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『カラデシュ』にエネルギーを注入する

『カラデシュ』にエネルギーを注入する
Sam Stoddard / Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru
2016年9月16日
こんにちは、そして「Latest Developments」にようこそ。ここから先に進む前に、少し時間を使って『カラデシュ』の全カードが掲載されたカードイメージギャラリーを見ておくことをおすすめします。
私はあなたが知らないであろうカードについて話すことになりますが、何がこのセットに入っているかを知っていると理解しやすくなります。カードを見終わったら、戻ってきてエネルギーについての話を始めましょう。
エネルギーは最初『ミラディン』で作られたメカニズムでした――そのセットはこのメカニズムが必要ないぐらいに十分なものが揃っていました。マローは過去10年ぐらい定期的にこのメカニズムをセットに収録しようとしましたが、さまざまな理由でうまくいきませんでした。『カラデシュ』は彼がこれを本当に機能させると決めて断固として譲らなかったセットでした。幸い、過去10年の間に我々は工程の多くを改善して人数も増えたので、これを機能させる方法を発見する良い機会になりました。
もちろん、これは簡単なものなどではありませんでした。大きな問題のひとつは、デザインのプレイテストの初期に見つかりました――デザイナーとデベロッパーではこのメカニズムの使い方が大きく異なったのです。デザイナーはエネルギーを供給するカードを使い、それらを小さな利益を得るときに興味深い決定がなされるようにしようとした一方で、デベロッパーは必然的にエネルギーを貯めて1つのことに――基本的に一番効率の良いことに――全部使うまで待ったのです。問題は攻撃クリーチャー1体を《ジャンプ》させるためにエネルギー1個は見合う「かもしれない」のですが、ゲーム後半まで待てばより大きな見返りを得られることでした。
エネルギーの価値基準
人々にエネルギーを貯めさせないようにする鍵は、エネルギーを効果の観点から盤面に関わらず同じぐらいの価値にすることでした。エネルギーの供給手段は異なるパワー・レベルになるかもしれませんが、エネルギーの出力は依然として同じレベルであり続ける必要がありました。このことは人々にエネルギーをゲーム後半まで貯めさせないように促します。デベロップがこれらの効果のバランスを取ろうとするのに際して、我々はすぐにひとつの問題に直面しました。適正なパワー・レベルの効果の数が全くもって十分でなかったのです。我々は機能するさまざまなコモンやアンコモンを作れたかもしれませんが、その後他にもすることがありました。そしてそれら全てを機能させるには問題があったのです。
その問題の一部はエネルギーに十分な細かさがないことでした。ほとんどのエネルギー供給手段で得られるエネルギー・カウンターは1個か2個で、そして消費もほとんどが1個か2個でした。これらの選択肢しかないときにバランスの取れた十分な多様性を得ることは困難です。またこれはエネルギーを3つ使うような1つの効果は、とても強力であるということになります。その結果繰り返しエネルギーを生み出すカードはどんなものでも信じられないぐらい強力でした。
デヴァインとデベロップの最初の部分のリード・デベロッパーだったエリック・ラウアー/Erik Lauerはを発生させて
を消費するカードをそのままに、しかしカード単体の強さをより良いバランスにするために
を発生させて
を消費するカードを作ることもできるようにするため、基本的にエネルギーの発生量を倍にすることにしました。
を発生させて
だけを使うカードはそれらの小さな効果を使い続けることはとても簡単であるということを意味します。しかし数字の大きなこれら両方のカードがあってもバランスは依然として保たれています。基本的に、これらの種類の数字を使えるようになったことで、我々は『カラデシュ』と『霊気紛争』の両方のカードを作ることができると感じた十分に多い種類のエネルギーを見つけました。
エネルギーをリミテッドで楽しいものにする
我々が何か新しいことをするとき、最初の目標はそれをリミテッドで機能するようにすることです。突き詰めると、リミテッドは我々ウィザーズが最もコントロールしている環境であり、その結果メカニズムが最も目立つ可能性が高い環境です。もし我々が何かをリミテッドで機能させられないとして、それがコモンに見られるものであると仮定するならば、すでに機能しているメカニズムと比較したときに現実世界で実際に機能する可能性は極めて低いものになります。したがって、初期のデザインとデベロップ過程のほとんどはメカニズムをリミテッドで機能して楽しいものにすることに費やされます。
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《通電の喧嘩屋》 アート:Raymond Swanland |
エネルギーをリミテッドで楽しくするための最初の部分は、興味深い決定を行える異なる種類のカードを作ることで解決されました。《亢進する亀》や《亢進するサイ》のような、少し退屈かもしれませんが実用的なものを我々は大量に必要としました。これらのカードを手に入れると、《改革派の霊気砲手》や《革新の時代》、《つむじ風の巨匠》のようなより便利なカードを集め始めます。基本的に、我々はこのセットの中で、あるカードが強いからエネルギーを使うだけのデッキと、エネルギーの生産に努力して幅広いエネルギー消費方法があるデッキの間の異なった戦略が十分散らばっていることを必要としました。
《通電の喧嘩屋》はエネルギーをリソースに変換する最高の手段の1つです。しかし攻撃しなければならないので、《静電気式打撃体》と同じ方法でエネルギーを貯めることはできません。エネルギーをリミテッドで機能させるということは、我々はそれぞれを少しずつ必要としたことを意味します。我々は平均的なリミテッドのプレイヤーがいくらかのエネルギーを自分のデッキに入れ、しかし全てのデッキでは焦点を当てないようにしたいと考えました。
同時に、いくらかの人々が彼らのエネルギー・デッキを深く掘り下げ、《シャイラ専有地の賢者》や《織木師の組細工》のようなカードを入れてほしいと考えています。『イニストラードを覆う影』リミテッドのほとんどすべてのデッキに何枚かの昂揚カードを入れることもでき、しかし実際に高速で昂揚することに焦点を当てたデッキを作ることができるのとよく似ています。我々は同じような類の戦略をエネルギーで機能させたいと考えています。
足場ができたなら、今度は微調整してバランスを取る段階です。
我々がと
と
のコストでバランスをとるのと同じように、我々は
と
のコストの違いをつけるのではなく誘発型能力にすることでバランスを取りました。我々は攻撃するデッキか、ひっくり返したいものかどちらのデッキでそれが最も良いのかを決定するために似たような起動型能力を使いました。もしくはデッキに適正なバランスを見つけるためだけに使いました。
結局、私はあなたがエネルギーを全て楽しんでくれると考えています。リミテッドではこれはマローがエネルギーをメカニズムとして投げたときに狙っていたゲームプレイのばらつきを作り出します。そして構築フォーマットでは......ええ、それを説明させてください。
エネルギーを構築で機能させる
エネルギーは間違いなくとても寄生的なメカニズムです。我々は寄生的なメカニズムとは愛憎入り混じった関係にあります。これらは正確に機能したときは(そしてリミテッドでは)とても楽しくて斬新なのですが、構築フォーマットではよく苦労しています。我々は主軸的なものを推しすぎることを懸念しています。主軸的なテーマは他のセットにそれらと相性のいいカードが基本的に含まれていないので、スタンダードの他のセットを苦境に追いやることがあります。
幸い、エネルギーは多少主軸的ですが、使えるエネルギーのカードが多いと飛躍的に強くなるメカニズムではありません。我々がプレイできた、ある程度のレベルの利益の減少が存在するだけです。全体として、我々はエネルギーを使うカードを、簡単に無限マナでパンプできるカードとは対照的に、タップや誘発型能力のように扱うようにしました。
生み出したエネルギーを自己完結させるカードをある程度の数作らなければバランスを取ることは難しいと、我々は分かっていました。というわけで我々は多くの「いくらか自己完結したカード」を作りました。我々はすでにそれがリミテッドで多くの仕事をするように計画していましたが、構築フォーマットで機能させるにはもう少し足を伸ばす必要がありました。我々は人々に機能させてみようと思わせるために、他からのエネルギーがなくてもそれ自体が十分に強いカードを必要としました。
人々がこれらのカードをデッキに入れると、もう少しエネルギーを生み出すカードを入れる余地が出てきます。このようなカードはデッキにエネルギーを入れていない場合ちょっと弱すぎるかもしれません。しかしこれらはエネルギーで何かをしようとするデッキでは(最善ではなくとも)良い選択になります。
我々が新しいセットに求めることのひとつは、新しいセットが出たときに人々のデッキを新しいことを行うことで独自性を持たせることです。ローテーションはその助けになりますが、新しいセットに入っているカードは物事を新しい方向へ進める実際の影響力を持っています。
エネルギーもそうです......あなたのデッキにエネルギーのカードが1枚しか入っていないのでなければですが。2枚以上入っていれば、あなたは興味深い新たな領域へと足を踏み入れます。あなたはあなたのエネルギーをどのカードに使えば最大限に活かせるか選ぶことができ、興味深い選択をできるようになります。ある時点でエネルギーを生み出すことを第1目標として突き進み、《霊気池の驚異》のようなカードでクールなことができます。こういったデッキの多様性は、エネルギーを皆が同じことをしようとしているこのフォーマットの大きな要素という雰囲気を減らし、そうではなく意図されたとおりに新しいリソースにします。
今週はここまでです。来週は製造についてのお話をしようと思います。
それではまた来週お会いしましょう。
サムより (@samstod)
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