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Magic Story -未踏世界の物語-
プレインズウォーカーのための『カラデシュ』案内
プレインズウォーカーのための『カラデシュ』案内
Magic Creative Team / Tr. Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori
2016年11月2日
本日は皆さんに、カラデシュの世界と歴史、人々について盛り沢山の情報をお届けします。これらの情報は「Kaladesh Player's Guide」(訳注:「Bundle」付属の小冊子)にも掲載されています。更に今後の物語やアート、そして1月発売予定の「The Art of Magic: The Gathering - Kaladesh」を楽しみにしていて下さい!
カラデシュ、驚異の世界
カラデシュという世界は一つの生きた芸術品です。鮮やかな空、絡み合う木々、生物そのものに至るまでが力を震わせる。「霊気」という神秘的な青色の物質がカラデシュ世界を輝かせています。霊気は多元宇宙のあらゆる次元に存在しますが、カラデシュにおいては見て、触れて、貪ることすらできる明白なものです。
《島》 アート:Johannes Voss |
カラデシュの霊気
カラデシュのほとんどの霊気は霊気圏の高層に、未精製の状態で存在します。通常の条件下では、その鮮やかな青色の物質が下方の世界へと流下します。霊気に触れると自然は反応します。突風から多くの力を受け止めるべく、木々の幹は水平方向に螺旋を形成します。花は籠型に開き、霊気の雨を受け止めようとします。山々は眩しく輝く霊気の宝石がスコールによって山腹に叩きつけられ、あばた模様になります。そして上空での季節ごとの霊気潮流の満ち引きに合わせ、水流は大地に曲線を描きます。
カラデシュの野性もまた影響を受け、霊気に引きつけられます。鳥の群れは霊気の流れと共に渡り、魚は霊気に群がり、野生の獣は最も豊富な沈殿霊気をめぐって争い、そしてグレムリンは濃縮された不活性霊気晶洞を貪ります。激しくもエネルギー豊富な霊気圏そのものの中で生きる生物もまた進化してきました。空鯨、ドレイク、高層飛行の鳥はその輝きの中に浸り、霊気の神秘的な力を集めることに生涯を費やしています。
《ヒレナガ空鯨》 アート:Cliff Childs |
エネルギー源としての霊気
霊気とは強力なもの、カラデシュの人々にとっては一般常識です。とはいえその力を収集して使用する確実な方法が発見されたのは今世紀に入ってからです。六十年前、世界的な霊気学者アヴァーティ・ヴィアが霊気の謎を解き明かしました。彼女が開発した精製方式によって、揮発性で反応性の高い成分から強力でエネルギーを多く含む霊気成分を分離します。これによって人々や生命や四肢を危険にさらすことなく、霊気の力を利用することが可能となりました。
アヴァーティ・ヴィアがはじめて精製に成功してからわずか数か月後、カラデシュ最大の行政組織である領事府は霊気の力をもってあらゆる物事を可能にしようと乗り出しました。そして精製霊気の大量生産と配分の手法が発展し、安全な収集方法が確立され、飛行船が輸送を担い、精製霊気を各家庭へ直接送るべく霊気輸送管路が建設されました。
《霊気拠点》 アート:Sam Burley |
領事府にとっては大いに喜ばしいことに、世界中で霊気が利用可能となったことで、やがて霊気ブーム最盛期と呼ばれることになる時代が訪れました。その多くが発明家や創造者からなるカラデシュの人々は、今や夢を凌駕するほどの力が入手可能となったのです。それは熱狂的な革新、無限の希望、そして素晴らしい祝祭の時代でした。今日、領事府は霊気ブームが育成を担った楽観主義と創造的環境を邁進させ続けています。できない事はない、作れないものはない、カラデシュは神秘的な霊気の力によってあらゆる問題が解決できる世界です。
改革派の活動
ですが一見完全なカラデシュ世界にも、不満を持つ者達は存在します。改革派と呼ばれる一派は、領事府が情報や新技術を公衆へ隠蔽していると信じています。安全基準と霊気配分量を規定することによって領事府は自分達の自由を侵害している、彼らはそう考えています。そして領事府の中央集権的権威を彼らは抑圧の道具とみなしています。そういった改革派は領事府に公然と反抗することで、価値あると信じる独立を取り戻そうとしています。
《蓄霊稲妻》 アート:Chris Rallis |
霊気循環
霊気ブーム最盛期が始まってからというもの、カラデシュの職人、技術者、そして建築家らは休みない浮かれ騒ぎのように発明を続けています。やがて歯車仕掛けの自動機械が道を歩き、市場には羽音をうならせる華麗な飛行機械が飛び交い、構築動物が謙虚に付き従い、そして力強い飛行船が霊気圏の最高層までも舞い上がる、カラデシュはそんな世界となりました。それらの発明品は全て、霊気循環と呼ばれる本質的な五段階から成る過程の影響を受けています。
《霊気貯蔵器》 アート:Cliff Childs |
- 発想――職人は霊気が形作る自然法則を観察し、新たな装置への発想を得る
- 革新――才気ある発明家はその装置の設計を研鑽し、洗練し、独創的かつ新たな高みへと引き上げる
- 建造――設計が完成したなら、勤勉な製造者らがその装置を建造し、霊気を吹き込み、耐用期間が続く限り修理と維持を行う
- 解放――有用性が終わりに近づいたなら、装置は分解され、内部の蒸留霊気はその発明品から解放される
- 回収――最終的に、その霊気は精錬の副残物とともに霊気圏へと還る
エルフ、発想する者
自然が技術を発想させると信じるエルフは、自然と技術の調和の中に生きています。彼らの目に、あらゆるアーティファクトは自然法則の一つの体現として映ります。彼らは他種族へも同じように発想を与え、よって彼らは霊気循環における「発想」と繋がっています。あるアイデアの最初の火花はしばしば、エルフによってもたらされます。
《高峰の職工》 アート:Anna Steinbauer |
ヴィダルケン、革新する者
完璧なものなど存在しない、そして完璧となれるものも存在しない――ヴィダルケンはそう信じ、そしてその信念を喜ばしく受け入れています。ヴィダルケンにとってあらゆる不完全は改良の機会なのです。進歩を追求することに数えきれない時間を費やす彼らは霊気循環における「革新」と繋がっています。彼らは非凡な閃きによって、現状の問題を解決する次なるアイデアや技術的難問を解決する利口な手法をもたらします。
《敏捷な革新者》 アート:Slawomir Maniak |
ドワーフ、建造する者
ドワーフにとって、時に耐えうる機械は何よりも称賛に値するものです。ドワーフはその質の高い創造物を誇り、しばしばそれらを自身の子供のように扱います。ドワーフはカラデシュの休みない働き手であり、その気質から霊気循環における「建造」の面を担っています。彼らは熟練の職人技にこだわり、新技術にも耐久性を重んじます。
《格納庫の整備士》 アート:Mark Zug |
グレムリン、解放する者
絶えず霊気への食欲にかられた執念深いゴミあさり、それがグレムリンです。彼らは霊気が豊富なあらゆる場所に集まり、ひたすらにその青く輝くエネルギーを食らいます。この極めて乱雑な食事の副次効果として、多くの霊気が環境へと返還されます。そのためグレムリンは霊気循環における「解放」を体現しています。この重要な役割はしばしば、その食物の持ち主からは過小評価されるのですが。
《縄張り持ちの大喰らい》 アート:Luis Lasahido |
霊基体、回収する者
霊基体はカラデシュの他のどの種族よりも近しく霊気と繋がっています。彼らは霊気精製の過程における思いがけない副産物として、霊気そのものから生まれるのです。霊基体の姿は常に揺らいでおり、身体からは霊気が霊気圏へと流れ戻っています。霊気循環の「返還」段階は霊基体の身体の内で進んでいるのです。これは長期間を要する過程ではないため、霊基体の寿命は数か月から数年と短く、そしてその儚い性質は霊基体の生き方を定義しています。楽しみ、喜びに浸らずに過ごす時間は無駄とみなされ、彼らは溢れる歓喜を振りまきながら生きるのです。
《放埒》 アート:Ryan Yee |
人間、統合する者
カラデシュの他種族のように霊気との生来の繋がりを持たないながらも、人間は霊気の様々な特性を一つの循環として最初にみなした種族です。他種族が霊気の細部を把握し、人間が俯瞰的な視点で受け取ります。何よりも人間は壮大かつ拡張的な物事へと全力を尽くし、一見不可能な目標にこそ発奮するのです。
《ピア・ナラー》 アート:Tyler Jacobson |
発明博覧会
ここ半世紀に渡って、カラデシュでは何千何百もの新たな装置が発明されてきました。そして今こそ最も偉大な発明品を表舞台に立たせる時だと領事府は判断しました。誉れ高き、そして悪名高き発明家達は競い、戦い、誇らしく頂点を目指す時が来ました。発明博覧会です!
一か月に渡って、カラデシュ最大の都市ギラプールの都心部全区域が博覧会会場となります。街路には発明家達の屋台が並び、闘技場ではありとあらゆる対戦と競争が行われ、当代最高の頭脳と才能が表舞台に上がります。飛行船のレース、新作の素晴らしい装身具、最新の輸送技術、「公開展示」と呼ばれる発明競争、博覧会にはその全てがあります。そしてカラデシュの全住人が招待されています。
発明家が提出できる部門は百以上ありますが、博覧会でも最大の賞が与えられるのは以下の五部門です。
アート:Jonas De Ro |
機体
飛行船、高速船、貨物車、競争車、荷船、巡行船、そして移動住宅すらも機体部門に分類されます。路上での性能もですが、設計の目新しさも審査対象です。各種レースは最大の競技場でのメインイベントであり、観覧券は数か月前に売り切れています。
《バリスタ突撃車》 アート:Sung Choi |
建築
建築部門に提出される発明品の多くは建造物、競技場、そして発明博覧会そのものの舞台です。決勝戦の競技場として、最も人気ある公開展示の舞台として、そして最も名高い審判や賓客の宿として選ばれることがその建築家の栄誉です。
《感動的な眺望所》 アート:Jonas De Ro |
霊気科学
あるいは、これこそ領事府が最も注目している部門かもしれません。新たな精製方法、強化抽出技術、そして輸送問題の代替手段(転送技術)へのあらゆる理論的打破を審判長テゼレット自ら求めています。これらの発明や理論の実演は興味深いものになることは確かです――そして完全に学問的というわけでもないことを。
《天才の片鱗》 アート:Tommy Arnold |
武器
注意深く監督された武器の実演展示が行われ、そういった武器の性能は領事府の専門家によってどのように査定され、審査されるのかが一般公開されます。長距離用、個人的防衛用、霊気点火、機体付属品、そして構築物付属品といった複数の部門が定められています。
《武器作り狂》 アート:Mike Bierek |
構築動物
各部門の中で最も実用的というわけではないかもしれませんが、構築動物部門は何よりも人気があるのは確かです。あらゆる世代の愛好家が群れを成し、大規模かつ双方向的な「生息環境」の中で優勝に値する構築物の敏捷性、速度、強さを査定します。
《歓待する構築物》 アート:Craig J Spearing |
発明組合
発明家の組合はカラデシュにおける生活の基礎です。秘密の裏庭クラブから何十人もの組合員を抱える支部構成の組織まで、それらは同好の発明家で形成され、創造という探究を支え合っています。そしてその全員が博覧会に出場することでしょう。
飛空士連合
飛空士連合はギラプール初の、そして最も名高い操縦士組合です。あらゆる操縦士の間にある程度の仲間意識がありますが、この連合の慣例と伝統は彼らを他の組合から隔てており、そして組合員は招待者に限られています。組合員全員が橙色で刺繍をされた緑の上着をまとい、十本刃のプロペラの徽章を飾っています。
《領事の旗艦、スカイソブリン》 アート:Jung Park |
競烏会
「烏がお見せしましょう」はこの小規模な、ですが空競争の機会を決して逃さない名うての操縦士組合が非公式に掲げる標語です。競烏会の組合員は少人数であり、保有する飛行船は僅か三機です。それでも、彼らはギラプールで最も有能な操縦士に名を連ねています。
《模範操縦士、デパラ》 アート:Greg Opalinski |
光袖会
装着可能な装置を作り出す組合は幾つかありますが、その一つである光袖会は装着者の腕や手に馴染む装置に注目することでその名を上げています。光袖会の組合員の多くは歯車造りと鋳造所の働き手であり、特定の問題を解決すべく設計される特製の装置を創造する情熱を共有しています。
《光袖会の職工》 アート:Ryan Pancoast |
屑鉄会
屑鉄会はただ一つの理由から集まります、それは自分達の自動機械を戦わせること。粗削りながらも、屑鉄会は驚くほど心細やかに自分達の設計へと気を配り、勝率を最大にすべく常に自動機械を洗練させ修正しようとしています。彼らの自動機械はただの機械ではなく専門の格闘士として扱われ、幾つかは都市中にて名士としての高名すら得ています。
《撃砕確約》 アート:Svetlin Velinov |
精緻会
製作に拡大鏡やピンセットを必要とする機械となれば、精緻会の発明家らの出番です。この組合の、気概溢れる熱狂的な構成員達は極小スケールの装置に深い愛着を抱いています。彼らにとって、緻密さは熟達の証です。カラデシュで見られる最小の自動機械や飛行機械、そして拡大鏡を必要とする極小の彫刻は彼らの手によるものです。
《検査不合格》 アート:Matt Stewart |
地上車連合会
レース競技のために設立された多くの組合の中でも、地上車連合会は動輪駆動、這行、歩行のあらゆる機体を改造し競います。この組合はギラプールの楕円競走競技場周辺に複数の工房を所持しており、そして同業の中でも最も多くの賞を得てきた組合でもあります。
《楕円競走の無謀者》 アート:Winona Nelson |
緑輪造命士連合
カラデシュ人の工匠は多くが自然の形態から発想を得ますが、幾人かはその先へ進み、原型を正確に複製しようとします。緑輪造命士連合はこの次元に生息する生物の完璧な模型として自動機械を製造します――主に巨大なスケールで。その構築物は野生の同類のように動きます。踏み砕くサイ、躍り跳ねるラクダ、そして速足の馬がギラプールの街路を闊歩しています。
《砦のマストドン》 アート:Victor Adame Minguez |
金属紡績工会
金属紡績工会は速接会地域出身の芸術家による一時的な集まりであり、街路に展示する活動的な彫刻や逸脱的芸術作品に特化しています。彼らは服従に対する公然の反抗として、その独特な作品を公的に展示します。霊気を用いて金属を形成した巨大な彫刻は、美しいと同時に機能的でもあります。金属紡績工は美と危険を備えた創造物を尊び、彼ら自身も火と霊気の火傷跡を誇ります。
《金属紡績工の組細工》 アート:Vincent Proce |
サヒーリ・ライ
《サヒーリ・ライ》 アート:Willian Murai |
サヒーリ・ライは当代随一の金属鍛冶としてカラデシュの人々に知られています。革新的な精神で名高く、多くの金線の設計を手掛け、そして彼女は目にしたあらゆる生物の複製を創造するという比類なき能力で認められています。その名声は故郷の都市ギラプールの外へも広く知れ渡っており、サヒーリの新作をその目で見るためだけに、あるいはこの著名人のサインを求めるために、遠隔地からも多くの人々がはるばる長い旅をして博覧会を訪れるでしょう。
サヒーリの力は広く知れ渡った先にまで届いています。彼女はプレインズウォーカーであり、強力な魔法でアーティファクトへと命令して従わせることが可能なのです。また、一見果てしなく長い金属糸から恐るべき、そして美しい創造物を意のままに編み上げます。その設計の多くは多元宇宙の他の次元で見た生物から発想を得ています。彼女は賢く、立ち回りは機敏で、明るく楽観的な性格です。普段は寛大ですが競争心を隠しはせず、立ち塞がろうとした相手に対しては、それがカラデシュ人であってもそうでなくとも、恐るべき殺し屋となることも知られています。
ドビン・バーン
《ドビン・バーン》 アート:Tyler Jacobson |
領事府の主席検査官であるドビン・バーンは、あらゆる構造や機械のあらゆる欠陥をはっきりと見通し、驚くべき的確さでいつどのようにその機構が失敗するかを驚く程の精度で予測できるという能力を有しています。ですが彼の真の力はその設計を修正して欠陥を正す、もしくは少なくとも完全に近い所へと正す能力の中にあります。「完璧なものなど存在しない、そして完璧となりうるものも存在しない」、ドビンはその哲学に生きています。ですが領事府はそこに極めて近づけることを喜んでいます。ドビンの用心深い監視の下、領事府の装置によって起こる負傷事故は極めて稀となりましたが、彼が検査を行ってまだ回収されていない製品も存在します。他者の安全を守るその先天的な能力から、領事府は彼を発明博覧会の検査官に任命しました。
ドビンはその業務に誠意をもって取り組み、建築物の構造的保全状況、公開展示舞台の設計、競争路の曲線、飾り帯の鋭端といった箇所に何百もの事故の危険性を確認し防止しました。グレムリンの蔓延を防ぐほぼ確実な計画すら実行しました。ですが近頃、彼は自称改革派が誇示する予期せぬ脅威に直面するようになります。改革派の危険に対処できる手段はほぼ全て使い尽くされ、ドビンに他の選択肢はありませんでした。世界の外へ手を伸ばして他のプレインズウォーカーへ、庇護と守護を誓ったゲートウォッチのプレインズウォーカー達へと呼びかける以外には。
チャンドラ・ナラー
《反逆の先導者、チャンドラ》 アート:Magali Villeneuve |
チャンドラ・ナラーは全てを賭しても自由を守ると誓った、短気な紅蓮術師です。勇敢であると同時に情け深く、チャンドラは信じるもののために熱意に急かされて戦います。彼女はその反抗的な性格と熱い精神を、子供の頃に殺されたと信じている両親から得ました。ゲートウォッチという一団に加わり、多元宇宙を守るという誓いを立てたことは両親も誇らしく思うだろう、そう彼女は考えています。チャンドラにとって、自身の誓いはあらゆる次元のあらゆる人々が抑圧されることなく生きるためのものです。故郷の次元カラデシュにおいて、両親が常に願っていたもののように。
プレインズウォーカーのドビン・バーンからカラデシュの人々の安全が脅かされていると聞いた時、彼女はすぐさま行動に移りました。両親の死から初めて故郷に帰還し、カラデシュの人々を守るためならば、チャンドラは過去の痛ましい記憶に対峙することも厭わないでしょう。
ニッサ・レヴェイン
《生命の力、ニッサ》 アート:Clint Cearley |
活気に溢れ、献身的に、そして大地と深く結びついてニッサ・レヴェインは精霊の魔術を振るいます。故郷の次元ゼンディカーが危機にさらされた時、ニッサは世界の痛みを自身のもののように感じました。戦いに巻き込まれる世界を守るという過酷な決意に、彼女は多元宇宙の他の次元へ助力を求めます。そして彼女と共にエルドラージからゼンディカーを守るプレインズウォーカー達は、心を一つに戦えば何ができるかを彼女へと示しました。ニッサはゲートウォッチの一員となり、久遠の闇の最遠までも守るという誓いを立てました。ニッサにとって、自身の誓いはあらゆる世界のために立ち上がり、そこに育つ生命を獰猛に守ることを意味します。
友人でありゲートウォッチの同僚であるチャンドラ・ナラーが、故郷の次元カラデシュの脅威に対抗すべく急いだ時、ニッサは力になろうと追いかけました。これは些細なものかもしれませんが、ゼンディカーでチャンドラがくれた恩に報いる機会とニッサは考えています。チャンドラを失望させはしない、そうニッサは願っています。
カラデシュ 注目のストーリー
カラデシュの物語には多くの重要な場面がありますが、5つの最も重要な「注目のストーリー」がカードに描かれています。更なる詳細は公式ウェブサイト、MTGStory.com/jpにて読むことができます。
発明博覧会
プレインズウォーカーのドビン・バーンからカラデシュの人々に脅威が迫っていると聞き、チャンドラ・ナラーはプレインズウォーカーの灯が点火してから初めて故郷に急ぎ向かいます。リリアナ・ヴェスも共に赴きますが、それはチャンドラを助けるだけでなく気晴らしと娯楽に価値を見出したためでした。二人は広大な発明博覧会、革新と創造が披露される只中に到着しました。そこはまさにドビン・バーンが改革派の攻撃を予測していた場所であり、そのためチャンドラとリリアナは不審な行動を取る外套の人物を目撃すると、博覧会の中にその人物を追跡します。
領事府による拘禁
チャンドラとリリアナは追跡相手に対峙しますが、それは悪名高いプレインズウォーカー、テゼレットと判明します。ですが二人が反応するよりも先にテゼレットは博覧会の審判長であると判明し、そして彼もまた追跡していたのでした。チャンドラの母、ピア・ナラーを! チャンドラとピアは驚きました、それぞれ、互いは何年も前に領事府によって殺害されたと信じていたのです。とはいえ再会を喜ぶ時間はありませんでした。改革派の脅威を率いていたとしてテゼレット、ドビン、そして領事府の執行人がピアを虜囚として確保します。チャンドラを心配してカラデシュへとやって来たニッサは、博覧会の只中で領事府の兵を攻撃しようとするチャンドラを止めます。ピアを救出するにはもっと良い方法がある筈です。
行き詰まりの罠
カラデシュにおけるテゼレットの存在は次元規模の、次元を越えた脅威を示していると認識し、リリアナはゲートウォッチへ警告すべく戻ります。ですがチャンドラは待っていられませんでした。母を救わねばならないのです。彼女は家族との昔からの友人であるオビア・パースリーに出会い、助けを求めます。パースリー夫人は、ピアが拘禁されていると思しき領事府の秘密監獄、ドゥーンドへとチャンドラとニッサを導きます。ですが到着すると、彼女らはチャンドラの父親を殺害しチャンドラをも処刑しようとした領事府の隊長、バラルに追い詰められます。かつてチャンドラは逃走した際に彼へと酷い火傷を負わせ、バラルはその復讐を求めていました。彼は救助者候補達を罠にかけて独房に閉じ込め、そして素早く毒で満たしました。チャンドラとニッサはパースリー夫人を見捨ててプレインズウォークすることは望まず、ですが他の選択肢はないことも怖れていました。そして突然、独房の扉が勢いよく開き、一人のレオニン戦士が彼女らを救出すべく飛び込んできました――黄金のたてがみのアジャニが。
宿命の決着
脱出した後、チャンドラとニッサはゲートウォッチの皆と合流します。彼らはテゼレットが博覧会の終幕を飾る大展示の決闘にて、ピア・ナラーとの対決を計画していると聞かされます。それはピアを救出する機会になる筈です。彼らは大展示の間は身を潜めていようとしましたが、テゼレットがピアを脅かした時に、闘技場に駆け入るチャンドラを止めることは誰にもできませんでした。落ち着かなく笑う金属魔道士に彼女は紅蓮術で対抗し、他の皆もチャンドラに力を貸します。テゼレットが追い詰められたと誰もが思ったその瞬間、彼は逃走しました。プレインズウォーカー達は彼を逃がしたことに怒りましたが、チャンドラは気にしませんでした。母が助かったのですから。
慮外な押収
闘技場を離れるよりも先に、この劇的な見世物はテゼレットの計略の一部に過ぎなかったとゲートウォッチは気付きました。全員の目が大展示に向けられている間、テゼレットは領事府と共謀して博覧会のあらゆる驚異の発明品を押収しました。今やテゼレットは戦利品とともに閉じこもり、何らかの装置を建造し始めています。それはテゼレット自身と同じ程に非道なものだろうとゲートウォッチは確信しています。この地での仕事は終わりとはとても言えません。新たな標的、テゼレットに再び騙されるわけにはいかないのです。
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