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ReConstructed -デッキ再構築-
アブザンの逆襲
アブザンの逆襲
Gavin Verhey / Tr. Tetsuya Yabuki / TSV testing
2014年9月2日
タルキールの世界へようこそ! 私のことは「キャプテン・アブザン」と呼んでくれたまえ。
存じているかどうかはわからないが、開発部内での私は、アブザンのカードで戦い続けた。他の者たちの多くが墓地利用を求めてスゥルタイに行ったり、原始的な強さに魅了されてティムールに行ったりする中で、私はアブザンの戦旗を手にそのカードを振るい続けたのだ。
真のアブザンの戦士として、私は今まさに使っているカードが調整を経て次々と変化していくのに耐え、アブザンのカードをより良くするために支援し続けた。そしてあるとき、また新たなアブザン・デッキを持ち込んだ私のことを、アダム・プロサック/Adam Prosakが「キャプテン・アブザン」と呼んだのだ――その呼び名は、フューチャー・フューチャー・リーグの間定着したのだった。
そして本日、今回のセットを通して見てもこの上なく「アブザン的な」カードをこうしてみんなへ紹介できることに、私は胸の高鳴りを抑え切れないでいるよ。
今日はぜひ君たちをアブザン家に迎え入れたい。なぜなら《アブザンの隆盛》をお披露目するときが来たからだ。
各氏族ともそれぞれ自分たちの「隆盛」を有している。そのコストはそれぞれの色の「CDE」(これは開発部内で使われるスラングで、それぞれ違う色の3マナを意味する――「白黒緑」のようにね)になっていて、とりわけそのメカニズムやテーマに沿った効果を持つエンチャントだ。(《ティムールの隆盛》はすでに「PAX Party」で披露された――カードギャラリーでも確認できるぞ)。
さて、《アブザンの隆盛》はどうだろうか?
そう、アブザンの持つメカニズムは「長久」だ。だから君たちも自然と、何か+1/+1カウンターにまつわる素敵なものだろうと期待していたかもしれない。(それなら、今週の金曜日に掲載されるブライアン・デヴィッド=マーシャル/Brian David-Marshallの「The Week that Was」はきっと特別面白いものになるだろう!)それから、昨日掲載された「『タルキール覇王譚』のメカニズム」にも、こんなクリーチャーがいたことにお気づきだろうか。
《アイノクの盟族》は、自軍の+1/+1カウンターが置かれている各クリーチャーに先制攻撃を付与してくれる。今日はまだ他のカードを教えることはできないけれど、今回のセットには+1/+1カウンターが置かれているクリーチャーすべてに何か能力をもたらすクリーチャーがたくさんあるぞ。「能力を自軍すべてに広げる」というスリヴァー的な手法から構築を始めれば、アブザン・デッキを組み上げることはそう難しくない――そして《アブザンの隆盛》は、「能力を自軍すべてに広げる」ための起動スイッチになるのだ。
能力を共有するために「長久」を使うのは時間がもったいない? それ自身では+1/+1カウンターを得られないクリーチャーがいる? なら《アブザンの隆盛》を繰り出すだけでいい。
ああ、そうだね。たしかに《栄光の頌歌》のように自軍全体を強化する「だけ」だ。
じゃあ、超スゴイふたつ目の能力を見てみよう!
アブザンは長久を司る氏族だ――そして《アブザンの隆盛》はその意志を強く支えてくれる。こちらのトークンでないクリーチャーが死亡するたびに、スピリットが出てくるとなれば、対戦相手にとってクリーチャー同士の戦いは極めて厳しいものになるだろう。こちらはチャンプ・ブロックで時間を稼ぎ、あるいは相討ちでアドバンテージをとればいいのだ。(その上《エレボスの指図》まであった場合にどれだけ厳しくなるかなんて、もう言わせないでくれよ!)
この手のデッキにつきものの問題は、全体除去に対する弱さだ。せっかく時間をかけて盤面を築き上げたのに、それが《対立の終結》1枚で崩されてしまうのはどうだろうか?《アブザンの隆盛》があれば、全体除去を受けても自軍のクリーチャーたちは空へ昇り、そこから強打を加えることができるのだ。(《アブザンの隆盛》が複数あるなら尚良い――こちらの戦場に《アブザンの隆盛》が2枚ある状態で、対戦相手が全体除去で盤面を吹き飛ばすときもあるだろう。すると、こちらの盤面は全体除去を受ける前より強大になるのだ!)
アブザンのテーマに則ったデッキで使うにせよ、あるいは単に除去耐性をクリーチャーに持たせる《栄光の頌歌》として強力なデッキで使うにせよ、《アブザンの隆盛》は力になってくれる。本日は、それぞれのデッキの例をひとつずつ見ていこう。
アブザン・サイズ・ミー
基本的に、緑と白の2色は最もクリーチャーに恵まれた色で、最高に優れたクリーチャーを有している。その2色を合わせて、そこへ黒の妨害手段を少し加えてやれば、早い段階で強大な脅威を繰り出し、対戦相手に対応を迫るようなデッキが完成するのだ――そして対戦相手がたまらず対処すれば、《アブザンの隆盛》がさらなるクリーチャーを生み出すぞ。デッキを見てみよう。
4 《森》 4 《ラノワールの荒原》 4 《マナの合流点》 4 《静寂の神殿》 4 《吹きさらしの荒野》 2 《平地》 1 《疾病の神殿》 -土地(23)- 4 《エルフの神秘家》 4 《羊毛鬣のライオン》 4 《森の女人像》 4 《クルフィックスの狩猟者》 2 《オレスコスの王、ブリマーズ》 4 《世界を喰らう者、ポルクラノス》 4 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 2 《荒野の後継者》 -クリーチャー(28)- |
2 《思考囲い》 3 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》 4 《アブザンの隆盛》 -呪文(9)- |
このデッキは、素早く膨大なパワーを生み出すことができる。対戦相手を倒すスピードは驚くほど速く――まばたきでもしようものなら、その瞬間を見逃してしまうほどだ。
1ターン目《エルフの神秘家》からゲームを始めることで、すぐに強力な3マナ域に繋げることができる。たとえ《エルフの神秘家》を1ターン目に繰り出せなくても、2ターン目に《羊毛鬣のライオン》や《荒野の後継者》が現れ、ダメージを稼ぎだす――あるいは単に、《森の女人像》から《世界を喰らう者、ポルクラノス》や《世界を目覚めさせる者、ニッサ》に繋ぐという、古き良きランプ戦略をとってもいいだろう。
このデッキでの《アブザンの隆盛》は、クリーチャーの攻撃力を上げるだけでなく、死亡したクリーチャーをスピリット・トークンに変える能力によってデッキに大きな変化をもたらす。全体除去に耐性をつけたりクリーチャー同士の戦いを援護したりするのはもちろん、最後のひと押しにもなってくれるのだ。このようなデッキでは、最後の数点を削り切りたいのに空から攻撃を通す手段がない、というケースがある......そこで《アブザンの隆盛》が、事を成し遂げるのに必要なスピリット・トークンをもたらすのだ。
ちなみに、このデッキにぴったりな新カードは、いくつかある。今はまだアブザン家に関わる素晴らしい秘密にしておかなくちゃいけないけれど、次回のプレビューで登場する「サイ」をお見逃しなく......
さて、君たちはきっと、アブザン特有の+1/+1カウンターを用いるテーマでアドバンテージを得たいと考えていることだろう。それじゃあ、もうひとつ別の形を見てみよう。
《アブザンの隆盛》 アート:Mark Winters |
「カウンター」アタック
《アブザンの隆盛》は、アブザンの持つテーマと噛み合うようにできている。そして先ほども述べたように、アブザン家に一貫して流れるテーマは「+1/+1カウンター」だ。
『テーロス』ブロックにも、このデッキを支える優れた「種」が蒔かれていた。それと、信じてくれていい。『タルキール覇王譚』にもこのデッキを組む上で心強いツールがいくつかあるぞ。
まずはこんな感じで始めてみよう。
5 《平地》 4 《ラノワールの荒原》 4 《疾病の神殿》 4 《静寂の神殿》 4 《吹きさらしの荒野》 3 《森》 1 《マナの合流点》 -土地(25)- 4 《羊毛鬣のライオン》 4 《森の女人像》 4 《英雄の記録者》 1 《起源のハイドラ》 4 《アイノクの盟族》 4 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 2 《アナフェンザの伝令》 -クリーチャー(23)- |
3 《思考囲い》 2 《英雄の破滅》 2 《不動のアジャニ》 1 《英雄の導師、アジャニ》 4 《アブザンの隆盛》 -呪文(12)- |
これまでに公開された+1/+1カウンターを駆使するカードを用いるなら、この形から始めようと思う。2種類のアジャニはどちらもこのようなデッキと良く噛み合い、また《英雄の記録者》は『テーロス』に植えられていた優秀なカードだ。
「長久」を持つカードを多く採用したデッキで気をつけるべきは、極めてマナが足りなくなりやすいことだ。盤面が膠着し、毎ターン「長久」を使いつつ他の動きもしたいとなれば、得られる限りのマナ源が欲しくなるだろう。このようなデッキでは、十分な数の土地を入れないと不慮の事故を起こしやすく、また『テーロス』ブロックの「神殿」もあるため、土地を多めに採用しても何ら問題ないだろう。
+1/+1カウンターを駆使するカードはこれからも登場するから、プレビュー・ウィークから目を離さないでくれ。このデッキにスムーズに入るカードが、必ず現れるはずだ。
スタンダードでのタルキール覇王譚
スタンダードに新しいブロックが入ってくるのは、マジックの1年の中でも最もエキサイティングな部分のひとつだ。ブロック全体がローテーションした後、皆さんが何を思いつくのか見ていくのが待ちきれない。どの新カードがオールスター入りして、どの古くからあるカードが最後に輝くチャンスをつかむのか? 待ちきれない!
ということで、今週のデッキ構築チャレンジとして、皆さんが最もエキサイティングだと感じる新しいスタンダードのデッキを送ってほしい!
フォーマット:『タルキール覇王譚』入りのスタンダード
デッキの制限:なし!
締め切り:9月10日(水)午前10時(日本時間)
投稿方法・投稿先:reconstructeddecks@gmail.com 宛にメールにて。
デッキリストは、最初の行に「あなたのローマ字氏名+'s+デッキ名(英語)」、それに続いて各行に1種類のカードを、「枚数(半角数字)」+「半角スペース」+「カード名(英語)」の形式で、以下のように入力していただきたい。
12 Mountain
4 Satyr Firedrinker
3 Ash Zealot
4 Lighting Bolt
カードの枚数と名前の区切りには半角スペース以外のものを使わないでほしい――「4x Lightning Bolt」などのように。整った書式のデッキリストは、読みやすく、このコラムに取り上げやすくなる。書式が崩れたリストはおそらく受け付けられないだろう。(デッキリストを読めないことには、それについて語ることもできない!)
また、今週についても、デッキは reconstructeddecks@gmail.com 宛に送っていただきたい。現状ではバグがあり、私のウィザーズでのアドレスへ送られたデッキリストを見ることに問題が生じているためだ。
皆さんが何を送ってくれるのか、見るのが待ちきれない! 注意点として、できる限り新しいプレビューカードを見る時間が持てるよう、締め切りは来週の水曜日まで延ばしてある。まだ『タルキール覇王譚』に心がそそられるものがなくても、数日待ってもらえれば、新たに輝く宝石が空から降ってくるのを目にすることができるだろう!
それまで、このカード、デッキ、記事、アブザンがどれだけ素晴らしいか、などについて考えたことがあれば、気軽にフィードバックを送ってほしい! 私へのツイートや、私のTumblrでの質問として送ってくれれば、必ず拝見する!
また次回お会いしよう。『タルキール覇王譚』プレビューシーズンを楽しんでほしい!
Gavin / @GavinVerhey / GavInsight
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