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翻訳記事その他
『ドミナリア』のメカニズム
2018年3月21日
プレインズウォーカーの皆さん、グッド・ニュースです! イクサランでは物事がうまく運ばなかったかもしれませんが、とにかく皆さんは無事にこの次元を脱しました。これで合流地点へ向かえますね。集合場所はドミナリア――多元宇宙の開闢以来多くの物語の舞台となってきたこの次元をおいて他にありません。愛すべきマジックの25周年を飾る舞台としてこの上なくふさわしい、すべての始まりの地です。ドミナリアは、仲間や敵、そしてよく知られた話や未知なる話で一杯の伝説の次元です。ドミナリアを再訪する私たちの前には、過去と現在をつなぐ新たなメカニズムが待っています。
皆さん、おかえりなさい。
英雄譚
物語は、ケルドの山々と同様にドミナリアの代表的な風景です。戦争、侵略、かの有名な兄弟......ドミナリアには古今東西あらゆる物語が詰まっているのです。「英雄譚」は、そういった物語を見事な形でカードへ収めた新たなエンチャント・タイプです。未来人がいない限り、皆さんも初めて見る形でしょう。ですがこの次元では珍しいものじゃありません。
英雄譚にはそれぞれ3つの章があり、それぞれⅠ、Ⅱ、Ⅲのシンボルで表現されます。各章はそれぞれ対応する効果を持ちます。《ケルドの炎》のⅠの章能力の効果は「あなたの手札を捨てる」。もちろん物語の先は明るいものです。英雄譚の中には、複数の章が同じ効果を持っているものもあります。その場合は同じ効果が複数回書かれるのではなく、章を表すシンボルが対応する効果の部分にまとめられています。
それぞれの章の効果は、「伝承カウンター」によって引き起こされます。英雄譚は伝承カウンターが1個置かれた状態で戦場に出ます。戦場に出てから後では、あなたの第1メイン・フェイズの開始時に伝承カウンターを1個加えます。これはスタックを用いません。あなたのドロー・ステップの直後、あなたがクリーチャーやソーサリーなどの呪文を唱えられるようになる前に行われます。では伝承カウンターはどのように機能するのでしょう? 各章の章シンボルとその後に書かれた効果で、誘発型能力を表します。伝承カウンターが英雄譚に置かれたとき、その英雄譚に置かれている伝承カウンターの数を参照します。そして伝承カウンターの個数が各章の章番号の数以上になったとき、効果が誘発するのです。最後の章能力がスタックを離れたら、あなたはその英雄譚を生け贄に捧げます。なお『ドミナリア』で登場する英雄譚は、すべてⅢが最後の章です。最後の章能力がスタックを離れるのは大抵の場合解決されたときですが、打ち消しやその他の方法でスタックを離れることもあるでしょう。方法は何であれ、最後の章能力がスタック上からなくなった時点で、あなたはその英雄譚を生け贄に捧げます。これは状況起因処理です。
例を見てみましょう。もとい、読んでみましょう。《ケルドの炎》は伝承カウンターが1個置かれた状態で戦場に出るので、Ⅰの章能力が誘発します。その能力が解決されたら、あなたは手札を捨てます。《ケルドの炎》が戦場に出るのは大抵あなたのメイン・フェイズでしょうから、そのターンに起こることはそれで終わりです。次のターン、あなたの第1メイン・フェイズの最初に、《ケルドの炎》の上に伝承カウンターを1個置きます。これで伝承カウンターの数は2個になり、Ⅱの章能力が誘発します。その能力が解決されたら、あなたはカードを2枚引きます。(ほらね?「物語の先は明るいものです」って言ったでしょう?)さらに次のターン、あなたは《ケルドの炎》の上に3個目の伝承カウンターを置き、このターンに与えるダメージを増やせます。きっとターンを楽しく過ごせるでしょう。そして最後の章能力が解決されたら、あなたは《ケルドの炎》を生け贄に捧げます。実に詩的ですね。
第1メイン・フェイズの開始時に伝承カウンターを加えるのは強制です。伝承カウンターを置かないことを選び、物語を長引かせることはできません。それから、伝承カウンターを置くことはスタックを用いませんが、章能力はスタックに置かれることを覚えておいてください。なので章能力に対応して何かすることはできます。また、ひとたび章能力が誘発すれば、その後その英雄譚の上の伝承カウンターが増減しても誘発した能力に影響はありません。英雄譚の上から伝承カウンターを取り除く手段を見つけても、誘発した能力には干渉できないのです。しかし伝承カウンターを取り除くことができれば、また次に伝承カウンターを置いたときに対応する章能力が再び誘発します。ただし、伝承カウンターを2個から1個に減らしても、その時点でⅠの章能力は誘発しません。その後伝承カウンターが置かれたときに、Ⅱの章能力が誘発します。
珍しいケースですが、複数の伝承カウンターが同時に英雄譚に置かれる場合があるかもしれません。例えば《倍増の季節》のようなカードの影響下で起こり得ます。その場合は、最初がどの章で最後がどの章だったかを確認してください。終わりの章を含め、その間にある章能力がすべて誘発します。例えばあなたが《倍増の季節》をコントロールしている状態で《ケルドの炎》を戦場に出す場合、伝承カウンターが2個置かれた状態で戦場に出ます。するとⅠとⅡの章能力が誘発し、あなたはそれらを好きな順番でスタックに置くことができます。(もちろん、あなたの手札を捨てる能力の上にカードを2枚引く能力を置くのはおすすめしません。それでも決めるのはあなたです。)次のターンは伝承カウンターをもう1個置きます。(これはターン起因処理であり、《倍増の季節》の影響を受けません。)これでⅢの章能力が誘発します。この章能力がスタックを離れたら、あなたは《ケルドの炎》を生け贄に捧げます。
以上で英雄譚の話は終わりです。
歴史的
皆さん、ちょうどいいときにドミナリアを訪れましたね。この次元は終わりが見えないほどの災厄に晒されたのち、一気に修復されました。遺跡や秘宝、そして住民たちは見覚えのあるものばかりでしょう。しかし世界には新時代のリーダーもいて、また新たな運命が動き出すのです。それらを表現するために、『ドミナリア』では新たなゲーム上の用語が登場します。それが「歴史的」です。歴史的は、アーティファクト、伝説のという特殊タイプ、そして英雄譚をまとめて示す用語です。
《セラの信奉者》の能力のように、歴史的な呪文を唱えたことを参照する能力は、あなたがアーティファクト・呪文か伝説の呪文か英雄譚を唱えるたびに機能します。ただし土地は呪文でないため、伝説の土地(やアーティファクト・土地)をプレイしても《セラの信奉者》の能力は誘発しません。しかし伝説の土地も歴史的なので、《コイロスの守護者》で手札に戻せます。
キッカー
そろそろキッカーで遊びたい? 遊べます。「キッカー」が戻ってくるのです。最も人気を集めた能力のひとつであるキッカーは、この能力を持つカードに柔軟性を与えます。その効果は「コストを支払えばより良くなる」というシンプルなものです。キッカーは任意で支払える追加コストです。キッカーを持つ呪文を唱える場合、あなたはその呪文の本来のマナ・コストを支払って通常の効果を得ることも選択できます。そしてマナに余裕があるなら、本来のマナ・コストに加えてキッカー・コストも支払うことでその呪文を「キッカーされた」状態にできるのです。キッカーは呪文を強化し、その効果はさまざまです。実際に見てみましょう。
《アカデミーのドレイク》のようなカードは実にシンプルです。{2}{U}を支払えば、2/2の飛行持ちが手に入ります。これも悪くはないですね。しかしゲーム後半でもっと盤面に影響を与えたいなら、{6}{U}を支払い4/4の飛行持ちで乗り込みましょう。キッカー・コストは1度しか支払えません。{4}を何度も支払って+1/+1カウンターをいくつも置くことはできないのです。
《ケルドの軍監》のように、キッカーされていた場合に誘発する戦場に出たときの能力を持つクリーチャーもあります。あなたは《ケルドの軍監》のキッカー・コストを支払わないことを選んだ場合、クリーチャーは手に入りますが能力は誘発しません。
それから、インスタントやソーサリーもキッカーを持つことがあります。インスタントやソーサリーをキッカーすると、追加の効果が得られるでしょう。《苗木の移牧》のように、キッカーされるとその効果が強化されるものもあります。「代わりに」という言葉に注目してください。これが書かれたものは、追加の効果を得るのではなく効果が置き換わります。
キッカー・コストはマナ以外の場合もあります。《不純な捧げ物》の場合は、クリーチャーを1体生け贄に捧げることがキッカー・コストになります。(キッカーされた《ケルドの軍監》で借りたクリーチャーを生け贄に捧げるというのはどうです?)キッカー・コストの支払いは、その呪文の他のコストの支払いと同時に行います――呪文のプレイを宣言したタイミングであり、対戦相手が対応して何かできるようになる前です。だから《不純な捧げ物》が打ち消された場合、支払ったマナが返ってこないのと同様に生け贄に捧げたクリーチャーも返ってきません。
伝説のソーサリー
ドミナリアを探索していれば必ず、この地は伝説に満ちていることに気づくでしょう。そしてその名を冠する『ドミナリア』には、「伝説の」の特殊タイプが満載です。「伝説の」は長らくパーマネントのものでした。しかし『ドミナリア』に至った私たちは、ついにこの特殊タイプをソーサリーに与えるときが来たと考えました。『ドミナリア』には、史上初の「伝説のソーサリー」が収録されます。
これまで「伝説の」は、プレイヤーがコントロールするパーマネントの扱いを決めるものでした。ソーサリーが戦場に出ることはありません。では「伝説のソーサリー」とは? 手始めに、盛り上がっていただきましょう。《ウルザの殲滅破》をご覧ください。
伝説のソーサリーは、あなたが伝説のクリーチャーか伝説のプレインズウォーカーをコントロールしているときにのみ唱えられます。伝説のソーサリーが唱えられた後で、そのクリーチャーやプレインズウォーカーがどうなっても影響はありません。その呪文を唱える時点で必要なだけです。唱える際に少し助けが必要なだけで、他に制限はありません。1ターンの間に何回でも唱えられますし、同じ名前のものでも大丈夫です。
新たに登場する伝説のソーサリーを含めて伝説のカードを示す豪華なカード枠に、皆さんもお気づきでしょう。今回のカード枠の更新で、それらはぐっと見分けやすくなります。新たなカード枠についての詳細やマジックのカードに加えられるその他の変更につきましては、アーロン・フォーサイス/Aaron Forsytheによるこちらの記事をご確認ください。
~からの呪禁
『ドミナリア』では、既存のメカニズムである「呪禁」を微調整したものが登場します。崇敬すべき《善意の騎士》をご紹介しましょう。
「騎士」の血統たる《善意の騎士》は、黎明期の神聖なる《白騎士》を思い起こさせます。「黒からの呪禁」とはつまり、《善意の騎士》は対戦相手がコントロールしている黒の呪文の対象にならないということです。また、対戦相手がコントロールしている黒の発生源からの能力の対象にもなりません。ただし対象を取らない呪文や能力は、《善意の騎士》にも効果を発揮します。例えば「すべてのクリーチャーは-5/-5の修整を受ける」という効果の黒の呪文は《善意の騎士》にも効き、《善意の騎士》は墓地へ送られることになるのです。
始まりの地へ
マジックを始めて25日の方にとっても25年の方にとっても、『ドミナリア』はマジックのこれまでとこれからを祝うセットです。ぜひこの地に残る物語を学び、道中出会った伝説の英雄たちと手を取り合い、新たな武器を探し、戦いに備えてください。おぼろげながら、巨悪の角は地平線のかなたに見えています。
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