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面晶体の連結

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面晶体の連結

Bruce Richard / Tr. Tetsuya Yabuki / TSV Yusuke Yoshikawa

2016年1月6日


 ここで担当するプレビュー・カードと最初に出会ったとき、僕は思わず頭を抱えてしまったよ。そいつはあまりに何でもできすぎて、その真価を見出すのに本当に苦労した。まさに「木を隠すなら森の中」だね。僕はそのカードを細かく分析するまで、その素晴らしさに気づけなかった。そいつは僕たちの中の「スパイク」的な部分にも「ジョニー」的な部分にも訴えかける1枚なんだ。

 それじゃあ早速......

「スパイク」的な部分

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 「スパイク」的な視点から見れば、《面晶体の連結》は3マナのエンチャントであり、2マナで繰り返し占術を行える。繰り返し占術を行える、というのは実に珍しいね。占術は一度きりのものが多い。『テーロス』ブロックの「神殿」が戦場に出たときに誘発する能力もそうだし、インスタントやソーサリーのおまけとして付いてくるときもそうだ。

 パーマネントとして戦場に残るものでも、攻撃やタップが必要になる場合が多い。《水晶球》は素晴らしい占術カードだけれど、これだってアンタップする手段が他になければ1ターンに1回という制限がある。《臓物の予見者》や《地下墓地の選別者》ならクリーチャーを生け贄に捧げることで占術ができ、大量のカードを掘り進められるものの、ガッツリ占術するためにはそれらに合ったデッキが必要だ。

 《面晶体の連結》と比較するなら、《プリズム結界》や《ケラノスの嵐呼び》が最適かな。それらと照らし合わせれば、このカードの良さに気づくはずさ。《プリズム結界》は占術を行うのに5色すべての色のマナが必要になる。《ケラノスの嵐呼び》は赤のカードでありながら占術を行うために青マナが必要になり、2/2のクリーチャーであり除去耐性が低い。

 《面晶体の連結》は、最も破壊しにくいパーマネントであるエンチャントだ。大抵のデッキは、エンチャントに対処する手段をわずかしか持たない。《面晶体の連結》はさらに呪禁も持っているため、戦場に出ればどこかへ行ってしまうことはほぼないだろう。

 さて、今回は《面晶体の連結》が活躍できるデッキについて考えるから、一見このカードが必要なさそうなデッキも含めて広く見てみよう。

 《面晶体の連結》を歓迎するカードは青以外にもある。《ケラル砦の修道院長》で追放するカードを占術によって知ることができるのはうれしいし、繰り出したときの状況に応じて役立つカードを探し出せる可能性が上がるというのも素晴らしいね。めくれるカードは運任せより、前もって知っておいた方がいいよね?《面晶体の連結》を用いれば、《ケラル砦の修道院長》からさらにクリーチャーをめくる動きが実現しやすくなるんだ。それから、《卓絶のナーセット》の[+1]能力で欲しいカードを引き当てる可能性も高まるね!

 このようにスタンダードで楽しめる使い方もたくさんあるけれど、僕としてはカジュアル・プレイで楽しめる使い方も考えてみたいな。《理想の調停者》と組み合わせるとか素敵じゃないか。エンチャントやインスタント、そしてソーサリーを占術でライブラリーの下へ送ってやれば、タダで毎ターン戦場にパーマネントを繰り出せるんだ。他にも、ライブラリーの一番上を参照するカードなら何でも、繰り返し占術ができる《面晶体の連結》との相性は抜群だ。《秘密を掘り下げる者》は言うまでもないと思うけれど、じゃあ「族系」を持つカードは?《願いのジン》や《末裔の道》と組み合わせるのはどうだろう?《面晶体の連結》によって効果が高まる素敵なカードは本当にたくさんあるんだ。

「ジョニー」的な部分

 このカードがしっかりした頼りになるもので「スパイク」的にうれしいのは間違いないけれど、「ジョニー」的にはもっと刺激が欲しいよね。よし、カード・テキストの残りの部分を見てくれ。

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 よっしゃ!

 統率者戦プレイヤーから「よっしゃ!」って聞こえないのは仕方ないかな。このカードをコピーして統率者戦でも条件を満たす方法があるかもしれないけれど、それは真の「超ジョニー」にお任せすることにしよう。とはいえ勝利条件の部分が使えなくとも、繰り返し占術ができる3マナのパーマネントはきっと統率者戦で活躍できるはずだ。統率者戦で《師範の占い独楽》や《水晶球》を使っているプレイヤーは多いよね。《面晶体の連結》は、マナを注ぎ込めばそれらよりもっと深くライブラリーを掘り進めることができるんだ。今このカードを見て「よっしゃ!」って言わなかった人も、ぜひデッキに加えてその良さを確かめてほしい。

 それから、《クルフィックスの預言者》と組み合わせたときのことを想像してみてくれ!《クルフィックスの預言者》を用いたとんでもないデッキにおいて、マナの注ぎ込み先として《面晶体の連結》が大活躍するところが思い浮かぶよね!

 特殊な勝利条件を持ったカードは、勝利条件しか持っていないことが多い。《機知の戦い》は、特殊な勝利条件を提示するだけで他に何もしない。条件を満たせなければ、完全に死に札になってしまうんだ。《アゾールの雄弁家》は特殊な勝利条件を持ちながらクリーチャーでもあるけれど――実際のところ、それは除去されやすくなっただけだ。その点《面晶体の連結》は、これによる勝利を諦めてひたすら占術を楽しむこともできる。こいつは本当にスゴイやつなんだ。

 とか何とか言っても......

 やっぱりこれで勝ちたいよね!

面晶体を繋げるか、ぶつけるか

 それじゃあ勝利条件の部分を詳しく見て、《面晶体の連結》で勝つにはどうすればいいのか確認しよう。

 《面晶体の連結》が1枚戦場にあること。これは簡単だね。適切な3マナを用意して、《面晶体の連結》を唱えてやればいい。打ち消しやエンチャントの全体除去を受けなければ、《面晶体の連結》は戦場に残る。ステップ1は完了だ。

 《面晶体の連結》が1枚墓地にあること。これも問題ないね。対戦相手が《面晶体の連結》を打ち消したり破壊したりすれば、これが墓地へ行く。あるいはこちらのライブラリーを削ってきたり手札から捨てさせたりする可能性もあるね。それから、自分から墓地へ落としたっていい。《マーフォークの物あさり》を使えば《面晶体の連結》を手札から墓地へ送ることができるだろう。戦場に出すよりは少し難しいけれど、言うほどじゃないね。ステップ2も完了だ。

 《面晶体の連結》が1枚追放されていること。自身のカードを追放する手段はたくさんあるものの、この辺から《面晶体の連結》での勝利のためにデッキに入れるカードが必要になってくる。でも十分実現できるはずさ!《運命の操作》を使うもよし、《Force of Will》を使うもよし、それから、ライブラリーから墓地へ送るのではなく追放するカードもいくつかある。対戦相手がエルドラージ・デッキを使っているなら、こちらが《面晶体の連結》を追放できず困っているときに意図せず助けてしまうこともあるだろう! ステップ3はなかなか難しいけれど、できないことはないね。


面晶体の連結》 アート:Craig J Spearing

 アップキープに、《面晶体の連結》が1枚手札にあること。手札に1枚と言うと簡単そうに見えるけれど、これが4枚目、最後の1枚であることに注意してくれ。誤ってどこか別のところに2枚置いてしまうと、それを手札へ取り戻すために苦労することになる。それから、4枚のうち1枚(か2枚)を引き込むだけなら普通にドローしているだけで十分だけど、4枚すべて引き込むとなるとかなり難しくなることも忘れちゃダメだ。幸い、《面晶体の連結》が1枚戦場に出ていれば4枚揃える助けになってくれる。余ったマナを注ぎ込んで占術を行い、2枚目以降を探しにいこう。

 《面晶体の連結》での勝利を目指すなら、もうひとつ心に留めておいて欲しいことがある――その狙いはたぶん、すぐにバレるだろう。対戦相手がこちらの狙いに気づけば、きっと2枚目の《面晶体の連結》を墓地や追放領域へ送るか、あるいは奪っていくという手段に出ることが予想される。こうなると、かなり厳しい戦いになるかもしれない。

 でもそんなのどうってことないよね。試さずにはいられない、そうだろ?!

カードの連結

 それじゃあ、以下のカードをデッキにまとめてみよう。

面晶体の連結》4枚

 これは4枚だからこそ意味がある。勝利条件を達成するには4枚必要になるので、すべて採用しよう。でも、できることならもっとデッキに入れたいところだね。実は、できるんだ。

賢いなりすまし》2枚

 《賢いなりすまし》にできるのは、2枚目の《面晶体の連結》となって戦場に出ることだけだ。でもそのおかげで、1枚目を戦場から他の好きな領域へ移動させることができるようになるってわけさ。初手から欲しいものじゃないから、採用は2枚に留めよう。《エンチャント複製》も検討したけれど、もう1マナ足すだけで多彩な使い方ができる《賢いなりすまし》の方が僕は好きだな。他にコピーしたいカードはきっとあるだろうし、《賢いなりすまし》なら何にでもなれるんだ。

 それから、《面晶体の連結》を追放する手段も持っておきたい。インターネットのアーカイブを探しまわった結果、僕は『ネメシス』の《預言する妖術使い》に目をつけた。これはカードを追放しながらサーチもできる優れモノだけれど、でもちょっと不安定かな。最初に追放する6枚の中に《面晶体の連結》が2枚入っていたらどうしよう?《面晶体の連結》による勝利は、運に任せて達成できるほど簡単なものじゃないんだ。

 もう少しアーカイブをたどってみると、最近のものに《応じ返し》と《時を越えた探索》が見つかった(《応じ返し》は「最近のもの」とは言えないかもしれないけれど、『ネメシス』に比べたら新しいよ!)。《応じ返し》の代替コストを用いれば、手札から直接《面晶体の連結》を追放できる。クリーチャーの攻撃から身を守ったり、《幻の漂い》をバウンスして「変成」に使ったりできるのもいいね。《時を越えた探索》は、ライブラリーを深く掘り進めて《面晶体の連結》を複数枚手札に加えてくれる。そして同時に、墓地にある《面晶体の連結》を追放する手段にもなってくれる。対戦相手がこちらに不都合なことをしてきたときに、《時を越えた探索》の柔軟性が大いに役立つはずだ。それから、《殻船着の島》の採用を検討するのもいいね。「秘匿」したカードをプレイできるとは思わないけれど、《面晶体の連結》を引き当てれば必要なときまで隠しておけるかもしれない!

時を越えた探索》4枚
応じ返し》3枚

 カードを墓地へ送るのはそこまで難しいことではないだろう。このデッキには「ルーター能力」が噛み合っていると僕は思う。それを駆使すれば、さらに素早くライブラリーを掘り進められるはずだ。最近のカードから選ぶなら、《僧院の包囲》と《微風の写字官》かな。《ヴリンの神童、ジェイス》もいいけれど、やっぱりこのカードは警戒されすぎる。目立たない方が助かるよ。それから《嘘か真か》を使うのもいいけれど、1度きりのこのカードより繰り返し使えるものの方が望ましいと思う。

僧院の包囲》3枚
微風の写字官》3枚

 《面晶体の連結》が複数枚墓地へ置かれることは、大いにあり得るだろう。古いカードだけれど、その場合に備えて《回想》が欲しいね。

回想》3枚

 このデッキのサーチ手段を駆使するには、多くのマナが必要になる。《面晶体の連結》で占術を使って《面晶体の連結》を探し出すために、そして《面晶体の連結》を揃えるのに役立つ呪文を唱えるために、土地以外にもマナを加速する手段があるといいね。僕が選んだのは、《つややかな雄鹿》と《銀のマイア》だ。《つややかな雄鹿》は土地を持ってきてくれるだけでなく、クリーチャーとしても活躍してくれる。《銀のマイア》は青マナを生み出してくれる。これらはデッキに入れられるだけ入れたいね。

つややかな雄鹿》4枚
銀のマイア》4枚

 最後に、クリーチャーをもう少し採用しよう。こちらの狙いが分かった対戦相手は、まず間違いなく素早く攻撃を仕掛けてくるだろう。その攻撃から身を守る手段が必要なんだ。僕は《幻の漂い》と《難問のスフィンクス》を採用したい。《幻の漂い》はブロッカーとして優秀なだけでなく、「変成」で《面晶体の連結》を持ってくることもできる。《難問のスフィンクス》は序盤の強力な抑止力となってくれる上に、《面晶体の連結》を墓地へ送る手段としても役立つね。

幻の漂い》3枚
難問のスフィンクス》3枚
ブルース・リチャードの「星々が繋がるとき」
カジュアル[MO] [ARENA]
17 《
4 《フェアリーの集会場
3 《無限地帯

-土地(24)-

4 《銀のマイア
4 《つややかな雄鹿
3 《幻の漂い
3 《難問のスフィンクス
3 《微風の写字官
2 《賢いなりすまし

-クリーチャー(19)-
4 《面晶体の連結
3 《応じ返し
3 《僧院の包囲
3 《回想
4 《時を越えた探索

-呪文(17)-

 コンボに全力を注いだ形になったね。このデッキでは、特に除去が1枚もないから、クリーチャーで勝てるゲームはほとんどないだろう。ここへ緑を足すと、もっと良くなるかな。《クルフィックスの預言者》があればすべてのアンタップ・ステップにクリーチャーと土地をアンタップさせることができ、《面晶体の連結》の力を最大限に引き出せるようになるんだ!

 おまけに、《面晶体の連結》はフレーバー面でも最高のカードだ。面晶体を繋げることに挑戦するにしても、単純に占術を使いまくるにしても、《面晶体の連結》はきっと君たちのデッキに居場所を見つけるはずさ。

ブルース・リチャード/Bruce Richard

@manaburned / mtgseriousfun@gmail.com

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