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津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ
津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ 『マジック・オリジン』参入!プロツアー前哨戦
津村健志の「先取り!」スタンダード・アナライズ 『マジック・オリジン』参入!プロツアー前哨戦
こんにちは!
ついに最後の基本セットである『マジック・オリジン』が発売されました。基本セットもこれが最後と思うと名残惜しいですが、その分全力で楽しんじゃいましょう!
さて、今回の記事では、『マジック・オリジン』発売直後に行われた、「StarCityGames.com Open Chicago」(リンク先は英語)と、「第4期スタンダード神挑戦者決定戦」の上位デッキの中から、プロツアー『マジック・オリジン』でも活躍しそうな注目のデッキをチェックしていきたいと思います。
驚きのコンボデッキから、久しぶりにスタンダードに舞い戻ってきた「ゴブリン」デッキや「エルフ」デッキまで、画期的な新デッキがたくさん登場していたので、それらのデッキの持つ魅力を少しでもお伝えできればと思います!
それでは、まずはトップ8に残ったデッキをご覧ください。
「StarCityGames.com Standard Open Chicago」トップ8デッキ
- 優勝・「緑信心タッチ赤」
- 準優勝・「白青英雄的」
- 3位・「緑信心タッチ赤」
- 4位・「緑信心タッチ赤」
- 5位・「アブザン・コントロール」
- 6位・「ジェスカイ・トークンズ」
- 7位・「青白コントロール with 《飛行機械の諜報網》」
- 8位・「マルドゥ・ドラゴン」
「第4期スタンダード神挑戦者決定戦」トップ8デッキ
- 優勝・「赤単ゴブリン」
- 準優勝・「赤白トークン」
- 3位・「《先祖の結集》コンボ」
- 4位・「緑黒エルフ」
- 5位・「アブザン・コントロール」
- 6位・「スゥルタイ・コントロール with 《悪魔の契約》」
- 7位・「赤単ゴブリン」
- 8位・「アブザン・コントロール」
プロツアーの行く末を左右する「StarCityGames.com Standard Open Chicago」の結果は、上位4席のうち3つを「緑信心タッチ赤」が独占する結果となりました。前環境の末期にトップに君臨していた「緑信心タッチ赤」デッキですが、天敵とされていた《衰滅》が登場してなお、その勢いが衰えることはありませんでした。
「StarCityGames.com Standard Open Chicago」で「緑信心タッチ赤」が猛威を振るったその一方で、「第4期スタンダード神挑戦者決定戦」では「赤単ゴブリン」が栄冠を掴み取りました。このデッキは《ゴブリンの栄光追い》と《ゴブリンの群衆追い》の収録により、新環境での活躍が予想されていたビートダウンデッキです。
全く毛色の違う2つのデッキが王座に上り詰めた両大会ですが、個人的にどちらも《衰滅》に弱いとされていたデッキが勝ち上がったことは意外でした。
ここからは、各デッキリストをご覧いただきましょう。トップを飾るのは、両大会で大きな注目を集めたこのデッキです。
「《先祖の結集》コンボ」
2 《森》 1 《平地》 3 《吹きさらしの荒野》 2 《砂草原の城塞》 3 《華やかな宮殿》 1 《神秘の僧院》 1 《開拓地の野営地》 2 《ヤヴィマヤの沿岸》 4 《マナの合流点》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(20)- 4 《エルフの神秘家》 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《サテュロスの道探し》 3 《森の女人像》 2 《棲み家の防御者》 4 《ナントゥーコの鞘虫》 3 《死霧の猛禽》 3 《不気味な腸卜師》 2 《モーギスの匪賊》 1 《異端の癒し手、リリアナ》 -クリーチャー(30)- |
4 《群れの結集》 4 《先祖の結集》 2 《召喚の調べ》 -呪文(10)- |
4 《前線の僧侶》 1 《棲み家の防御者》 1 《隠れたる龍殺し》 1 《層雲の踊り手》 1 《再利用の賢者》 3 《思考囲い》 2 《英雄の破滅》 2 《コラガンの命令》 -サイドボード(15)- |
2 《森》 1 《平地》 2 《吹きさらしの荒野》 4 《砂草原の城塞》 3 《華やかな宮殿》 3 《ヤヴィマヤの沿岸》 4 《マナの合流点》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(20)- 4 《エルフの神秘家》 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《サテュロスの道探し》 3 《森の女人像》 2 《棲み家の防御者》 4 《ナントゥーコの鞘虫》 3 《死霧の猛禽》 3 《不気味な腸卜師》 2 《モーギスの匪賊》 1 《異端の癒し手、リリアナ》 -クリーチャー(30)- |
4 《群れの結集》 4 《先祖の結集》 2 《召喚の調べ》 -呪文(10)- |
4 《前線の僧侶》 2 《棲み家の防御者》 1 《層雲の踊り手》 1 《スズメバチの巣》 1 《再利用の賢者》 3 《思考囲い》 2 《強迫》 1 《残忍な切断》 -サイドボード(15)- |
「ゴブリン」や「エルフ」など、部族デッキの再来も久しぶりのことですが、これほどまでに本格的なコンボデッキがスタンダードに戻ってきたのも実に久々ではないでしょうか。そんなにきれいにコンボが揃うのか疑問に思われる方も多いでしょうが、これがただの面白いデッキでないということは、彼らの成績が物語っています。
基本的な動きとしては、《サテュロスの道探し》と《群れの結集》でクリーチャーを墓地に送り込み、《先祖の結集》で《ナントゥーコの鞘虫》と《モーギスの匪賊》を釣り上げ、一撃必殺を目論むデッキです。
《サテュロスの道探し》と《群れの結集》では、墓地は増やせても《先祖の結集》を引くことができないので、そこで重要となるのが《ヴリンの神童、ジェイス》と《不気味な腸卜師》です。
《ヴリンの神童、ジェイス》は、まるでこのデッキのために生まれてきたかのような新カード。《ヴリンの神童、ジェイス》の状態ならライブラリーを掘り進むことができ、《束縛なきテレパス、ジェイス》に「変身」すれば、[-3]能力で墓地にある《先祖の結集》を再利用することが可能となります。
《サテュロスの道探し》や《群れの結集》を多用する関係で、《先祖の結集》が墓地にあるけれど手札にないという状況は多発するため、その状況下でもコンボが決められる《束縛なきテレパス、ジェイス》は、このデッキの安定性を大きく底上げしてくれています。
もう1枚の《不気味な腸卜師》は、《ナントゥーコの鞘虫》との組み合わせで真価を発揮します。この2種類、そして《先祖の結集》が揃ってしまえば、ライブラリーを引き切ってしまえるほどの勢いでカードが引けるので、次なる《先祖の結集》や、足りないコンボパーツをすぐさま揃えることができるでしょう。
このデッキは、スタンダードに革命をもたらす素晴らしいデッキだと思います。対策カードとしては、《先頭に立つもの、アナフェンザ》や《トーモッドの墓所》などの墓地対策や、《先祖の結集》を根底から否定する《神聖なる月光》がありますが、《トーモッドの墓所》と《神聖なる月光》は、ほぼこのデッキに対する専用カードになってしまうので、このデッキの強さを踏まえたうえで、プロプレイヤーたちがどれくらい対策を施してくるのか要注目です。
今のところの雑感としては、軽視してはいけないほどに強力なデッキだと思っているので、《先頭に立つもの、アナフェンザ》や《苦悶の神、ファリカ》など、汎用性に富んだカードで対策できればと考えています。もしかすると、《死霧の猛禽》や《龍王オジュタイ》対策にもなる《無限の抹消》なんかもいいかもしれませんね。
「スゥルタイ・コントロール with 《悪魔の契約》」
2 《沼》 2 《森》 1 《島》 3 《汚染された三角州》 4 《華やかな宮殿》 3 《ラノワールの荒原》 4 《疾病の神殿》 1 《ヤヴィマヤの沿岸》 3 《神秘の神殿》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(24)- 4 《棲み家の防御者》 4 《サテュロスの道探し》 4 《クルフィックスの狩猟者》 4 《死霧の猛禽》 1 《巨森の予見者、ニッサ》 1 《黄金牙、タシグル》 -クリーチャー(18)- |
4 《思考囲い》 4 《スゥルタイの魔除け》 4 《悪魔の契約》 4 《シルムガルの命令》 1 《残忍な切断》 1 《精霊龍、ウギン》 -呪文(18)- |
1 《光り葉の選別者》 1 《強迫》 3 《軽蔑的な一撃》 3 《究極の価格》 1 《胆汁病》 4 《悲哀まみれ》 2 《衰滅》 -サイドボード(15)- |
レガシーの強豪として知られる安田さんが持ち込んだのは、《悪魔の契約》を4枚採用した「スゥルタイ・コントロール」でした。
このカードは能力がとても強力な反面で、「あなたはこのゲームに敗北する」という究極とも言えるデメリットが付随しています。そのため、このカードを使うためには、(1)《悪魔の契約》を処理できるカードと併用する、(2)その前にゲームに勝利する、のいずれかを狙う必要があります。
このデッキは、「(1)《悪魔の契約》を処理できるカードと併用する」手法が取られており、その役割を担うのが《スゥルタイの魔除け》と《シルムガルの命令》です。
これらのカードは単体の性能に優れているものの、これまでは使用頻度の低いカードでした。《悪魔の契約》というたった1枚のカードが登場しただけで、これほどまにたくさんのカードの評価が再考されるのは実に興味深いですね。
このデッキの特徴としては、上記カードに加えて《棲み家の防御者》+《死霧の猛禽》ギミックを搭載していることもあり、長期戦に非常に強くできています。メインボードこそビートダウンに弱めの構成になっていますが、そこはサイドボードの軽量除去でしっかりとカバーされています。
僕は《ドロモカの命令》の4枚入った「アブザン・アグロ」で《悪魔の契約》を試してみましたが、《悪魔の契約》のカードパワーは十分にスタンダードで通用するものだと実感しました。
攻めるデッキで使うのか。守るデッキで使うのか。それは想定するメタゲームによって変化すると思いますが、みなさんもぜひ、自分なりの《悪魔の契約》デッキを完成させてみてください。
「青白コントロール with 《飛行機械の諜報網》」
6 《島》 2 《平地》 4 《溢れかえる岸辺》 1 《汚染された三角州》 4 《啓蒙の神殿》 4 《平穏な入り江》 2 《神秘の僧院》 3 《ダークスティールの城塞》 1 《光輝の泉》 -土地(27)- 4 《搭載歩行機械》 -クリーチャー(4)- |
2 《迅速な報い》 2 《勇敢な姿勢》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《今わの際》 4 《解消》 3 《工匠の天啓》 2 《飛行機械の諜報網》 3 《対立の終結》 3 《意思の激突》 4 《時を越えた探索》 3 《太陽の勇者、エルズペス》 1 《精霊龍、ウギン》 -呪文(29)- |
2 《層雲の踊り手》 1 《隠れたる龍殺し》 1 《急報》 3 《今わの際》 2 《否認》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《勇敢な姿勢》 2 《変位の波》 1 《危険な櫃》 1 《宿命的報復》 -サイドボード(15)- |
一見古典的な「青白コントロール」デッキですが、このリストには独自のスパイスが盛り込まれています。
このデッキならではの味付け、それは「アーティファクト」を軸にしたカード選択です。前者の《搭載歩行機械》は除去耐性に優れたカードで、「死亡したとき」の能力のおかげで、自身の《対立の終結》との相性も抜群。
後者の《飛行機械の諜報網》は、1枚でゲームに勝てる「プレインズウォーカー」のような性質を持つカードで、特に《ダークスティールの城塞》との相性は特筆に値します。《飛行機械の諜報網》を使うに際し、ついでのように対処されてしまう《ドロモカの命令》は懸念材料ですが、このデッキに対しては《ドロモカの命令》はサイドアウト候補筆頭なので、サイドボード後にはより一層真価を発揮しやすいのではないかと思います。
攻守に渡って活躍する《飛行機械の諜報網》は、コントロールデッキの新たなるフィニッシャーとして要注目です。
また、新カードの《意思の激突》や《迅速な報い》といったカードの登場も、この手の「青白コントロール」デッキにとって朗報と言えます。
これらのカードは序盤のアクションとしても、中盤から後半にかけての手数の増加にも貢献します。特に《迅速な報い》は予想されづらいので、「インスタント」タイミングの軽量除去として重宝するでしょう。
これまではコントロールデッキと言えば、「エスパー・ドラゴン」や「青黒コントロール」が主流でしたが、それらのデッキにとって《ガイアの復讐者》はこれ以上ない脅威となります。
しかしながら、このリストであれば、《搭載歩行機械》、《飛行機械の諜報網》、《太陽の勇者、エルズペス》と《ガイアの復讐者》に強いカードが多いので、今後の《ガイアの復讐者》の動向次第では、今以上に存在感の増すデッキではないかと思います。
「赤単ゴブリン」
20 《山》 -土地(20)- 4 《鋳造所通りの住人》 4 《ゴブリンの栄光追い》 4 《僧院の速槍》 2 《激情のゴブリン》 4 《ゴブリンの群衆追い》 4 《ゴブリンの熟練扇動者》 -クリーチャー(22)- |
4 《ドラゴンの餌》 4 《軍族童の突発》 2 《凱旋の間》 4 《かき立てる炎》 4 《ウルドのオベリスク》 -呪文(18)- |
1 《ゴブリンの踵裂き》 1 《鍛冶の神、パーフォロス》 4 《マグマのしぶき》 3 《引き裂く流弾》 4 《焙り焼き》 2 《洗い流す砂》 -サイドボード(15)- |
帰ってきた「ゴブリン」デッキ。事前の予想では、使用に耐えうる「ゴブリン」が少し足りないのではないかと懸念する声も聞こえましたが、どうやらそれは杞憂だったようです。
この2種類は、次なるセットである「戦乱のゼンディカー」が発売するまで許された、今しかできない組み合わせです。1マナ域のクリーチャーから流れるように繰り出される《ゴブリンの群衆追い》、《ゴブリンの熟練扇動者》という動きは圧巻の一言。脇を固める《ドラゴンの餌》と《軍族童の突発》も、「ゴブリン」の頭数を力に変える《ゴブリンの群衆追い》、《ゴブリンの熟練扇動者》と極上のハーモニーを奏でます。
また、《凱旋の間》、《ウルドのオベリスク》とバックアップ手段も豊富で、これらのカードは1枚でゲームの流れを好転させてくれます。
環境が固まってしまうと、ビートダウンデッキへのマークがきつくなるのが世の常ですが、前回のプロツアー『タルキール龍紀伝』で「アタルカ・レッド(赤単タッチ緑)」が優勝を収めたように、環境初期はビートダウンが軽視される傾向があります。そのため、今回のプロツアーでもこの手のデッキはダークホースとして期待できると思います。
もしも《悲哀まみれ》や《衰滅》が多いと読むのであれば、サイドボードに《鍛冶の神、パーフォロス》や《衝撃の震え》を増量するといいでしょう。
「緑黒エルフ」
5 《森》 4 《ラノワールの荒原》 4 《疾病の神殿》 4 《ジャングルのうろ穴》 2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 3 《ニクスの祭殿、ニクソス》 -土地(22)- 4 《エルフの神秘家》 4 《エルフの幻想家》 3 《ドゥイネンの精鋭》 2 《葉光らせ》 1 《森の女人像》 4 《巨森の予見者、ニッサ》 4 《群れのシャーマン》 1 《再利用の賢者》 4 《ティムールの剣歯虎》 1 《光り葉の将帥、ドゥイネン》 -クリーチャー(28)- |
4 《思考囲い》 2 《骨読み》 4 《召喚の調べ》 -呪文(10)- |
1 《蔑み》 1 《高木の巨人》 1 《破滅喚起の巨人》 2 《ガイアの復讐者》 2 《自然に帰れ》 2 《暴風》 1 《威圧の誇示》 1 《骨読み》 3 《眼腐りの虐殺》 1 《命運の核心》 -サイドボード(15)- |
「赤単ゴブリン」デッキと同じく、早速結果を残したもうひとつの部族デッキが「緑黒エルフ」です。
こちらもクリーチャーを並べて攻め入る形は同じですが、「エルフ」の利点は盤面が固まってしまっても《群れのシャーマン》で無理やりダメージを押し通すことができる点です。
このクリーチャーは、「エルフ」デッキを選ぶ最大の動機と言っても差支えないカードです。全体除去後に弱いという弱点こそありますが、クリーチャーさえいればどんな状況でも勝利できる可能性があるのは、このデッキならではの強みと言えます。
さらに、《群れのシャーマン》、そして《エルフの幻想家》や《ドゥイネンの精鋭》なんかとも相性の良い《ティムールの剣歯虎》の採用もこのデッキの特徴です。
このクリーチャーがいれば、対戦相手の除去カードを無効化できるのと同義で、全体除去に対してもクリーチャーを手札に戻しておくことで、素早くリカバリーできるようになります。《ティムールの剣歯虎》や《思考囲い》のおかげで、対戦相手の妨害手段に対抗しやすいところが、「エルフ」デッキならではの長所ではないでしょうか。
このデッキの使用者である平岡さんのインタビューが掲載されていたので、お時間のある方はぜひそちらもご覧になってみてください。
「緑信心タッチ赤」
10 《森》 2 《山》 4 《樹木茂る山麓》 4 《奔放の神殿》 3 《ニクスの祭殿、ニクソス》 1 《精霊龍の安息地》 -土地(24)- 4 《エルフの神秘家》 4 《爪鳴らしの神秘家》 4 《森の女人像》 4 《クルフィックスの狩猟者》 2 《起源のハイドラ》 4 《世界を喰らう者、ポルクラノス》 1 《灰雲のフェニックス》 4 《囁きの森の精霊》 3 《龍王アタルカ》 1 《女王スズメバチ》 -クリーチャー(31)- |
3 《歓楽者ゼナゴス》 1 《精霊龍、ウギン》 1 《精霊信者の剣》 -呪文(5)- |
4 《ナイレアの信奉者》 2 《高木の巨人》 4 《ガイアの復讐者》 2 《霧裂きのハイドラ》 2 《石弾の弾幕》 1 《大地の断裂》 -サイドボード(15)- |
最後を飾るのは、前環境で最高のデッキと目されていた「緑信心タッチ赤」。冒頭でも記載したように、《衰滅》というキラーカードが登場してなお、同様の活躍を見せたことに驚きました。
問題の《衰滅》をどう乗り越えたかが気になるところですが、《世界を喰らう者、ポルクラノス》が4枚になったことと、《灰雲のフェニックス》が入ったこと以外に、これといった特別な対策は見受けられません。
「赤緑ドラゴン」や「マルドゥ・ドラゴン」など、《衰滅》で壊滅的な被害を受けたデッキがいくつかあるのは事実ですが、もしかすると「緑信心タッチ赤」はそれに該当しないデッキなのかもしれません。
サイドボードには苦手な青系のデッキ対策として、《ガイアの復讐者》が4枚。さらには追加の《ガイアの復讐者》として《霧裂きのハイドラ》までもが採用されています。
僕自身も、《衰滅》と「緑信心タッチ赤」に関してはこれから研究しなければいけませんが、いずれにせよこのデッキがプロツアー本戦でも一線級のデッキであることに疑いの余地はありません。新環境でも最も警戒しなければいけないデッキ、それが「緑信心タッチ赤」だと思います。
今週の一押し〜「白単信心」
20 《平地》 3 《ニクスの祭殿、ニクソス》 2 《領事の鋳造所》 -土地(25)- 4 《万神殿の兵士》 1 《アクロスの英雄、キテオン》 4 《白蘭の騎士》 3 《族樹の精霊、アナフェンザ》 2 《隠れたる龍殺し》 3 《オレスコスの王、ブリマーズ》 4 《徴税の大天使》 2 《太陽の神、ヘリオッド》 3 《風番いのロック》 -クリーチャー(26)- |
4 《勇敢な姿勢》 2 《見えざるものの熟達》 2 《ヘリオッドの槍》 1 《不動のアジャニ》 -呪文(9)- |
2 《アラシンの僧侶》 3 《正義のうねり》 2 《天界のほとばしり》 2 《荒野の確保》 2 《払拭の光》 2 《悲劇的な傲慢》 2 《太陽の勇者、エルズペス》 -サイドボード(15)- |
「今週の一押し」は、《徴税の大天使》をフィーチャーした「白単信心」です。
これまではあまり目立った活躍のなかったこのアーキタイプですが、『マジック・オリジン』で《白蘭の騎士》、《徴税の大天使》と、色マナシンボルを多く含む能力が強力なカードが登場したことで、ようやくトーナメントシーンにその姿を現しました。
《世界を喰らう者、ポルクラノス》や《龍王アタルカ》擁する「緑信心タッチ赤」ほどの圧倒的な制圧力はありませんが、《太陽の神、ヘリオッド》や《見えざるものの熟達》による数の暴力は魅力的ですね。
サイドボードに潜む《悲劇的な傲慢》は、リミテッド戦で100点満点と評されるほどのパワーカードで、「信心」デッキのようにクリーチャーの数で勝負するデッキに対して非常に効果的です。
前述の通り、新環境でも「緑信心タッチ赤」デッキはメタゲームの中心に居座っているので、メインボードに搭載して何ら問題のないカードだと思います。「白単信心」デッキの登場を心待ちにしていたみなさんは、ぜひともこの機会にお試しください!
今回のスタンダードアナライズは以上です。予想外の「《先祖の結集》コンボ」デッキだったり、《悪魔の契約》や《飛行機械の諜報網》を軸にしたコントロールデッキなどなど、カードプールが最も広いこの時期を象徴するような面白いデッキがたくさん登場しましたね。
もちろん、これらのデッキは面白いだけではなく、強さも兼ね備えたリストなので、プロツアーでの活躍も期待されます。
いよいよ来週末に迫ったプロツアー『マジック・オリジン』。今シーズン最後のプロツアーということで、僕も悔いのないようにがんばってきたいと思います!
それでは、また次回の記事でお会いしましょう。
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