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戦略記事

ReConstructed -デッキ再構築-

モダン・コンボをレアなしで

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モダン・コンボをレアなしで

Gavin Verhey / Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing

2015年10月19日


 さて、できるのか......どうなるか......

 コンボはいつでも刺激的に見えるアーキタイプだ。しかし、コンボを成功させる要因となるカードは、(《欠片の双子》や《精力の護符》のように)高いレアリティに位置していることがほとんどだ。そういうものは、より「レア」なカードになりがちだと言える。あなたが予算を気にするなら、その点こそ問題になるかもしれない。

 そこで今回のモダン・デッキでは、家のストレージに仕舞いこんでいるコモン等を使って構築できて、しかもばっちり決まるコンボを紹介するぞ。

 もともと今回は低予算回の予定ではなかったが(何しろ次回はスタンダードの低予算回だからね!)、抜いても問題のないレア土地2枚のほかにはレアを使っていないモダン・コンボのデッキリストが投稿されてきた。これは私への挑戦状だ。

 受けて立とうじゃないか。

 さらに、今週は欠色ウィークでもある! デッキに欠色カードが入っているだけでは飽き足らず、レアまで欠けたぞ。欠色テーマとコンボ戦術をレアなしで融合させるとは!

 さて、うまくいくかな? よし、さっそく見てみよう。行くぞ!

リックの「無色コンボデッキ」
モダン[MO] [ARENA]
9 《
5 《
4 《蒸気孔
4 《沸騰する小湖

-土地(22)-

4 《メムナイト
4 《羽ばたき飛行機械
3 《信号の邪魔者
4 《コジレックの歩哨
4 《棘撃ちドローン
4 《破滅を導くもの
4 《不快な集合体

-クリーチャー(27)-
4 《撤回のらせん
3 《爆片破
4 《溶鉄の生育場

-呪文(11)-

その戦術とは

 このデッキは何をするのか? これらのカードでどうやってコンボを決めるんだろう?

 そう、これら全てのカードを繋げてくれる新カードが、このいかした奴だ(抱きしめてくれるってさ)。

 無色の呪文を1つ唱えるたび、アンタップする。単純明快だ。

 そこに《撤回のらせん》が加わる。

 これで、無色の呪文を唱えるたびに、何かをバウンスできる。それはつまり、コストがゼロのアーティファクト、例えば《メムナイト》などがあれば、それを唱えて、バウンスして、また唱えてバウンスして、というのを何度も何度も繰り返すことができるようになるということだ。これだけでは何にもならないが......《コジレックの歩哨》か、《溶鉄の生育場》か、あるいは単にもう1体の《棘撃ちドローン》があれば、対戦相手は死んだも同然だ。

 ドカーン! 相手は死ぬ。最高だろ?

 このデッキを見ていく上で、2つの点で調整や改善を行いたい。そして、その2つは関係がある。

 そのうちの1つが一貫性だ。このコンボは準備にいくつものカードを必要とする。このデッキは都合の良いことに、追加できる予備のコンボ・パーツがいくつもあるし、カードを選別するカードを利用してデッキの動きをスムーズにできる。それらを加えるための場所を作ろう。

 もう1つについては、普段はこのようなことはほとんど言わないのだが......このデッキはもっとコンボだけに集中すべきだ。いつもなら、ほとんど全てのデッキについて複数の攻撃手段を持つべきだと助言している。(これについてはこのコラムで今までに何度も言ってきたことだ。)

 まあ、ここで「ほとんど全ての」と言ったのは、いくつかの例外もある、ということで、今回のデッキもその1つだ。このデッキで序盤から《メムナイト》を並べて攻撃する動きは、モダンでは効果的じゃない。その計画をデッキに含めておくよりは、コンボの動きに集中するほうがいいだろう。低予算にしないなら、おそらく《頭蓋囲い》を含めた親和デッキとのうまい融合ができないか考えていただろう――まあ、あまり面白くはなさそうだけどね。

 さて、持てる知識をこの2つにつぎ込んで、調整していくとしよう!

デッキ詳細

 どのカードを残し、どのカードをデッキリストから外すべきだろうか? デッキの全てのカードを確認して決めていこう!

 《棘撃ちドローン》は、これを中心にデッキを組める、まさにエンジンそのものと言える新カードだ。勝つためにはこれを引いた上で除去されないことが絶対に必要となる。《撤回のらせん》1枚とこれが2枚あれば、コンボを開始する役目と対戦相手を倒す役目の両方をこなせるだろう。このデッキに不可欠な要素なので、減らすわけがない。

 むしろ逆に、増やせるなら増やしたいのは確かだ。どうやれば増やせるだろうか? ああ、2つの選択肢があるぞ!

 《微風の写字官》と《乱打されるゴーレム》は、アーティファクトを唱えることでアンタップすることができる。(《ミラディンのスパイ》もそうだけど、この2つに比べるとちょっと劣るかな。)《微風の写字官》はクリーチャーじゃない0マナのアーティファクトを必要とするけれども、用意するのは簡単だ。0マナ・アーティファクトは、デッキに不可欠なので入れる。よって、どちらであっても《棘撃ちドローン》の追加として4枚入れることが可能だ。

 《微風の写字官》のルーティング能力(カードを引いて捨てる能力)と、0マナ・アーティファクトとして《溶接の壺》を使うことで必要なら再生させられる《乱打されるゴーレム》の、どちらを選ぶべきかというのが問題だ。どちらにもそれぞれの良さがある。

 ルーティング能力によってさらにライブラリーを掘り進めたいところだが、それよりも気になるのがクリーチャーを守りきれるかどうかだ。このデッキでは、コンボが終わるまでクリーチャーが死なないようにしなければならない。ならば《乱打されるゴーレム》だ!

 このデッキを機能させる上で、0マナのアーティファクトは絶対に必要だ。しかし何を選ぶのが正しいだろうか?

 《メムナイト》や《羽ばたき飛行機械》は、私が採用したいカードではない。これらはクリーチャーなので対処されやすく、《メムナイト》の攻撃で勝つつもりもない。代わりに、2枚のカードが浮上してくる。

 1枚目は《溶接の壺》だ。すでに言及したが、《稲妻》のような普通の除去から《乱打されるゴーレム》を守ってくれる。コンボを決められそうなときに起点を守れるなら、恩恵は莫大と言えるだろう。手札に他の0マナ・アーティファクトがあれば、そのままコンボを継続できるぞ。

 2枚目は、本当に想像もできないはまり役さ。これまでにマジックの記事の執筆者として、デッキリストにこのカード名を記したことがあるか? と聞かれたら、私は笑い飛ばしていただろう。そのセットが使える環境でそのカードを使うこと自体、ある人々の間ではジョークになっていたほどだ。いや、言ってたのは私だけどね。

 いよいよ発表しよう。《薬草の湿布》だ。

 コンボのために0マナ・アーティファクトが必要? こいつだ! クリーチャーを守るための能力が欲しい? こいつだ! しかもクリーチャーを守るためのコストまでが、おあつらえ向きになっている。3ターン目に《棘撃ちドローン》を出して4ターン目に4マナ出るようになれば、《撤回のらせん》に1マナ使いつつ、再生のために3マナ残すことができるぞ。

 こいつを入れるなんてバカげてる――でもこれはバカげた動きをするデッキだからね。

 《溶接の壺》を4枚。《薬草の湿布》を3枚。これを入れる日が来るなんて思ってなかったが......必要なんだ!

 もし同一ターンに無色の呪文を100万回唱えれば、《コジレックの歩哨》は100万パワーを得るだろう。対戦相手を倒す手段として、《コジレックの歩哨》には素敵な要素がある。タフネスが4なんだ! 対戦相手は《稲妻》でこいつを倒すことができない。(結果として《稲妻》は《乱打されるゴーレム》や《棘撃ちドローン》に飛んでくるわけだけども、そこは《薬草の湿布》があるからね!)

 2ターン目に《コジレックの歩哨》、3ターン目に《棘撃ちドローン》か《乱打されるゴーレム》、そして4ターン目にコンボを決めるという感じでマナカーブにうまくはまるので、この役目に2マナ域を使うのは最適だ。この枠はもっと必要だね。

 コンボのために使う0マナ・カードがクリーチャーだったら、《衝撃の震え》を考慮しただろう。だが《溶接の壺》と《薬草の湿布》による再生要素を優先したい。思いついたのが《神出鬼没の呪拳士》だ。タフネスは4じゃないが、ブロックされなくなる。ゲームが長引いて、《コジレックの歩哨》で突破できないほどに戦場を固められてしまった場合、これが大きな意味を持つわけだ。(《コジレックの歩哨》の攻撃を通すために、コンボの最後のアンタップで対戦相手のブロッカーを1体バウンスすることはできる。しかし、相手が大量にブロッカーを抱えているなら、あまり影響は無いだろう。)この2つは両方4枚ずつ入れよう!

 これらは全てこのデッキで同じ役割を果たす。このデッキのビートダウン要素を助ける、攻撃的カードだ。さて、その要素は考えないことにしたので、もうやることがない。全て抜こう。

 このコンボ・デッキの鍵となるカードの1つ、《撤回のらせん》は必要不可欠だ。絶対に4枚入れたい。

 《撤回のらせん》の古い兄弟には、同じ効果を持つ《消し去りの才覚》もいる。渡りに船だね! これを1枚引けば勝ちに繋がるし、相手の除去に対処する必要があるなら予備も欲しい。加えて、時間を稼ぎたいなら、単に《送還》として利用することで相手を遅らせることも可能だ。合計8枚使おう!

 《溶鉄の生育場》は2マナの《コジレックの歩哨》や《神出鬼没の呪拳士》よりちょっと遅いが、速度に欠ける部分を復帰力、つまり除去されにくさで補っている。また、《溶鉄の生育場》があれば少しずつダメージを積み重ねることができるので、ランタン・コントロールのようなデッキに対して大いに役立つかもしれない。

 3マナ域に《棘撃ちドローン》と《乱打されるゴーレム》が居座っていることを考えると、遅い《溶鉄の生育場》は2枚に減らしたい。デッキに入れておくのは良いが、4枚は必要ないだろう。

 これはデッキがコンボ中心になる前の遺物なので、問題なく外せる。代わりに、コンボの一貫性と堅牢さを強化したい。

 一貫性のために必要としているのは、《血清の幻視》だ。もし持っていないなら、代わりに《手練》を使ってもそれほど大きな差はない。しかし《血清の幻視》のほうがいいだろう。

 それから、コンボを妨害から守るカードとして《払拭》を2枚入れよう。このコンボは除去によって破壊されてしまうが、1マナあれば《稲妻》、《流刑への道》、その他諸々の除去呪文を《払拭》できる。

 これらの調整を加えることでデッキはどうなったかって? ああ、こんな感じだ!

ガヴィン・ヴァーヘイの「エルドラージの湿布」
モダン[MO] [ARENA]
10 《
7 《
4 《急流の崖

-土地(21)-

4 《神出鬼没の呪拳士
4 《コジレックの歩哨
4 《乱打されるゴーレム
4 《棘撃ちドローン

-クリーチャー(16)-
4 《溶接の壺
3 《薬草の湿布
4 《消し去りの才覚
4 《撤回のらせん
4 《血清の幻視
2 《払拭
2 《溶鉄の生育場

-呪文(23)-

 レア無しモダン・デッキとしてうまく仕上がったかな......? 《薬草の湿布》に注目したデッキとしては文句なしだろうね!

 このデッキがプロツアーを席巻するとは思わないけれど、皆の行きつけのお店でモダンのフライデー・ナイト・マジックに参加して、このコンボをお披露目することができたら絶対に楽しいだろうね。それに、《薬草の湿布》を使って対戦相手を倒せるなんて――めったにないチャンスじゃないか!

 もしレアを入れるなら、フェッチランド、《蒸気孔》、2ターン目に《棘撃ちドローン》を展開するための《エルドラージの寺院》などでマナベースを組みなおすのは間違いないだろう。ブロックされにくい《霞の悪鬼》をコンボの攻撃役として採用できるので、黒をタッチしてもいいかもしれないね。

 それから、《群の祭壇》は対戦相手を倒せる素晴らしい1マナ・アーティファクトだ。1ターン目に《群の祭壇》を置いて、2ターン目に《エルドラージの寺院》から《棘撃ちドローン》を出すと、3ターン目に勝利できる可能性すらある! 持っているなら、恐らく入れたほうがいいだろう。

 こいつで楽しんでくれ!

今週のマカトール選

 今週のマカトール選では、今回投稿されてきたほかのモダン・デッキをいくつか紹介している。見てみよう!

クォールの「卵の伝令」
モダン[MO] [ARENA]
2 《
1 《平地
1 《神聖なる泉
3 《ダークスティールの城塞
3 《溢れかえる岸辺
3 《幽霊街
3 《空僻地
1 《聖なる鋳造所
1 《蒸気孔

-土地(18)-

3 《コジレックの伝令

-クリーチャー(3)-
3 《オパールのモックス
1 《睡蓮の花
4 《彩色の宝球
4 《彩色の星
4 《テラリオン
2 《妖術師のガラクタ
1 《写本裁断機
4 《胆液の水源
1 《苦悩火
4 《作り直し
4 《信仰の見返り
4 《クラーク族の鉄工所
3 《物読み
2 《蔵の開放

-呪文(41)-
ウェイの「純鋼コンボ」
モダン[MO] [ARENA]
4 《溢れかえる岸辺
4 《空僻地
4 《神聖なる泉
2 《魂の洞窟
2 《平地
2 《金属海の沿岸

-土地(18)-

4 《純鋼の聖騎士
4 《謎鍛冶

-クリーチャー(8)-
4 《調和者隊の盾
4 《骨の鋸
4 《カイトシールド
4 《オパールのモックス
4 《極楽のマントル
4 《蜘蛛糸の網
4 《撤収
1 《卓越の印章
1 《ぶどう弾
3 《溶鉄の生育場
1 《ギラプールの霊気格子

-呪文(34)-
アンドリュー・ワイゼルの「エルドラージ・ビートダウン」
モダン[MO] [ARENA]
1 《
1 《
4 《エルドラージの寺院
4 《草むした墓
3 《ウギンの目
3 《新緑の地下墓地
2 《繁殖池
2 《霧深い雨林
2 《汚染された三角州
2 《湿った墓

-土地(24)-

1 《真実の解体者、コジレック
4 《信号の邪魔者
4 《地下墓地の選別者
4 《空中生成エルドラージ
4 《破滅を導くもの
2 《息詰まる忌まわしきもの
3 《血統の解体者

-クリーチャー(22)-
4 《古きものの活性
3 《コジレックの審問
4 《突然の衰微
3 《彼方より

-呪文(14)-
ハタオ ケントの「迷路を白日の下に」
モダン[MO] [ARENA]
4 《
1 《平地
4 《神聖なる泉
2 《アゾリウスのギルド門
2 《ディミーアのギルド門
2 《イゼットのギルド門
2 《セレズニアのギルド門
2 《シミックのギルド門
1 《ボロスのギルド門
1 《ゴルガリのギルド門
1 《グルールのギルド門
1 《オルゾフのギルド門
1 《ラクドスのギルド門
2 《迷路の終わり

-土地(26)-

2 《瞬唱の魔道士

-クリーチャー(2)-
1 《殺戮の契約
4 《流刑への道
4 《差し戻し
2 《マナ漏出
2 《撤廃
1 《壌土からの生命
1 《四肢切断
1 《大渦の脈動
3 《謎めいた命令
3 《神の怒り
2 《至高の評決
1 《風景の変容
1 《殺戮遊戯
4 《白日の下に
2 《神聖なる埋葬

-呪文(32)-
セキガミ リョウタの「ワープワールド」
モダン[MO] [ARENA]
6 《
5 《
4 《燃えがらの林間地
4 《カルニの庭
4 《樹木茂る山麓

-土地(23)-

4 《巣の侵略者
4 《永遠の証人
2 《目なしの見張り
3 《エムラクールの孵化者
4 《血統の観察者
3 《ムラーサの緑守り
2 《ゼンディカーの報復者

-クリーチャー(22)-
4 《楽園の拡散
4 《繁茂
3 《野生語りのガラク
4 《歪んだ世界

-呪文(15)-

新鋭統率者、戦乱の海へ

 11月2日掲載分の「ReConstructed」では、『統率者(2015年版)』のプレビュー・カードをお披露目する予定だ! 皆が統率者のカード紹介を待ちわびているのは分かってる。いよいよだ。絶対に見てくれよな!(編訳注:日本語版は11月3日に繰り上げて掲載いたします。)

 しかし、と言うことは、今回はデッキ募集が無いということだ。代わりに、最新のプロツアーの結果をチェックして、何か新しいデッキを考えてみよう。そうやって変化を続けるスタンダードのメタゲームを体感するんだ。なじむまで何度でもね!

 何か意見や感想、質問があれば、気軽に私へ伝えてくれ! 皆さんの声を聞くのが大好きなんだ。ツイートを送ったり、Tumblrで質問したりしてくれれば、必ず受け取るよ。

 来週はスタンダードの低予算デッキ構築だ! また会えることを楽しみにしているよ!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

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