご覧いただければ一目瞭然、このデッキが目指すのはマナ加速からデカブツへと繋げて対戦相手を圧倒するのみです。
このリストには《搭載歩行機械》や《光輝の炎》といった必要最低限の妨害手段がきっちりと搭載されており、対戦相手の速度を殺すことにも重きがおかれています。
こういったデッキだとついつい妨害手段を軽視してしまいがちですが、さすがはアメリカ王者にも輝いたことのあるアリさんですね。妨害手段を多くしすぎると、マナ加速一辺倒とは違った展開のムラができてしまうのも確かですが、「ビッグマナ」のお手本になる素晴らしいリストだと思います。
終わりに
今週のスタンダード・アナライズは以上です。今のところ「アタルカ・レッド」・「ミッドレンジ各種」・「ビッグマナと青いデッキ」と、きれいな三角形ができそうな環境に見えますね。環境がどれくらいの速度と想定するかで、デッキ選択が大きく変わりそうなので、今回はいつも以上に「環境の速度」にこだわって調整していきたいと思います。
実は今大会前に、個人的に最も注目していたのが《絶え間ない飢餓、ウラモグ》がどれくらい使われるか、でした。《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を使ったデッキがあまりに多いようだと、その時点でミッドレンジデッキはプロツアーで使えないと危惧していたのですが、今のところその心配は無用そうです。
また、「ジェスカイ・ブラック」や「《白日の下に》・コントロール」デッキは、多色デッキの可能性を十二分に感じさせてくれたので、時間が許せば「多色化の限界」にも挑戦してみたいと思います。
今週末には、国内で「BIG MAGIC OPEN Vol.5」が、海外では「StarCityGames.com Open Atlanta」が開催されますので、お時間のある方は、プロツアーの前哨戦である大型イベントをお見逃しなく! もちろん、その翌週のプロツアー『戦乱のゼンディカー』もお楽しみに!
それでは、また次回の連載で! みなさんに良い報告ができるようにがんばってきます!
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