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Making Magic -マジック開発秘話-
「お電話ありがとうございます」
「お電話ありがとうございます」
Mark Rosewater / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru
2016年12月12日
「はい、常盤木クリーチャー・キーワード・プロダクションです。お電話ありがとうございます、マリアが承ります」
「申し訳ありません、ただいま担当者は皆席を外しております。私でよろしければ、ご質問にお答えします」
「はい、飛行は当社の所属です。飛行は非常に人気がありまして、他のキーワードの2倍ほどのご指名を頂いております。飛行の採用をご検討いただいているカードはどちらでしょうか?」
「申し訳ありません、そのカードのことは存じません。今後発売されるセットのカードでしょうか。こちらにお声がけいただくのは新カードのことが多いので、問題はないのですが、そのカードについて少々お教えいただけますか?」
「えっ、緑のクリーチャーですか。飛行は間違いなくプロフェッショナルですが、相性が合わない相手もおりまして。青、白、黒とはうまく働けますし、赤でもドラゴンやフェニックスといった相手とはうまく働けるのですが、緑とはあまりうまく働けないのです。まれには緑に協力することもありますが、担当者は緑を説得するのにひどく苦労していたようです。以前は緑のお仕事を受けさせていただくことも多かったのですが、少々トラブルがございまして。詳しくは......いえ、噂は聞いておりますが、おそらく事実とはかけ離れていると思われます。飛行が殴り合いをしたことは見たことがありませんので。緑で採用いただくに相応しい他のキーワードは何人も所属しております。たとえばトランプルはどの色でも問題ありませんし、緑を特に好んでいるそうです。接死、警戒、あるいは速攻も緑でお役に立てると思われます。そうです、いつも緑で働いている到達はいかがでしょう」
「はい、飛行の担当者に申し伝えますが、お客様のお望みが叶うかどうかは保証いたしかねます」
「お電話ありがとうございました、失礼いたします」
「はい、常盤木クリーチャー・キーワード・プロダクションです。お電話ありがとうございます、マリアが承ります」
「はい、混成マナさんと協力した実績はございます。どの組み合わせをお考えでしょうか」
「10枚のクリーチャーのサイクルで、それぞれで1つ、重複無しですか。それは少し難しいですが、ご協力できるかと思います。第3色の能力のご使用についてどうお考えですか」
「わかりました。それでしたら可能でしょう。これまでにも何度か例がありますので、問題のあったところについてご説明します。白青と青黒です。どちらかは飛行を使うことができますが、もう一方については新しい解決策を探す必要があります。青は瞬速の第1色で、白と黒が第3色なので、これは選択肢になります。この3色はどれも防衛を使うことができます。これ以外の選択肢は見当たりませんでした」
「はい、理想的ではないと思います。青と黒の両方で使えるキーワードは募集中です」
「いいえ、潜伏はオーディションにかけたことがありますが、合格しませんでした」
「いいえ、潜伏の問題は色に合わないことではなく、充分な能力がなかったことです。弊社所属のキーワードはどれもカード・デザインの自由度が充分にあるものだけとなっております。これは弊社の23年の伝統です」
「はい、その件については担当者に申し伝えます」
「いえ、お力になれれば幸いです。お電話ありがとうございました、失礼いたします」
「はい、常盤木クリーチャー・キーワード・プロダクションです。お電話ありがとうございます、マリアが承ります」
「畏怖? いいえ、畏怖さんとの所属契約は既に終了しております」
「畏怖さんが現在どこに所属しているのかはわかりかねます。弊社の所属を離れてから働いているという話も聞いておりません」
「威嚇? はい、畏怖さんが弊社を離れてから威嚇さんがその仕事の多くを引き継ぎましたが、威嚇さんとの所属契約も終了しております」
《吠える絡みワーム》 アート:jD |
「威嚇さんの現在の所属もこちらではわかりかねます。どのようなカードでのご用命でしょうか? 弊社所属の中から相応しい方を紹介できるかもしれません」
「恐ろしい黒の回避能力ですか。それでしたら、威迫の資料をお送りいたしますのでご検討ください。威迫は恐ろしい黒の回避能力としてはまさに相応しい人物です。採用いただけるのでしたらこちらにご連絡いただければ、威迫の担当者におつなぎいたします。威迫は赤でも多くの仕事をこなしております。もしご参考になれば」
「いいえ、ひいきをしているわけではございません。受付として、弊社所属のキーワードをおすすめしております」
「お客様の助けになれたなら幸いです。お電話ありがとうございました、失礼いたします」
「はい、常盤木クリーチャー・キーワード・プロダクションです。お電話ありがとうございます、マリアが承ります」
「はい、二段攻撃は弊社に所属しております」
「赤と白です」
「二段攻撃はコモンには入らないのが通例ですが、例外はございます」
「二段攻撃を採用されたことはおありでしょうか? 二段攻撃もキーワードですので、やはり気まぐれです。例えば、二段攻撃には2回の支払いが必要になります。はい、着手前と、通常の支払いのときです。二段攻撃の交わす契約書には、『二段攻撃の名称を出した場合、ファンファーレを2度鳴らすこと』という規定があります。まだ私は鳴らしていません。また、『二段攻撃が入室する際には、必ず鳩を飛ばすこと』という規定もあります」
「10羽ぐらいです。これも契約書に記載があります」
「いいえ、仰る通りです。これは二段攻撃が弊社所属の他のキーワードよりも採用されにくい理由の1つですが、二段攻撃は非常に人気が高く、カードに注目を集めることができるということを強調させてください。これは全て二段攻撃を採用いただくためのことだとご理解ください」
「二段攻撃の気難しさが気になるお客様には、先制攻撃を採用いただくことが多くなっております。先制攻撃は二段攻撃の役割の全てを果たせるわけではございませんが、ある程度の代理は務められます。先制攻撃は弊社設立当初からの所属で、飛行に次いで多くの仕事をしてきております」
「はい、それでは二段攻撃の担当者に、お客様が契約書を必要としていると申し伝えます」
「いえ、とんでもございません。お電話ありがとうございました、失礼いたします」
「はい、常盤木クリーチャー・キーワード・プロダクションです。お電話ありがとうございます、マリアが承ります」
「瞬速に御用ですか。それでしたら、瞬速の仕事の速さはご存知の通りです。もうそちらに着く頃だと存じます」
「もちろん冗談ですが、瞬速は迅速さには定評がございます」
「瞬速は主に青と緑で働いておりますが、どの色でも大丈夫です。瞬速は他のパーマネント・タイプでも働きたいと申しております。他のキーワードには他のパーマネント・タイプでは働けないというものもおります」
「瞬速の契約条件ですか? 1つだけございます。ルール・テキストの一番先頭に載せること、というものです」
「はい、瞬速は他のキーワードよりも前に、1行専有して書かれることになります」
「ここだけの話ですが、瞬速は少し主役意識が強いところがあるんです。着飾るのが好きですし、注目を集めるのも好きです。一面、プロ意識も高く、自分の仕事を効率的に素早く終わらせて立ち去り、カードの他の部分に注目を譲ります」
「はい、午後に折り返しお電話差し上げるよう、瞬速の担当者に申し伝えます」
「お電話ありがとうございました、失礼いたします」
「はい、常盤木クリーチャー・キーワード・プロダクションです。お電話ありがとうございます、マリアが承ります」
「はい、普通の多色カードさんとは協力関係にございます。弊社が設立してすぐの時期から協力していると聞いております。検討しておられるのは何色でしょうか」
「2色ですか。それなら充分な経験がございます。どの色でしょうか」
「白黒で、第1色と第2色の能力だけに絞るのがご希望ですか。それでしたらおすすめが1つ、それ以外の候補がいくつかございます」
「絆魂です。絆魂は白と黒でだけ働きます。これまでに白黒のカードでは何度も実績がございます。一言添えさせていただけるなら、絆魂と働くのは素晴らしい経験だそうで、弊社に届くのも賞賛ばかりです。絆魂は全てを簡単で楽しいものにします。気分が良くなりすぎて働いている内容を忘れるほどだそうです。皆様、絆魂と働くとやる気が出るとおっしゃいます」
「他の候補でしたら、飛行もその色との実績は充分です。ただ、飛行へのご指名が殺到しておりまして、スケジュールが取れるかどうかは難しいところです」
《岸壁安息所の吸血鬼》 アート:David Gaillet |
「防衛もおります。防衛のことをお忘れの方も多いようですが、防衛は、公式なキーワードになるよりも前から、長年弊社に所属しております。ここだけの話をさせていただきますと、防衛は非常に仕事ができるのですが、それ以上のことはいたしません。また、弊社のキーワードの中で最もQレーティングが低いというのも事実です」
「どれぐらいユーザーに好まれるかという工業的な点数付けです。防衛の働きは受け入れられていますが、ファンレターが大量に届くということはありません。そのため、防衛の契約料は弊社所属のキーワードの中で一番お安くなっております。防衛の堅実な働きには定評がありますので、防衛の潜在能力は軽視なさらないようにお願いいたします」
「はい、以上となります。第3色の能力も検討されますか」
「そうなりますと、他の候補もございます。先制攻撃は黒ではあまり働かないのですが、騎士という例外がございます。白黒の騎士を作るおつもりなら、調整もできるかと思われます」
「黒は最近起動型の破壊不能を手がけており、白は破壊不能の第1色ですので、そこにも可能性はあるかと思います」
「これまで白は威迫を使っておりませんでしたが、畏怖や破壊不能とは実績があります。検討の余地はあるかと」
「黒も白も、瞬速やトランプルの第3色ですが、多色カードで第3色同士の組み合わせというのは例がありません」
「以上となります。挙げさせていただいたキーワードの担当者に連絡して、合議の上で折り返しご連絡差し上げるよう申し伝えます」
「お電話ありがとうございました、失礼いたします」
「はい、常盤木クリーチャー・キーワード・プロダクションです。お電話ありがとうございます、マリアが承ります」
「バンドさんですか? いえ、バンドさんと弊社の契約は既に終了しております」
「私も弊社で長く務めておりますが、バンドさんとは面識もございません」
「昔からの担当者からバンドさんについて聞いたところでは、バンドさんと一緒に働くのは非常に楽だったと。はい、一番よく聞く評価は『チーム・プレイヤー』というものです」
「聞いた話になりますが、よろしいですか。バンドさんが弊社を離れることになったのは個人的な問題がいくつもあったからだとのことです。バンドさんはプレイヤーたちと複雑な関係にあって、それに関して非常につらい時期を過ごされたそうです。ある日、バンドさんの担当者が出社してきたところ、ドアにメモが貼ってあったそうです。そのメモにはバンドさんの字で『誰も私を理解してくれない』とだけ書いてあったとか。それ以来、バンドさんとの連絡は取れておりません」
「カードに何が必要なのか説明いただけば、他のキーワードをご紹介できると思いますが」
「承知いたしました。状況が変わりましたらまたお電話ください。お電話ありがとうございました、失礼いたします」
「はい、常盤木クリーチャー・キーワード・プロダクションです。お電話ありがとうございます、マリアが承ります」
「はい、トランプルと接死は当社の所属です」
「申し訳ございませんが、トランプルと接死は同時に、特に同じカードでお使いにはなれません」
「ご存知の通り、トランプルも接死も人付き合いが苦手です。トランプルは相手の意図を読むのが苦手で、思ったことをすぐに口に出してしまうことがあります。その結果、相手に嫌な思いをさせることが多いのです。一方の接死は友情関係が苦手で、他人を傷つけるという悪評があります。ですが、この2人を組ませたところ意気投合して、親友同士と公言するほどになりました。いつも一緒にいて、結果も上々でした。トランプルと接死は、仕事関係が濃くなりすぎて友情を壊すことになるのではないかと考え、二度と一緒に仕事はしないと決めたそうです」
「話が長くなりまして申し訳ありません。はい、2人を同時にお使いいただくのは無理だと思います。トランプルや接死と協力できる、他のキーワードもたくさん在籍しておりますが」
「残念です。またの機会にご連絡ください。お電話ありがとうございました、失礼いたします」
「はい、常盤木クリーチャー・キーワード・プロダクションです。お電話ありがとうございます、マリアが承ります」
「はい、インスタントでも採用いただけるキーワードも在籍しております」
「防衛、瞬速、威迫、果敢、警戒は無理です。飛行は非常にまれですが例があります」
「瞬速はタイミング的な問題です。他は戦闘中に唱えた場合に混乱の元になります」
「ソーサリーならどれも問題ございません。いえ、防衛だけは無理です。防衛はクリーチャーとエンチャントに拘っております」
「キーワードごとに好きなカード・タイプがございます」
「他のキーワードについてもご興味ございますか」
《月皇の司令官、オドリック》 アート:Chase Stone |
「破壊不能についてですか。破壊不能は弊社所属のキーワードの中で一番熱心に働くキーワードだと思います。破壊不能が働く準備をしたら、何があってもやり遂げます。これは、破壊不能がキーワードとして認められるより前の話になります。通常、弊社はキーワードとだけ契約することにしておりますが、キーワードでない方々も何とか所属できないかといろいろなアプローチをしてくるのですが、大抵はやがて諦めます。破壊不能はそうではありませんでした。破壊不能は弊社の待合室に15か月ほど毎日通っていました。そして、新人の担当者が、破壊不能をキーワードだと思いこんで契約を交わしたのです。その後、数年に渡って、破壊不能がキーワードでないことに気づかないまま仕事を続けました。その後、スキャンダルを避けるため、上層部の判断で破壊不能をキーワードとして認めることになりました」
「他に興味のあるキーワードはございますか?」
「呪禁もお役に立てると思います。呪禁は本当のプロです。呪禁の困った顔を見たことはありません。呪禁はいつでも手掛けていることに集中しています」
「呪禁に関する話ですか? そうですね、呪禁には弊社に所属した家族がいました。被覆さんは彼の兄です。被覆さんはいいキーワードでしたが、人の話を聞かないところがありました。デザイナーは被覆さんに改善すべき点を指摘しましたが、被覆さんは耳を貸しませんでした。その付添で来ていた呪禁は、後ろでじっと耳を傾けていました。ある日、被覆さんが体調を崩した日のことです。呪禁がデザイナーに連絡を入れて仕事をキャンセルするのが普通でしたが、代わりにやってきてカードをこなしたのです。呪禁は、被覆さんが他人の言葉に耳を貸さなかったことでどれだけ嫌われていたかを知っていたので、デザイナーの言葉によく耳を傾け、よく従いました。その結果呪禁は大きく成長し、この噂を聞いたクライアントは皆さん被覆さんではなく呪禁に声をかけるようになったのです」
「はい、いえ、他にも話はございます」
「わかりました、それではもう1つ。これは到達に関する話です。到達が弊社と契約した経緯はご存知でしょうか? 飛行が推薦したのです。その話はいかがですか」
「いいえ、いいえ。飛行は基本セットに入るときの注釈文が長さには不満を感じていました」
「関連するキーワード全ての要約と詳細なルールをお送りしますので、興味のあるキーワードを選んでからご連絡いただければ結構です。いかがでしょうか」
「ありがとうございます。お電話ありがとうございました、失礼いたします」
「はい、常盤木クリーチャー・キーワード・プロダクションです。お電話ありがとうございます、マリアが承ります」
「いいえ、プロテクションはまだ弊社の契約下にあります。半引退を宣言していますが」
「なぜそうなったのかは誰も知らないと思います。プロテクションはいつも無表情ですので。何が起ころうと、プロテクションは意にも介さないようでした。おそらくプロテクションはデザインのあり方に疲れたんだと思います。プロテクションの担当者によると、騎士やリアクション用のインスタントでばかり働いているのに疲れたのだそうです」
「プロテクションの採用をお考えなら、連絡を入れることはできます」
「わかりました、プロテクションの担当者に申し伝えます」
「お電話ありがとうございました、失礼いたします」
「はい、常盤木クリーチャー・キーワード・プロダクションです。お電話ありがとうございます、マリアが承ります」
「青のクリーチャーの、戦闘関係のキーワードですね。相応しいキーワードが在籍しております」
「んんっ、失礼しました。いえ、そのご用命は非常に多いのですが、長い間お応えできなかったのです。幸いなことに、一昨年、果敢がたまたま弊社の所属になってくれました」
「果敢は常盤木キーワードになるつもりもなかったそうです。最初は、ただの陣営キーワードでした。何も長期的な目標とかもなく、ただ漫然と陣営キーワードをしていたそうです」
「いえ、弊社の担当者の1人が開発部のスライドショーを見ていて、その中に写っていた果敢に惚れ込み、その日に契約を結びました」
「果敢の担当者に、今日中にも話をしたいお客様がおられると申し伝えます」
「お電話ありがとうございました、失礼いたします」
「はい、常盤木クリーチャー・キーワード・プロダクションです。お電話ありがとうございます、マリアが承ります」
「申し訳ありません、再生さんとの契約は終了しております。再生さんが受けていた仕事のほとんどは破壊不能が承っておりますので、そちらの担当者に連絡することは可能です」
「はい、たしかに急な話だと思われると思います。ここだけの話ですが、実は突然というわけではないのです。弊社の上層部は、再生さんの働きをずっと問題視していたのです。『第6版』ルールになってからですから、本当に長い間になります」
「常々、再生さんとの契約を切ろうとしていたのですが、そのたびに再生さんは契約を続けさせることに成功していました。再生さんはベテランでしたから、昔を懐かしむ人とうまくやる方法を心得ていたのでしょう」
「ありがとうございます。破壊不能の担当者が本日は病欠しておりますので、出社し次第申し伝えます。ええ、破壊不能ほど頑強ではありませんので。明日か明後日にも出社してくると思います」
「お電話ありがとうございました、失礼いたします」
「はい、常盤木クリーチャー・キーワード・プロダクションです。お電話ありがとうございます、マリアが承ります」
「先制攻撃と警戒を両方ですか? 問題ありません。協力した実績は充分ございます。ほとんどは白になります」
「一緒に働いたときの話ですか? どちらも初期から所属しています。警戒がキーワードになったのは何年かあとになりますが。先制攻撃は本当にプロフェッショナルで、誰よりも先んじています。先制攻撃は他のどのキーワードとも問題なく働けます。ああ、1人だけ例外がいました、二段攻撃です。先制攻撃は二段攻撃のことをプロじゃないと言って毛嫌いしています。私見ですが、二段攻撃の経歴は先制攻撃の後を追っているようなものですから、これについては先制攻撃が間違っていると思います。これは聞かなかったことにしてくださいね」
《カザンドゥの刃の達人》 アート:Michael Komarck |
「警戒も誰とでもうまく働けます。警戒に何かを演じてもらったら、次の準備ができたころにはもう帰ってきていることでしょう。警戒は準備の重要性を理解して、いつでも一番効率的にするために手順を最適化する方法を考えています。この2人と働くのは本当におすすめですよ」
「2人の担当者は白のキーワードの専門家です。折り返し連絡するように申し伝えます」
「喜んでいただけて何よりです。お電話ありがとうございました、失礼いたします」
「はい、常盤木クリーチャー・キーワード・プロダクションです。お電話ありがとうございます、マリアが承ります」
「森渡りさんとの契約は終了しております」
「沼渡りさんもです」
「山渡りさんもです。はい、土地渡り兄弟みなさんの契約は終了しております」
「いいえ、彼らのことは弊社では伝説になっています。土地渡り兄弟は多大な功績を残しました。他のキーワード以上の部分もあります。平地渡りさんはともかく。兄弟が何度も採用されている中で、彼が採用された回数は片手で数えられるほどです。その中には銀枠が1回、白枠が1回ありました。ここだけの話、他の兄弟はそのことで彼をよくからかっていたんです」
「私が聞いたところでは、彼らは自分のことだけを考えて、他のことを無視していたからだそうです。クリーチャー・キーワード社会で重要なのは関わり合いです。土地渡り兄弟は関わり合いのことを考えもしませんでした。契約を終了するときは大変だったそうです」
「回避能力として充分なキーワードは揃っております。担当者に連絡して、要約をお送りしましょうか」
「はい、承りました。お電話ありがとうございました、失礼いたします」
「はい、常盤木クリーチャー・キーワード・プロダクションです。お電話ありがとうございます、マリアが承ります」
「え、もうそちらに? 速攻と契約なさった時に、速攻は本当に迅速で、迅速という表現では足りないぐらいだ、と説明を受けたと思います。弊社では彼のことを『超几帳面』と呼んでいます。パーティを開くとき、パーティの開始前に現れてテーブルを並べたり皿を出したりするのを手伝ってくれる人がいるでしょう。速攻は彼らより先に来て、彼らを招き入れるんです」
「水と席をお出しいただければ。速攻はとにかく早いのです」
「お電話ありがとうございました、失礼いたします」
「はい、常盤木クリーチャー・キーワード・プロダクションです。お電話ありがとうございます、マリアが承ります」
「あ、チェンさん。はい、食事休憩中の電話番をしていただけです」
「はい、その話です。私が電話の担当でないことはわかっています。コピー係ですから。私の仕事はコピーを取ることで、電話に応対することではないです」
「でも、昼休みの間中電話が鳴っているんですよ」
「自動応答じゃ味気ないじゃないですか」
「いえ、もちろんキーワードの話を顧客に漏らしたりしてません。規則違反ですよね。してませんって」
「わかりました、じゃあ、これから2週間お休みだって話はしてもいいですか」
「その後で、『霊気紛争』のプレビューが始まるって話はどうですか」
「どれもだめですか?」
「立派に受付係を務められるって見てほしかったんですけど」
「いつかは、です」
「その日まで、皆さんに良い休日が訪れますように。お電話ありがとうございました!」
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