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スタンダードでの『アモンケット』

スタンダードでの『アモンケット』
Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru
2017年4月7日
こんにちは、そして「Latest Developments -デベロップ最先端-」へようこそ! 我々は『アモンケット』プレビュー・シーズンの真っ最中であり、そして私はこのセットのカードに対する反応を見るのが大好きです。私は人々がスタンダードを見てどのようなマナ基盤があるのかを知るために、プレビュー・シーズンが完全に始まる前にサイクリング2色土地をプレビューする機会を得られたことをとてもうれしく思っています。
『アモンケット』は本当にクールな世界で、私個人としてはエジプトをテーマとした物事を本当に満喫しています。私は初期のデザイン・チームにいて、古代エジプトの様々な神話や文化を探査するのは楽しいことであり、それらは私が知っていると思っていたものとは違うことがよくありました――私の知識のほとんどはポップ・カルチャーや小学校の本によるものです。世界構築チームがこのような切れ端のようなものをなんとかするところや、彼らが、なんとかして新しく親しみのある世界を作る方法を見るのは常に素晴らしいことです。それと全ての猫を。
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《聖なる猫》 アート:Zezhou Chen |
私はここで全ての猫について話したいだけ話すことができるわけではありません。ここでは『アモンケット』のより広い背景について――それがスタンダードに与える影響についてお話しします。
『アモンケット』があるスタンダード
セットとしての『アモンケット』はスタンダードの中で『カラデシュ』と大きく異なった立ち位置にあります。『カラデシュ』のメインとなるメカニズム(エネルギーと機体)はデッキ構築にかなりの制約を加えますが、『アモンケット』のメカニズムはそうではありません。確かに、《永遠の見守り》を使って毎ターン督励するようにすることもできますが、全体的には『アモンケット』のメカニズムがデッキ構築に要求するものは、『カラデシュ』やもしくは『イニストラードを覆う影』よりもはるかに少ないのです。
たとえば、サイクリングは昂揚と噛み合うように意図されていますが、単にサイドボード向けのカードをメインデッキに入れておいて、使えない対戦ではそれをサイクリングするということもできます。基本的にどんなデッキでも両方の面を唱えられるなら余波カードのうち1枚を使うことができ、それらを機能させるために余波デッキを組む必要はありません。あなたがイマイチ何かが足りないデッキを持っているなら、『アモンケット』はそれに欠けているものを持っているかもしれません。
全体的に、私は人々に構築フォーマットでの幅広い手段を実際に全てのフォーマットで提供する、『アモンケット』のようなセットが大好きです。フォーマットを問わず『アモンケット』のカードが入らない既存のデッキを見つけるのは困難でしょう。ここにはとても多くのものがあり、幅広い多様性があります。道具箱はすべての選択肢をもたらしてくれるので楽しく、そして『アモンケット』はメインデッキとサイドボードに多くの選択肢をもたらし、うまくいけばある意味でこのフォーマットを少し突き破ってくれるでしょう。
これは『アモンケット』がスタンダードに3か月前には存在し得なかった新しいデッキの足場を提供しないということではありません。サイクリング・デッキや不朽デッキ、督励デッキを作る道具があります――しかしそれらのカードの効果を最大限に運用するのに必要な量は、エネルギーやアーティファクト関連のテーマのカードと同じではありません。『テーロス』と同じように、神々はデッキ構築の際にある程度意識する必要がありますが、既存のデッキに少し手を加えたものの多くに適応させることができます。
たとえば、赤黒マッドネスはスタンダードで二流のデッキですが、多分《熱烈の神ハゾレト》の入る余地を見つけられます。碑はコスト軽減とその色の呪文を唱えたときの能力を最大限に活かすために適切な方法でデッキを伸ばせば、とても強力なものになりえます――そしてそれはアーティファクトをプレイする数が少なくなるということでもあります。
これら全てに加えて、『アモンケット』は副次的な利点を持つ有用性の高い呪文をもたらすという点において、スタンダードで素晴らしい事柄を行っています。それらのうちいくつかは余波カードですが、サイクリングにもその性質が強く存在します。確かに《排斥》は多くの場合《払拭の光》よりも弱いのですが、瞬速とサイクリングを持っているのでこれが必要なときに最大限に活かしたり、別の答えが必要なときにサイクリングしたりすることができます。
サイクリングによって我々ができるようになった素晴らしい物事の1つは、サイドボードで使われる――メタゲームがまさにそれを必要としているところまで来た場合にはメインデッキにさえ入れられる――とても用途が狭いカードを作ることです。今日のプレビュー・カードはその典型です。

サイドボードの選択肢
過去6か月を振り返ってみると、スタンダードには環境の強力なテーマの多くに対する十分に強力な対策カードが欠けていたように思われます。墓地やアーティファクトには対処するための選択肢がもっとあるべきで、選択肢はさまざまなデッキに適合するべきでした。
《造反者の解放》は世界で最もエキサイティングなカードというわけではないかもしれませんが、とても重要な役割を果たしてくれます。これはいくつかのカードに対しては基本的に《自然廃退》に少し劣りますが、他の何かが必要な場合、これを簡単にサイクリングできる能力で補っています。たとえば、対戦相手があなたを倒そうとしていてまさに《燻蒸》を引かなければならないなら? あなたは《造反者の解放》をサイクリングできます。 土地が置けないなら? いつでも《造反者の解放》をサイクリングできます。
ほとんど全ての環境でできる、普通の「これこそがサイドボード用カードの動きだ」というようなものだけでなく、我々はサイクリングによって実際にメインデッキでプレイされるサイドボード・カードを作ることができます。
ええ、普通の環境では《造反者の解放》をメインデッキに入れたりはしません。しかしその環境がこれを使うべきものであれば(『霊気紛争』スタンダード環境はそうです)、緑を使いたいデッキの多くにかなり簡単に入ります。最悪のシナリオでは、でこれをサイクリングすることではゲームが大きく不利になることはありません。我々はこのカードを何があっても常にメインデッキに入れるほど強くしたくはなかったのでコストは現実的なものになっていますが、私は今後のメタゲームが今と同じままになるのであれば、ほとんど全ての緑のデッキがこれをメインデッキに入れると考えています。
さまざまな理由から私が個人的に思うマジックのメカニズムベスト4は、フラッシュバック、キッカー、サイクリング、両面カードです。両面カードは物語を伝えることと新しいカードをデザインすることにおいて素晴らしく、フラッシュバックは我々に良くバランスの取れたカードを可能にしつつ人々に楽しい量の価値を与える素敵なメカニズムであり、キッカーはとてもきれいな方法でカードに興味深い強化を可能にします。サイクリングは物語を伝える面やマナ・フラッドを緩和する面では他のものほどきれいではありませんが、カードの回転と、異なる種類のカードをデッキに入れることに関して多くのとても良い選択肢をもたらします。
『ウルザズ・サーガ』ではサイクリングの持ちうる可能性を探求しておらず、1種類のコストしかなくサイクリングしたときの誘発型能力もありませんでしたが、興味深いデッキ構築上の決定のためにどんな種類のカードにサイクリングをつけるかは分かっていました。
これらのカードの全てが最も楽しいものではありませんが、正しいアイデアです。サイドボード用カードはマジックのトーナメントをより良いものにする傾向にありますが、我々は「それを引いた」か「引かなかった」で決まるようなゲームプレイは好みません。十分に強いサイドボード用カードがないことのリスクは、特定の戦略を嫌う人々にとってはプレイする価値のあるものがなくなることです。
我々は『アモンケット』が発売される前から対策されることに慎重すぎたため、過去6か月で墓地対策を少ししかしませんでした。このような類のカードにサイクリングをつけることは、かなり弱くてもまだデッキリストに見かけられるような対策カードを作る本当に良い方法です。
しかしながら、そうすることが唯一の方法ではありません。我々は確実にスタンダードのサイドボード用カードの質を改善するさまざまな方法を検討していて、そして『アモンケット』にはその助けとなるはずのカードが何枚か収録されています。
今回はここまでです。次回はさらなる『アモンケット』についての話をして、セットの全てが公開されます。
それではまた次回お会いしましょう。
サムより (@samstod)
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