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ReConstructed -デッキ再構築-
死は皆のために、皆は死のために
死は皆のために、皆は死のために
Gavin Verhey / Tr. Tetsuya Yabuki / TSV testing
2015年11月2日
統率者の時間がやって来た。
『統率者(2015年版)』の登場はすぐそこまで迫っている――新たなクリーチャーや呪文、そして何より、新たな統率者がやって来る!
統率者は普通、デッキの中心になるカードだ。「デッキ構築」という観点から見た場合、最も意識すべきカードなのだ!
なぜかって? 統率者は、いつでも引けて何度でも唱え直すことのできるカードた。そのようなカードの可能性はまさにどこまでも広がっている。デッキ全体を統率者に合わせた構築にすることが可能で......今回はまさに、それを目指すつもりだ!
さて、どの統率者を中心に据えようか? よし、私の友人である「マジレク」を紹介しよう。彼は「クロールの死の僧侶/Kraul Death Priest」をやっていて、(いや、「クロール・デス・プリースト/Kraul Death Priest」って名前のメタル・バンドのメンバーだったかな――ふたり組くらいの)とにかく、死を扱うのはお手のものってやつなんだ。
早速見てみよう。《クロールの死の僧侶、マジレク》の登場だ!
え? 友だちになれそうに見えない? いやいや、彼ならきっと、その大顎で君たちのことをハグしてくれるよ――場合によっては噛み砕かれるかもしれないけれど。
さて、もう少しこいつを詳しく見てみようか。
5マナで2/2の飛行クリーチャーである《クロールの死の僧侶、マジレク》は、サイズ的に見れば最も恐れるべきものとは到底言えない......少なくともすぐには、ね。なんとこいつは、プレイヤーがパーマネントをひとつ生け贄に捧げるたびに自軍「すべての」クリーチャーを強化する。《クロールの死の僧侶、マジレク》自身だけでなく、「すべて」だ!
この愛すべき昆虫・シャーマンの使い方は様々だ。ひとつずつ見ていこう。
彼らの生け贄が我らの力に
まずは残酷な手段を取ることにしよう――対戦相手にパーマネントを生け贄に捧げさせるのだ!《クロールの死の僧侶、マジレク》がある状態で相手に戦場のカードを生け贄に捧げさせれば、盤面上の優位を2方向から同時に得られる――相手はカードを失い、こちらは自軍を強化できるのだ。加えて、相手に生け贄に捧げさせる効果を持つカードには、多人数戦で特に強力なものがいくつもある。
マジックにおいて対戦相手に生け贄に捧げさせる効果といえば、主に黒が扱う「布告」系の効果が真っ先に思い浮かぶだろう。《残酷な布告》から《吸肉》や《消耗の蒸気》といったものまで、それらはすべて相手にクリーチャーを生け贄に捧げさせる――《クロールの死の僧侶、マジレク》とともに使って、盤面上の数の優位を保ちながら自軍を強化するのにうってつけだ!
そして、対戦相手全員が何かを生け贄に捧げればより一層強力になる。例えば、《野生への貢ぎ物》はまさに最高の働きを見せてくれるだろう! 黒ではないものの「生け贄」の効果を持つこのカードは、大抵の相手がマナ加速をするアーティファクトを採用している統率者戦において、1枚で《クロールの死の僧侶、マジレク》の能力を2回も3回も誘発させる素晴らしいカードなのだ!
もちろん、さらに大きな一撃を狙うこともできるぞ。《硫酸の波》は、《クロールの死の僧侶、マジレク》と組み合わせれば一発で対戦相手を倒せるカードのひとつだ! プレイヤー全員で合計10個ほどのパーマネントが生け贄に捧げられたところを想像してみてくれ。こちらのクリーチャー「全員」に、パワーが10追加されるのだ! とんでもないね! 生け贄に捧げられる数が増えれば、さらなる打点も見込めるだろう。
それから、同じことがクリーチャーでもできる。《悪行の大悪鬼》は、対戦相手全員に分け隔てなく効果をもたらす「寛大な」能力を持った素晴らしい1枚だ......そして《クロールの死の僧侶、マジレク》がいれば、こちらの盤面は強化されるのだ! また、普段は簡単にタップされて抑えられてしまう《冒涜の悪魔》だが、《クロールの死の僧侶、マジレク》がいればきっと、相手は「心から」クリーチャーを生け贄に捧げるのを嫌がるだろう。
このように、対戦相手のパーマネントを生け贄に捧げさせて自軍を強化する手段はたくさんある。では、こちらからも生け贄に捧げるというのはどうだろう? 次に進もう!
目には目を
対戦相手のパーマネントを生け贄に捧げさせることでじっくりと盤面を壊滅させていく、というのも十分にデッキの核となり得るけれど、《クロールの死の僧侶、マジレク》の可能性はこんなもんじゃない。「マジック」には――特に黒には――お互いにパーマネントを生け贄に捧げる方法がたっぷりとあるんだ。狙った相手だけじゃなく、より多くの生け贄を引き起こすことも多々あるぞ。
そして《クロールの死の僧侶、マジレク》の能力はどのプレイヤーが生け贄に捧げても――つまり対戦相手だけでなく「君が」生け贄に捧げても誘発するため、お互いに生け贄に捧げればかなりの働きが期待できる。
そこで私がおすすめしたいのは、《肉袋の匪賊》とその同類だ。《肉袋の匪賊》や《無慈悲な処刑人》、あるいは《貧民街の刈り取るもの》は、その場の全員にクリーチャーを1体生け贄に捧げさせるものでありながら、それ自体がクリーチャーだ! つまり、それらを使うために他にクリーチャーを用意することなく、大量の生け贄を引き起こすことができるのだ。おいしいクリーチャーをたっぷりといただけるってわけさ!
《クロールの死の僧侶、マジレク》 アート:Mathias Kollros |
もちろん、それ自体はクリーチャーでないものの、《無垢の血》や《血のやりとり》でも同じような効果は得られる。こちらもクリーチャーを失うことになるけれど――これだけ軽くて使いやすいコストなら、アドバンテージに繋げる使い方も間違いなくできるだろう。
そして恐らく、《クロールの死の僧侶、マジレク》を使うデッキにおける頂点となるのが、《墓穴までの契約》の効果だろう。《墓穴までの契約》や《エレボスの指図》、そして《マラキールの解体者》は戦場を一気に壊滅させ、対戦相手のクリーチャーを一掃しながら自軍を強化してくれる! これらのカードはぜひ採用を検討すべきだろう。
それから《墓穴までの契約》といえば、《クロールの死の僧侶、マジレク》と同じゴルガリ・ギルドの仲間である《ゴルガリの女王、サヴラ》も最高の1枚だ! 彼女の周りにあるものが次々と吹き飛ばされるものの、そのときこそ彼女は活き活きとし、クリーチャーでありながら《墓穴までの契約》と同じ機能を果たす。間違いなく《クロールの死の僧侶、マジレク》を使うデッキにぴったりだね。
さて、ここまでで対戦相手に生け贄に捧げさせることとお互いに生け贄に捧げることを取り挙げた。残るはあとひとつ、こちらが生け贄に捧げることだ!
痛みなくして得るものなし
確かに、対戦相手のパーマネントを生け贄に捧げさせるよりは自身のパーマネントを生け贄に捧げる方がずっと楽だ――でもそれって、何の意味があるのさ?
そう、《クロールの死の僧侶、マジレク》がその意味をもたらしてくれるんだ。
何よりもまず、《クロールの死の僧侶、マジレク》の能力に書かれたある言葉に注目してくれ――「パーマネント」だ。生け贄に捧げるのはクリーチャーでもアーティファクトでも、エンチャントでも......そう、土地だっていいんだ! そして幸運なことに、生け贄に捧げることのできる土地はたくさんある!
(《新緑の地下墓地》から《進化する未開地》に至るまで)「フェッチ・ランド」はどれも見事な活躍を見せてくれるだろう。それらは土地を持ってくるだけでなく、《クロールの死の僧侶、マジレク》の能力まで誘発させるのだ! それから、《ガーゴイルの城》や《陰謀団のピット》のように、生け贄に捧げることで様々な効果が得られる土地も大歓迎だ。
私から特に個人的な好みを挙げるなら、《森を護る者》だね。こいつは《クロールの死の僧侶、マジレク》を守れるだけでなく、いざ止めを刺すときには土地をすべて生け贄に捧げて自軍全体を一気に強化することもできるのだ! ズドン!
それから、もっとクリーチャーに目を向けてやると、メカニズムにも噛み合ったものがある。生け贄に捧げるという「欠点」を持ったものだ。その最高の例として、「エコー」、「濫用」、「想起」、そして「消散」が挙げられるだろう。ここでは《叫び大口》のようなカードが精彩を放つのだ。君のクリーチャーはいなくなってしまう、けれど、自軍を全て強化してくれる。完璧じゃないか。また、《クロールの死の僧侶、マジレク》がいれば、《ブラストダーム》が「消散」してしまうのもそこまで辛いことじゃなくなるのだ。
もちろん、メカニズムの「欠点」がうまく噛み合うものだけじゃないぞ!《よろめく殻》の「発掘」は信じられないほど強力で、こいつは立て続けに何ターンも使い回すことができる。それから、『戦乱のゼンディカー』で登場したエルドラージ・末裔(そして以前の落とし子)も、使い道満載の上に自身を生け贄に捧げることまでできる。これと《クロールの死の僧侶、マジレク》の相性は抜群だ。マナを生み出すことでクリーチャーの展開を助け、生け贄に捧げたことで自軍全体が強化されるのだ。
さて、君たちもここまで読んで、実際に《クロールの死の僧侶、マジレク》を使ったデッキがどんな風になるのか不思議に思っているんじゃないかな。よし、これまでのコンセプトをすべて一体にしたデッキをご紹介しよう!
今回の記事で語ってきたことをすべてまとめたら、《クロールの死の僧侶、マジレク》の良さがひとつのデッキに結晶したぞ! 君たちならではの構築を始める踏み切り地点として、最高のものに仕上がったね。
クリーチャーを生け贄に捧げたい? もちろん扱っている。対戦相手にパーマネントを生け贄に捧げさせたい? ああ、それもあるよ。このデッキには《倍増の季節》まで入っていて、《クロールの死の僧侶、マジレク》の効果を高めるのはもちろん、落とし子・トークンもどんどん送り出していくぞ!
「生け贄」を活かしたいなら、『統率者(2015年版)』の「墓場の略奪」デッキから《クロールの死の僧侶、マジレク》を手に入れてくれ。『統率者(2015年版)』が君たちのもとへやって来るまであとわずかだ。今からデッキ構築エンジンを暖めておいて、発売に備えよう!
モダンを統率せよ
今度は、モダンを取り挙げようと思う!『戦乱のゼンディカー』もそろそろ浸透してきたころだし、ぜひ君たちのひらめきを見せて欲しい。
今回は制限なしでモダンを見ていこう。渾身の一作を送ってくれ!
フォーマット: モダン
デッキの制限: なし!
締め切り:11月10日(火) 午前11時(日本時間)
投稿方法・投稿先:reconstructeddecks@gmail.com 宛にメールにて。
デッキリストは、最初の行に「あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)」、それに続いて各行に1種類のカードを、「枚数(半角数字)」+「半角スペース」+「カード名(英語)」の形式で、以下のように入力していただきたい。
12 Mountain
4 Makindi Sliderunner
3 Valakut Predator
4 Wild Slash
カードの枚数と名前の区切りには半角スペース以外のものを使わないでほしい――「4x Wild Slash」などのように。整った書式のデッキリストは、読みやすく、このコラムに取り挙げやすくなる。書式が崩れたリストはおそらく受け付けられないだろう。デッキリストを読めないことには、それについて語ることもできないのだ!
ここ「ReConstructed」で制限なしのモダンを取り挙げるのはちょっと久しぶりだね! みんなが破天荒で楽しいモダン・デッキを送ってくれると期待しているよ。
今回の記事について何か意見や感想、質問があれば、ぜひ私へ伝えてくれ! 気軽にツイートを送ったり、Tumblrで質問したりしてくれれば、必ず目を通すよ。
それではまた次回。
Gavin / @GavinVerhey / GavInsight
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