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Mファイル『アモンケット』編・パート1
Mファイル『アモンケット』編・パート1
Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru
2017年5月5日
Mファイルへの回帰の時間がまたまたやってまいりました! 熱心な読者の皆さんはドレイク(以前はマルチバースと呼ばれていました)がマジックのカードを既に印刷されたものも、デザインの初期のものも、その間のものも全て記録するために使う社内のデータベースであるとご存知でしょう。デザイナーとデベロッパーの使命のひとつは、時折マルチバースのカードを訪れ、そしてコメントを残していくことです。1年前のファイルを振り返れば、デザインとデベロップの過程についての洞察と、そして少しの笑いを提供してくれます。あなたはこの記事でそのどちらも見ることができるでしょう。
各登場人物の顔をご覧になりたいなら、こちらをクリックするとコメンテーターの一覧が表示されます。
それではコメントを見ていきましょう。
《束縛のミイラ》
DGH: 明確にゾンビに恩恵を与えるコモンのクリーチャーが両方3マナなのは好みではない。これを軽くする。
MJJ: 《補給の隊商》と機能するようにこれを「してもよい」(と「対戦相手のコントロールする」を失わせる)にしたいのか?
DGH: ああ、そうする。
ID: なぜ複数出たらその分だけタップせずに「1体以上」なんだ?
DGH: これと組み合わせると3体ゾンビを生成することが《尻込み》になるようにしたいとは考えていない。
BH: そのすっきりしたバージョンとゾンビを3体生成することのシナジーは悪いようには見えないな。
DGH: より分かりやすくて強力なものに変更。
DGH: 2/1→2/2
TABAK: アーティファクトもタップできるようにしました。
さて、あなたはこのカードのかなり遅い時期に起こった変更に気づいたかもしれません――実際のところ、この変更は『カラデシュ』が出た後のことです。『アモンケット』のほぼ最後のテストを終えた後、我々はローテーション変更の決定を行い、そして『カラデシュ』がスタンダードでどれぐらい強力になるかが分かりました。
その結果、我々は『戦乱のゼンディカー』の6か月間の延長に対する安全な対処と『アモンケット』のアーティファクトに対するいくつかの使える回答を持たせるために『アモンケット』に遅い変更を加えました。それらの変更の結果の1つが、ゾンビデッキが既に対処するのにとても大変だった《キランの真意号》に対処するために《束縛のミイラ》の能力にアーティファクトのタップを追加したことでした。
これはスタンダードを実際に変化させるためのある種のシルバーバレットとして意図されたものではありませんが、将来――白黒ゾンビデッキがいつかスタンダードに出てきたとき――に少し影響を与えるかもしれない、小さな強さのかけらを加えました。
《結束のカルトーシュ》
TABAK: 「結束! んー......お前先にいけよ」
《結束のカルトーシュ》は結束して行動する能力を示した者に与えられる報酬であり、その者と行動したみんなに与えられるものではありません!
《威厳あるカラカル》
DGH: デザインのお気に入り。「猫は古代エジプトでは神聖なものだった。カジュアル・プレイヤーは猫・部族デッキを作るのが大好きだ。不遇な部族のロードを印刷する場所を見つけるのはデザインの目標の1つだ。我々はある種の猫のロードをこのセットに必要としていた。具体的なデザインは変えてもいい。」
MJJ: 《発明の天使》に似すぎてないか?
EEF: これが絆魂を与えるのにこれ自体が出すトークンが絆魂を持っているのは何だか変ですね。
GSV: EEFと同感だね。私はこれが出すトークンがこれが与えるのと同じキーワード能力を持たないことを期待している。
DGH: 変だというのには同意する。しかし整った部族を持つのに良い答えが私にはない。この猫・トークンが独立して絆魂を持っているのは好きなのだが。
変であることが常に間違いだとは限りません。今回の場合、『アモンケット』の猫の一部は絆魂を持っているので奇妙に見えますが、このカードの目的はマジックのより大きな枠組みの中で機能することであり、そして絆魂を与えることは本当に有益です。私はこの変なことについてプレイヤーからたくさん苦情を聞いていないので、デイブはこれをこのままにしたことについて正しい選択をしたと思います。
《ギデオンの介入》
DGH: 重要イベント5:終わりの時の兆し。
KEN: バブル・パワー!
DGH: 不朽ではないトークンがもらえないのは少し悲しいな。
ID: これはFFLですごく強そうだった。私はこれがアグレッシブなデッキで使われないようにしたい。軽減するのは自分と自分のコントロールするプレインズウォーカーだけにしてはどうだろうか。
ELI: 注目のストーリーの物語と矛盾が生じるかもしれないし、{3}{W}や{1}{W}{W}に変えるような別の変更で解決できないかな?
DGH: {2}{W}→{1}{W}{W}
DGH: 攻撃クリーチャーを守ったり全体除去から守ったりできないように「アンタップ状態」のを追加。
DGH: 瞬速を削るのと指定した名前から対象にならないのどちらかを提案する。
TABAK: 瞬速がなくなりましたが、DGHのリクエストで名前を指定したカードの対象にならなくなりました。
DGH: {2}{W}{W}にするべきだな。
TABAK: 仰せのままに。
TABAK: 指定した名前の呪文は唱えられなくなりました。後ろの2つの能力の順番を変えました。
最初これはフレイバーに富んだ注目のストーリーのカードでしたが、後から他の使いみちが見つかりました。これは最初デッキに《約束された終末、エムラクール》に対する回答を与えるために指定したカードの対象となること(そして最終的にはそのカードを唱えること)を防いでいました。その目標はコピーキャット・コンボを止めるためのものに変わりましたが、依然として人々に対処しにくい効果に対する優れたサイドボードを持たせることを可能にします。
《古代ガニ》
DGH: ここにカニはいるのか? 『ゲートウォッチの誓い』の再録。
TABAK: いるようになりましたね。
馬鹿馬鹿しい質問に見えるかもしれませんが、これはたくさん起こることです。我々はとても多くの次元を訪れるので、それらを区別する方法が必要になります。簡単な方法の1つは、その世界の生き物を変え、実際に出てくるクリーチャー変化させることです。たとえば、『アモンケット』にはゴブリンではなくジャッカルがいて、『カラデシュ』では代わりにグレムリンを使いました。
カニのいない世界というのは狂っているように思えるかもしれませんが、クリエイティブ・チームはカニがここでどんなものであるかというクールな回答を持っていなかったり、もしくは彼らがここで見せたい他の何かがあったりするかもしれません。幸運にも、カニはここで機能しました。グッジョブ、ミスターカニ!
《エイヴンの修練者》
BH: このカードは《幻影獣》よりも強く見える。
MJJ: そうだな。
DGH: ほとんどの調整箇所はこれを大きく弱体化させる。《マグマのしぶき》、他の追放除去、バウンスはどこかでこれを抑制する。問題があると判明すれば不朽を7マナにすることができる。これはトップ15のトップのスロットにはなっていない。
DGH: 不朽を6から7マナに。
《幻影獣》は「このカードは我々がコモンのクリーチャーに求めるものよりも強い」と我々が考える境界線です。《エイヴンの修練者》は《噛みつきドレイク》のままなら少し弱いのですが、不朽するととても強くなります。問題はどれだけ強いかです。我々の考えでは6マナの不朽は我々がこれに実際に求めているものよりも強く、7マナに上げることはこれをリミテッドのパワー・レベルの適正な位置に留めました。
《ヒエログリフの輝き》
EEF: 私はこれ好きです。4マナ2ドローの問題点は土地を掘りにいくために使えないことです。これは見事にその問題を解決していますね。
思った通り! これはとてもシンプルでエレガントなデザインです。
《謎めいた海蛇》
AP: エターナル・フォーマットでは強すぎる可能性が極めて高い。
DGH: エターナルを荒らさずにリミテッドで最もエキサイティングな数字は何だろうか? エターナルで何か仕事ができるならなお良い。
MJJ: 危険度(そして興奮度も)を下げるために{5}{U}{U}に。
ID: {U}{U}はすごく助けになって、他になにかリミテッドでできることがあるとは思わない。
DGH: {5}{U}{U}に変更。
《グルマグのアンコウ》のようなレガシーやヴィンテージで使われるカードをたまに作るときは良いと思いますが、しかし我々はそれらのフォーマットで最も効率的な脅威にならないよう気をつける必要があります。個人的にはこれが大きなリスクかどうかは分かりませんが、取るべきリスクではないと感じました。我々は最終的にある程度の可能性を残しながら、1マナ6/5にならないようにしました。
《多面相の侍臣》
DGH: レア投票で良かったので実際に機能するかどうか判断する必要があるな。
我々がセットを作る過程ですることの1つは、奈落の中や社内の多くの人々に全てのレアと神話レアを見せて彼らの意見を聞くことです。《多面相の侍臣》は好評でしたが、きちんとカードに収まらなかったり、その時点で我々が実行していた不朽のルールではうまく機能しない可能性がありました。我々はこれを維持したかったので、このカードは最終的にこのメカニズムための決定のいくつかを方向づけました。
《秘法の管理者》
EEF: 特に他のサイクリングを持つカードがある場合、私はこれをサイクリングするところは考えにくいです。
DGH: 私はこのカードにサイクリングがついてるのが好きで、大部分はレアを魅力的にするためにこのセットでカードを捨てるための最も適切な方法を「発見」する助けになる。また、時々構築フォーマットでサイクリングすることになるからだ。
KEN: RATE、これ好き!?
ID: このサイクリングは構築フォーマットでとても適切だ。リミテッドではこれを大体サイクリングしないというのには同意だ。
これは間違いなく(《排斥》のように)リミテッドではサイクリングしないはずですが、しかし構築では実際にサイクリングもされるカードです。我々は興味深い構築フォーマットでの対戦を作るために、リミテッドのプレイヤーが変に思っても何枚かこのようなカードをこのセットに入れたいと考えました。
《ドレイクの安息地》
DGH: 前回のプレイテストからの意見で誘発したときのコストを減らした。
AP: これは構築フォーマットで使われると想定しているの? そうなら程遠いよ。
DGH: 起動のマナをカット。レアに格上げ。
EEF: これはとてもクールなリミテッドでの軸になるカードですね。
DGH: 構築フォーマット向けカードにする。リミテッドではイカれたアンコモンだ。
TABAK: エリックによって{2}{U}から{1}{U}に。
TABAK: そして{2}{U}に戻します。 {1}{U}は無用なリスクです。
《ドレイクの安息地》は構築フォーマットのデッキを作るのに十分な強さがあるでしょうか? 判決はまだ下っていませんが、2マナのバージョンについて説明させてください......
《予言により》
DGH: 1ターンに呪文を1つだけ唱えられるように変更。
MJJ: 分かりやすくするために「1回」と書くべき?
BH: 素晴らしい!
ID: このセットの《一日のやり直し》だ。酷いところから壊れたところまでどこにでもなりうるから、しっかりテストするようにしよう! : )
DGH: 《瓶詰め脳》に似ているが......青い。
AP: 気分が良ければ《祖先の幻視》を唱えるだろうが、多分《均衡の復元》を唱えるだけだろうな。あと私はこれが機能するのはいつでもではなく各ターンの特定のポイント(アップキープがおすすめ)のほうがいいと思う。
不思議に思った人のために、我々はこれが《祖先の幻視》と機能することに気づいていましたが、それが環境を破壊するものではないと判断しました。結局のところ、これら『時のらせん』の0マナカードはモダンに存在し続け、全てにおいてそれらを避けることは我々にとって困難なのです。
《荷降ろし》
ID: 《精神腐敗》ファンクラブ会長として、この再録は大好きだ。
BH: 君が会長? 異議ありだ。
MJJ: お前ら議論する気か!? 多分今の政治についての議論よりは面白いだろう......
我々の周りにはたくさんの《精神腐敗》ファンがいます。私はイアンに投票します。
《野望の試練》
DGH: 構築フォーマットの縁取りのために2マナに下げるか?
TABAK: DGHのリクエストで「対象のプレイヤー」から「対象の対戦相手」に変更しました。ありがとうエムラクール。
我々が『アモンケット』に取り組んでいた時はまだ《約束された終末、エムラクール》が禁止されることになると知らなかったので、いくつかのカードは彼女によって完全に台無しにされないように「安全」な書式になっていました。
《スカラベの巣》
DGH: トップダウンのスカラベの穴だ。新しいカードの空間のためにいくつかのものを統合してみよう。
DGH: これ対《毒物の侍臣、ハパチラ》は注意し続ける必要がある。
DGH: 規模を広げるとこれは壊れるだろうか? もしそうならこれは適正なコストなのか、それとももっと低いコストで常に昆虫を1体だけ出す必要があるのか?
DGH: 反応を見るために新しい書式を試す、これは4枚のカードに使われる。
TJA: これは-1/-1が置かれて出てくるクリーチャーとか、対戦相手のクリーチャーに-1/-1カウンターを置く効果とかでで混乱しそうだ。見かけることになるんじゃないかな。
EEF: 必ずしもこれらのクリーチャーを+1/+1カウンターが置かれて出てくるクリーチャーと同じにする必要はないと思います。これらは戦場に出たときの誘発型能力でカウンターを得ることができます。
KEN: 《栄華の防衛》みたいにこれはループっぽいよね。
DGH: {3}{B}→{2}{B}
KEN: 《羽軸トゲ》《献身のドルイド》デッキが好きなプレイヤーに会ったことがあるので、この手のいたずらにはファンがいるよ。
セットの中に何かを「やっている」気分にさせるメカニズムと、それと相互作用があるカードが十分な数あるならばそれは本当に良いことであり、そして《スカラベの巣》は『アモンケット』にあるそんなカードの1枚です。あなたがそれを攻撃的に使っているか、もしくは-1/-1カウンターが置かれて出てくるクリーチャーを使うだけでも《スカラベの巣》から多くの恩恵を得ることができます。
《葬送の影》
EEF: デザインのお気に入り。「ジョニー向けのとても魅力的なデザインです。私はその人たちがこれで面白いことを見つけると思いますが、これは時にはセットから没になってしまうような変なカードです。これを守ってみてください、お願いします。」
ELI: これはサイクリングとは機能しないね。「もしくはあなたがこのターンに呪文を唱えるためか能力を起動するために捨てたカード」ってつけたい?
DGH: その文はつけたくないがサイクリングと機能はさせたいので、意図はしないがカードを捨てるのに対して役立つバージョンを試してみる。前もって唱えるためには{1}{B}にするべきだろうか?
DGH: {1}{B}に変更。
DGH: マッドネスと組み合わせるといくつか問題が出てきた。TABAKは400.7の範囲で可能な解決方法を述べている。大丈夫か?
TJA: 「追放領域からあなたの墓地に置かれる」を加えると何が壊れる? このセットの背景からは少し外れて見えるが機能的だ。
DGH: 我々のやるべきことをやろう。: (
TJA: ルールをちょっと変更する前提で変な書式を元に戻す。必要ならばまた訪れるだろう。
最終的に我々はこれがマッドネスと機能しないようにしましたが、このカードはジョニーがクールなことをする機会を作り出すという意図した目標を達成しています。スタンダードでは《首絞め》以外には限られたものしかありませんが、より広いマジックの世界には本当にこのカードを「壊す」ものがたくさんあります。たとえば《スカージの使い魔》で大量のマナを得て、そのために使ったカードを全部戻したりさらにマナを得ることができます。《Wheel of Fortune》で捨てたカードを取り戻すことなどもできます。
今週はここまでです。来週はMファイル『アモンケット』編パート2で、赤、緑、金色、無色のカードを見ていきます。
それではまた来週お会いしましょう。
サムより (@samstod)
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